酒さ(赤ら顔)の塗り薬
酒さはニキビのようなポツポツと赤ら顔が同時に起こる皮膚の病気です。鼻や頬などに赤みの目立つ症状が特徴的で、さらに刺激感やほてりを感じることもあります。酒さの症状に市販薬だけで対応するのは困難です。
当院では「ロゼックスゲル(成分名:メトロニダゾール)」など複数の治療薬によって酒さの症状に対応しています。効果が出るまでの目安となる時期についても紹介しているので、酒さの塗り薬に興味がある方はぜひ参考にしてください。
目次(クリックで開閉)
当院では主に「メトロニダゾール」や「イベルメクチン」、「アゼライン酸」、「ミノサイクリン」を処方しています。
クリニックによってはアトピー性皮膚炎に使われるような外用薬(ステロイド薬、タクロリムス、デルゴシチニブなど)を酒さに使うところもあります。しかし当院では、長期間の使用により酒さが悪化する可能性を考慮して積極的な処方はしていません。
ただし「酒さによるかゆみが強い場合」や、「酒さとアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患を合併している場合」は短期間のみこれらの外用薬を処方することはあります。
当院で処方している主な塗り薬
保険診療
メトロニダゾール(ロゼックスゲル)
- 薬の特徴
- 患部にできた活性酸素を抑える働きや、免疫反応を抑制する働きにより、酒さ(赤ら顔)で起こっている慢性的な皮膚の炎症を抑えます。
- 使い方
- 1日1~2回、患部を洗浄後に適量を塗ってください。
- 使用上の注意
-
- 塗布後は肌が乾燥しやすくなります。事前に肌を丁寧に保湿してからメトロニダゾールを塗ってください。
- 効果が出るまでの目安となる使用期間は約2週間です。すぐに効果を実感できないときでも、自己判断で使用を中止しないでください。
- 刺激感の少ない製品ですが、人によってはピリピリとした刺激感があらわれるかもしれません。刺激感が気になるときには、症状にあわせて1日1回や1日おきなど使用する頻度を減らしてください。それでも症状が悪化するときには医師にご相談ください。
- リスク・副作用
- 赤み、かゆみ、乾燥肌など
自由診療
下記の薬を使った治療は、公的医療保険が適用されない自由診療(自費)です。
イベルメクチン(イベルメクチンクリーム)
- 薬の特徴
- 酒さの原因であるニキビダニを減らす薬です。また炎症に関係のある物質を作られにくくして、炎症を抑える働きも期待できます。酒さのポツポツとした症状には、メトロニダゾールよりも効果があらわれやすいと言われています。
- 使い方
- 1日1回、患部を洗浄してからスキンケア後に適量を塗ってください。
- 使用上の注意
-
- 効果が出るまでの目安となる期間は、早い人でも2週間です。すぐに効果を実感できないときでも、自己判断で使用を中止しないでください。
- 刺激感の少ない製品ですが、人によっては使用中にピリピリとした刺激感があらわれるかもしれません。刺激感が気になるときには、症状にあわせて1日1回や1日おきなど使用する頻度を減らしてください。それでも症状が悪化するときには医師にご相談ください。
- リスク・副作用
- 赤み、かゆみ、湿疹、腫れなど
アゼライン酸(AZAクリア)
- 薬の特徴
- 穀物由来の成分から作られており、海外では30年ほど前から使用されている薬です。「抗炎症作用」や「皮脂の分泌を抑制する作用」、「抗菌作用」、「角化を抑制する作用」などにより、酒さだけではなく、ニキビや色素沈着によるニキビ跡にも使われます。
- ロート製薬が製造元で、20%と高濃度にアゼラインを配合しています。酒さのぽつぽつに効果があります。濃度が高い分効果は高いですが、ぴりぴりとしたアゼライン酸の刺激感が出やすいです。
- 使い方
- 1日1~2回、患部を洗浄してからスキンケア後に適量を塗ってください。
- 使用上の注意
-
- 効果が出るまでの目安となる期間は、2週間です。すぐに効果を実感できないときでも、自己判断で使用を中止しないでください。
- 使用中にピリピリとした刺激感があらわれるかもしれません。刺激感が気になるときには、症状にあわせて1日1回や1日おきなど使用する頻度を減らしてください。それでも症状が悪化するときには医師にご相談ください。
- リスク・副作用
- 赤み、かゆみ、刺激感など
アゼライン酸(ベーシックケアAZ)
- 薬の特徴
- アゼライン酸をAZAクリアよりも低濃度で配合し、毎日の顔全体のスキンケアに使いやすくしています。高濃度のアゼライン酸は酒さのぽつぽつの治療には効果的ですが、刺激感が強くなりますので、顔全体に毎日塗るのが難しい場合は、こちらの製品をベースのスキンケアに使うことをおすすめしています。
- アゼライン酸のほかにも、抗炎症作用のあるナイアシンアミド、皮膚バリア機能を補うセラミドといった酒さに推奨されている保湿成分を含んでいます。
- 使い方
- 1日1~2回、スキンケアとして顔に使用してください。ロゼックスゲル、イベルメクチンクリーム、AZAクリアいずれもその後に治療として併用可能です。
- 使用上の注意
-
- 効果が出るまでの目安となる期間は、2週間です。すぐに効果を実感できないときでも、自己判断で使用を中止しないでください。
- 使用中にピリピリとした刺激感があらわれるかもしれません。刺激感が気になるときには、症状にあわせて1日1回や1日おきなど使用する頻度を減らしてください。それでも症状が悪化するときには医師にご相談ください。
- リスク・副作用
- 赤み、かゆみ、刺激感など
ミノサイクリン(ミノサイクリンクリーム)
- 薬の特徴
- 昔から酒さ・ニキビの飲み薬として使われている抗菌薬です。米国では2019年より酒さ・ニキビの塗り薬としても使われるようになりました。ミノサイクリンがもつ炎症を抑える作用によって、酒さやニキビの症状にアプローチします。当院では10gのクリーム中に4%のミノサイクリンを配合しています。
- 使い方
- 1日1回、患部を洗浄してからスキンケア後に適量を塗ってください。
- 使用上の注意
-
- 黄色いクリーム状の製剤ですが、これはミノサイクリンの成分によるものです。肌に塗っても黄色の色素は残りません。ただし衣類に付着すると黄色の染みがつくため、取り扱いには注意してください。
- 効果が出るまでの目安となる期間は2週間です。すぐに効果を実感できないときでも、自己判断で使用を中止しないでください。
- 使用中に赤みや刺激感があらわれるかもしれません。刺激感が気になるときには、使用を中止してください。それでも症状が悪化するときには医師にご相談ください。
- リスク・副作用
- 赤み、かゆみ、刺激感など
禁忌・副作用・注意事項など
禁忌
メトロニダゾール(ロゼックスゲル)
- 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
- 脳や脊髄に器質的疾患のある方(脳・脊髄腫瘍の患者を除く)
- 妊娠3か月以内の方
イベルメクチン(イベルメクチンクリーム)
-
妊娠中の方、授乳中の方
※禁忌ではありませんが、当院では推奨しておりません。
ミノサイクリン
- 妊娠中の方、授乳中の方
副作用
メトロニダゾール(ロゼックスゲル)
赤み、かゆみ、乾燥肌など
イベルメクチン(イベルメクチンクリーム)
赤み、かゆみ、湿疹、腫れなど
アゼライン酸
赤み、かゆみ、刺激感など
ミノサイクリン
赤み、かゆみ、刺激感など
料金
保険診療
※3割負担の場合の料金です。
※都内在住で高校生までのお子様は公費負担となり実費は0円です。
初診料 | 約900円 |
再診料 | 約400円 |
処方料 | 約200円 |
自由診療
下記の薬は、公的医療保険が適用されない自由診療(自費)です。
AZAクリア(成分名:アゼライン酸) 15g | 1,980円(税込) |
イベルメクチンクリーム(成分名:イベルメクチン) 30g | 4,400円(税込) |
ミノサイクリンクリーム 10g | 2,200円(税込) |
アゼライン酸について
未承認医薬品等
アゼライン酸は、医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。
入手経路等
アゼライン酸は国内の医薬品卸業者より購入しています。
国内の承認医薬品の有無
国内で同程度の効能・効果で承認されている国内承認医薬品薬剤はありません。
諸外国における安全性などに係る情報
アゼライン酸は米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。
イベルメクチンについて
未承認医薬品等
イベルメクチンは、医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。
入手経路等
当院では医師の判断の下、個人輸入で購入しています。医学的知見のない個人輸入は禁止されています。個人輸入された医薬品等の使用リスクに関する情報はこちらをご覧ください。
国内の承認医薬品の有無
酒さの治療薬としてメトロニダゾール(ロゼックスゲル)が国内承認されています。
諸外国における安全性などに係る情報
イベルメクチンは、米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。
ミノサイクリンについて
未承認医薬品等
ミノサイクリンは、医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。
入手経路等
当院では医師の判断の下、調合しています。
国内の承認医薬品の有無
酒さの治療薬としてメトロニダゾール(ロゼックスゲル)が国内承認されています。
諸外国における安全性などに係る情報
ミノサイクリンは、米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。