しみは年齢とともに増えてきますので、どうにかしたいと思いながらも、どのように治療しようか多くの方が相談できずにお困りなのではないでしょうか。しみのタイプにより適切な治療を行えば完全に消すことは難しくても、改善させることがほとんどの場合可能です。しみだけの受診でも親身に相談にのりますので、気軽にご相談下さい。レーザーが効くしみ、飲み薬や塗り薬が効くしみ、さまざまですので、自分のしみがどれに当たるのか、読んでみて下さい。
日光黒子は主に顔にできる、境界がはっきりした茶色のシミです。日光が当たるところにできるので、手の甲や腕にもできます。年齢とともに増え、40代以降で目立つようになります。大きさは1cm前後のことが多いですが、年齢が進むと大型になることもあります。
肝斑や後天性真皮メラノーシス(ADM)とは異なり、左右対称にはならず、境界がはっきりしているのが区別するポイントです。
Qスイッチレーザーがよく効き、通常1回でも効果を実感できます。Qスイッチレーザーにはルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、ヤグレーザーの3つがありますが、いずれの器械でもよく効きます。範囲が広い場合にはフォト治療で顔全体のしみを治療するのも有効な方法です。表面の皮膚も厚くなっているので、ぬり薬やのみ薬は効きにくいです。レーザーやフォト治療でメラニンのついた皮膚全体をはがす方法を当院で行っています。
肝斑は顔に左右対称にみられる茶色のシミで、ほほから目の周りにかけてが典型的な分布です。ほほの広い範囲がベタッとした感じの薄い茶色になることが多いです。20代後半以降に出現してきます。妊娠出産や経口避妊薬(ピル)で色が濃くなることが多いことから、女性ホルモンが影響していると言われています。また、ほかのシミ同様日焼けでさらに色が濃くなりますので、日焼け止めはかかせません。
肝斑は日光黒子に行うように強くレーザーを当てると逆に悪化することが多いので注意が必要です。レーザー治療を行う場合はQスイッチレーザーを用い、弱めの出力で顔全体に当てます。「トーニング」と呼ばれる方法です。1~2週間おきに10回以上の治療が必要になります。この方法では顔の痛みやレーザー後の赤みがほとんど出ない点が利点で、すぐにお仕事に戻ることもできます。その替わりに効果を実感するには10回以上と回数が必要です。回数をかければ効果を実感できることがほとんどですので、継続して治療していきましょう。
肝斑の治療にはぬり薬とのみ薬も有効です。単独でも効果を実感できることは多いですし、レーザーと併用するとさらに効果は上がります。ぬり薬はハイドロキノンとトレチノイン、飲み薬はトラネキサム酸とビタミンCを使います。3ヶ月ほど継続すると治療の効果を実感できることが多いです。
にきび、アトピー性皮膚炎(湿疹)、虫刺され、やけど、けがなどにより赤くなる炎症が続くと、それが治ったあとにメラニンが残り、茶~黒っぽい色残ってしまいます。数ヶ月~1年ほど経つと自然にもかなり薄くなるのですが、それでもうっすらと黒っぽい色が残ってしまうことが多いです。
このような場合、日焼けをするとさらに色が濃くなるので、まずは日焼け止めやその部分が日に当たらないようにしてしっかり日焼けを予防しましょう。治療としてはまずぬり薬のハイドロキノンまたはトレチノインを使います。同時にぬることもあります。3ヶ月ほど使うと治療効果が出てきます。それでも効果が不十分であるときにはQスイッチレーザーを使う場合もあります。
後天性真皮メラノサイトーシスはADMとも呼ばれ、頬の上の方に左右対称にできることが多いです。肝斑ではほほ全体がベタッとした茶色になるのに対し、ADMは頬の上の方の出っ張ったところで、左右対称に点状に色素が多発するのが典型です。灰色から青みがかって見えることが多く、高校生~大学生の頃に出てくることが多いです。
皮膚の深い部分(真皮)にメラノサイトというメラニンを作る細胞が増えるのが原因なので、表面のメラニンを除去するぬり薬は効果がありません。Qスイッチレーザーで治療します。この場合のレーザー治療は保険適応になります。