溶連菌が原因のとびひ(膿痂疹)に注意!喉の痛みや発熱を伴う時の対処法

溶連菌が原因のとびひ(膿痂疹)に注意!喉の痛みや発熱を伴う時の対処法

溶連菌は、とびひとのどの感染の両方を起こす原因菌のひとつです。とびひと言われたあとにのどの痛みや発熱が出たら、皮膚の症状だけと決めつけず、診断を受けた医療機関へ相談してください。

同時に症状が出ても同じ菌が原因とは限らず、皮膚とのどをそれぞれ確かめる必要があります。

この記事では、溶連菌ととびひの関係、発熱やのどの痛みを伴うときの受診目安、感染後のまれな続発症を解説します。

目次

溶連菌ととびひ・のどの痛みの関係

とびひとのどの痛みには、A群溶連菌という共通の原因が関わる場合があります。皮膚の診断名だけから、のどの痛みまで溶連菌による症状だと判断するのは早計でしょう。

A群溶連菌は皮膚とのどに感染する

A群溶連菌は、皮膚にも、口の奥からのどに続く部分にも感染する細菌です。とびひは膿痂疹とも呼ばれ、皮膚の表面近くに細菌が感染して、じゅくじゅくした傷やかさぶたを作る病気を指します。

のどに感染すると咽頭炎、つまりのどの粘膜に炎症が起きた状態になり、飲み込むときの痛みや発熱につながります。同じ菌の名前が皮膚とのどの病気で使われるのは、菌が感染する場所によって現れる症状が違うためです。

「とびひがのどに変わった」と捉えるより、皮膚とのどの両方に感染があるかを確かめる、と整理すると診察の目的が分かりやすくなります。

とびひには別の原因菌も関わる

とびひの原因には、溶連菌のほかに黄色ブドウ球菌という細菌も含まれます。両方の菌が関わる例もあり、とびひという診断は必ずしも溶連菌の検出を意味しません。

大きな水疱を作る水疱性の型は黄色ブドウ球菌によって起こり、かさぶたが中心となる非水疱性の型は溶連菌、黄色ブドウ球菌、または両方が関わります。こうした違いはありますが、かさぶたの色を自分で見て菌を特定するのは困難です。

そのため、診察で「とびひ」とだけ説明された段階では、皮膚とのどを同じ原因に結びつけるよりも、追加の症状としてのどの痛みを伝えるのが確実です。

同時に症状が出ても原因は決められない

皮膚とのどの症状が重なっても、それぞれ違う原因で起きている可能性があります。とびひがある人にも別の感染症は起こりうるため、発熱の原因をひとつに絞らずに診察を受ける意味があります。

分かっている情報そこから言える範囲
とびひと診断された細菌による皮膚の感染がある
のどの痛みも出てきたのどの状態も診察が必要
皮膚とのどの症状が同時にある同じ菌かどうかは症状の重なりだけでは不明

また、同じ種類の菌が関わるとしても、皮膚からのどへ直接移ったとまでは断定できません。症状が始まった順番は診察の手がかりですが、感染の経路を証明する情報とは区別されます。

とびひに発熱が重なったらどうする?

新たな発熱やのどの痛みが出たら、とびひの次の受診予定をそのまま待たずに相談する理由になります。

熱の高さだけで待つかを決めない

発熱があるときは、測った体温だけでなく、普段どおりに話せるか、水分を飲めるかを合わせて見る必要があります。高熱ではなくてもぐったりしていれば、早い受診が必要か相談すべき状態です。

とびひがあると熱も皮膚のせいだと感じやすくなりますが、発熱の原因が皮膚にあるか、のどなど別の場所にあるかで診察の内容が変わります。皮膚が小さな範囲にとどまっていても、全身の具合を伝える価値は同じです。

発熱が加わった時点で、体温の経過と普段との違いを診断元へ連絡しましょう。電話では、熱が出た時刻や今飲めている水分量も伝えると、受診時期を相談しやすくなります。

のどの痛みでは飲み込めるかを確認する

のどの痛みが強いときに優先したいのは、水分を飲み込めるかの確認です。食事量の低下だけでなく、飲水まで難しくなっていれば、受診の時期を早める必要があります。

子どもでは痛む場所を言葉にしにくく、飲み物を嫌がったり、飲み込むたびに泣いたりする様子が相談の手がかりになります。普段より静かという変化も、眠いだけと決めつけず、呼びかけへの反応と合わせて捉える必要があります。

ただし、唾液さえ飲み込めない、息が苦しい、呼びかけへの反応が鈍い状態なら、通常の予約を待たず救急の受診先へ相談してください。これらは溶連菌に特有の症状ではなく、原因にかかわらず急いで評価すべき変化です。

皮膚の痛みや赤みの変化も伝える

発熱とともに皮膚の赤みが急に広がる、強い痛みが加わるといった変化があれば、当日中の診察について相談する目安です。見える傷の大きさに比べて痛みが強いときも、痛みの程度を具体的に伝える必要があります。

今の状態相談の目安
新たな発熱やのどの痛み診断元に連絡し、受診時期を確認
飲水が難しい、皮膚の赤みや痛みが急に増す当日中の診察を相談
呼吸が苦しい、反応が鈍い、唾液を飲めない予約を待たず救急へ相談

この目安は病名を自分で決めるためではなく、受診を待てるか迷ったときに、医療機関へ今の症状を具体的に伝えるためのものです。

診察では皮膚とのどを分けて確かめる

とびひの診断と、のどの痛みの原因を確かめる診察は、それぞれ違う疑問に答えます。一方の説明を受けていても、もう一方の症状が新たに出たなら追加して伝える必要があります。

とびひの診断と原因菌の特定は異なる

とびひは、皮膚の見た目や症状の経過をもとに診断されるのが基本です。毎回菌を調べてから診断するわけではないため、「とびひと言われた」と「溶連菌が確認された」は区別する必要があります。

診察で使われた病名を覚えていても、菌についてどこまで確認されたかは分からない場合があります。受診時には「見た目での診断か」「原因菌まで分かっているか」を確認すると、のどの症状との関係を整理しやすくなります。

検査がなかった事実だけで、診断が不十分とは言い切れません。追加で何を調べるかは、新しい症状や診察所見に応じて決まります。

のどの症状は別の部位の情報になる

皮膚に溶連菌が関わっていても、のどの痛みの原因はのどの状態を見て判断されます。逆に、のどで溶連菌感染と診断された場合も、皮膚の傷については皮膚の所見を合わせた評価が必要です。

のどの溶連菌感染を確かめる検査には、迅速抗原検査や咽頭培養があります。明らかなウイルス感染の症状がない場合、診察所見だけでは原因を区別できないため、検査が判断に役立ちます。

また、迅速検査で陰性でも感染を完全には否定できず、子どもでは培養検査を追加する場合があります。検査が必要か、陰性のあとに追加検査があるかは、年齢や症状に応じて医師に確認しましょう(CDCの診療ガイダンス)。

診察では、飲み込むときに痛むのか、安静にしていても痛むのかといった違いも情報になります。皮膚だけの相談で受診していても、のどの痛みを遠慮せず伝えてよい場面です。

確かめたい疑問診察に必要な情報
皮膚の変化はとびひか見た目、広がり、症状の経過
のどにも感染があるかのどの所見、痛み、発熱の経過
皮膚とのどに関連があるか両方の診察結果と、必要に応じた検査の情報

検査を受けた場合も、どの部位について何が分かった結果なのかを確認すると、その後に別の症状が出たときの相談が具体的になります。

症状が始まった順番を伝える

皮膚の症状、のどの痛み、発熱が始まった順番は、今の病気を整理する手がかりです。正確な時刻まで思い出せなくても、「皮膚が先で、翌日からのどが痛い」などの前後関係で伝えられます。

とくに、最初の診察後に加わった症状は、診察した時点では分からなかった新しい情報です。前の診断を否定するためではなく、現在の状態に合わせて評価を追加するために共有します。

たとえば、受診日には熱がなく、その後にのどの痛みと発熱が出たなら、その変化を一続きの経過として伝えるとよいでしょう。薬を使い始めた時期も並べておくと、説明の行き違いを減らせます。

溶連菌感染のあとに起こるまれな続発症

溶連菌の感染後には、免疫反応を通じて別の臓器に炎症が起こる続発症が知られています。続発症はまれで、とびひになった人の大部分に起きるような経過ではありません。

免疫反応による炎症は感染そのものと違う

免疫は、体を細菌などから守る働きです。溶連菌に対する免疫反応のあとに、腎臓など自分の体の一部にも炎症が起きる病気があり、感染が起きた場所と後から症状が出る場所が異なります。

皮膚の症状が落ち着いてから新しい変化が出る場合もあるため、現在の見た目だけで以前の感染との関連を判断するのは困難です。菌が皮膚からそのまま臓器に移る、と一律に捉えると病気の理解がずれてしまいます。

ただし、感染後の体調変化には別の原因もあるため、最近のとびひを伝えたうえで、病名を決めつけずに診察を受ける必要があります。

皮膚の感染後にも腎炎が起こりうる

溶連菌感染後急性糸球体腎炎は、溶連菌による皮膚やのどの感染のあとに起こりうる、まれな腎臓の病気です。糸球体は血液をろ過する腎臓の細かな部分で、そこに炎症が起きるため、尿やむくみの変化につながります。

多くは回復する病気です。症状に気づいたときは、回復の見込みだけを理由に待たず、受診して腎臓の状態を確認する必要があります。

尿の見た目だけで腎炎かどうかを判断するのは難しく、診察では最近の皮膚とのどの症状も情報になります。以前のとびひが落ち着いていても、診断を受けた時期を伝えられると役立ちます。

急性リウマチ熱は日本ではまれ

急性リウマチ熱も、溶連菌感染後の免疫反応によって起こる病気で、関節や心臓などに炎症が及びます。のどの感染後だけでなく、皮膚の溶連菌感染のあとにも起こりうる続発症として知られていますが、日本ではまれです。

皮膚の感染とこの病気の関連は海外の集団を対象とした研究でも報告されています。その集団で得られた結果を、日本でとびひになった人の発症確率にそのまま置き換えるのは適切ではありません。

感染後に新たな発熱や関節の腫れが出たときは、症状だけで病名を当てはめず、直前のとびひも受診時に伝えるのが実際の対応です。

回復後の変化も受診時の情報になる

皮膚が落ち着いたあとでも、尿の色やむくみなどに新しい変化が出たら、最近の感染歴を添えて相談する必要があります。

赤茶色の尿や顔のむくみは相談の目安

赤茶色に見える尿、いつもより少ない尿、顔やまぶたのむくみは、腎臓の状態について相談する手がかりになります。とびひのあとにこうした変化を認めたら、当日中の受診について医療機関へ連絡してください。

尿の色は体の水分量などでも変わりますが、見た目だけで「水分が足りないだけ」と決めるのは危険です。むくみも寝起きの一時的な変化と区別しにくいため、いつから続いているかを添えて相談します。

気づいた変化診察で伝える補足
尿が赤茶色に見える気づいた時期と、色の変化の続き方
尿が普段より少ない飲水量と排尿の普段からの変化
顔やまぶたがむくむ朝だけか、時間がたっても続くか

見た目が軽くても、複数の変化が重なっているかは受診の判断材料になります。記録がそろっていなくても相談できるため、情報を集め終わるまで連絡を遅らせずに対応します。

再び出る熱や関節の痛みは経過と一緒に伝える

いったん落ち着いたあとに熱が再び出たときは、最初から熱が続いている場合と分けて伝えると、経過がはっきりします。関節が痛む、腫れる、歩きにくいといった変化が重なるときは、その部位も相談時の情報です。

これらの症状には、溶連菌感染後の続発症以外にも原因があります。とびひに結びつけて病名を決めず、「何日ごろに皮膚の症状があり、いつから新たな症状が出たか」という事実を中心に伝えます。

熱が再び出て関節の腫れや歩きづらさがある場合は、次の皮膚の予約日を待たず受診時期を相談しましょう。今の全身状態に応じて、必要な診察につなげるためです。

皮膚が落ち着いても受診歴を伝える

新しい症状で別の診療科を受診する場合も、最近とびひやのどの感染があったと伝えると、時間を隔てた症状の関係を検討しやすくなります。皮膚を診察した医療機関と異なれば、以前の診断内容が共有されていない可能性があるためです。

一方、続発症がまれにあるという理由だけで、無症状の人が家庭で何度も体を調べ続ける必要はありません。経過観察や再診の指示を受けている場合は、それに沿って過ごします。

溶連菌が気になるときは症状をまとめて相談しましょう

相談では「とびひとのどの痛みがある」と最初に伝え、発熱や飲水の状態を続けると現在の困りごとが伝わります。

相談先は皮膚に加えて全身の症状で選ぶ

すでにとびひの診断を受けているなら、まず診断元に新しい症状を連絡する方法があります。子どもは小児科、成人は内科などでも、発熱とのどの症状に皮膚の感染が重なっていると伝えて相談できます。

大切なのは、のどの症状を診てもらうときにも皮膚の診断を伝え、皮膚を診てもらうときにも発熱を伝える点です。受診先ごとに症状を切り分けて話すと、同じ時期に起きた変化が伝わりにくくなります。

息苦しさなどがある場合は、診断元の診療時間まで待つより救急への相談が優先です。

受診前にまとめる発熱とのどの記録

記録する中心は、皮膚とのどの症状が出た時期、体温の経過、飲めているかどうかです。長い文章にまとめなくても、順番が分かる短いメモがあれば診察で伝えやすくなります。

薬を処方されている場合は、薬の名前と使い始めた日も確認しておきましょう。受診先が変わるときは、お薬手帳や処方内容が分かる資料が、説明の抜けを減らす手がかりになります。

とびひに加えて熱まで出ると、同じ菌が全身に広がったのではと心配になるかもしれません。症状の重なりだけではそこまで判断できないため、いま確認できる変化を伝え、皮膚とのどの両方を診てもらうのがよい対応です。

診察後は確認した見通しに沿って対応する

診察の終わりには、皮膚とのどについてそれぞれ何が分かったか、追加の症状が出たときはどこへ連絡するかを確認すると、その後の行動が具体的になります。原因が確定していなくても、待てる症状と連絡が必要な変化は相談できます。

発熱やのどの痛みを診てもらったあとに新しい症状が加わった場合は、前回の診察結果に加えて、その変化を伝える必要があります。初回の説明が、まだ出ていなかった症状まで含むとは限らないためです。

再診を指定されていれば、皮膚とのどの症状が別々の時期に落ち着く場合も、両方の評価が終わったと自己判断せず、説明された時期に受診します。

よくある質問

とびひと言われたら、原因は必ず溶連菌ですか?

必ず溶連菌とは限らず、黄色ブドウ球菌が原因のとびひや、両方の菌が関わる例もあります。とびひは皮膚の状態をもとに診断されるため、病名だけでは原因菌まで特定されたかは不明です。

とびひのあとにのどが痛くなったら、皮膚から菌が移ったのですか?

症状が出た順番だけでは、皮膚からのどへ菌が移ったとは判断できません。A群溶連菌は両方の部位に感染しますが、のどの痛みが別の原因で起きている可能性もあります。

のどの痛みが新たに出たと診断元へ伝え、受診時期を相談してください。発熱や飲み込みにくさがあれば、その状態も合わせて伝えると相談が具体的になります。

とびひで発熱していても、水分が飲めれば様子を見てよいですか?

水分が飲めるという条件だけでは、受診を待ってよいとは決められません。新しい発熱は診断元へ連絡する目安で、皮膚の赤みや痛みの増加、ぐったりした様子も判断に関わります。

呼吸が苦しい、呼びかけへの反応が鈍いなどの変化があれば、普段の予約より救急への相談が優先です。迷うときは、体温だけでなく現在の様子を医療機関へ伝えて受診先を確認します。

とびひが落ち着いたあとに尿が赤くなったら関係がありますか?

まれに溶連菌感染後の腎炎が関わるため、皮膚が落ち着いていても当日中の受診について相談してください。尿が赤く見える原因はほかにもあり、見た目だけで腎炎かどうかを判断するのは困難です。

受診時には、最近とびひと診断された時期を伝えます。顔のむくみや尿の量の減少もあれば、尿の色と合わせて共有すると評価の手がかりになります。

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この記事を書いた人

野田真史のアバター 野田真史 池袋駅前のだ皮膚科 院長

医学博士 / 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

東京大学医学部卒業、同大学院医学博士課程修了。米国ロックフェラー大学への臨床・研究留学、ニューヨーク州医師免許取得を経て、東京大学医学部附属病院助教を務める。2018年、池袋駅前のだ皮膚科を開院。

ニキビやシミといった身近な悩みから難治性の皮膚疾患まで、常に知識を研鑽し、適切な診断・治療を行うことを信条としている。

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