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黒や茶色のシミに反応してメラニンを破壊します。当院ではサイノシュア社のピコレーザーのピコシュアを使用しています。いずれも保険適応の器械ですので、ADM(後天性真皮メラノーシス)、太田母斑、異所性蒙古斑(青あざ)、外傷性色素沈着症は3ヶ月に1回、保険適応でレーザーを使用することができます。
755 nmのメラニンに反応する波長でレーザーをピコ秒単位で照射し、シミの原因となるメラニンを除去します。弱いパワーで顔全体的に照射する「ピコトーニング」という打ち方と強いパワーでシミの濃い部分のみに照射する「スポット照射」を組み合わせることで、どのようなタイプのシミにも対応することができます。
- 表面の加齢によるシミ(日光黒子、老人性色素斑)
頬に多い、境界のはっきりしたベタッとした茶色のシミ。スポット照射といって、強く局所的にレーザーを照射して、一回でシミをはがしてしまう治療法が適しています。
下の写真は、ほほ全体にある無数のシミでお悩みだった20代前半の女性ですが当院での2回のレーザー治療でここまでよくなりました。
1回目はQスイッチレーザーで全体的に目立つシミに強めのスポット照射(打ち放題、税込66000円)
2回目は4ヶ月あけてから残った目立つシミにピコレーザーでピコスポット照射(打ち放題、税込み88000円)
を行い、それから半年して治療効果がはっきりした時の写真です。くっきりしたシミはほとんど消失しています。この方の場合はシミの数が多く濃かったこともあり2回治療を行っていますが、1回で十分な効果を出せることも多くあります。
- 後天性真皮メラノサイトーシス(ADM, acquired dermal melanosis)
高校生から20代前半に出現することが多い両ほほの左右対称でポツポツした灰色から茶色のシミ。ピコレーザーで強めにレーザーを照射します。3ヶ月に1回程度で4回ほど治療すると薄くなります。通常のシミと違い、一度のレーザー治療ではがれはせず、むしろレーザー直後はレーザーによる炎症後色素沈着で濃くなったように見えることもありますが、3ヶ月ほどかけて徐々に薄くなります。
- そばかす(雀卵斑)
細かいポツポツした茶色のシミ。小学生の頃から出現し、次第に濃くなっていく。両ほほと鼻に多い。ピコレーザーをスポット照射する施術によって1回でかなりきれいに消すことが可能です。
- 肝斑
両頬に左右対称なベタッとした範囲の広いシミ。ピコトーニングを2~4週に1回、10回程度繰り返すことで薄くできる可能性があります。トーニングは弱くレーザーを打つので、ダウンタイムはほとんどなく当日から仕事に行ったりお化粧をすることも問題ありません。1回では効果を実感できませんので、複数回治療を繰り返す必要があります。トラネキサム酸の内服やハイドロキノン・トレチノインの外用を併用します。トーニングの効きが悪い場合にはピーリングやダーマペンで治療することもあります。
- 老人性イボ(脂漏性角化症)
平坦なタイプの少し隆起した茶色のできもの。顔に多いですが、体、腕、脚など体のどこにでもできます。盛り上がりが少ない場合はレーザー、盛り上がりが強い場合はラジオ波メスを用いて除去します。
- 扁平母斑(カフェオレ斑)
生まれつき、もしくは子供の頃からある淡い茶色のシミです。体、顔、など場所は様々です。レーザー治療が効果があることがあります。
- 太田母斑
生まれつきある、目の周りの青いあざです。メラニンが真皮という深いところにあるので茶色ではなく青く見えます。保険適応でレーザー治療が可能です。3ヶ月に1回保険が効きますので、4回程度治療を繰り返して徐々に薄くしていきます。
- 異所性蒙古斑
赤ちゃんの腰のあたりにある青いあざは自然に消えることが多いですが、背中全体や腕、脚にある場合には成長しても残ることが多いです。保険適応でレーザー治療が可能です。3ヶ月に1回保険が効きますので、4回程度治療を繰り返して徐々に薄くしていきます。
シミといっても、このように多くの種類があります。シミの種類は診察時に判断しますので、ご相談ください。シミは単独の診断のこともありますが、通常はいくつかが混在しています。肝斑が頬全体的にあり、頬の外側だけに日光黒子がある、などです。そのような場合もレーザーと塗り薬、飲み薬を組み合わせて適切に治療することができます。

レーザーの打ち方について
スポット照射(ピコスポット)
スポット照射を行った場合にはレーザーのパワーが強いのでシミは一度カサブタのようになり、一見色が濃くなったように見えます。その後10日ほどするとカサブタははがれ落ち、以前よりも色が薄くなります。一度でも強い効果を実感できます。ピコレーザーでスポット照射をした場合、従来のレーザー治療のようにテープを貼らなくてもいいところが利点です。
年齢や日光の影響によるシミ(老人性色素斑、日光黒子)や老人性イボ(脂漏性角化症)の場合は一度だけで高い効果があがるので一度限りの照射の場合もありますし、3ヶ月ほど待って再度照射することもあります。
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)や太田母斑、異所性蒙古斑の場合には3ヶ月ごとに何度か照射することで徐々に薄くなっていきます。レーザー照射の直後には大きな変化がないこともありますが、間をおくことで徐々に薄くなっていくのがわかります。保険適用でレーザー治療できます。
扁平母斑に対しては強く効果を発揮する場合もありますが、あまり変化がないこともあり、場合によって結果が異なります。治療して効果があれば続けて回数を重ねます。
ピコトーニング、レーザートーニング
レーザーの出力を落として、顔全体にレーザーをうちます。非常に出力が弱いので通常カサブタになることはなく、レーザー照射後の赤みも当日のうちに通常はひきます。ダウンタイムが少なくすぐに仕事に戻らなければいけない状況でも問題なく行えます。
肝斑にはスポット照射のように強くレーザーを当てると逆にシミが悪化することがありますので、顔全体に一度あたりは弱く、回数を多くレーザーで治療する必要があります。
弱く照射するのでダウンタイムが短い分、一度に改善する程度は少ないですので、10回程度治療を繰り返す必要があります。治療の頻度としては2-4週間に一度を推奨しています。
肝斑の場合は飲み薬と塗り薬も治療効果をあげる上で重要ですので、美白のぬり薬(ハイドロキノン、ルミキシルやトレチイン)、飲み薬(トラネキサム酸とビタミンC)を併用します。しっかり日焼け止めを使う、肌をこすらない、といったアフターケアも大事です。