シミにはさまざまな種類があり、治療方法もそれぞれで異なります。とくに顔の両頬にできた薄茶色のぼやけたシミは、肝斑の可能性があるかもしれません。ここでは、肝斑の原因や症状、当院で受けられる治療方法などを紹介します。
目次(クリックで開閉)
肝斑とは
肝斑とは、顔にできる代表的なシミの一種です。ここでは肝斑ができる原因と症状について紹介します。
肝斑の原因
肝斑ができる直接的な原因ははっきりとわかっていません。妊娠や出産、更年期、ピルやストレスなどの影響でホルモンバランスが乱れたときに起こりやすいと考えられています。それはホルモンバランスの乱れにより、メラノサイトが活性化されてシミの原因である黒色メラニンが作られやすくなるからです。また紫外線を慢性的に浴びていると、肝斑が濃くなることもあります。
肝斑の症状
肝斑の代表的な症状はさまざまです。代表的な例としては、両頬にできた左右対称の茶色い色素沈着です。色素沈着ができる範囲は症状によって異なり、広範囲にできるものもあれば、目の下や口の周り、鼻の下など一部にできることもあります。
肝斑の治療方法
ここでは当院で対応している肝斑の治療方法を紹介します。
ピコシュアを使ったピコトーニング
ピコシュアは、ピコ秒(1兆分の1秒)単位で肌にレーザーを照射できる機械です。施術は一人ひとりの肌状態にあわせて複数の照射モードを使い分けます。肝斑によく使う照射モードは、低出力のレーザーを広範囲に照射する「ピコトーニング」です。ピコシュアを使ったピコトーニングではダウンタイムが少なく、肌に赤みがあらわれにくいメリットもあります。当院では2~4週間おきに最低10回の施術をオススメしています。
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ピーリング
当院では、肝斑に対して効果的な成分を含んだ「リバースピール」という薬剤を使用しています。リバースピールはイタリアWiQo社の製品で、肝斑や色素沈着に特化したピーリング剤です。トリクロロ酢酸や乳酸、サリチル酸、グリコール酸、マンデル酸という5種類のピーリング剤が含まれています。皮膚の浅い層から深い層までピーリング剤を浸透させて、メラニンを排出する施術です。
当院の施術では薬剤を3段階にわけて肌に塗布し、肌の奥から肌表面へとアプローチします。2~4週間おきに最低5回の施術がオススメです。早ければ2-3回の施術で明らかに肝斑や顔のトーンに変化が出ることがあります。5回でいい効果が出ていれば10回ほど治療を継続するとさらに効果が上がる場合が多いです。
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ダーマペン4
細い針がついた機械を使って皮膚に小さな穴を開けてから、各種薬剤を塗布して肌内部へ有効成分を浸透させるという施術です。肝斑にはトラネキサム酸やグルタチオンといった色素沈着に効果のある成分を使います。
ダーマペンは、針の深さを細かく設定できる機械です。肝斑や色素沈着を治療するときには針を浅めに刺すようにして施術します。そのためダウンタイムは他の治療方法に比べて短くなります。1か月ごとに5回程度の施術がオススメです。
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ポテンツァ
針の深さを浅くして、トラネキサム酸を薬剤として用いてドラッグデリバリーのポテンツァで肝斑を治療します。1ヶ月に1回、4回程度の施術が推奨です。予定が合わない際は2−3ヶ月など間隔があいての施術でも問題ありません。1回あたりの価格はほかの施術よりも上がりますが、ポテンツァの高周波の作用で同時に強い肌質改善の効果を望めるのがメリットです。
ポテンツァについて詳しく見る
各種薬剤
各種薬剤を最低3か月ほど併用すると、さらに施術の効果を実感しやすくなります。
当院では症状に合わせて下記の薬剤を使うことがあります。
飲み薬 | トラネキサム酸、ビタミンC |
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塗り薬 | トレチノイン・ハイドロキノン、アゼライン酸、トラネキサム酸、グラブリジン |
肝斑以外のシミについては「当院の治療ページ」をご覧ください。
肝斑の症例
ここでは当院における肝斑の具体的な治療内容を紹介します。
「顔全体に色素沈着が広がっていた肝斑の症例」
※1~3の写真は同じ人物です。症状がわかりやすいように拡大写真を掲載しています。詳しい施術内容については写真3の下に書かれている内容をご覧ください。
写真1:正面から撮影、写真(上):治療前、写真(下):約2年間の治療後
治療前は顔全体に肝斑による色素沈着が広がっており、一部細かいシミもあった。
写真2:顔の右側を撮影、写真(左):治療前、写真(右):約2年間の治療後
治療前の写真では、目の下に目立つ肝斑があり、右頬全体に色素沈着が広がっていました。
写真3:顔の左側を撮影、写真(左):治療前、写真(右):約2年間の治療後
治療前は左頬全体に、肝斑による色素沈着が広がっていた。
治療内容
顔の色素沈着が改善しないと当院を受診された50代女性の患者様です。他院にて飲み薬「トラネキサム酸」と塗り薬「ハイドロキノン・トレチノイン」による治療を受けていました。
初回受診時には肝斑の症状が目立っており、一部に細かな色素沈着もありました。当院でリバースピールとピコトーニングを順番に施術し、約2年後には肝斑とともに色素沈着も目立たなくなりました。
治療期間 回数 | 年2回、ピコトーニング7回、リバースピール9回 |
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費用 | ピコトレーニング 1回 14,300円(税込)× 7回 リバースピール頬 1回 22,000円(税込)× 9回 合計298,100円(税込) |
リスク 副作用 | ピコトレーニング:色素沈着、脱色素、赤みL リバースピール:かぶれ、かゆみ、赤み |
治療メニュー
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リバースピール
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ピコシュアによるピコトーニング
リバースピールとピコトーニングの施術を交互に繰り返しました。治療期間中の合計施術回数は、リバースピールは9回、ピコトーニングは7回です。リバースピールで目の下にある肝斑によるくすみにアプローチしました。またピコトーニングではそれ以外の肌のトーンアップを目指しました。
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飲み薬「トラネキサム酸」、「ビタミンC」
飲み薬はピコトーニングやリバースピールと併用することで効果を実感しやすくなります。
この患者様の場合、メラニンの生成を抑制して肝斑の改善効果がある「トラネキサム酸」と抗酸化作用とメラニンの生成を抑制する作用がある「ビタミンC」を併用しました。 -
塗り薬「ハイドロキノン・トレチノイン」、「アゼライン酸」
ピコトーニングの施術中は、塗り薬である「ハイドロキノン・トレチノイン」を併用しました。リバースピールの前後1週間はトレチノインが含まれた薬の使用を控える必要があります。そのためリバースピールの施術前から施術後にかけて、塗り薬を「アゼライン酸」に変更して併用しました。
「ハイドロキノン」には、メラニンの生成抑制作用、「トレチノイン」にはメラニン色素の排出促進作用が知られています。またニキビ・酒さの治療薬として有名な「アゼライン酸」はメラニン抑制作用が期待できます。
担当医師コメント
ソバカスやシミだけがくっきりと目立っているような症状には、当院の治療メニューである「スポットうち放題」のレーザー治療をオススメしています。個人差はありますが、1回受けただけで治療終了になる方もいます。
しかし今回の患者様のように肝斑の症状が目立っており、顔全体に細かな色素沈着まであらわれているときには、紹介したような治療メニューによる繰り返しの施術が必要です。
副作用・注意事項など
ピコシュア(ピコトーニング)
禁忌事項- 妊娠中
- てんかんのある方
- 肌の赤みや痛み、炎症後色素沈着などを生じることがあります。
- 照射後にかさぶたができることもあります。かさぶたは無理にはがさないようにしてください。
- メイクは翌日から可能です。
ピーリング(リバースピール)
禁忌事項- 妊娠中
- 過去にピーリングでかぶれた方。
- 強い炎症(アトピーやかぶれなど)
- 皮膚の皮がむけるかもしれません。
- 施術後に赤みがあらわれることもあります。ほとんどの場合数日ほどでおさまります。
- メイクは施術直後から可能です。
ダーマペン4
禁忌事項- 金属アレルギーの方
- 妊娠中の方(厳密には禁忌ではないですが推奨はしていません)
- ヘルペスなどの感染症がある方
- メイクは施術翌日から可能です。
- 施術後赤みが出た場合には数時間、内出血は5日以内でおさまることがほとんどです。
ポテンツァ
禁忌事項- 妊娠中の方
- 金属アレルギーの方
- 局所麻酔薬などの薬剤アレルギーがある方
- 紫外線対策は日常的に行ってください。
- 施術前後の1週間はピーリング製品などの使用は控えてください。
- 施術後は一時的にニキビができるかもしれません。
「ダーマペン4について」
未承認医薬品等ダーマペン4は医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認機器です。
当院医師の判断の元、オーストラリアのDermapenworld社より個人輸入しています。
個人輸入された医薬品等の使用によるリスクに関する情報はこちらをご覧ください。
国内の承認機器の有無同一の成分や性能を有する他の国内承認機器等はありません。
諸外国における安全性などに係る情報諸外国において、治療に伴う重大な副作用の報告はありません。
「ポテンツァについて」
未承認医薬品等ポテンツァは医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認機器です。
当院医師の判断の元、Jeisys Medical社より個人輸入しています。
個人輸入された医薬品等の使用によるリスクに関する情報はこちらをご覧ください。
国内の承認機器の有無同一の成分や性能を有する他の国内承認機器等はありません。
諸外国における安全性などに係る情報米国FDA、欧州CE、韓国MFDSで承認されています。
「ピーリング(リバースピール)について」
未承認医薬品等リバースピールは医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認機器です。
当院医師の判断の元、WiQo社より個人輸入しています。
個人輸入された医薬品等の使用によるリスクに関する情報はこちらをご覧ください。
国内の承認機器の有無同一の成分や性能を有する他の国内承認機器等はありません。
諸外国における安全性などに係る情報諸外国において、治療に伴う重大な副作用の報告はありません。
料金
ここでは、1回の施術に必要な料金を掲載しています。
以下の施術は保険適用外のため、公的医療保険が適用されない自由診療(自費)です。
ピコシェア(ピコトレーニング) | |
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全顔 | 14,300円(税込) |
ピーリング(リバースピール) | |
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リバースピール(肝斑、くすみ)両頬 | 22,000円(税込) |
リバースピール(肝斑、くすみ)全顔 | 33,000円(税込) |
ダーマペン4 | |
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全顔(BENEVの成長因子、トラネキサム酸、グルタチオンいずれか) | 38,500円(税込) |
全顔(PRP) | 99,000円(税込) |
鼻(毛穴の黒ずみ、CLR) | 22,000円(税込) |
ポテンツァ | |
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肝斑、色素沈着(トラネキサム酸) | 88,000円(税込) |