アトピー治療薬 |プロトピック|塗り薬

プロトピックとは?

プロトピック

プロトピックは体の過剰な免疫反応を抑えて、アトピー性皮膚炎のかゆみや炎症を抑えるお薬です。
ステロイド外用薬でいうと、5段階あるうち、下から2番目のミディアムから真ん中のストロングと同じくらいの強さです。

【ステロイド外用薬:5段階のランク】

  1. 最も強い(Strongest)
  2. とても強い(Very Strong)
  3. 強い(Strong)
  4. 普通(Medium)
  5. 弱い(Weak)

プロトピックには、16歳以上に使用可能な0.1%製剤と2~15歳の小児用の0.03%製剤があります。
なお、安全性が確立していないので、2歳未満の小児には使えません。

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021では、「2歳以上のアトピー性皮膚炎患者の症状改善を目的としてプロトピック軟膏はすすめられる」(推奨度:1、エビデンスレベル:A**(治療を勧められる))としています。

*推奨度:1(強い推奨)・2(弱い推奨)

**エビデンスレベル:A(高い)・B(低い)・C(とても低い)

プロトピックの使い方

使用方法/使用回数

大人は、通常、0.1%製剤を1日1〜2回、患部に適量を塗ります。
1回あたりの塗布量は、5gまでです。
子どもは、通常、0.03%製剤を1日1〜2回、適量を患部に塗布します。
1回あたりの塗布量の上限は5gまでです。
1日2回塗布する場合は、およそ12時間間隔で塗布するようにしましょう。

使用量

使用量の目安は、大人の手のひら2枚分で1FTUです。
1FTU(finger tip unit)とは、チューブで絞りだした、人差し指第一関節分の量のことです。
塗ったところを光にかざした時にテカるくらいの量が適切です。

使用期間

治療開始2週間以内に症状が改善しない場合は、使用を中止し、医師に相談してください。

その他

  • 症状が改善した場合、医師が継続投与の必要性について検討します。
    漫然と長期間、使用しないでください。
    プロトピックの有効成分の粒は大きいので、状態の悪いガサガサしているところに作用しますが、正常な皮膚へは作用しないからです。
  • 皮膚がジュクジュクしている部分や潰瘍、おできやニキビができているところには使わないようにしましょう。
  • 日常生活の紫外線は問題ありませんが、海や山などへ行く前は使わず、帰宅後使用しましょう。
  • 目の周りに塗るときは、綿棒や清潔な指を使って、広げるように塗りましょう。
    万が一、目の中に入った場合はすぐに水で洗い流してください。

プロトピックの副作用・注意事項等

禁忌

以下の方にプロトピックは使えません。

  • 患部に潰瘍や局面を形成しているびらんのある方
  • 重症の腎障害や高カリウム血症の方
  • 魚鱗癬様紅皮症を示す疾患(Netherton症候群など)の方
  • プロトピックの成分にアレルギーを起こしたことがある方
  • PUVA療法などの紫外線療法を実施中の方

2歳以上の子どもには低濃度の0.03%製剤を使用します。
低出生体重児、新生児、乳児または2歳未満の子どもを対象とした臨床試験は実施していないので、2歳未満の子どもには使用できません。

副作用

プロトピックを使うと、刺激感(ヒリヒリ感、しみるなど) や熱感 (灼熱感、ほてり感など)、そう痒感 があらわれる場合があります。
塗った直後の刺激感やほてりなどは、たいていの場合は、塗り続けて皮膚の状態が良くなるにつれて改善し、1週間ほどで治まります。

刺激感は入浴時に一時的に強くなるので、入浴後、体のほてりがおさまってから塗りましょう。
気になるような症状がある場合は、医師もしくは薬剤師にご相談ください。

長期連続使用すると、ニキビや酒さ様皮膚炎(赤みと皮膚のぼつぼつ)を引き起こすことがあります。
使用が長期になる場合は、週2回の使用にするなど、頻度を落としてください。

プロトピックとの関連性ははっきりしていませんが、悪性リンパ腫や皮膚がんの発現が報告されています。
しかし、アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021では、「プロトピック軟膏の使用は皮膚がんやリンパ腫の発症リスクを高めるとはいえない」(エビデンスレベル:B**)としています。

**エビデンスレベル:A(高い)・B(低い)・C(とても低い)

注意事項

治癒した場合は使用を中止します。

費用(薬価)

プロトピック軟膏0.1%、0.03%小児用の薬価は「74.70 円/g」「83.80 円/g」です。
どちらも5g規格なので、公的保険が適用された3割負担の場合、「112円」「125円」になります。

プロトピック軟膏0.1%の後発医薬品(タクロリムス軟膏0.1%)の薬価には、「41.00円/g」と「36.70円/g」の2種類があります。
それぞれ5g規格なので、公的保険が適用された3割負担の場合、「61円」「55円」になります。
しかし、0.03%小児用には、まだ後発医薬品がありません。

*薬剤費のみの価格です。

薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和6年2月1日適用)

保管および取り扱い上の留意点

  • 小さい子どもの手の届かない所へ、密栓したまま保管しましょう。
  • 有効期間は2年です。使用期限を過ぎたものは使用しないでください。

プロトピックのよくある質問

プロトピック軟膏は何に効くの?

過剰な免疫反応をおさえて、アトピー性皮膚炎の炎症やかゆみなどの症状を改善します。

プロトピック軟膏は使い続けるとどうなる?

プロトピックの有効成分の粒は大きいので、状態の悪いところには作用しますが、正常な皮膚へは作用しません。
しかし、アトピー性皮膚炎の症状が改善した後も、まだ炎症の火だねが残っている場合があります。
症状が改善したからといって、すぐに塗るのをやめてしまうと、再燃してしまうかもしれません。そのため、医師の指示がある間は、塗り続けてください。

プロトピックはステロイドが入っていますか?

プロトピックにステロイドは入っていません。アトピー性皮膚炎の炎症やかゆみを抑えますが、ステロイド外用薬でみられるような皮膚萎縮や毛細血管拡張といった副作用はほとんどありません。

プロトピックを顔に塗っても大丈夫?

プロトピックを顔に塗っても大丈夫です。
首や顔は皮膚が薄いので、体幹部に比べて副作用が出やすいですが、そういった部分のアトピー性皮膚炎の治療にもプロトピックは使えます。顔に長期連続使用すると、ニキビや酒さ様皮膚炎(赤みと皮膚のぼつぼつ)を引き起こすことがあります。
使用が長期になる場合は、週2回の使用にするなど、頻度を落としてください。


参考文献

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021
添付文書|プロトピック軟膏0.1%
添付文書|プロトピック軟膏0.03%小児用
インタビューフォーム|プロトピック軟膏0.1%
インタビューフォーム|プロトピック軟膏0.03%小児用
マルホ|プロトピック 患者さん指導用動画一覧