イソトレチノインは、ニキビ・酒さ(赤ら顔)などの治療薬です。
イソトレチノインにはさまざまな働きがあり、幅広い肌悩みに効果が期待できます。
ここではイソトレチノインで対応できる肌悩みと効果を実感するタイミング、服用中や服用後の注意点などについて紹介します。
イソトレチノインとは
イソトレチノインは、ビタミンA誘導体の経口薬です。
米国などの世界各国で30年以上前から、ニキビ・酒さなどを治療する目的で使われています。
世界の多くの国では保険適用内で治療が受けられますが、日本では保険適用外の薬です。
対応できる肌悩み
イソトレチノインには、さまざまな働きがあるため幅広い肌悩みに効果が期待できます。
ニキビ
イソトレチノインは、皮脂の過剰な分泌を抑える作用や毛穴の異常を是正する作用によって、ニキビの原因にアプローチします。
イソトレチノインは主に「他の治療をしてもなかなか治らないニキビ」、「広範囲に症状があらわれているニキビ」、「ボコボコとしたニキビ」などの重症ニキビに使われます。
また軽症であっても繰り返しニキビができるときにも向いています。
アメリカのガイドラインでは、重症のニキビには第一選択の薬、中等症のニキビにも外用や抗生剤内服で効果不十分の場合に使う薬とされています。
ニキビ跡
イソトレチノインは、直接ニキビ跡を治療することはできません。
しかし重症ニキビを早期に治療することでニキビ跡を作られにくくする効果が期待できます。
過剰な皮脂分泌の原因となっている皮脂腺を退縮させて皮脂の分泌量を減らすことにより、毛穴を小さくする効果が期待できます。
また皮膚細胞を正常化させて毛穴の詰まりや黒ずみを防ぎ、健康的な素肌へと導きます。
酒さ(赤ら顔)
イベルメクチン、アゼライン酸やメトロニダゾールといった酒さの治療薬で効果を実感できないときには、イソトレチノインによる治療を試してみるべきかもしれません。
とくにボツボツがある酒さは、イソトレチノインにより毛穴の炎症がおさまり、皮脂分泌抑制作用によって同時に赤みも改善する場合があります。
ただし、赤みに関してはイソトレチノイン特有の副作用で1割ほどの方で逆に内服中のみ一過性の赤みがでることがあります。
毛穴の開きや黒ずみ
毛穴の開きにはさまざまな原因が考えられます。
とくに皮脂の過剰な分泌によって毛穴が開いているときには、イソトレチノインの皮脂腺を退縮させる働きにより、皮脂の過剰な分泌を抑える働きが期待できます。
また、毛穴の以上を改善させることで、角栓による毛穴の黒ずみが改善する場合があります。
<毛穴治療の症例>
長年鼻の黒ずみでお悩みだった患者様です。なるべく早く確実に良くなる組み合わせをご希望だったので、2つの治療を組み合わせたところ5ヶ月後には毛穴の黒ずみがほぼ消失しました。
※写真は同じ人物です。症状がわかりやすいように拡大写真を掲載しています。
▽治療の内容
治療期間・回数
・CLRローション併用のダーマペンを毎月で4回 → 角栓を溶かして黒ずみを外に排出
・イソトレチノイン20mg/日を5ヶ月 → 毛穴の異常をとり皮脂を抑えることで毛穴改善
担当医師コメント
2つの強力な毛穴治療を組み合わせることで効果的に黒ずみを抑えることができます。黒ずみがとれた後の毛穴の開きにはジュベルック手打ちやポテンツァなどでさらに改善を望めます。
イソトレチノインには注意点もありますのでまず最初に選択する治療ではありませんが、
・ニキビもできる場合
・他の毛穴治療が過去効かなかった場合
には毛穴治療に加えるとより確実な黒ずみケアが実現できます。
費用
CLRローション併用のダーマペン鼻 22,000円
イソトレチノイン20mg 30日分 16,500円
リスク・副作用
起こりえるリスク、副作用
ダーマペン:むくみ、痛み、内出血、色素沈着
イソトレチノイン:催奇形性、乾燥、頭痛、筋肉痛、骨痛
肌のトーンが明るくなる
皮脂の分泌を抑える作用や、肌のターンオーバーを整える働きによって、毛穴や肌質などを改善に導きます。
ニキビや酒さによる慢性的な炎症を抑えることで、肌全体のトーンが明るくなることがあります。
イソトレチノインは、主にニキビ・酒さ(赤ら顔)に使う治療薬です。
またニキビ跡予防、毛穴の開きや黒ずみにも良い影響を与えるため、気になる肌悩みの改善が期待できます。
イソトレチノインの効果はいつからでいつまで内服すればいい?
イソトレチノインの効果を実感するタイミングは人それぞれで異なります。
早い人だと1か月、遅い人でも4か月ほど服用を継続すると、効果を実感しやすくなります。
ただし治療を終了するタイミングには個人差があります。
治療効果が十分ですでに毛穴の炎症によるボツボツがなくなった場合でも、その後すぐに内服を止めると再発が多いことが知られています。
再発を防ぐためには、ある程度の量を長めに飲むことが重要です。
治療完了までの期間が同じでも、再発率は内服を多めの量で続けた場合のほうが少ないことが知られています。
アメリカの基準では、重症ニキビの場合にはトータルの内服量が120mg/kgを超えるとその後の再発率が下がるとされています。
具体的には体重50kgの場合、6000mgのトータル量、20mg/日で内服していた場合は300日の10ヶ月が目安の期間になります。
中等症のニキビや酒さの場合にはそこまで明確な基準はありませんが、ボツボツができなくなってからさらに2か月は服用を継続してから終了にします。
イソトレチノインをやめた後は?
イソトレチノインは、ニキビができにくいように肌質を整えてくれる効果も期待できます。
またイソトレチノインをやめた後にもその効果は長期にわたって持続します。
最も強い効果が出た場合、内服をやめたあとも皮脂の分泌が減り、半永久的にニキビができなくなることがあります。
そこまでの効果がない場合でも内服前よりはいい状態が長期持続することは多く、外用で予防を行えばいい状態をコントロールできることが期待できます。
内服後に再発することはあり、再発率を下げるためには内服量×内服期間がある程度の量になるように調節することが重要です。
治療後に気になる症状があらわれたときには、外用薬で対応する方もいれば、再度イソトレチノインの服用を開始する方もいます。
イソトレチノインをやめた後に気になる症状があらわれたときには、お気軽にご相談ください。
イソトレチノインのさらに詳しい内容については「イソトレチノインの治療ページ」をご覧ください。
料金
- イソトレチノイン(イソトロイン、20mg/日) 30日分 16,500円(税込)
(※イソトレチノインの治療は、公的医療保険が適用されない自由診療です。)
イソトレチノインの副作用・注意事項
服用できない方
- 妊娠中、妊娠希望のある方、授乳中の方
(※服用期間中と服用後1か月は妊娠できません。妊娠した場合はすぐに医師にご相談ください。) - 12歳未満の方
- 強い肝機能障害のある方
- ビタミンA過剰症の方
- 過去にイソトレチノインでアレルギー症状を起こした方
副作用
- 唇や肌の乾燥
- 肝機能障害
- 関節痛、筋肉痛、骨の痛み
- 脱毛
- 頭痛
- うつ病
など
注意事項
未承認医薬品等(異なる目的での使用)
この治療で使用されるイソトレチノインは、医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認薬です。
入手経路等
当院で使用しているイソトレチノインは、医師が個人輸入しています。
個人輸入された医薬品等の使用リスクに関する情報はこちらのページをご確認ください。
イソトレチノインの個人輸入についての厚生労働省の注意喚起はこちらのページをご確認ください。
国内の承認医薬品の有無
イソトレチノインは、国内においては承認されていません。
諸外国における安全性等に係わる情報
米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。
胎児の催奇形性、鬱、精神病などの精神疾患の副作用も報告されています。
イソトレチノインについてのご相談なら池袋駅前のだ皮膚科へ
ニキビ・酒さ(赤ら顔)の治療薬であるイソトレチノインは、海外で長く使われている薬であり、気になる肌悩みの改善も期待できます。
イソトレチノインの効果を実感できないときや、やめた後に気になる症状があらわれたときなど、イソトレチノインについての不安や疑問がある方は、いつでも当院までご相談ください。