ルコナックとは?
ルコナックは、爪に塗布する、爪白癬治療薬です。
有効成分のルリコナゾールは、真菌の細胞膜構成成分エルゴステロールの合成を阻害して、抗真菌作用を示します。
経口抗真菌剤を使った爪白癬治療では、副作用や薬物相互作用に注意を払う必要があり、特に高齢者や合併症を持っている場合は、治療が制限されがちでした。
そのため、以前より、優れた抗真菌活性を持ち爪に高濃度で浸透する外用爪白癬治療薬の開発が望まれていました。
ルコナックは、すでに皮膚真菌症治療剤として製造販売されていたルリコナゾールを爪白癬治療剤として製剤化し、高濃度で配合したものです。
2016年に販売開始、その後、現在のマーカー型容器へ変更され、より使いやすくなりました。
日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019では、爪白癬にルリコナゾール爪外用液を使うのはB「行うよう勧められる」としています。
推奨分類 A:行うよう強く勧める、B:行うよう勧める、C1:行ってもよい、C2:行わない方がよい、D:行うべきではない
経口抗真菌薬と比べて、完全治癒率は低いけれども、肝機能障害などで内服できない、もしくは内服薬を希望しない中等症以下の爪白癬患者にルリコナゾール爪外用液5%は有用であると考えられています。
ルコナックの使い方
使用方法/使用回数/使用量
患部を清潔にしてから、1日1回、爪全体にルコナックを塗ります。
爪白癬の原因菌は爪甲と爪甲下にいるので、爪と指の間にも薬液が行きわたるように塗りましょう。
マーカーで爪にラインを引くようなイメージです。
薬を塗る爪は必要に応じて、やすりや爪切りなどで手入れをしてください。
使用期間
長期間使用しても改善しない場合は、使用中止も検討し、漫然と長期にわたって使用しないでください。
その他
- 先端のフェルトの部分は、強く押し込まないでください。
- 爪周囲の皮膚に付着した薬剤はきれいに拭き取ってください。
- 本剤は抗真菌薬なので、変色した爪を回復させるものではありません。
新しい爪が伸びてくるまで(爪が生えかわるまで)、治療には相応の期間が必要です。個人差がありますが、通常は半年以上です。新しい爪に生え変わるまで、毎日、お薬を塗り続けましょう。 - 医師から指示のあった爪のみに塗布し、家族を含めて、他の人と共有しないでください。
- 可燃性成分を含むので、火の近くでは使用してください。
- 眼には使わないでください。万一、眼に入った場合は、直ちに水で洗い流してください。
- 患部に傷口がある場合には注意して使用してください。
- 治療中の爪にはマニキュアのような化粧品などを使用しないでください。
- 衣類に付くと着色する場合があるので、気をつけてください。
- 合成樹脂を軟化させたり、塗料の塗布面を変色させたりすることがあります。
気をつけましょう。
ルコナックの副作用・注意事項等
禁忌
ルコナックの成分にアレルギーを起こしたことがある人には、ルコナックは使えません。
副作用
ルコナックの成分に対するかぶれが原因の赤み、かゆみが最も多い副作用です。
ほかにルコナックを塗った爪や爪の周囲では、以下のような症状があらわれる場合があります。
- 皮膚炎の乾燥
- 湿疹
- 刺激感(ピリピリ感)
このような症状があらわれた場合は、すぐに使うのをやめて、医療機関を受診してください。
その他に気になる症状があらわれた場合も、医師や薬剤師に相談してください。
費用(薬価)
ルコナックの薬価は「764.00 円/g」なので、ボトル1本(3.5g)は2,674円、公的保険が適用された3割負担の場合、「802円」になります。
*薬剤費のみの価格です。
薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和6年2月1日適用)
保管および廃棄上の留意点
- 火気を避け、子どもの目や手の届かない所に室温で保管しましょう。
- 有効期間は3年です。使用期限を過ぎたものは使用しないでください。
ルコナックのよくある質問
ルコナックの効き目は?
ルコナックは爪白癬に対して、作用します。
爪水虫はルコナックで完治しますか?
爪水虫は、ルコナックで完治する可能性がありますが、治癒率は3割程度と言われています。
内服薬の抗真菌剤の方が治癒率は高くなります。
ルコナック爪外用液は1本で何日分使えますか?
人により、治療する爪の枚数が異なります。
そのため使用量も違うので、一概に言えませんが、2~8週間くらいです。
ルコナックの完治率は?
塗布開始48週時の治癒率は、14.9%です。
これは、国内第Ⅲ相試験日本人爪白癬患者(爪甲混濁部面積が20~50%)293例の48週間投与時の有効性及び安全性を検討することを目的とした無作為化二重盲検並行群間比較試験の結果です。
この場合の治癒率とは、最終判定時点において、爪甲混濁部が完全に消失(臨床的治癒)し、かつ直接鏡検にて白癬菌が陰性(真菌学的治癒)であった割合です。
18カ月の時点での臨床的有効率は、73.1%でした。
製造販売会社の使用成績調査によれば、投与開始後2カ月、6カ月、12カ月、18カ月の時点での臨床的有効率は、それぞれ12.4%(104/841例)、42.5%(268/631例)、62.7%(190/303例)、73.1%(76/104例)、有効性解析対象1,131例の最終観察時点における臨床的有効率は48.2%と報告されています。
この場合の臨床的有効とは、評価時点で爪甲混濁部面積減少率50%以上が確認された状態のことと定義されました。
したがって、さらに継続することで、完治率も上がると考えられます。
参考文献