ナイアシンアミドとアゼライン酸の違いとは?

ナイアシンアミドはシワ改善の有効成分として、厚生労働省から承認されている成分のひとつです。その効能から、さまざまな化粧品に使われ注目されています。また日本ではアゼライン酸も化粧品の成分の一種として知られ、抗炎症作用や抗菌作用が期待できます。

今回は、ナイアシンアミドとアゼライン酸の効果や二つの成分の違い、副作用や注意点、併用可能かどうかなどをご説明します。

ナイアシンアミドとは?

ナイアシンアミドとは、ビタミンB群の一種で別名を「ニコチン酸アミド」といいます。化粧水や美容液などの化粧品に含まれ、注目を集めている美容成分です。

ナイアシンアミドは体内の必須アミノ酸の一種であるトリプトファンから合成され、食品ではキノコ類、カツオなどに豊富に含まれ、血行促進作用や皮膚や粘膜を正常に保つサポートします。また美容効果として、美白やシミ予防、シワ改善などの効果が期待できます。また厚生労働省からシワ改善有効成分として認可されています。

ナイアシンアミドには角質層のバリア機能をサポートするため、特に敏感肌に適しています。また抗炎症作用をもち、保湿効果も期待できるため、ニキビにお悩みの方や乾燥肌の方など、あらゆる肌質の方に適している成分といえます。

ナイアシンアミドには、主に以下のような作用があります。

肌のバリア機能の修復作用

肌には外部の刺激などから肌を守るバリア機能があります。バリア機能では細胞間脂質のほとんどがセラミドで構成されています。ナイアシンアミドはセラミドの生成を促進するため、セラミドの生成を促進することでバリア機能の修復や肌を健やかに保つ効果が期待できます。

美白作用

ナイアシンアミドはメラニンの生成を抑制することに加え、メラニンが表皮へ移動することを防ぐはたらきがあるといわれています。シミやそばかすの予防につながり、美白作用が期待できます。

抗シワ作用

ナイアシンアミドは真皮層の線維芽細胞にはたらきかけ、コラーゲンの生成を促すことが知られています。コラーゲンの生成によって肌にハリや弾力を与え、シワやたるみの改善などが期待できます。

アゼライン酸とは?

アゼライン酸はライ麦や小麦などの穀物など、天然由来の成分で普段から摂取している成分です。もともとは美白作用があることで注目され、海外ではニキビの治療薬として使用されています。

アゼライン酸を20%、または15%配合した外用薬は、アメリカやアジア、ヨーロッパなどで医療用医薬品として承認され、主に尋常性ざ瘡には20%配合クリーム、主に酒さでは15%配合ゲルが治療で使用されています (1)。

一方、日本では化粧品の成分のひとつとして分類され、医薬品として認可されていません。自然由来成分であることから、刺激や副作用が少なく、どのようなタイプの肌質の方にも適しています。またニキビ治療薬の中には妊娠中に使用できない薬もありますが、アゼライン酸は使用可能です。

アゼライン酸には、皮脂分泌の抑制作用、抗炎症作用、殺菌作用、肌表面の角層が異常に厚くなる状態を抑える作用など、さまざまなはたらきを持ちあわせていることが特徴です。主に以下のようなお悩みに効果が期待できます。

ニキビ

アゼライン酸がもつ皮脂分泌の抑制や抗炎症作用などがあるため、ニキビの予防・改善、アクネ菌の増殖を抑制し、炎症を抑える効果が見込まれます (1)。またニキビだけでなく、ニキビ炎症による色素沈着に対する効果があります。アゼライン酸はメラノサイトの活性を抑え、メラニンが過剰に生成されることを防ぎます。

酒さ・赤ら顔

酒さや赤ら顔は、肌表面の血管がなんらかの原因によって透けてみえている状態です。顔に赤いポツポツができるタイプや顔全体が赤くなるタイプなどがあり、薬物療法やレーザー療法など症状に合った治療を行います。アゼライン酸も酒さの一部の症状に対して効果的です。

ナイアシンアミドとアゼライン酸の比較

項目ナイアシンアミドアゼライン酸
効果肌のバリア機能の修復作用、色素沈着改善作用、抗シワ作用など角化異常の抑制作用、抗炎症作用、抗菌作用、皮脂抑制作用、色素沈着改善作用など
お悩みくすみ、シワ、ニキビなどニキビの予防・改善、酒さ・赤ら顔、皮脂、毛穴、くすみなど
特に適した肌質敏感肌、オイリー肌、くすみ肌、乾燥肌、混合肌オイリー肌、敏感肌、くすみ肌
メリット刺激感が少なくさまざまな肌質で使用できるため、年間を通して使いやすい天然由来成分でニキビ、赤ら顔、くすみと多くの皮膚の悩みにアプローチできる

併用は可能?

ナイアシンアミドとアゼライン酸は併用可能です。当院では、当院独自で開発販売している「ベーシックケアAZ」を処方しています。

ベーシックケアAZは、ナイアシンアミドとアゼライン酸を両方配合することによって過剰な皮脂分泌を抑制し、ニキビの発生しにくい状態を保ちます。また角層間脂質のセラミドを配合することにより皮膚バリア機能を高め、保湿効果を高めています。

アゼライン酸誘導体を3%配合し、保湿成分にアミノ酸を配合した化粧水タイプのベーシックケアAZクリアローションもお使いになれます。

肌に使用するベーシックケアAZシリーズには化粧水と乳液があり、化粧水単体でも効果が期待できますが、化粧水と乳液をライン使いすることによってより効果が高まるように成分を配合しています。ニキビ肌や乾燥肌、混合肌、酒さや赤ら顔にお悩みの方など、どのようなタイプの肌質の方にも適しています。まずは2週間ほどのご使用を推奨しています。

ベーシックケアAZについて、詳しくはこちらをご覧ください。

料金

以下は、自由診療(自費)です。

ベーシックケアAZクリアローション
(化粧水)
4,400円(税込)
ベーシックケアAZ(乳液)4,400円(税込)

気になる肌トラブルがある方は、池袋駅前のだ皮膚科へ

ナイアシンアミドは肌のバリア機能を整えるほか、美白作用や抗シワ改善などが期待できます。またアゼライン酸は抗炎症作用や抗菌作用があり、ニキビの予防や改善、酒さや赤ら顔の改善に効果が見込まれます。基本的にはどちらも使用する人の肌質を選ばないため、幅広い層の方に適しています。

気になる肌トラブルがある方、ニキビや酒さ、赤ら顔などを改善したい方は当院へお気軽にご相談ください。

【池袋駅前のだ皮膚科院長| 野田 真史 監修】

副作用・注意点

各成分の効果には個人差があります。気になる症状がみられた場合には、すみやかに医師へ相談しましょう。

ナイアシンアミド

すべての方の肌に合うわけではありません。
高濃度の化粧品を使用した場合、肌への刺激になることがあります。

アゼライン酸

使用してすぐは塗布直後に刺激感が出ることがあります (1)。
皮膚が乾燥している場合は刺激を感じやすいです。十分に保湿してから塗布しましょう (2)。
特に酒さの患者さまはさまざまな成分を刺激として感じやすいため、注意しましょう。

肌の赤みやかゆみ、痛みやピリピリ感などを生じることがあります。通常少しずつ落ち着きます。2週間以上続く場合には、主治医へ相談しましょう。
他の成分との併用は基本的に問題ありませんが、刺激性の成分との併用は避けましょう。

【参考文献】

(1) https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/zasou2023.pdf
(2) 山﨑研志.The 酒皶:reloaded.酒皶・赤ら顔の治療.Visual Dermatology.秀潤社.22(5).p428-432.2023