手湿疹を早く治す方法は?主婦湿疹の原因と皮膚科で処方される塗り薬を詳しく解説

家事や仕事で水仕事をするたびに指先が割れ、痛みや痒みに悩まされていませんか。手湿疹は放置すると慢性化し、日常生活に大きな支障をきたします。

原因に合わせた正しいスキンケアと適切な薬の使用を行えば、辛い症状を早期に鎮めることは可能です。

この記事では、手湿疹が起こるメカニズムから、皮膚科医が推奨する薬の塗り方、そして再発を防ぐための生活習慣までを網羅的に解説します。今日からできる具体的な対策を実践し、健やかな手肌を取り戻しましょう。

目次

手だけ荒れるのはなぜ?家事に潜む手湿疹の原因

毎日の炊事や洗濯をしているすべての人に手湿疹が出るわけではありません。なぜ特定の人だけが辛い症状に悩まされるのでしょうか。

皮膚のバリア機能の低下と、日常生活に潜む具体的な刺激因子について解説します。原因を正しく把握することが、治療への第一歩となります。

皮膚のバリア機能が壊れる仕組み

私たちの皮膚の表面には、皮脂膜という天然の保護クリームが存在します。この皮脂膜が水分を保持し、外部の刺激から肌を守っています。

頻繁な水仕事やお湯の使用によって、この皮脂膜は容易に洗い流されてしまいます。皮脂膜が失われると、角質層の水分が蒸発し、皮膚は乾燥して隙間だらけの状態になります。

この隙間から洗剤や細菌などの異物が侵入すると、皮膚の内部で炎症が起こります。これが手湿疹の正体です。

特に、もともと乾燥肌の人やアトピー素因を持つ人は、バリア機能が弱いため、少しの刺激でも湿疹を発症しやすい傾向にあります。手がカサカサし始めたら、それはバリア機能が悲鳴を上げているサインだと捉えてください。

洗剤やお湯が肌に与えるダメージ

食器用洗剤に含まれる界面活性剤は、油汚れを落とす力が非常に強力です。これは同時に、手の皮膚に必要な油分まで根こそぎ奪い取ることを意味します。

特に、「油汚れに強い」と謳われる洗剤ほど、手肌への負担は大きくなります。ゴム手袋をせずに素手で洗い物をすることは、毎日手に脱脂剤を塗っているようなものです。

お湯の温度も重要な要素です。寒い季節には熱いお湯を使いたくなりますが、高温のお湯は皮脂を溶かし出してしまうため、乾燥を加速させます。

体温よりも高い温度のお湯を使い続けることは、自ら手湿疹の原因を作っていると言っても過言ではありません。日々の何気ない習慣が、知らず知らずのうちに手肌を痛めつけているのです。

主な刺激因子と手肌への影響一覧

刺激因子手肌への具体的な作用対策のポイント
合成洗剤(界面活性剤)強力な脱脂作用により、皮脂膜を破壊し角質層を傷つける。綿手袋の上にゴム手袋を着用し、直接触れないようにする。
熱いお湯(40度以上)皮脂を過剰に溶かし出し、皮膚の乾燥とひび割れを招く。33度から35度程度のぬるま湯を使用するよう心がける。
シャンプー・整髪料頭皮用の洗浄成分が、傷んだ手肌には強い刺激となる。洗髪時も手袋をするか、低刺激性の製品を選ぶ。
紙幣や段ボール紙の繊維が水分や油分を吸い取り、物理的な摩擦を与える。事務作業や荷造りの際も、保護用の手袋を着用する。
生鮮食品(肉・魚・野菜)食材のアクや汁が傷口に浸透し、アレルギー反応を起こすことも。調理前にワセリン等で保護膜を作るか、手袋を使用する。

アレルギー性と刺激性の違いを見極める

手湿疹は大きく分けて「刺激性接触皮膚炎」と「アレルギー性接触皮膚炎」の2種類があります。主婦湿疹の多くは、水や洗剤による刺激の蓄積で起こる刺激性接触皮膚炎です。

これは誰にでも起こりうるもので、原因物質に触れる回数や時間が長いほど症状が重くなります。

一方、アレルギー性は、ゴム手袋の成分や特定の金属、植物などに触れることで発症します。この場合、触れた部分だけでなく、全身に症状が広がることもあります。

もし、特定の作業をした時だけ激しい痒みが出る場合は、皮膚科でパッチテストを受け、アレルゲンを特定する必要があります。自分の手湿疹がどちらのタイプかを知ることは、適切な対策を選ぶ上で非常に大切です。

市販薬で様子を見てよい?受診すべき危険なサイン

軽度の乾燥であればセルフケアで改善しますが、症状によっては一刻も早い専門医の診断が必要です。受診が必要な症状の目安について明確にします。

ただの手荒れではない感染症の可能性

指の皮がむけたり、小さな水ぶくれができたりする症状は、手湿疹だけの専売特許ではありません。例えば、「手白癬(てはくせん)」と呼ばれる手の水虫や、「汗疱(かんぽう)」なども似たような症状を引き起こします。

これらは見た目での判別が難しく、自己判断でステロイド薬などを使うと、かえって症状を悪化させる危険性があります。

特に手白癬の場合、顕微鏡検査でカビの一種である白癬菌を確認しなければ診断できません。ステロイドは免疫を抑制するため、カビの増殖を助長してしまいます。

「市販薬を塗っているのに治らないどころか広がってきた」と感じたら、それは薬の選び方が間違っているか、別の病気である可能性が高いです。直ちに使用を中止し、皮膚科を受診してください。

夜も眠れないほどの痒みと痛みへの対処

痒みが強すぎて夜中に目が覚めてしまう、あるいはひび割れが深くて指を曲げることすらできない状態であれば、市販薬での対応は限界です。睡眠不足は皮膚の再生能力を低下させ、さらなる悪化を招く負の連鎖に陥ります。

重度の炎症がある場合、市販薬に含まれる保湿成分がかえって刺激になることさえあります。皮膚科では、炎症を強力に抑えるステロイド外用薬や、痒みを止めるための抗ヒスタミン薬の飲み薬を処方できます。

我慢を重ねて症状をこじらせると、治療期間が長引くだけでなく、爪の変形などの後遺症を残すことにもなりかねません。生活に支障が出るほどの症状は、身体からのSOSだと受け止め、専門家の力を借りましょう。

ステロイドへの不安と正しい使い方

「ステロイドは怖い」「副作用が心配」という理由で、受診をためらう人も少なくありません。手湿疹の治療において、ステロイド外用薬は炎症を鎮めるための最も確実な手段です。

副作用が問題になるのは、不適切な強さの薬を長期間使い続けたり、自己判断で急に止めたりした場合に限られます。

皮膚科医は、患部の状態に合わせて適した強さの薬を選び、使用期間をコントロールします。短期間でしっかりと炎症を叩き、徐々に保湿剤へと切り替えていくのが標準的な治療の流れです。

怖がらずに医師の指示通りに使用することで、副作用のリスクを最小限に抑えながら、辛い症状から早く解放されます。

受診を急ぐべき症状レベルの目安

重症度レベル具体的な自覚症状推奨される行動
軽度(初期)指先がカサカサする、皮膚がつっぱる感じがする。痒みはほとんどない。保湿ケアの徹底。水仕事の際の手袋着用を開始する。
中等度(要警戒)赤みや小さなブツブツが出る。痒みがあり、ひび割れができ始める。市販の治療薬を試すか、改善がなければ早めに皮膚科へ。
重度(危険)強い痒みで眠れない。ぱっくり割れて出血する。汁が出る(浸出液)。市販薬は中止。直ちに皮膚科を受診し、適切な治療を受ける。
感染疑い水ぶくれが広がる。爪が濁る。痛みより痒みが異常に強い。他人に移す可能性もあるため、絶対に触らず即受診。

皮膚科で処方される薬の種類と効果の違い

皮膚科に行くと、チューブに入った薬やクリームの容器を渡されますが、それぞれの薬がどのような役割を果たしているのか理解できていますか。処方される主な薬の種類と、それぞれの目的について詳しく解説します。

炎症を鎮めるステロイド外用薬の役割

手湿疹の治療の主役となるのがステロイド外用薬です。これは腎臓の上にある副腎という臓器から出るホルモンを人工的に合成したもので、強力な抗炎症作用を持っています。

手は他の部位に比べて皮膚が分厚いため、薬の吸収率が悪いという特徴があります。そのため、顔や体に使う薬よりもワンランク強い薬が処方されることが一般的です。

ステロイドには強さに応じて5つのランクがあります。手湿疹では、症状の重さに応じて「ベリーストロング(かなり強い)」や「ストロング(強い)」クラスがよく選ばれます。

医師は、今の炎症を抑えるのに必要な強さを慎重に見極めています。「強すぎるのではないか」と不安に思わず、処方されたランクの薬をしっかりと塗ることが、早期治癒への近道です。

角質を柔らかくする尿素配合クリーム

炎症が治まった後も、指先が硬くゴワゴワしていることがあります。このような状態には、尿素を配合したクリームが処方されます。

尿素には、硬くなった角質タンパク質を分解して柔らかくする作用と、水分を抱え込んで逃さないようにする保湿作用の2つがあります。

ガサガサしたかかとや、厚くなった指先の皮膚には非常に有効ですが、ひび割れや傷がある部分に塗るとしみて痛むことがあります。そのため、傷が塞がってから使うか、傷口を避けて塗るなどの工夫が必要です。

医師の指示に従い、皮膚の状態に合わせて使い分けることが大切です。

主な外用薬の分類と特徴

薬の種類・成分主な作用と目的使用時の注意点
ステロイド外用薬炎症、赤み、痒みを強力に抑制する。治療の要となる薬。医師の指示した期間と回数を守る。自己判断で中断しない。
ヘパリン類似物質高い保湿力と血行促進作用があり、肌のバリア機能を修復する。出血している部位に塗ると血が止まりにくくなる場合がある。
尿素製剤硬くなった角質を溶かして柔らかくし、水分を保持する。傷口やひび割れがあるとしみるため、患部の状態を見て使う。
ワセリン(プロペト)皮膚表面に膜を作り、水分の蒸発と外部刺激の侵入を防ぐ。薬効成分はない保護剤。べたつきがあるが安全性は高い。

血行を促し保湿するヘパリン類似物質

ピンク色のチューブやローションでおなじみのヘパリン類似物質は、乾燥肌治療の基本となる保湿剤です。この成分には、高い保湿効果に加えて、血行を良くする作用があります。

血流が改善されることで、皮膚の新陳代謝が促され、傷んだ組織の修復が早まります。

長期間使用しても副作用の心配がほとんどなく、赤ちゃんから高齢者まで幅広く使われています。手湿疹の治療では、ステロイド薬と併用して処方されることが多くあります。

ステロイドで炎症を抑えつつ、ヘパリン類似物質で肌の土台を整えるという「攻めと守り」の治療が行われます。毎日のハンドケアとして継続的に使用することで、再発予防にも大きな効果を発揮します。

治りが遅いのは塗り方のせい?効果を高める外用のコツ

同じ薬を使っていても、数日で良くなる人と、なかなか治らない人がいます。その違いは「薬の塗り方」にあることが多いです。薬の効果を最大限に引き出し、無駄なく患部に届けるための正しいテクニックを紹介します。

使用量の目安FTU

薬を塗る時、ベタつきを嫌って薄く伸ばしすぎていませんか。外用薬には、効果を発揮するために必要な量があります。

皮膚科では「フィンガーチップユニット(FTU)」という単位が推奨されています。これは、大人の人差し指の先から第一関節までの長さにチューブから出した薬の量(約0.5g)が、大人の手のひら2枚分の面積を塗るのに適した量であるという目安です。

多くの患者さんは、推奨量の半分以下しか塗っていないというデータがあります。量が少ないと、十分な抗炎症作用が得られず、結果として治療期間が長引いてしまいます。

塗った後の肌がテッシュペーパーを乗せても落ちないくらい、しっとりと吸い付く状態が理想的な塗布量です。最初は「こんなに塗るの?」と驚くかもしれませんが、たっぷりと乗せる感覚を身につけましょう。

擦り込まず優しく乗せる

薬を浸透させようとして、患部に強く擦り込んでいませんか。炎症を起こしている皮膚に摩擦を加えることは、火に油を注ぐような行為です。

擦り込むことで皮膚のバリア機能がさらに破壊され、痒みが増したり、炎症が広がったりする原因になります。

正しい塗り方は、薬を患部に「置く」イメージです。数カ所に点在させてから、手のひらを使って優しく広げます。

凹凸のある指先や関節部分は、シワの向きに沿って薬を馴染ませると効果的です。薬は擦り込まなくても、皮膚の温度と成分の力で自然に浸透していきます。肌をいたわるように、フェザータッチでケアすることを心がけてください。

ハンドクリームと薬を重ねる順番

保湿剤とステロイド薬の両方が処方された場合、どちらを先に塗るべきか迷うことがあります。一般的には、広い範囲に保湿剤を塗って肌を整えてから、炎症がある部分にだけステロイド薬を重ねて塗る方法が推奨されます。

ステロイドを必要な場所にピンポイントで作用させることができるからです。

逆に、患部がジュクジュクしている場合などは、医師から異なる指示が出ることもあります。基本ルールを知りつつも、自分の症状に合わせた指示を必ず守ってください。

薬を塗った直後に水仕事をすると全て流れ落ちてしまうため、就寝前やリラックスタイムなど、手をしばらく使わないタイミングで塗布することが成功の鍵です。

薬の効果を高めるための実践ステップ

  • 手を洗い、清潔で水分を拭き取った状態にする。
  • 保湿剤を手のひら全体にたっぷりと広げ、土台を整える。
  • ステロイド薬を人差し指に取り、FTU(第一関節分)を意識する。
  • 炎症がある部分に薬を点在させ、決して擦らずに乗せるように広げる。
  • 亀裂が深い場合は、薬を塗った上から絆創膏や亜鉛華軟膏で保護する。
  • 就寝時は綿手袋を着用し、寝具への付着防止と保湿効果を高める。

水仕事から手を守るガード術と手袋の選び方

薬で一時的に治しても、原因となる水仕事や刺激を排除しなければ、手湿疹は必ず再発します。しかし、家事をしないわけにはいきません。物理的に刺激を遮断する「保護」の工夫と、手肌を守るための具体的な方法を伝授します。

綿手袋とゴム手袋の二重着用が効果的

ゴム手袋は水仕事の必須アイテムですが、直接着用するとゴムの成分でアレルギーを起こすことがあります。内部で汗をかいて蒸れてしまい、かえって手荒れを悪化させるケースも少なくありません。

これを防ぐ最善の方法が、インナーとして綿の手袋を着用する「二重手袋」です。

綿の手袋は汗を吸い取り、ゴムの刺激から皮膚を守るクッションの役割を果たします。少し手先の感覚は鈍りますが、慣れれば問題なく作業できます。

綿手袋は複数枚用意し、汗をかいたらこまめに取り替えて洗濯することで、常に清潔な環境を手元に保てます。このひと手間が、手湿疹の治りを早めます。

洗剤選びで変わる手肌への負担

ゴム手袋がどうしても使えない場面では、洗剤そのものを見直す必要があります。一般的な食器用洗剤は、洗浄力を高めるために高濃度の合成界面活性剤が含まれています。

手荒れに悩む時期だけでも、界面活性剤の濃度が低いものや、アミノ酸系、ヤシノミ由来などの低刺激性洗剤に切り替えることをお勧めします。

洗剤を原液のままスポンジにつけて泡立てるのではなく、洗い桶に水を張り、洗剤を薄めてから使う「つけ置き洗い」も有効です。

洗剤の濃度を薄めることで、汚れを落とす力は維持しつつ、手肌への直接的なダメージを大幅に減らすことができます。毎日のことだからこそ、小さな負担軽減の積み重ねが大きな差となって現れます。

用途別おすすめ手袋の特徴と選び方

手袋の種類特徴とメリット適した使用シーン
綿手袋(インナー用)通気性が良く吸汗性に優れる。肌触りが優しく刺激が少ない。ゴム手袋の下履き、就寝時の保湿ケア、乾燥作業時。
ニトリル手袋耐油性・耐薬品性が高く、薄手で指先の感覚が分かりやすい。細かい作業や料理、薬品を扱う掃除。ラテックスアレルギーの人向け。
ポリエチレン手袋安価で使い捨てしやすい。着脱が容易だがフィット感は低い。ハンバーグをこねる等の短時間の調理、汚物処理。
厚手ゴム手袋(裏起毛)保温性が高く、冷たい水仕事でも手が冷えにくい。丈夫で長持ち。冬場の食器洗い、お風呂掃除、ガーデニングなどの重作業。

シャンプーや洗顔時の注意点

水仕事はキッチンだけではありません。入浴時のシャンプーや洗顔も、手荒れの原因になります。

特にシャンプー剤は脱脂力が強く、傷ついた手には激痛を伴う刺激となります。頭を洗う際にも、使い捨ての薄手の手袋(ニトリル製など)を着用することをお勧めします。

髪の毛が絡まるのを防ぐため、手袋をした上から輪ゴムで手首を止めると水が入りにくくなります。もし手袋が難しい場合は、シャンプーブラシを使って直接洗剤に触れる時間を減らすのも一つの手です。

お風呂上がりは皮膚が最も乾燥しやすいタイミングなので、出たらすぐに薬と保湿剤を塗る習慣をつけてください。

体の内側から整える、食事と睡眠が肌に与える影響

皮膚は食べたものから作られます。外側からのケアで症状を抑えることはできても、健康な皮膚を作り出す力が不足していては、完治には至りません。

栄養バランスの乱れや睡眠不足は、ターンオーバー(皮膚の生まれ変わり)を遅らせ、治癒を妨げます。皮膚再生に必要な生活習慣について解説します。

皮膚の再生を助ける栄養素

手湿疹の回復を早めるためには、皮膚の材料となるタンパク質を中心に、ビタミン類を積極的に摂取することが大切です。

特にビタミンAは皮膚や粘膜の健康を維持し、ビタミンB群は代謝を助け、ビタミンCはコラーゲンの生成に関わります。また、亜鉛などのミネラルも細胞分裂には必要です。

ダイエットや偏食でこれらの栄養素が不足すると、新しい皮膚が作られにくくなり、ひび割れがなかなか塞がらない原因になります。

サプリメントで補うのも一つの方法ですが、基本は食事からです。肉、魚、卵、大豆製品をバランスよく食べ、彩りの良い野菜を添えることで、体の中から治癒力を高めることができます。

ストレスと睡眠不足が招く悪循環

「ストレスで手湿疹が悪化する」というのは医学的にも根拠があります。ストレスを感じると自律神経が乱れ、血管が収縮して血行が悪くなります。

さらに、免疫機能のバランスが崩れ、炎症が起きやすい状態になります。痒みで眠れないストレスがさらに痒みを呼ぶという悪循環もよく見られます。

皮膚の修復は、成長ホルモンが多く分泌される睡眠中に行われます。質の良い睡眠を確保することは、どんな高価な薬にも勝る治療法です。

寝る前のスマホを控えたり、ぬるめのお湯に浸かってリラックスしたりして、副交感神経を優位にする工夫をしましょう。手を休めるだけでなく、心と体を休めることが、結果として手湿疹の改善につながります。

冷え対策の大切さ

冬場に手湿疹が悪化しやすいのは、乾燥だけでなく、寒さによる血行不良が大きく関係しています。指先などの末端は血液が届きにくく、栄養が行き渡りにくい場所です。

体が冷えていると、どれだけ栄養を摂っても患部まで届きません。

手首や足首を温める、温かい飲み物を摂る、適度な運動をするなどして、全身の血流を良くすることを意識してください。家事の合間に手首を回したり、グーチョキパー運動をしたりするだけでも効果があります。

温かい血が巡ることで、痛んだ皮膚の修復作業がスムーズに進みます。

肌の再生をサポートする食材

  • 皮膚や粘膜を丈夫にするビタミンA(βカロテン):人参、かぼちゃ、ほうれん草、レバー、うなぎ
  • 皮膚の代謝を促すビタミンB2・B6:納豆、卵、乳製品、カツオ、マグロ、バナナ
  • 抗酸化作用とコラーゲン生成を助けるビタミンC・E:ブロッコリー、キウイ、ナッツ類、アボカド
  • 細胞の新生に必要な亜鉛:牡蠣、牛肉、豚レバー、カシューナッツ
  • 肌の原料となる良質なタンパク質:鶏むね肉、ささみ、白身魚、豆腐

繰り返さないための完治後のメンテナンスと予防

症状が治まったからといって、すぐに元の生活習慣に戻してはいけません。治りかけの皮膚はまだ薄く、バリア機能は完全には回復していません。

ここで気を抜くと、すぐに再発してしまいます。再発を防ぎ、美しい手肌を維持するための長期的なケアについて解説します。

保湿ケアをルーティン化する工夫

手湿疹の予防において最も重要なのは「乾燥させないこと」です。手を洗った後、水分を拭き取ってから保湿剤を塗るまでの時間は、短ければ短いほど良いとされています。

時間が経つにつれて皮膚の水分は急速に失われるからです。

こまめな保湿を習慣づけるコツは、ハンドクリームを目につく場所に複数配置することです。キッチンのシンク横、洗面所、トイレ、寝室の枕元、そしてバッグの中。

塗りたいと思った瞬間に手が届く場所に置いておくことで、塗り忘れを防げます。特に水仕事の後と入浴後は、必須のタイミングとして生活に組み込んでください。

生活シーン別・保湿のベストタイミング

タイミングケアの理由とポイント推奨アイテム
水仕事の直後皮脂膜が洗い流されているため、即座に油分を補給が必要。ポンプ式の保湿乳液(手軽さ重視)
入浴後皮膚が水分を含んで柔らかいが、蒸発も早い。5分以内に塗布。全身用ボディクリームやヘパリン製剤
就寝前長時間手を洗わないため、濃厚なケアが可能。修復のゴールデンタイム。尿素クリームやワセリン+綿手袋
外出前紫外線や外気による乾燥から手を守るバリアを作る。UVカット効果のあるハンドクリーム

洗いすぎに注意、手洗いの回数を見直す

感染症対策などで頻繁に手を洗う習慣がついている人も多いですが、過剰な手洗いやアルコール消毒は手荒れの大きな原因です。

汚れが目に見えない場合は、洗浄剤を使わずにぬるま湯だけで洗う、あるいは外出先ではアルコール消毒の代わりに携帯用のハンドソープを使うなど、状況に応じた使い分けが必要です。

アルコール消毒は脱脂作用が強いため、使用後は必ず保湿剤をセットで使うようにしましょう。

手を拭く際もハンカチやタオルでゴシゴシ擦るのではなく、優しく押さえるようにして水分を吸い取ることが大切です。清潔を保ちつつ、必要な皮脂まで洗い流さないバランス感覚が求められます。

季節の変わり目と事前の対策

手湿疹は秋から冬にかけて悪化する傾向がありますが、春先や季節の変わり目にも肌の状態は揺らぎやすくなります。乾燥シーズンが到来する前から、予防的に保湿ケアのレベルを上げることが賢明です。

湿度が下がり始めたら、さっぱりタイプのローションから、油分の多いクリームやバームへと切り替えます。少しでもカサつきを感じたら、早めに就寝時の綿手袋を開始しましょう。

悪化してから治す労力よりも、悪化させないための予防の労力の方がはるかに少なくて済みます。自分の肌の年間リズムを知り、先回りしてケアすることが、再発防止の鍵となります。

よくある質問

ステロイド外用薬を塗ると皮膚が黒くなるというのは本当ですか?

ステロイド外用薬の副作用で皮膚が黒くなるということはありません。

皮膚が黒ずんで見えるのは、炎症が長く続いた結果として起こる「炎症後色素沈着」という現象です。

むしろ、ステロイドへの恐怖心から使用を控えたり、不十分な治療で炎症を長引かせたりすることの方が、色素沈着のリスクを高めます。

早めに適切な強さの薬を使って炎症を鎮めることが、結果としてきれいな肌を取り戻すことにつながります。

妊娠中や授乳中に手湿疹の薬を使っても赤ちゃんに影響はありませんか?

手湿疹で処方される範囲のステロイド外用薬であれば、妊娠中や授乳中に使用しても赤ちゃんへの影響はまずありません。

外用薬は飲み薬と異なり、皮膚から吸収されて血液中に入り、全身を巡る量はごく微量だからです。

痛みを我慢してストレスを溜める方が母体によくありません。

ただし、自己判断は避け、必ず医師や薬剤師に妊娠中または授乳中であることを伝えた上で処方された薬を使用してください。

ワセリンなどの保湿剤だけで手湿疹を完治させることはできますか?

軽度のカサつき程度であれば、ワセリンなどの保湿剤と手袋による保護だけで改善することもあります。

しかし、赤み、痒み、水ぶくれ、ひび割れなどの炎症症状が出ている場合、保湿剤だけでは治りません。

保湿剤には炎症を抑える作用がないためです。

炎症がある場合はステロイド外用薬で火事を消し止め、その後の維持療法として保湿剤を使うという順序が必要です。

ハンドクリームを塗ると痒みが増すような気がしますがなぜですか?

傷口や炎症がひどい部分に市販のハンドクリームを塗ると、香料や防腐剤、あるいは尿素などの成分が刺激となって痒みや痛みを引き起こすことがあります。

また、クリームを塗る際の摩擦が刺激になっている可能性もあります。

しみる場合は使用を中止し、刺激の少ないワセリンに変えるか、皮膚科で処方された薬のみを使用するようにしてください。

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この記事を書いた人

野田真史のアバター 野田真史 池袋駅前のだ皮膚科 院長

医学博士 / 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

東京大学医学部卒業、同大学院医学博士課程修了。米国ロックフェラー大学への臨床研究留学、ニューヨーク州医師免許取得を経て、東京大学医学部附属病院助教を務める。2018年、池袋駅前のだ皮膚科を開院。

ニキビやシミといった身近な悩みから難治性の皮膚疾患まで、常に知識を研鑽し、適切な診断・治療を行うことを信条としている。

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