肌のできものや鼻の毛穴のふくらみは脂腺増殖症?原因や見分け方、治療法について紹介

「額のできものは何?どうしてできるの?」「鼻などにできているこのニキビみたいなふくらみって治せるの?」

とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

もしかすると、その肌のできものやふくらみは、脂腺増殖症かもしれません。脂腺増殖症が自然に治ることは難しく、放置していると少しずつ大きくなることもあるため、改善させるためには外科的治療や内服でのアプローチが必要となります。

この記事では、脂腺増殖症の特徴や原因、脂腺増殖症に似た疾患との見分け方、当院の治療方法などについて紹介します。

脂腺増殖症とは?

脂腺増殖症は黄〜白色に見える直径1〜5mm程度の良性の肌のできものです。1つだけのこともあれば、さまざまな部位に多発することもあります。

毛穴の中にある皮脂を分泌する皮脂腺が、大きくなったり増殖したりして、皮膚が盛り上がることにより症状があらわれます。

好発部位は額、頬、鼻などの皮脂が多い部分にできやすく、かゆみや痛みなどの自覚症状はありません。加齢とともに出現しやすいと考えられており、30~40代ごろから現れ始めることが多いです。

男性ホルモンとの関係性も考えられており、男性に多く発生する傾向があります。

脂腺増殖症の原因は?

皮脂腺は毛を取り囲む毛包に付属していて、毛包内に皮脂を分泌します。分泌された皮脂は、毛穴を通じて皮膚の表面へと拡散していきます。

この皮脂腺が過剰に増殖したり、皮脂の産生が異常に増加すると、皮脂腺が肥大化します。そして皮膚表面が盛り上がったのが脂腺増殖症です。

脂腺増殖症の要因して、

  • 脂性肌
  • 加齢による細胞のターンオーバーの乱れ
  • 紫外線による皮脂腺への刺激
  • ホルモンの変化
  • シクロスポリン療法などの薬剤の影響

などが考えられています。

脂腺増殖症と他の疾患の見分け方は?

脂腺増殖症に似た皮膚疾患として、以下のようなものがあります。見た目の違いや特徴を紹介します。

色素性母斑

色素性母斑はほくろとも呼ばれ、メラニン色素を生成する母斑細胞が増殖することによって発生します。褐色~黒褐色の、境界線がはっきりした円形のものが多いです。大きさは1mm~数cmになることもあり、平らなものから盛り上がったものまで形は様々です。

ほとんどのほくろは良性ですが、まれに皮膚がんである「悪性黒色腫」や「基底細胞癌」の可能性があり、見た目の区別が難しいことがあります。

そのため一度しっかりと診察を受けてから、外科的な処置で治療、必要時には病理検査による診断をつけることが安心につながります。

脂漏性角化症

脂漏性角化症は老人性ゆうぜいとも呼ばれ、褐色~黒褐色をした直径1mm~2cmの大きさのできものです。表皮や毛包の角化細胞が増殖することで発生します。

平らなものから盛り上がったものまで様々な形をしています。ザラザラした平坦なできものが、次第に盛り上がっていくのが特徴です。大型の場合はかゆみが出たり、引っかかって出血することもあります。

40代から年齢とともに増加し、80代以降はほぼすべての方に見られます。シミに混じることが多く、最初はシミだったものが盛り上がって脂漏性角化症になることもあります。大きさや盛り上がり具合によって外科的な処置、またはピコレーザーで治療します。

汗管腫(かんかんしゅ)

汗管腫は目の周りや額にできやすい直径2~3mmの白~褐色のブツブツです。汗管という汗を分泌する細胞が増殖することで、皮膚が盛り上がります。数個から数十個まとまってできるのが特徴です。

飲み薬や塗り薬で治ることはなく、治療を希望する場合は外科的な処置が必要です。

稗粒腫(はいりゅうしゅ、ひりゅうしゅ)

稗粒腫は目の周りから頬などにかけてできる直径1〜2mmの白色のぷつぷつです。

毛穴の内側に角質がたまることで症状が現れると考えられています。どの年代にも起こり、かゆみや痛みといった自覚症状はありません。

内部にたまった角質が自然に排出されてと症状は治まることもありますが、数ヶ月から年単位で残ることもあります。治療を希望する場合は、医療用の針を患部に刺し、ぶつぶつの原因になっている角質を小さな袋ごと除去する処置をおこないます。

粉瘤

粉瘤はアテロームとも呼ばれ、1mm~10cm以上の盛り上がりにもなるできものです。本来であれば剥がれ落ちるはずの角質や皮脂が皮膚の内側に袋状に溜まる良性腫瘍です。自覚症状はほとんどありませんが、まれに炎症を伴う発赤や腫脹、圧痛を伴うことがあります。

粉瘤の中央には黒点状の開口部があり、強く圧迫すると粘度と臭いのある分泌物が出てくることがあります。袋の中に溜まった角質や皮脂は自然に排出されず、少しずつ大きくなる場合が多いため、なるべく小さいうちに外科的な処置で袋を取ることをおすすめします。

池袋駅前のだ皮膚科での脂腺増殖症の治療方法

ラジオ波メス

ラジオ波を照射するメスを利用して、脂腺増殖症を切除する方法です。

当院では「サージトロン」と呼ばれる医療機器を使用しており、焼却・切除と止血が同時にできるため、通常のメスと比べて傷口が小さく、治りも早いとされています。

このラジオ波メスで肌のぶつぶつを焼却・切除した後、さらに皮膚に残った皮脂腺を除去する処置をします。脂腺増殖症の原因である皮脂腺を除去することによって、再発のリスクを減らすことができます。

ラジオ波メスを使った治療について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

イソトレチノイン内服

イソトレチノインは、皮脂腺を縮小させる働きがあり、皮脂の過剰分泌を抑える作用があります。

個数が少ない場合は、ラジオ波メスでの除去を推奨しています。しかし20個以上など数が多い場合や、くりかえし新たに出現してしまう場合は、外科的処置が難しくなります。

このようなケースの時はイソトレチノインの内服により、脂腺増殖症を縮小または消失させることが期待できます。ただし内服をやめた後に再発することもあるため、継続的な経過観察が必要です。

イソトレチノインについて知りたい方は、こちらもご覧ください。

池袋駅前のだ皮膚科での症例紹介

ラジオ波メスでアプローチした症例

治療内容「ひたいにできた黄色いできものが炭酸ガスレーザーでもアグネスという高周波装置でも除去できず再発した」とお悩みで当院を受診した40代女性の患者様。ラジオ波メスを使って除去しました。
治療期間・回数1回、除去から4カ月後の写真
費用11,000円(税込)
リスク・副作用術後の赤み、凹み、隆起、瘢痕形成、創部感染
担当医師コメント脂腺増殖症は顔にできる良性の黄色いできもので、表面を除去しただけでは再発してしまいます。
かと言って深くとりすぎると傷跡になってしまうので、当院では高周波メスで上側を除去した後に内部にある皮脂を除去する独自に開発した方法で除去しています。
こうすることで、傷跡を少なく、かつ除去後の再発率を下げられます。

イソトレチノインでアプローチした症例

治療内容イソトレチノイン20mg/日を6カ月
治療期間・回数6カ月のイソトレチノイン内服
費用イソトレチノイン20mg/日 30日分を6カ月分 16,500円 x 6
トータル 99,000円(税込)
リスク・副作用催奇形性、乾燥、肝機能異常、脂質異常、筋肉痛、関節痛、脱毛
院長コメントこの患者様では過去にオペで除去もしたのですが、脂腺増殖症が20個以上顔に多発していて定期的に増えていく状態でしたので、説明の上イソトレチノインを選択しました。

ただし、高周波メスで除去した場合と違って内服が終わったら再発する可能性もあるので、ここはまだ経過をみる必要があります。

治療にかかる費用

<手術>

2mm未満 2つ11,000円(税込)
2mm以上 1つ11,000円(税込)

※治療が複数の場合は、大きさの合算で料金計算します

<イソトレチノイン>

イソトレチノイン(イソトロイン、20mg/日)30日分16,500円(税込)

よくある質問

脂腺増殖症は再発する?

<ラジオ波メスでの治療の場合>
原因となっている皮脂腺を完全に除去しなければ、再発リスクが高くなります。ラジオ波メスで患部を焼却・切除後、皮膚に残った皮脂腺を除去して再発リスクを低くします。

傷跡のリスクを考えて境界ぎりぎりで除去するのが一般的ですので、1-2割の再発率はどうしても残ります。それでも傷跡のリスクを考えて大きくは除去しないのが通常です。再発した場合は再度施術することで対応できます。

<イソトレチノインでの治療の場合>

内服が終わったら再発する可能性もあるため、内服終了後の経過を観察します。

脂腺増殖症は自分で治せる?

脂腺増殖症はセルフケアで治すことが大変難しいので、気になる方は皮膚科専門医にご相談ください。

脂腺増殖症かなと思ったら池袋駅前のだ皮膚科へ相談を

脂腺増殖症はラジオ波メスによる手術やイソトレチノインの内服で治療できる疾患です。

どちらの治療が向いているのか、当院の皮膚科専門医が一人ひとりの症状やお悩みに合わせた治療を提案いたします。

この記事を読んで「脂腺増殖症かもしれない」と思われたら、当院までお気軽にご相談ください。

池袋駅前のだ皮膚科院長| 野田 真史 監修

副作用・注意点

■禁忌

<ラジオ波メス>

・妊娠中の方には推奨していません

<イソトレチノイン>

  • 妊娠中、妊娠希望のある方、授乳中の方(※服用期間中と服用後1カ月は妊娠できません。妊娠した場合はすぐに医師にご相談ください。)
  • 12歳未満の方

■副作用

ラジオ波メス>

麻酔のよるアレルギー症状、術後の赤み、凹み、隆起、瘢痕形成、創部感染

<イソトレチノイン>

肝機能障害、脂質異常症、脱毛、関節痛、頭痛、口腔や口唇・皮膚の乾燥

■注意点

<ラジオ波メス>

不整脈がある方、人工内耳を使っている方、金属の埋め込みがある方は医師と十分な相談が必要です

<イソトレチノイン>

  • 献血は男女ともに服用中、最後の服用から半年間はお控えください。
  • 紫外線の影響を受けやすいため、紫外線対策を十分に行ってください。
  • 以下に該当する方はご相談ください。
  •  ステロイド薬を内服している方
  •  うつ病などの精神疾患を抱えている方
  •  テトラサイクリン系の抗生剤などを服用中の方
  •  イソトレチノイン製剤、トレチノイン製剤でアレルギーの既往歴がある方
  •  肝機能障害のある方
  •  ビタミンA過剰症の方

未承認医薬品等の表示

■イソトレチノインについて

・イソトレチノインについて
未承認医薬品等(異なる目的での使用)
イソトレチノインは、医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。

・入手経路等
インドのCipla社から個人輸入しています。
個人輸入された医薬品等の使用リスクに関する情報はこちらのページをご確認ください。
イソトレチノインの個人輸入についての厚生労働省の注意喚起はこちらのページをご確認ください。

・国内の承認医薬品の有無
国内で同程度の効能・効果で承認されている国内承認医薬品薬剤はありません。

・諸外国における安全性などに係る情報
米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。胎児の催奇形性、鬱、精神病などの精神疾患の副作用も報告されています。

・医薬品副作用被害救済制度について
万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。