目次(クリックで開閉)
酒さの原因
酒さの原因はまだわかっていない部分も多いですが、大きくは以下が原因といわれています。
皮膚表面の毛細血管が開いて赤くなる(毛細血管拡張症)
酒さの症状は毛細血管が広がりやすく、収縮しにくい状態です。酒さの原因として、毛細血管に司令を与える神経に異常があることが考えられます。また皮膚が薄い方は、皮膚表面から透けて見えやすいことが知られています。頬や鼻など顔面は毛細血管が集中しているため、炎症を引き起こすことによって赤みが目立ちやすいです。
皮膚表面の免疫異常による炎症
酒さでは、自然免疫に関わるTLR2などが影響していると考えられます。TLRの過剰反応は慢性炎症などを生じることがあり、TLR2の発現亢進によって皮膚表面でさまざまな変化が起こり、皮膚の炎症反応につながると考えられています1)。
ニキビダニ(デモデックス Demodexの増殖)
ニキビダニは正式には「毛包虫(Demodex)」といい、1人の顔に200万匹住みついているといわれています。ニキビダニが顔の皮膚にいる事自体は正常ですが、酒さではその数が増殖して原因の一つになっていると言われています。また、ニキビダニは酒さの重症度に比例して増加しているという報告があります1)。
その他にもストレスやホルモンなどさまざまな原因があると考えられています。
酒さの悪化因子
酒さが原因でお悩みの方はベースとして毛細血管拡張が強いですが、外からの刺激に反応して血管が開きやすいので、さらに悪化の原因になることが多いです。
酒さの悪化因子①-日光
日光が最も大きな酒さの悪化因子です。日焼けを繰り返すと血管が開き、毛細血管拡張による赤ら顔が悪化します。日焼けを繰り返した方で顔や胸の日を浴びていた部分だけが赤くチリチリした年配の方を見たことがあるかもしれませんが、これも同じ原理です。日焼け止めは酒さの治療として重要になります。
酒さの悪化因子②-外気の寒暖差
季節の変わり目に症状が悪化しやすいです。冬に暖房が効いた商業施設に入ったときや、電車の乗り降りをしたときなどに顔にほてりが生じることがあります。酒さの治療中で症状が比較的安定している方でも、急な寒暖差によって顔が赤くなりやすい傾向があります。
酒さの悪化因子③-運動
酒さは激しい運動で血流が良くなりすぎることにより悪化することがあります。運動をすると血液循環がよくなって体温が上昇しますが、激しい運動は急激に体温を上げ、ほてりを生じやすくします。また室外で運動するときは日焼け止めを塗るなど紫外線対策をしましょう。
酒さの悪化因子④-入浴
熱い温度のお風呂に入ることで症状が悪化することがあります。38~40℃程度のぬるめのお湯に浸かるか、シャワー浴にすると症状の軽減につながります。
酒さの悪化因子⑤-飲酒
アルコールを摂取するとアルコールによって生じたアセトアルデヒドが増加し、血管を拡張させます。アルコールの過剰摂取は体の末端の毛細血管を拡張させて症状の悪化につながります。付き合いでの飲酒程度であれば通常悪化は一過性ですが、毎日の飲酒が続くとそれが原因で赤ら顔になることもあるので注意しましょう。
酒さの悪化因子⑥-辛いものを食べる
辛いものを摂取すると、少しずつ体温が上昇します。また酒さの患者さんは辛いものに含まれるカプサイシンに反応し、痛みのサインを出すTRPV1という受容体を多くもっているといわれています。
多いのは上記のような血行をよくする行動です。通常は一過性に赤みが悪化して、この行動をやめれば戻ります。特に室内と室外の寒暖差が多い冬に酒さの赤みが悪化する、という患者様は多いです。
酒さ、赤ら顔治療のご相談は池袋駅前のだ皮膚科へ
当院では酒さの治療経験が多くあり、先の写真でご覧いただいたとおり大きく改善がみられています。酒さは日本の保険適用内治療が難しく、湿疹や脂漏性皮膚炎、ニキビと間違われて治療されていることも少なくありません。お悩みの方はご相談ください。
ほかにも外部の記事で赤ら顔、酒さについて詳しく記載していますので参考にしてください。
https://allabout.co.jp/gm/gc/463230/参考文献
(1)山﨑 研志.酒皶.「Bella Pelle」.メディカルレビュー社.Vol.5.No.4.p14-17.2019