粉瘤(アテローム)とは?|できやすい人の特徴、原因・治し方・見分け方を紹介

粉瘤とは、全身どこにでも作られる可能性があるできものです。
ニキビや脂肪腫に似た形であるため、見た目で違いを見分けるのは難しいかもしれません。

もしも粉瘤と気がつかずに自己判断で別の疾患に対する治療をしてしまったりすると、症状が治らないばかりか悪化する恐れもあります。

ここでは「粉瘤とは何か」という疑問がある方のために、粉瘤の原因や見分ける方法、当院の治療方法などについて紹介します。
粉瘤について正しく知り、適切な治療を受けられるようにしましょう。

粉瘤(アテローム)の原因や症状、できやすい場所とは

粉瘤にはさまざまな特徴があります。
ここでは粉瘤の原因や症状、できやすい場所についてそれぞれ紹介します。

粉瘤の原因

一般的に「脂肪のかたまり」と呼ばれることもある粉瘤ですが、実際に脂肪でできているわけではありません。
粉瘤とは、皮膚の内側に袋状の構造物ができてしまう皮膚疾患です。

粉瘤ができる原因はよくわかっていません。
ニキビ跡などの小さな傷や、ヒトパピローマウイルスをきっかけにして、粉瘤ができると考えられています。

粉瘤の症状

通常であれば、角質や皮脂などの自然とはがれ落ちるべきものが、皮膚の内側にできた袋の中にたまっていくことでコブのようにふくらんだ形となってしまうのです。

時間が過ぎて内容物がどんどん増えていくと、ふくらみもどんどん大きくなっていきます。
また炎症によって腫れがひどくなると、膿が袋の中にたまることで独特の臭いを発するかもしれません。

粉瘤ができやすい場所

粉瘤ができやすい場所は、顔や耳、背中、おしりなどです。
しかし粉瘤はできもののため、体のどこにでもできる可能性があります。

これは首にできた粉瘤の画像です。
患部の中央には、粉瘤で特徴的な黒い点が見えています。
黒い穴から皮膚の下に向かって袋が広がっており、その中に角質や皮脂がたまっていきます。

粉瘤(アテローム)ができやすい人は?

角質や皮脂が袋の中にたまるため、なんとなく不衛生な人ができやすいイメージをもっているかのではないでしょうか。
しかし、清潔にしていても粉瘤はできてしまうのです。

なんらかの方法により、たまった角質や皮脂などの内容物を取り除いたときには、粉瘤のサイズが小さくなったことで治ったと考える人もいます。

しかし袋状の構造物が体に残っているときには、時間が経過するにつれて、再び角質や皮脂がたまってしまうため、根本的な治療とはいえないのです。

もしも袋状の構造物を摘出しても、体のどこかに繰り返し粉瘤ができてしまうというときには、その人自身の体質といえるでしょう。

粉瘤(アテローム)の見分け方

ふくらみのあるできものには、粉瘤以外にもニキビや脂肪腫などの皮膚疾患が考えられます。
ここでは粉瘤の特徴について代表的なものを紹介するため、見分け方の参考にしてください。

<粉瘤の代表的な特徴>

少しずつ大きくなる

できたばかりの粉瘤の見た目は、丸くふくらんだ形をしており直径で1~2cmです。
粉瘤は、皮膚の下にできた構造物に角質や皮脂が蓄積していくため、時間が経過するにつれて少しずつ大きくなり、10cm以上になることもあります。

はじめて見つけたときよりも、できものが大きくなってきたと感じるときには粉瘤の可能性があるといえます。

放置していても治らない

粉瘤は放置していても自然に治ることはありません。
放置することで粉瘤に角質や皮脂が蓄積していき、できものが大きくなっていきます。
さらに症状が悪化すると、炎症や膿といった症状が出るかもしれません。

基本的に痛みはないが、腫れると痛む

粉瘤は、ほとんどの場合で痛みを感じることはありません。
しかし、炎症によって患部が腫れているときには、痛いと感じることもあります。

大きく腫れることもある

粉瘤を放置していた場合、炎症により皮膚が赤く腫れることもあります。
腫れた場合には、10cm以上のサイズになることもあり、ニキビなどに比べると患部が大きくなりがちです。

内容物は悪臭がする

袋の中にたまっているドロドロとした内容物が外にもれ出てくると、強い悪臭が発生します。
粉瘤の悪臭とはどんな臭いかというと、「納豆のような臭い」、「肉や魚が腐ったような臭い」、「はき続けた靴下のような臭い」によくたとえられます。

粉瘤から臭いがする原因は「角質や皮脂などの老廃物からする臭い」の他にも「患部が炎症をして細菌が繁殖しやすくなる」ことで臭いを生じるかもしれません。

ただし内容物があまりたまっていないときなど、粉瘤でも臭くない場合もあります。

中央に黒い点が見えることもある

盛り上がったできものの中央に、特徴的な黒い点が埋まっているように見えることもあります。
開口部に詰まった皮脂が酸化して黒く見えているのです。

ただしすべての粉瘤にあらわれるわけではなく、皮脂が酸化していないときには、黒い点が見られないこともあります。

粉瘤の見分け方について、参考になるような情報を紹介しました。
粉瘤に似たできものにはさまざまな種類があるため、自分で判断するのは難しいかもしれません。

粉瘤に似た気になるできものを見つけたときには、症状が悪化する前に早めに当院までご相談ください。

粉瘤(アテローム)の治療方法

粉瘤はできもののため、薬を使った治療では対応できません。
基本的に、皮膚の下にできた袋状の構造物を摘出するための手術が必要です。
当院では、「くりぬき法」という手術方法により粉瘤の治療をしています。

粉瘤の手術|くりぬき法とは

パンチのような仕組みのトレパンという医療用の機械を使って、粉瘤ができた部分の皮膚をくりぬく治療方法です。
局所麻酔後にトレパンで患部をくりぬいた後に、そのときにできた穴の部分からピンセットを使って袋と内容物を取り出します。

メスを使った手術に比べると、数ミリの穴を開けるだけでよいため傷口を小さくできるメリットがあります。
傷口が治りやすく、体にかかる負担が少ない治療方法です。

当院では、炎症が起こっている粉瘤であっても、症状を軽減するためにできるかぎり「くりぬき法」を使って対応しています。

粉瘤(アテローム)は自分で取れる?

粉瘤を自分で潰すと、袋にたまった内容物だけは除去できるかもしれません。
しかし内容物だけを除去したとしても、皮膚の内側にできた袋状の構造物を摘出しないかぎりは再発してしまうのです。

また針などを使って粉瘤を自分で潰したり取ろうとしたりすると、患部に傷がついて細菌に感染しやすくなります。

そうなると、炎症反応によって症状が悪化する恐れもあります。
粉瘤のようなできものを見つけたときには、自分では潰さずに当院までご相談ください。

粉瘤(アテローム)の症例

「鼻先にできた粉瘤にくりぬき法で対応した症例」

【治療内容】

「鼻先の中心にできたしこりが気になる」と当院を受診された患者様です。
受診時には写真(上)のように、できものの中央には粉瘤の特徴である黒い点が見られました。

直径は1cmほどの小さな粉瘤だったため、局所麻酔後にくりぬき法で処置をしました。
1年3か月後には、写真(下)のように傷跡も目立ちにくくなりました。

【治療期間・回数】

約1年3か月・1回

【費用】

粉瘤の手術:約10,000円

【リスク・副作用】

赤み、盛り上がり、硬さなど

【担当医師コメント】

局所麻酔後にトレパンという医療用の器械を使って粉瘤の袋と中身を除去しました。
傷口を2針縫って縫合し、1週間後に抜糸しました。

今回の症例では縫合しましたが、傷口の大きさや粉瘤ができた場所によっては縫わずに治療を終了することもあります。

粉瘤に関してさらに詳しく知りたいときには、「粉瘤の治療ページ」をご覧ください。

副作用・注意事項等

禁忌

・血液をサラサラにする薬(抗凝固薬、抗血小板薬など)を使用中の方

※大きなサイズの粉瘤を除去するときには、とくに注意が必要なため事前にご相談ください。

副作用

赤み、盛り上がり、硬さなど

注意事項等

  • 手術当日は過度な飲酒、運動、入浴を控えてください。血流が増えて出血しやすくなるためです。
  • シャワーは当日から可能です。
  • 術後は一時的に、患部に盛り上がりや硬さがあらわれるかもしれません。傷口を修復するための正常な反応であり、3か月を過ぎてから少しずつ症状はおさまります。
  • 術後は一時的に、患部に赤みが見られるかもしれません。傷口を修復するための正常な反応であり、1~3か月を過ぎてから、少しずつもともとの肌の色に戻っていきます。

料金

<保険診療>

初診料約900円
再診料約400円
粉瘤の手術費用約7,000円~14,000円

※すべて税込です。
※3割負担の場合の料金です。
※都内在住で高校生までの子どもは公費負担となり実費は0円です。

粉瘤に関するご相談、治療なら池袋駅前のだ皮膚科へ

粉瘤はできものの一種であるため、袋状の構造物を摘出することが基本的な治療方法です。

ニキビなどとは異なり、塗り薬による治療は効果がないため、まずは皮膚科を受診することが大切です。

池袋駅前のだ皮膚科では、「くりぬき法」による粉瘤治療をしています。
炎症が起こって大きく腫れた粉瘤であっても、なるべくくりぬき法を使って対応しています。

ニキビのようなできものが気になる方や繰り返し粉瘤ができて悩んでいる方など、気になる症状があるときには、自分で潰そうとする前に当院までお気軽にご相談ください。

【池袋駅前のだ皮膚科院長|野田 真史監修】