クレナフィンとは？
クレナフィンは、エフィナコナゾールを有効成分とする、爪白癬治療薬です。
エフィナコナゾールは、真菌細胞膜成分エルゴステロールの生合成を阻害して、抗真菌作用を示します。
経口抗真菌薬を使った爪白癬治療では、肝障害などの副作用や薬物相互作用に注意する必要があり、特に高齢者や合併症がある患者では使用が制限されていました。
エフィナコナゾールは、爪白癬の原因真菌に対して高い抗真菌活性を持ち、さらに爪の成分ケラチンとの親和性が低く、爪をとてもよく通り抜けるので、爪表面に塗布すると爪白癬治療に効果を発揮します。
科研製薬株式会社で創製され、2014年9月から販売が始まりました。
日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019では、爪白癬にエフィナコナゾール爪外用液を使うのはB「行うよう勧められる」としています。
推奨分類 A：行うよう強く勧める、B：行うよう勧める、C1：行ってもよい、C2：行わない方がよい、D：行うべきではない
肝機能障害などで経口抗真菌薬を内服できない、もしくは内服薬を希望しない中等症以下の爪白癬患者にクレナフィン爪外用液は有用であると考えられています。
推奨度がAでなくBなのは、経口抗真菌薬に比べると治癒率が低く、再発に関するデータもないためです。
クレナフィンの使い方
使用方法/使用回数/使用量
患部を清潔にした後、1日1回、罹患爪全体にクレナフィンを塗ります。
爪部分だけでなく、爪の左右や根本、先端皮膚との境目にも薬液をハケで速やかに塗ってください。
使用期間
長期間使っても改善しない場合は、中止も検討し、漫然と長期にわたって使用しないでください。
その他
- ハケが乾いているときは、使用前に薬液をしみこませてください。
- 爪周囲の皮膚に付着した薬剤はティッシュペーパーや綿棒などできれいに拭き取ってください。
- 本剤は抗真菌薬なので、爪の変色を改善させるものではありません。新しい爪が伸びてくるまで、治療には相応の期間間（爪が生え変わるまでの期間）が必要です。個人差がありますが、通常は一般的に約1年～1年半以上です。新しい爪に変わるまで、毎日、薬を塗り続けましょう。
- 爪白癬の罹患爪以外には使用しないでください。
- 可燃性成分が含まれているので、火の近くでは使用してください。
- 眼科用として、角膜や結膜には使用しないでください。万一、眼に入った場合は、直ちによく水で洗い流してください。
- 適用部位周辺に傷口がある場合には注意して使ってください。
- 治療中の爪には、マニキュアや爪美容液のような化粧品などを使用しないでください。
クレナフィンの副作用・注意事項等
禁忌
クレナフィンの成分にアレルギーを起こしたことがある人には、クレナフィンは使えません。
副作用
クレナフィンを使用した場合に、塗布部分に以下のような症状があらわれる場合があります。
- 皮膚炎
- 水疱
- 紅斑
- そう痒
- 異常感覚
抗真菌作用のある成分に対して一定の割合でかぶれてしまうことがあります。
このような症状があらわれた場合は、使用を中止し、医療機関を受診してください。
その他に気になる症状があらわれた場合も、同じく医師や薬剤師に相談しましょう。
費用（薬価）
クレナフィンの薬価は「1,435.50 円/g」なので、ボトル1本（3.56g）は5,110円、公的保険が適用された3割負担の場合、「1,533円」になります。
＊薬剤費のみの価格です。
薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について（令和6年4月1日適用）
保管および廃棄上の留意点
- 火気を避け、子どもの目や手の届かない所に、しっかりとキャップを閉め、室温で保管してください。
- 有効期間は3年です。使用期限を過ぎたもの、開封後12週間経過したものは使用しないでください。
クレナフィンのよくある質問
クレナフィンは何の薬ですか？
クレナフィンは爪白癬の治療薬です。
クレナフィンの完治率は？
海外第Ⅲ相試験での52週目の完全治癒率は、15.2%でした。
この臨床試験では、感染面積が20～50%の爪真菌症患者781例を対象に、本剤または基剤を感染趾爪に1日1回48週間塗布する無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施しました。
ここでの完全治癒率は、感染面積0%でKOH直接鏡検と真菌培養検査がともに陰性の真菌学的治癒の割合を指しています。
爪水虫はクレナフィンで治せますか？
クレナフィンで爪水虫を治すことは可能です。
しかし、6~12か月ほどの長い間治療が必要です。
1年間治療を継続すると、完全に治るのは20～30％程度、半分弱の方にはある程度の効果が期待できます。
クレナフィン爪外用液は1本で何日分使えますか？
両足の爪10枚に毎日使用するのであれば、4mL/本は、約1週間分です。片足のみなら、4mL/本は約2週間分です。
ただし、感染している爪の数や爪の大きさは人により違うので、これらの数値は目安です。
爪白癬は継続治療が大切なので、薬がなくなる前に早めに受診しましょう。
参考文献
