マイクロボトックスとは、微量のボツリヌストキシン製剤を皮膚に少量ずつ注射する施術方法です。当院では酒さ(しゅさ)や毛穴の引き締め、皮脂分泌抑制に使っています。ここでは、マイクロボトックスの効果やメリットなどについて、紹介します。
目次(クリックで開閉)
マイクロボトックス(スキンボトックス)とは
マイクロボトックスとは、微量のボツリヌストキシン製剤を皮膚の浅い部分に少量ずつ注射する施術方法です。筋肉の機能を保ちつつ皮脂腺や汗腺にも働きかけるので、さまざまな肌の悩みに対応できます。
特徴
マイクロボトックスには、以下のような特徴があります。
- 効果は2週間程度で現れる
- 効果は4か月程度持続する
- Vビームや他の施術、外用薬と併用できる
- 美肌効果がある
効果は早いと2週間程度で現れ、4か月程度持続します。Vビームや内服薬、外用薬と併用して相乗効果も期待できます。Vビームとは同日施術も可能です。毛穴の開きが目立たなくなったり、皮脂が減ったり、肌がツルっとしたりなどの美肌効果も期待できます。
以下にVビームの説明があるので、参考にしてください。
治療の特色|Vビームで赤ら顔、毛細血管拡張症や赤あざを治す
従来のボトックスとの違い
マイクロボトックス(スキンボトックス)とボトックスの違いを以下の表にまとめました。
マイクロボトックス(スキンボトックス) | ボトックス | |
---|---|---|
注入する皮膚層 | 真皮層 | 筋膜下の筋肉層 |
注入部位 | 赤み、毛穴、皮脂が気になるところがメイン。眉間、鼻、ほほ。 | 額、眉間、目尻、口周り、エラ、首筋、脇、ふくらはぎ。 |
効果 | 酒さ、小じわ、毛穴、皮脂抑制、肌質改善など。 | 表情筋原因のシワの改善、多汗症など。 |
効果持続期間 | 約4か月 | 約4か月 |
リスク・副作用 | 内出血、赤み、など。 | 赤みや腫れ、内出血、まぶたの重い感じ、左右差、不自然な表情になるなど。 |
一番の大きな違いは、マイクロボトックスでは薬剤の注入層がボトックスよりも浅い部分になることです。筋肉層まで注入しないため、顔の表情筋が不自然に動かなくなってしまうということは通常起こりません。
下記の記事でも説明しています。
治療の特色|ボトックス
マイクロボトックス(スキンボトックス)の効果
酒さと額、頬、顎に持続的な赤みのある患者にマイクロボトックスを施術したところ、1か月後に顔の赤みが劇的に改善したという報告があります。
Botulinum Toxin: An Effective Treatment for Flushing and Persistent Erythema in Rosacea
当院も報告と類似の単位数と打ち方で施術しています。マイクロボトックスで酒さの赤みやほてり、皮脂分泌や毛穴の開きが改善したことは、当院で複数経験があります。
毛穴の引き締め
ボトックスが汗腺や脂腺に作用するので、真皮内のこれらの付属器は萎縮して体積が減少します。結果、真皮全体が引き締まり、毛穴が目立たなくなる効果が出てきます。
酒さなどの赤み
酒さは持続性の皮膚疾患で、原因は完全には解明されていませんが、一説には異常な神経血管シグナルが発生して、血管が変化するためとも言われています。マイクロボトックスでは、これらの神経血管シグナルを制御していると考えられます。
おすすめな方
マイクロボトックスは以下のような方におすすめします。
- 顔の赤みが気になる人
- 毛穴の開きが目立つので改善したい人
- 小じわが気になるけれど、自然な表情を保ちつつ改善したい人
- 顔の汗やテカリを抑えたい人
- 肌質を改善したい人
- 若々しい印象になりたい人
悩みを改善するだけでなく、皮脂量の減少や毛穴開きにも効果を期待できます。また、汗腺や皮脂腺の働きを弱めてくれるので、汗や皮脂が増えてしまう夏におすすめの治療と言えるでしょう。
マイクロボトックスのメリット
マイクロボトックスのメリットは以下のとおりです。
- 自然な仕上がりを期待できる
- 悩みの他にも多彩な効果を期待できる
- ダウンタイムが少ない
マイクロボトックスは直接表情筋へは注射しないので、自然な効果を期待できます。マイクロボトックスに対して期待する効果は人それぞれですが、肌を引き締めたり、肌質も改善したりするので、悩みへの対処以外の効果も期待できます。かなり多くの部位に局所注射を行いますが、ごく浅い層に34ゲージの細かい針を使って打ちますので、内出血のリスクが少なくダウンタイムも通常短くなります。
気になることは当院担当医師へ伝えてください。医師が皮膚の状態を観察し、ご希望や肌の悩みに合わせて、マイクロボトックスの注入部位や量、仕上がりイメージ、施術を提案いたします。
施術事例
酒さによる顔の赤みやほてりにマイクロボトックス(スキンボトックス)を使った症例
複数回の当院でのVビーム治療で赤い線で見えていた毛細血管拡張は目立たなくなり、顔の赤みも改善していた70代女性の患者様。それでも顔の赤みが消えきらず、ほてりもあったことから、少量ずつ浅くボツリヌストキシンを打つ治療(マイクロボトックス)を行い、その1ヶ月後には赤みとほてりが改善していました。写真はVビームとマイクロボトックスを同日に行う前と、その1ヶ月後です。
治療内容 | 頬のマイクロボトックス15単位、Vビーム1回 |
---|---|
治療期間・回数 | 1ヶ月 1回 |
費用 |
マイクロボトックス両頬 韓国製 33,000円 Vビーム2顔全体 33,000円 |
リスク・副作用 |
マイクロボトックス:赤み、内出血 Vビーム:一時的なむくみや赤み、紫斑、水疱形成、色素沈着、色素脱失 |
担当医師コメント |
顔の赤みや毛細血管拡張の治療の基本はVビームですが、それでもとりきれない赤みがある場合はマイクロボトックスを検討する価値があります。今回の患者様のように、赤みだけでなくほてりも改善することもあります。4ヶ月程度で効果がきれますので、Vビームのように長期効果が持続する治療を組み合わせるのがより効果的です。 細い針で細かく浅くボトックス注射を行うので痛みはありますが、浅く打つので内出血のダウンタイムは通常あまりでません。 |
副作用・注意点など
ダウンタイムはどれくらい?
針を使いますが、細い針で極力浅く打つため、内出血のリスクは低くなります。まれに注入時に内出血が出る場合がありますが、出たとしても2週間ほどで消失します。それ以外のダウンタイムはほとんどない施術です。施術当日は注射部位をこすったり、刺激を与えたりしないでください。運動やサウナは施術翌日から可能です。禁忌
マイクロボトックスの禁忌は、以下のとおりです。
- ボトックス製剤の成分に対しアレルギーの既往歴のある人
- 妊婦または妊娠している可能性のある方
- 授乳中の方
- 他のボツリヌストキシン製剤にて治療中の方
- 全身性の神経筋接合部の障害をもつ方(重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症など)
副作用
マイクロボトックスの副作用は、以下のとおりです。
副作用 | 治るまでにかかる時間 |
---|---|
一時的な赤みや腫れ、痛み、かゆみ | 数時間から数日 |
内出血 | 2週間 |
アレルギー反応 | 非常にまれ |
注意点
通常のボトックスと同じように、施術後、女性は2か月(2回の月経が終わるまで)、男性は3か月間の避妊が必要です。閉塞隅角緑内障やその素因(狭隅角など)のある方や慢性の呼吸器障害のある方など、健康状態によっては症状を悪化させる可能性があるので、施術を受けられない場合もあります。
費用
マイクロボトックスは、公的医療保険が適用されない自由診療(自費)です。
価格は以下のとおりです。
薬剤名 | 部位 | 価格 |
---|---|---|
ボツラックス(韓国製) | 両頬もしくは鼻のみ | 33,000円 |
ボツラックス(韓国製) | 顔広範囲(頬、鼻、顎、額を含む) | 55,000円 |
アラガン社のボツリヌストキシン製剤を希望する場合は、どちらも+22,000円になります。
効果を実感できるのは薬剤が効いている間の4か月程度だけです。持続的な効果を期待する場合には、年3回程度、注射する必要があると言われています。
マイクロボトックスに興味がある方は、池袋駅前のだ皮膚科へ
マイクロボトックスとは、微量のボツリヌストキシン製剤を皮膚に少量ずつ注射する施術方法です。酒さや毛穴開きなどで悩んでいて、自分の状態に合った治療をしたいという方は、マイクロボトックスを検討してみてはいかがですか。
当院では、一人ひとりの肌の状態にあわせた施術を提案しています。受診当日、予約無しでの治療が可能です。マイクロボトックスに関しては、当院までお気軽にご相談ください。
【池袋駅前のだ皮膚科院長| 野田 真史 監修】
未承認医薬品等の表示
Vビーム2について
未承認医薬品等(異なる目的での使用)
Vビーム2は医薬品医療機器等法において、その他の目皮膚良性血管病変治療について承認されていますが、その他の目的の使用については国内で承認されていません。
入手経路等
国内の医薬品卸業者より国内の承認機器を仕入れています。
国内の承認医薬品の有無
国内で同程度の効能・効果で承認されている承認医薬品等はありません。
諸外国における安全性などに係る情報
米国FDAにて承認されています。
【参考文献】
添付文書|ボトックスビスタ