ニキビダニ(顔ダニ)の症状とは?どんな治療方法がある?

ニキビダニを知っていますか?ニキビダニは人間の皮膚にいる常在菌で、通常は余分な皮脂を食べ、健やかな肌を保つサポートをしています。

ところが、なんらかの影響でニキビダニが過剰になると、さまざまな肌トラブルを引き起こすことがあります。

今回は、ニキビダニ感染による主な症状や感染の原因、治療法やニキビダニ感染の予防法などをご紹介します。

ニキビダニ(顔ダニ)とは?

ニキビダニは、「毛包虫」「顔ダニ」などと呼ばれています。主に皮脂をエサとし、顔や首などの皮脂腺、マイボーム腺に住みついています。

1600種いるダニのうち、人間には、D. folliculorum(ニキビダニ)と D. brevis(コニキビダニ)の2種類のニキビダニが生息しています。

ニキビダニがいることは異常ではありません。なんらかの原因で、皮膚の微生物のバランスが崩れ大量に発生した場合、酒さ、脂漏性皮膚炎、マイボーム線機能不全、眼瞼炎などの肌トラブルに見舞われることがあります。1)

体長0.15~0.5mmの2種類のニキビダニは顔のさまざまな部分の毛包に存在します。また乳児や5歳未満の子どもは皮脂分泌が少ないため、ほとんどニキビダニがいません。

ニキビダニは加齢とともに発生率が高くなり、60歳では人口の64%、70歳以上では100%の人に発見されます。大量に増えると、皮膚や眼にさまざまな症状を引き起こすことがあります。

ニキビダニは酒さの患者さまに多く、尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)や脂漏性(しろうせい)皮膚炎の患者さまにも感染率が高いといわれています。

ニキビダニの主な症状

通常、ニキビダニは細菌や真菌などを食べ、肌を健やかに保つサポートをしています。しかしなんらかの原因によりニキビダニが過剰になると、ニキビや酒さ、赤ら顔、眼瞼炎などを引き起こすことがあります。

初期症状

顔がほてったように赤く腫れ、「酒さ」と呼ばれることがあります。皮膚の炎症反応により、毛細血管拡張が起こり、頬などが赤くなります。

進行したときの症状

肌にかゆみやヒリヒリ感を覚えることがあります。またニキビのような赤いブツブツが生じることもあります。熱感、炎症、かゆみなどを生じることがあります。

他の肌トラブルとの違い

ニキビダニの感染は「ニキビダニ」の増殖が原因ですが、ニキビは「アクネ菌」が原因と考えられています。またニキビは軽度であれば市販薬でも改善できますが、ニキビダニは病院処方の外用薬やレーザー治療などが効果的です。

また黄色く膿をもったぼつぼつが出現し、医療機関で処方されたニキビ治療薬を数か月間使用しても効果がみられない場合はニキビダニ感染を疑いましょう。

ニキビダニの過剰な増殖の原因とは?

ニキビダニの過剰な増殖は、皮脂が多い人、濃いメイクやメイクの落とし残しがあるなど、肌が不衛生な状態にある方がかかりやすいと考えられます。また、ステロイドやプロトピックなど免疫応答を抑える薬を長期塗り続けることでも増える場合があります。

通常は誰の肌にもいるニキビダニですが、肌の皮脂バランスが崩れることにより、肌の状態が悪化し、ニキビダニの繁殖につながるといわれています。

ニキビダニの治療方法

外用薬

イベルメクチンクリーム

ニキビダニを直接減少させ、炎症を抑制する薬剤です。酒さのポツポツに効果的と考えられています。

メトロニダゾールゲル(ロゼックスゲル

メトロニダゾールは活性酸素や免疫反応を抑え、皮膚の炎症を静めます。ニキビダニを殺菌し、酒さの症状を改善します。世界80ヵ国以上で使用され、日本では2022年より保険適用となっています。

アゼライン酸

アゼライン酸は30年ほど前から世界80ヵ国で使用されているニキビ治療薬です。皮脂分泌を抑えて角化異常を抑制し、毛穴の状態を整えます。また、酒さや赤いブツブツを改善します。

当院では、オリジナルのスキンケア製品である「ベーシックケアAZ」を販売しています。

内服薬

内服薬として、ビブラマイシンやイソトレチノインなどがあります。ビブラマイシンは炎症を抑え、ポツポツを減らす抗生剤です。

イソトレチノイン

イソトレチノインは海外では保険適用で、重症ニキビ治療薬として知られています。毛穴の炎症を防ぎ、角化異常を改善し、毛穴の開きを改善します。酒さのポツポツの改善に効果的です。

当院では、ビブラマイシンと塗り薬を併用してもあまり効果が期待できない場合に、イソトレチノインを推奨しています。皮膚の環境を変化させることで、ニキビダニの増殖を抑制できるとされています。

物理的な治療

Vビーム

Vビームは、患部にレーザーを照射し、毛細血管拡張症や単純性血管腫、乳児血管腫などの治療に使われる医療機器です。毛細血管拡張症、赤ら顔、赤あざ、傷跡、老人性血管腫、ニキビ跡の赤みなどに効果が期待できます。赤ら顔や鼻の赤みに対しては、2~4週間の間隔をあけ、5~10回の施術を推奨しています。

IPL治療(※当院では取り扱っておりません)

複数の波長の光を肌に照射し、メラニンやヘモグロビンを破壊することによってシミやそばかす、肌のハリ、顔の赤みなどを改善します。フォトシルク、BBLなどさまざまな種類の機械があります。

IPLがニキビダニの治療に影響を与えるメカニズムはわかっていませんが、ニキビダニがIPLによって発生する熱エネルギーに反応し、ニキビダニの死滅に必要な温度まで温度が上昇する可能性が示唆されています1)

ニキビダニの感染を防ぐ方法

感染を防ぐ方法として、主に以下のような方法があります。

バランスの取れた食生活

ニキビダニの主なエサは人間の皮脂です。脂質が多いファーストフードや揚げ物などの摂りすぎは、過剰な皮脂分泌を招きます。栄養バランスの取れた食生活を心がけ、肌を健やかに保ちましょう。

丁寧なスキンケア

メイク汚れが残った状態でいると肌が不衛生な状態となり、ニキビダニが繁殖する原因となります。肌に刺激を与えないようにやさしく洗顔し、清潔な状態を保ちましょう。

規則正しい生活

ホルモンバランスの乱れは肌のバリア機能を低下させ、敏感肌や乾燥肌になりやすいと考えられています。適度な運動や十分な睡眠時間の確保はホルモンバランスを整えることにつながるため、日頃から規則正しい生活を心がけましょう。

よくある質問

Q. ニキビダニは完全に駆除できますか?

A. 薬剤でニキビダニの数を減らすことはできますが、完全になくすことは難しいです。

ニキビダニは皮膚に常在しているため、肌に住みついていても問題はありません。通常、ニキビダニがいても害はないため、症状がない場合には薬剤の使用は必要ないでしょう。

Q. 自分の顔にニキビダニがいるか診察してもらえますか?

A. 患者さまの皮膚の状態を観察し、必要に応じて検査可能です。ニキビダニが肌にいることは正常なため、症状が出ていない場合は検査の必要はありません。

赤いブツブツがある、肌にかゆみがあるなど、気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。

Q. 顔の赤いブツブツは、ニキビダニが原因ですか?

A. 赤いブツブツの原因がニキビダニである可能性はありますが、必ずしもニキビダニが原因とは限りません。さまざまな原因を調べたうえで、ニキビダニが影響している可能性はあります。

赤いブツブツや皮むけ、膿疱などの症状があって、ニキビダニの関与が疑われる場合にイベルメクチンクリームなどのニキビダニ治療を併用することが大切です。

料金

■Vビーム

保険診療の場合

保険診療の場合約6,500円~32,000円

以下の施術は、公的医療保険が適用されない自由診療(自費)です。

全顔33,000円(税込)
22,000円(税込)
頬から下22,000円(税込)
11,000円(税込)
老人性血管腫 5か所まで11,000円(税込)
傷跡やケロイド 1か所11,000円(税込)
静脈湖 1か所16,500円(税込)
イベルメクチンクリーム(30g)4,400円
AZAクリア(アゼライン酸)1,980円
イソトレチノイン(イソトロイン、20mg/日)30日分16,500円
ベーシックケアAZ
ベーシックケアAZ 乳液 60g4,400円(税込)
ベーシックケアAZ クリアローション 125ml4,400円(税込)

ニキビダニの症状でお悩みの方は、池袋駅前のだ皮膚科へ

ニキビダニは人間の肌に生息している常在菌で、通常は悪さをしません。しかし過剰に増加した場合、肌の赤みやブツブツ、かゆみなどを引き起こすことがあります。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

池袋駅前のだ皮膚科院長|野田 真史監修

副作用・注意点

Vビーム

  • 副作用:赤み、むくみ、内出血、水疱、色素沈着、色素脱失など
  • 洗顔やメイクは当日から可能です。
  • 施術当日の飲酒、激しい運動はお控えください。
  • 過度な日焼けにより、色素沈着を起こす可能性があります。十分な紫外線対策をしましょう。

ビブラマイシン

  • 副作用:食欲不振、吐き気、下痢、発疹など
  • ビブラマイシンは炎症を抑える目的で使用します。
  • 短期間での効果は期待できないため、2週間以上は服用を続けてください。
  • ビブラマイシンと他の薬剤を併用する場合は、必ず事前にご相談ください。

メトロニダゾールゲル

  • 副作用:赤み、かゆみ、乾燥肌など

イベルメクチンクリーム

  • 副作用:赤み、かゆみ、湿疹、腫れなど
  • 効果が期待できるまでの目安は2週間です。自己判断で使用を中止しないでください。
  • また以下に該当する方は、施術を受けられない可能性があります。
  • 妊娠中、または授乳中の方
  • 自己免疫疾患のある方
  • 光線過敏症の方
  • 重度の傷や炎症がある方
  • 重度の糖尿病の方
  • ケロイド体質の方
  • 日焼けする予定がある、または過度に日焼けしている方
  • てんかんのある方
  • 金の糸治療を受けた方

イソトレチノイン

  • 副作用:肌や粘膜の乾燥、筋肉痛、関節痛、肝機能障害、頭痛、うつ病 など
  • 以下に該当する方は、イソトレチノインの処方ができません。必ず事前にご相談ください。
  • 妊娠中、妊娠希望のある方、授乳中の方
  • (※服用期間中と服用後1か月は妊娠できません。妊娠した場合はすぐに医師にご相談ください。)
  • 12歳未満の方
  • 強い肝機能障害のある方
  • ビタミンA過剰症の方
  • 過去にイソトレチノインでアレルギー症状を起こした方

<Vビームについて>

・未承認医薬品等(異なる目的での使用)
Vビーム2は医薬品医療機器等法において、その他の目皮膚良性血管病変治療について承認されていますが、その他の目的の使用については国内で承認されていません。

・入手経路等
国内の医薬品卸業者より国内の承認機器を仕入れています。個人輸入された医薬品等の使用によるリスクに関する情報はこちらをご確認ください。

・国内の承認医薬品の有無
国内で同程度の効能・効果で承認されている承認医薬品等はありません。

・諸外国における安全性などに係る情報
米国FDAにて承認されています。

・医薬品副作用被害救済制度について
万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

<イベルメクチンについて>

・未承認医薬品等
イベルメクチンは、医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。

・入手経路等
当院では医師の判断の下、個人輸入で購入しています。医学的知見のない個人輸入は禁止されています。個人輸入された医薬品等の使用によるリスクに関する情報はこちらをご確認ください。

・国内の承認医薬品の有無
酒さの治療薬としてメトロニダゾール(ロゼックスゲル)が国内承認されています。

・諸外国における安全性などに係る情報
イベルメクチンは、米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。

・医薬品副作用被害救済制度について
万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

<イソトレチノインについて>

・未承認医薬品等
イソトレチノインは、医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。

・入手経路等
インドのCipla社から個人輸入しています。

・国内の承認医薬品の有無
国内で同程度の効能・効果で承認されている国内承認医薬品薬剤はありません。個人輸入された医薬品等の使用によるリスクに関する情報はこちらをご確認ください。

・諸外国における安全性などに係る情報
米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。胎児の催奇形性、鬱、精神病などの精神疾患の副作用も報告されています。

・医薬品副作用被害救済制度について
万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

【参考】

(1)Flavia Giorgiana Chioveanu,et al.Beyond the Surface: Understanding Demodex and Its Link to Blepharitis and Facial Dermatoses.Clin Ophthalmol.2024.18. 1801–1810.