コレクチムとは?
<鳥居薬品ホームページより引用>
コレクチムは「JAK阻害薬」と呼ばれる塗り薬で、ステロイド外用薬や免疫抑制外用とは異なる作用を持っています。
免疫機能が正常な場合は、異物が侵入すると免疫細胞から適切な量のサイトカインが分泌されます。
しかし、アトピー性皮膚炎では過剰な量のサイトカインが分泌されてしまうのです。
この原因の一つに「JAK/STAT経路」の関与が知られており、コレクチムがJAKの働きを抑えます。
コレクチム軟膏を塗ることで、サイトカインが正常な量に調整され、皮膚が正常な状態へ近づき、アトピー性皮膚炎患者の炎症の抑制やかゆみの改善などが期待できます。
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021では、「2歳以上のアトピー性皮膚炎患者の症状改善を目的としてデルゴシチニブ軟膏はすすめられる」(推奨度:1、エビデンスレベル:A:治療を勧められる)としています。
6 ヵ月以上 2 歳未満の日本人アトピー性皮膚炎患者を対象とした国内臨床試験で、本剤の有効性と安全性が確認されたために、2023 年 1 月に本剤の適応が拡大され、添付文書が改訂されました。
コレクチムの使い方
使用方法/使用回数
大人は、通常、0.5%製剤を1日2回、患部に適量を塗ります。
1回あたりの塗布量は、5gまでです。子どもは、通常、0.25%製剤を1日2回、適量を患部に塗布します。
症状に応じて、0.5%製剤を1日2回塗布することもあります。
1回あたりの塗布量の上限は5gまでですが、体格を考慮しなければなりません。
使用量
使用量の目安は、大人の手のひら2枚分で1FTU、片腕の場合は4FTUです。
1FTU(finger tip unit)とは、チューブで絞りだした、人差し指第一関節分の量のことで、約0.5gです。
4FTUは人差し指の先端から第二関節までで、約2gになります。
1回に塗れる量の上限は、5gもしくは全身の30%までです。
コレクチム軟膏を指でちょんちょんと小分けにして体につけ、手のひらで伸ばすように広げます。
すり込んだり、うすく塗ると、患部に十分届きません。
たっぷり塗ると患部にも届き、軟膏が皮膚を守る役割も果たします。
ティッシュが皮膚につく、または少しテカりが残る程度に塗るのがコツです。
塗り終わったらしっかり手を洗いましょう。
使用期間
0.5%製剤で治療開始4週間以内に症状が改善しない場合は、使用を中止し、医師に相談してください。
その他
- 症状が改善した場合、医師が継続投与の必要性について検討します。
漫然と長期間、使用しないでください。 - 粘膜や潰瘍、局面を形成しているびらんなどには使わないようにしましょう。
これらの部位に付いた場合は水で洗い流し、重症の場合は、医師の診療を受けてください。 - 長期連続使用すると、ニキビを引き起こすことがあります。
使用が長期になる場合は、週2回の使用にするなど、頻度を落としてください。
コレクチムの副作用・注意事項等
禁忌
コレクチムの成分にアレルギーを起こしたことがある方は使用できません。
副作用
コレクチムには以下のような副作用が出る場合があります。
- 毛包炎(赤い発疹など)
- 紅斑(赤くなる)
- ざ瘡(ニキビ症状)
- 刺激感(ヒリヒリ感など)
しかし、2週間程度経過すると、ヒリヒリを感じなくなってきます。
上記以外にも、カポジ水痘様発疹、単純へルペスなどの副作用が出る場合があります。
気になるような症状がある場合は、医師もしくは薬剤師にご相談ください。
注意事項
治癒した場合は使用を中止します。
授乳中の方が使用する場合は、授乳を控えましょう。
動物実験(ラット、経口投与)で乳汁中に移行することが報告されています。
費用(薬価)
コレクチム軟膏0.5%・0.25%の薬価は「144.90円/g」「139.30 0円/g」です。
コレクチム軟膏0.5%には5gと10g規格が、0.25%には 5g規格があり、薬が処方された場合のお薬代は以下の通りです。
コレクチム軟膏0.5% | コレクチム軟膏0.25% | |
5g規格(公的保険適用で3割負担の場合) | 724円(217円) | 696円(208円) |
10g規格(公的保険適用で3割負担の場合) | 1,449円(434円) | なし |
コレクチム軟膏には、まだ後発医薬品がありません。
*薬剤費のみの価格です。
薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和6年2月1日適用)
保管および取り扱い上の留意点
- 小さい子どもの手の届かない所へ、密栓したまま保管してください。
- 他の容器への入れ替えは変質や誤用などの恐れがあるので、止めましょう。
- 有効期間は36ヵ月です。使用期限を過ぎたものは使用しないでください。
コレクチムのよくある質問
コレクチム軟膏は何に効きますか?
コレクチム軟膏は、アトピー性皮膚炎の炎症やかゆみを起こす物質の流れをブロックするお薬です。
コレクチムを塗っていけない場所は?
粘膜や潰瘍、はっきりと局面になっているびらんなどへは塗らないでください。
コレクチムのデメリットは?
ごくまれに、ニキビやヘルペスなどの皮膚表面の感染症を起こす場合があります。
これは、コレクチムが免疫細胞の働きを抑制するための副作用です。
また、外用薬なので、過敏症を起こす場合もあります。
長期連続使用すると、ニキビを引き起こすことがあります。
使用が長期になる場合は、週2回の使用にするなど、頻度を落としてください。
コレクチムとステロイドの違いは何ですか?
コレクチムはステロイドと作用機序(作用のしかた)が違います。
そのため、「皮膚を薄くする」「血管を拡張させる」といった、「ステロイド外用剤の副作用」が起こりません。
目や口の周りといった顔では、特にステロイドと組み合わせると、上手にアトピー性皮膚炎を抑えることができると言われています。
コレクチムは強い薬ですか?
コレクチムには、ステロイド外用剤のような強さのランクはありません。
顔と身体の両方に使えて、強い刺激感などもないので、ステロイド外用剤で皮膚症状が改善した後に、導入しやすい薬剤です。
参考文献
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021
添付文書|コレクチム軟膏
インタビューフォーム|コレクチム
コレクチム軟膏をお使いになる方へ