帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスが原因で起こる皮膚の病気です。体の左右どちらか一方に、痛み、かゆみ、水ぶくれなどがあらわれます。チクチク、ピリピリ、ズキズキとした痛みと発疹があらわれたときには、帯状疱疹かもしれません。また帯状疱疹は発疹が治った後にも痛み、赤み・黒ずみなどの症状が残ることもあります。
ここでは帯状疱疹の原因や症状、合併症について詳しく紹介します。また当院の帯状疱疹についての治療についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次(クリックで開閉)
帯状疱疹の原因とは
ここでは帯状疱疹があらわれる原因になっているウイルスと、帯状疱疹が発症するメカニズムについて紹介します。
帯状疱疹の原因は水ぼうそうのウイルス
帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が原因で起こる皮膚疾患です。帯状疱疹そのものは、基本的に他の人にうつることはありません。(※ただし免疫力が非常に低い赤ん坊や高齢者などを除く)
免疫力の低下で帯状疱疹に
帯状疱疹は、子どものときに水ぼうそうに感染した後、体の中に潜伏していたウイルスが大人になってからもう一度活性化することで発症する病気です。日本人の9割以上はこのウイルスに感染しているため、誰でも帯状疱疹を発症する可能性があります。
帯状疱疹が発症しやすくなるのは加齢や疲労、ストレス、紫外線、病気などの影響で免疫力が低下したときです。とくに加齢の影響は大きく、50代以上になると発症しやすくなることがわかっています。
帯状疱疹の症状
帯状疱疹の症状に個人差はありますが、ここでは代表的な症状のあらわれ方として、初期症状と発疹の特徴を紹介します。
初期症状
帯状疱疹の初期症状は、痛み、かゆみ、違和感などです。痛み方としてはチクチク、ズキズキ、ピリピリなどさまざまです。灼熱感のような痛みを感じることもあります。またかゆみや皮膚の違和感があらわれる方もいます。治療をせずに放置していると、少しずつ痛みが強くなり、激しい痛みにより眠れなくなるかもしれません。
発疹の特徴
初期症状に続いて、水ぶくれをともなう赤い発疹があらわれます。とくに体の片側にだけあらわれるのが特徴的です。発疹は時間がたつにつれて少しずつ広がっていきます。たとえば頭や顔・首、おなかや背中、おしりから足にかけてなど全身どこにでも発疹はあらわれます。
帯状疱疹の合併症
帯状疱疹は、発症することでさまざまな合併症のリスクがある病気です。ここでは代表的な合併症について紹介します。
- 帯状疱疹後神経痛(痛みの持続)
- ウイルスの活性化によって神経が傷つけられると、帯状疱疹の症状が落ち着いた後にも神経痛が続くかもしれません。とくに皮膚症状が治った後でも、3か月以上痛みが続くものを「帯状疱疹後神経痛」と呼びます。とくに高齢者の方、皮膚症状が重症な人、強い痛みがある人、治療を開始するのが遅かった人に起こりやすいと言われています。
- ラムゼイハント症候群(顔の神経麻痺、難聴、耳鳴り、めまいなど)
- 帯状疱疹の症状が顔や耳に広がり、顔の神経に影響したときには顔の神経麻痺が、耳の神経に影響したときには難聴や耳鳴り、めまいなどの症状があらわれるかもしれません。
- 眼の病気(角膜炎、結膜炎、視力低下など)
- 顔に帯状疱疹の症状が広がったときには、目に症状があらわれることもあります。たとえば黒目に傷がつく角膜炎や、充血になる結膜炎などです。
- 炎症後色素沈着(赤み、黒ずみ)、帯状疱疹後の瘢痕形成(へこみ)
- 帯状疱疹の影響で炎症やメラニンの過剰産生、水疱ができるなどが起こると、皮膚が過度な刺激を受けてしまいます。そうなると赤みや黒ずみ、へこみなどの症状が残ってしまうかもしれません。赤みや黒ずみは半年~1年のうちに自然治癒することがほとんどです。しかし人によってはそれ以上の期間が経過しても自然治癒せずに跡が残ったままになることもあります。また皮膚にへこみが残ったときには、放置していても自然に治ることはありません。
帯状疱疹の治療方法
当院では主に内服薬や外用薬を使って帯状疱疹を治療しています。また帯状疱疹の合併症についても、各種施術で対応しています。
内服薬
- 抗ウイルス薬
- 当院では「ファムビル(成分名:ファムシクロビル)」や「バルトレックス(成分名:バラシクロビル)」、「アメナリーフ(成分名:アメナメビル)」などを処方しています。
- まずは帯状疱疹の原因であるウイルスの働きを抑えるために、各種抗ウイルス薬を服用してください。ウイルスは時間がたつにつれて増殖していくため、できるだけ早く受診をして服用しましょう。抗ウイルス薬の使用が早いほどウイルスの増殖を抑えられるため、合併症や重症になるリスクが減ります。
- 薬は1週間分処方するため、決められた期間内は必ず服用してください。それぞれの薬は、効果があらわれるまで通常は3日間ほどかかります。そのため薬を開始しても、しばらくの間は発疹が広がる場合もあります。服用を継続するにつれて効果があらわれるため、薬の効果を実感できないからといって自己判断で服用を中止しないでください。
- 痛み止め
- 痛みが強いときには「カロナール(成分名:アセトアミノフェン)」などの痛み止めを処方することもあります。痛み止めはあくまで対症療法のため、帯状疱疹の症状をおさえるためには抗ウイルス薬の服用が必要です。
外用薬
- 各種薬剤
- 水疱やびらんの症状があるときには抗菌薬の塗り薬を処方することがあります。もし水ぶくれがやぶれた場合には、まずは患部をよく洗ってください。その後はこちらで処方する薬を塗りガーゼで保護してください。雑菌がつかないように1日1回は洗いましょう。
- また帯状疱疹後に色素沈着が残った場合は、「ハイドロキノン」や「トラネキサム酸」などの塗り薬を処方することもあります。ハイドロキノンは色素沈着の原因となっているメラニン色素を作られにくくする成分です。1日1回洗顔後に適量を患部に塗布してください。トラネキサム酸は色素沈着の原因となっている炎症にアプローチする成分です。1日2回洗顔後に適量を患部に塗布してください。期待した効果を実感しやすくなる目安はどちらも約3か月です。
- ※ハイドロキノンやトラネキサム酸を使った治療は、公的医療保険が適用されない自由診療です。
レーザー治療
帯状疱疹後の肌に色素沈着の跡が残ってしまったときには、レーザーを使った施術で対応することもあります。当院ではピコシュアという機器を使った「ピコレーザー治療」により、色素沈着にアプローチしています。
通常のシミのように強いパワーでレーザーを照射すると、逆に症状が悪化するかもしれません。症状の悪化を防ぐために、当院では弱いパワーでレーザーを照射するピコトーニングという方法を使います。症状によっても異なりますが、施術の効果を実感しやすくなる目安として、施術頻度は1か月に1回程度、施術回数は最低5回です。
※ピコシュアによる治療は、公的医療保険が適用されない自由診療です。
へこみ治療
帯状疱疹後にへこみが残った場合は、放置していても自然に治ることはありません。当院ではニキビ跡のへこみ治療と同様に「サブシジョン」や「ジュベルック注射」、「TCAクロス」、「ダーマペン」などで治療をしています。
※サブシジョン、ジュベルック注射、TCAクロス、ダーマペンは、公的医療保険が適用されない自由診療です。
- サブシジョン
- 皮膚のへこみは、患部の下にできた固い線維が皮膚の表面を引っ張ることで起こっています。サブシジョンでは局所麻酔後に皮膚の表面から針を刺して、原因となっている固い線維を切断する施術です。期待した効果を1回の施術で実感できる方もいますが、へこみが深いときには複数回の施術が必要です。
- ジュベルック注射
- 「ポリ乳酸(PDLLA:Poly-DL-lactic acid)」という成分が含まれたジュベルックという薬を患部に注入します。コラーゲン生成を促進する働きにより、気になるへこみにアプローチします。期待した効果を実感するタイミングは、3回以上の施術です。
- TCAクロス
- 症状に合わせて50~80%の高濃度トリクロロ酢酸(TCA)を患部に塗布し、創傷治癒の働きによりへこみにアプローチする施術です。創傷治癒の過程においてコラーゲンやエラスチンといった成分が作られやすくなるため、へこみが目立ちにくくなる効果を期待できます。期待した効果を1回の施術で実感できる方もいますが、へこみが深いときには1か月に1回の施術で3~5回の治療が必要です。
- ダーマペン
- 髪の毛よりも細い針で肌に小さな穴を開け、自然治癒力によりさまざまな肌トラブルにアプローチする施術です。コラーゲンやエラスチンといった肌にとって大切な成分を作られやすくすることで、肌のへこみの改善が期待できます。1か月に1回の施術頻度で5回ほどの施術を受けることで期待した効果を実感しやすくなります。
副作用・注意事項
禁忌
ハイドロキノン
- 傷やかぶれなどの症状がある方
- 成分に対して過敏症の既往歴がある方
トラネキサム酸
- トロンビンを投与中の患者
- 成分に対して過敏症の既往歴がある方
ピコシュア(ピコレーザー)
- 妊娠中の方
- てんかんのある方
サブシジョン
- 妊娠中の方
- ワーファリンなど血をサラサラにする内服薬を使用中の方
TCAクロス
- 妊娠中の方
ダーマペン
- 金属アレルギーの方
- 妊娠中の方
- ヘルペスなどの感染症がある方
副作用
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ハイドロキノン
赤み、炎症、かぶれ、白斑など
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トラネキサム酸
かゆみ、発疹など
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ピコシュア(ピコレーザー)
赤み、痛み、色素沈着、カサブタなど
-
サブシジョン
むくみ、鈍痛、内出血、瘢痕形成、感染など
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ジュベルック注射
内出血、赤み、腫れ、むくみ、ごくまれに硬結など
-
TCAクロス
一時的な肌の白み、カサブタ、赤み、色素沈着、瘢痕、ヒリヒリ感など
-
ダーマペン
痛み、出血、色素沈着、ほてり、赤み、内出血など
注意事項
ハイドロキノン
- 使用中に紫外線を浴びると色素沈着が起こりやすくなります。そのため使用中は日焼け止めクリームを使うなど紫外線対策をしてください。
ピコシュア(ピコレーザー)
- メイクは翌日から可能です。
- 肌に赤みや痛み、炎症後色素沈着などを生じることがあります。
- 照射後にかさぶたができることもあります。かさぶたはムリにはがさないでください。
サブシジョン
- メイクや洗顔は、患部を避ければ当日から可能です。
- 施術後1~2週間は内出血があらわれるかもしれません。その場合は少しずつ紫色や黄色などに色が変化して自然に治癒することがほとんどです。
- ケロイド体質の方などは、施術後まれに皮膚が厚くなることもあります。
TCAクロス
- 一時的な肌の白みがあらわれた後には、カサブタができるかもしれません。通常の場合、カサブタは1~2週間で自然にはがれ落ちるため、ムリにはがさないでください。
- 施術後は一時的に赤みが見られるかもしれません。通常の場合、3~6か月かけておさまります。
- 色素沈着があらわれるかもしれません。通常の場合、3~6か月かけておさまります。
- 個人差はありますが、施術中~施術後には、患部がヒリヒリと感じることもあります。ヒリヒリ感は2~3時間でおさまることがほとんどです。
- 施術部位に日焼けをすると色素沈着しやすくなります。施術後は日焼け止めを塗って患部を保護してください。
- シャワーは当日から、入浴・洗髪・メイク・洗顔は翌日から可能です。
ダーマペン
- メイクは施術翌日から可能です。
- 施術後赤みが出た場合には数時間、内出血は5日以内でおさまることがほとんどです。
- 施術後の肌は敏感となっているため、日焼け止めや帽子で紫外線対策をしてください。
料金
保険診療
以下はすべて税込、3割負担の場合の料金です。
※都内在住で高校生までの子どもは、公費負担となり実費は0円です。
初診料 | 約900円 |
再診料 | 約400円 |
処方料 | 約200円 |
ピコシュア(ピコレーザー) | 約6,000円~12,000円 |
自費診療
下記の施術は、公的医療保険が適用されない自由診療(自費)です。
サブシジョン | |
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サブシジョン(2x2cm) | 22,000円(税込) |
サブシジョンにヒアルロン酸追加(2x2cm) | 22,000円(税込) |
ジュベルック注射 | |
ニキビ跡や傷跡の凹み(1か所) | 11,000円(税込) |
ニキビ跡や傷跡の凹み(5か所まで) | 22,000円(税込) |
TCAクロス(使用薬剤:トリクロロ酢酸) | |
1回20か所まで | 22,000円(税込) |
ダーマペン | |
全顔(成長因子のBENEVやCLR) | 38,500円(税込) |
美白(トラネキサム酸もしくはコウジ酸)追加 | 3,300円(税込) |
全顔(PRP) | 99,000円(税込) |
鼻(CLR) | 22,000円(税込) |
ピコシュア(ピコレーザー) | |
ピコトーニング 全顔 | 14,300円(税込) |
ピコトーニング 1cmまで | 14,300円(税込) |
ピコトーニング 1.5cmまで | 21,450円(税込) |
ピコトーニング 2cmまで | 28,600円(税込) |
ピコトーニング 2cm以上は1cmごとに | 14,300円(税込)追加 |
※複数か所を治療する場合は、大きさの合算で料金を計算します。たとえば4mmと9mmのシミを治療した場合には、合計1.3cmのため21,450円(税込)です。
ハイドロキノンについて
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未承認医薬品等
ハイドロキノンは、医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。
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入手経路等
国内の医薬品卸業者から購入しています。
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国内の承認機器の有無
同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等はありません。
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諸外国における安全性等に係る情報
諸外国において、治療に伴う重大な副作用の報告はありません。
トラネキサム酸について
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未承認医薬品等(異なる目的での使用)
トラネキサム酸は、医薬品医療機器等法上、抗プラスミン作用、シミ・肝斑の改善の効能において承認されていますが、その他の目的の使用については承認されていません。
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入手経路等
国内の医薬品卸業者より国内の承認薬を仕入れています。
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国内の承認機器の有無
国内で同程度の効能・効果で承認されている承認医薬品等はありません。
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諸外国における安全性等に係る情報
諸外国で重篤な副作用の報告はありません。
ピコシュアについて
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未承認医薬品等(異なる目的での使用)
ピコシュアは医薬品医療機器等法において、太田母斑、異所性蒙古班の治療について承認されていますが、その他の目的の使用については国内で承認されていません。
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入手経路等
国内の医薬品卸業者より国内の承認機器を仕入れています。
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国内の承認医薬品の有無
国内で同程度の効能・効果で承認されている承認医薬品等はありません。
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諸外国における安全性などに係る情報
米国FDAにて色素性病変(シミ・肝斑等)・しわ・にきび跡に関する承認を受けています。
サブシジョンについて
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未承認医薬品等
サブシジョンのカニューレは医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医療器機です。
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入手経路等
韓国のACE MEDICAL社から個人輸入しています。
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国内の承認機器の有無
同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等はありません。
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諸外国における安全性等に係る情報
重大なリスク・副作用などが明らかになっていない可能性があります。
ジュベルックについて
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未承認医薬品等
ジュベルックは医薬品医療機器等法上、未承認医療機器です。
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入手経路等
当院医師の判断の元、ネイチャーフォース・ジャパン社より個人輸入しています。
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国内の承認医薬品等の有無
同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等はありません。
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諸外国における安全性等に関する情報
ジュベルックは、米国FDAと韓国KFDAの承認を受けており、皮内注射における安全性が認められています。
TCAクロスについて
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未承認医薬品等
TCAクロスは医薬品医療機器等法上、承認されていない医薬品です。
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入手経路等
国内メーカーからトリクロロ酢酸溶液を購入しています。
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国内の承認医薬品等の有無
同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品はありません。
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諸外国における安全性等に係る情報
重大なリスク・副作用などが明らかになっていない可能性があります。
ダーマペンについて
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未承認医薬品等
ダーマペンは医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医療機器です。
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入手経路等
当院医師の判断の元、オーストラリアのDermapenWorld社より個人輸入しています。
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国内の承認機器の有無
同一の成分や性能を有する他の国内承認機器等はありません。
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諸外国における安全性などに係る情報
諸外国において、治療に伴う重大な副作用の報告はありません。
未承認医療機器や未承認医薬品について、医学的知見のない方の個人輸入は推奨していません。個人輸入に関するリスクはこちらのページをご覧ください。