
「傷は治っているのに、赤みや盛り上がりが消えない…」
「傷跡が盛り上がって、広がっている気がする…」
いわゆるケロイドや肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)でお悩みの方は多いのではないでしょうか。どちらも自然には治りにくく、放置すると悪化することもあります。
本記事では、当院における保険診療と自由診療の選択肢、治療の流れまでわかりやすくご紹介します。
目次(クリックで開閉)
ケロイド・肥厚性瘢痕とは?
ケロイドや肥厚性瘢痕は、傷が治る過程で皮膚が異常に盛り上がる病的な瘢痕です。身体は皮膚に傷ができると、自然に傷を治そうとします。しかし、治る過程でコラーゲンなどの皮膚の組織が過剰に作られてしまうと、通常よりも盛り上がった傷跡になる場合があります。
元の傷痕の範囲内にとどまった皮膚の盛り上がりを肥厚性瘢痕、元の傷痕よりさらに広がった皮膚の盛り上がりをケロイドといいます。[1]どちらも淡紅色~赤色を呈し、かゆみや痛みを伴うことがあります。とくに、ケロイドは時間とともに大きくなる傾向にあります。
傷を修復する働きをもつ線維芽細胞が過剰に活性化されたり、皮膚の再生に関わる物質(サイトカイン)のバランスが崩れたりすることが関係していると報告されています。さらに、遺伝的要因や体質、炎症の程度も影響することがわかっています[2]
ケロイド・肥厚性瘢痕の治療方法
まずは、公的保険が適用される治療法を行うのが一般的です。
具体的には、ステロイドのテープや、局所注入で盛り上がりを治療します。赤みにはこの方法だけでは効果が期待できない場合があるため、VビームやダーマVの治療を追加することがあります。
保険診療
ステロイド局所注射
当院では、主にステロイドの局所注射を行います。直接ステロイドを注入することで患部の炎症、赤み、かゆみを抑え、瘢痕の盛り上がりを軽減します。
通常、月1回のペースで複数回繰り返す必要があり、効果には個人差があります。一般的に肥厚性瘢痕の場合は3~6回、ケロイドの場合は6回以上の注射で少しずつ平坦化するケースがほとんどです。[3]
ステロイドのテープ
ステロイドが配合されている外用薬(貼付剤)が使われることもあります。傷跡のサイズに切って貼付します。ステロイドの局所注射の方が効果は一般的に高いため、補助的に使います。
手術
ケロイドの大きさ、部位(耳など)によっては、手術をする場合もあります。手術痕から肥厚性瘢痕やケロイドが再発するケースが多いため、まずはステロイドの局所注射を選択することが多くなります。
盛り上がりが大きい場合やステロイド注射で改善がない場合には、手術を選択することがあります。皮膚線維腫や隆起性皮膚線維肉腫など、肥厚性瘢痕やケロイド以外の病気を疑う場合も、組織検査のために手術を行ないます。
自由診療
Vビーム
Vビームはヘモグロビン色素に反応し、異常のある毛細血管に選択的に作用するため、ケロイド・肥厚性瘢痕の赤い盛り上がりに対しても改善が期待できます。
2022年に行われた研究では、甲状腺手術後の肥厚性瘢痕に対しVビームを実施したところ、3D画像解析で瘢痕の厚み・赤み・色調が改善したことがわかりました[4]。外傷や術後の傷跡には10週以内の早期の治療開始で赤みが減少することが知られています。
効果には個人差があり、早ければ2回程度で改善が見られますが、5回以上治療が必要な場合もあります。照射後は軽度の赤みや腫れ、内出血、一時的な色素沈着が見られることもあります。
ダーマV
Vビームと波長が異なる赤み治療のレーザーで、Vビーム同様赤みに効果が期待できます。治療回数はVビームと同様で、波長が異なるためどちらかが効果的な場合もあります。
Vビームと組み合わせて治療を行う場合もあります。照射後の赤みや腫れ、内出血などダウンタイムがより少なく、照射時の痛みも少ないのが特徴です。
キュアジェット
キュアジェットは、針を使わずに薬剤を高速ジェットで皮膚の浅い層へ届ける施術です。ステロイド、またはステロイドとボツリヌストキシンの薬剤を使用します。
ジェットの力で皮膚の固い線維組織を断ち切りながら、炎症を抑える薬剤を満遍なく届けられるため、赤みや固さの穏やかな改善が期待できます。治療回数の目安は、1か月ごとに3〜5回です。
ステロイドの局所注射で効果が止まってしまった場合でも、キュアジェットによる組織再生効果で、さらに傷痕の厚みが減少して目立ちにくくなることもあります。
また、2024年に行なわれた研究では、針付きの注射器よりも無針注射器で薬剤を注入したグループの方が、明らかに傷跡の盛り上がりが小さくなったことが確認されています。[5]
症例
Vビームによりケロイドの赤みにアプローチした症例
| 治療内容 | デコルテに20年以上前からある赤いケロイドを当院で治療しました。時間はかかりましたが、Vビームとステロイドの注射で4年後には赤みは完全に消えて、大きさや盛り上がりも大きく縮小。 |
|---|---|
| 治療期間・回数 |
約4年・12回 そのうち9回はステロイド局所注射をケロイドの盛り上がりに対して併用 |
| 費用 |
Vビーム ケロイド:11,000×12回=132,000円(税込) ステロイド局所注射:3,300×12回=39,600円(税込) 総額 171,600円(税込) |
| リスク・副作用 |
Vビーム:赤み、むくみ、内出血、水疱、色素沈着、色素脱失など ステロイド局所注射:赤み、内出血、陥凹など |
| 担当医師コメント | 傷跡の表面の質感を完全に消すことはできませんが、赤みについては写真のようにVビームで消えることもあります。また、Vビームには赤みだけではなく、ケロイドを平坦にする効果も回数を重ねれば期待できます。ケロイドの隆起についてはステロイド局所注射を併用すると効果を実感しやすいです。Vビームが必要な回数については個人差があり、3回で十分なこともあれば、10回以上かかることもあります。 |
キュアジェットによる肥厚性瘢痕に対する当院での症例
| 治療内容 | ステロイドとボツリヌストキシンを使用したキュアジェット |
|---|---|
| 治療期間・回数 | キュアジェット1回、5か月後の写真 |
| 費用 |
キュアジェット(ステロイド・ボツリヌストキシン併用) 2x2cm 1箇所 33,000円(税込) |
| リスク・副作用 | 内出血、赤み、色素沈着、へこみ、硬結 |
| 担当医師コメント | ステロイドとボツリヌストキシンはいずれも盛り上がった傷跡を改善する効果があります。キュアジェット自体による傷跡のリモデリング効果が加わることで、ステロイドの局所注射では治らなかった肥厚性瘢痕にもいい結果がでました。 |
ケロイド・肥厚性瘢痕の治療の流れ
当院では、まず医師が症状の経過や赤み・かゆみの有無などを診察します。
そしてステロイド注射や外用薬などの保険診療を中心に治療を開始し、状態や経過によってはVビームなどのレーザー治療やキュアジェットなどの自由診療を提案します。複数の治療を組み合わせることも一般的です。
症状を見ながら、定期的に診察・治療が必要となります。
ケロイド・肥厚性瘢痕治療の費用
以下は、公的保険が適用される治療の費用です。
| ステロイド局所注射 | 量により異なる | 3割負担で数百~1000円前後 |
| ステロイド配合貼付剤 | 枚数により異なる | 3割負担で1枚あたり数百円 |
Vビーム、ダーマV、キュアジェットによる治療は、公的保険が適用されない自由診療です。
| 治療内容 | 料金(税込) | |
|---|---|---|
| VビームまたはダーマV | 傷跡・ケロイド 1か所 | 11,000円(税込) |
|
キュアジェット (接触モード、薬剤込み) |
2×2cmの範囲 | 33,000円(税込) |
ケロイド・肥厚性瘢痕に関するよくある質問
ここでは、ケロイド・肥厚性瘢痕に関してよく寄せられる質問に回答しました。
- ケロイドを放置するとどうなりますか?
-
ケロイドが自然に治ることは少なく、放置すると徐々に広がったり、赤みやかゆみ、痛みが強くなることがあります。摩擦や刺激が加わることで悪化する場合もあるため、早めに治療を開始することをおすすめします。[2]早期の治療で効果が高まることが知られています。
- ケロイドや肥厚性瘢痕は何科に行けばいいですか?
-
ケロイドや肥厚性瘢痕の治療は、皮膚科または形成外科へ行くことが一般的です。保険適応のステロイド注射や自由診療のレーザー治療など複数の治療法があるため、それらを提案できるクリニックを選ぶと安心です。
ある程度通院が必要なため、通いやすさも重視しましょう。
ケロイド・肥厚性瘢痕にお悩みの方は池袋駅前のだ皮膚科へご相談ください
当院はケロイド・肥厚性瘢痕に対し、ステロイド注射・外用薬などの保険診療から、Vビームやキュアジェットによる自由診療まで幅広く対応しています。平日は19時半まで、土日診療にも対応し、お仕事で忙しい方でも通いやすい環境を整えています。
ケロイド・肥厚性瘢痕にお悩みの方は、池袋駅前のだ皮膚科までお気軽にご相談ください。
参考文献
[1] 日本皮膚科学会:皮膚科Q&A.

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