「赤ら顔を治したい」「赤ら顔の症状がなかなか改善されない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
赤ら顔の悩みにアプローチする成分として、「アゼライン酸」があります。海外では以前から使われており、日本でも徐々に知られるようになってきました。
この記事では、アゼライン酸の赤ら顔への効果、赤ら顔の原因などについて詳しくお伝えします。
目次
アゼライン酸の赤ら顔への効果とは?
「赤ら顔」と一言に言っても、一時的なほてりなどの生理的な反応から、皮膚疾患や全身性の病気に伴うものまで、原因は様々です。全ての赤ら顔にアゼライン酸が有効なわけではありませんが、特に、酒さやニキビ(尋常性痤瘡)に伴う赤みに対して効果が期待されています。
日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」においても、アゼライン酸は酒さに対する治療の選択肢の一つとして推奨されています(推奨度C1:選択肢の一つとして推奨する)。
酒さは、顔の赤みやほてり、ニキビに似たブツブツが主な症状です。アゼライン酸は、炎症を抑える作用や、毛穴の詰まりに関わる角化異常を整える効果があり、これらの症状改善に役立つと考えられています。
また、ニキビによる赤みや腫れに対しても、アゼライン酸の抗炎症作用を見込めます。さらに、抗菌作用によって、ニキビの原因菌であるアクネ菌の増殖を抑える働きも期待できます。
赤ら顔の原因
赤ら顔の原因はさまざまですが、ここでは代表的な症状である酒さとニキビについて解説します。
酒さ
酒さは、鼻や頬を中心に赤みやほてり、ニキビのようなブツブツが現れる慢性の皮膚疾患です。はっきりとした原因を特定することは難しいとされていますが、遺伝的な要因や免疫系の異常、皮膚の常在菌や毛包虫(ニキビダニ)、血管の反応異常などが複雑に関わっていると考えられています。
原因は不明な点が多いものの、症状を悪化させる要因(増悪因子)はいくつか知られています。
具体的には、紫外線への暴露、暑さや寒さといった外気温の急激な変化、香辛料などの刺激の強い食べ物の摂取、そしてアルコールの摂取などです。これらの刺激を日常生活で避けることが、症状のコントロールにつながる可能性があります。
ニキビ
ニキビ(尋常性痤瘡)は、男性ホルモンの作用で皮脂の分泌が盛んになる思春期以降に起こりやすい皮膚疾患です。
ニキビは、まず毛穴が角化異常(角質が厚くなるなど)により閉塞することから始まります。出口を失った皮脂が毛包内(毛穴の奥)に溜まり、この溜まった皮脂を栄養源として、毛包内に常在しているアクネ菌が増殖、炎症を引き起こすようになるのです。この炎症の結果、赤みや腫れ、時には膿を持ったニキビとなります。
根本的な原因に加え、栄養バランスの取れていない食生活や睡眠不足といった生活習慣の乱れ、ストレス、不適切なスキンケアなどもニキビを悪化させる原因として知られています。
アゼライン酸の特徴
ここでは、アゼライン酸の特徴について、解説します。
特徴
アゼライン酸は、小麦やライ麦といった穀物に含まれている天然由来の成分(飽和ジカルボン酸)です。肌に対しては、主に以下の4つの作用が期待されています。
- 抗炎症作用:赤みや腫れなどの炎症を抑える
- 抗菌作用:ニキビの原因となるアクネ菌などの増殖を抑える
- 皮脂分泌抑制作用:過剰な皮脂の分泌を抑える
- 角化抑制作用:毛穴の詰まりにつながる角化異常を整える
海外ではニキビや酒さの治療薬として30年以上の長い使用実績がありますが、現在の日本では医薬品としては未承認で、主に化粧品として販売されています。比較的マイルドな作用のため、妊娠中・授乳中の方や敏感肌の方でも使用しやすい点がメリットです。
一方で、濃度が高い製品では、使い始めに一時的なかゆみやピリピリとした刺激感が出ることがあります。
おすすめな方
アゼライン酸は、以下のような方におすすめです。
- 赤ら顔で悩んでいる方
- 皮脂が多くて、ニキビができやすい方
- 毛穴のトラブルに悩む方
- 妊娠中や授乳中の方
- 刺激感や乾燥などの副作用が少なめのケア用品を探している方
幅広い方に使っていただける成分です。
ベーシックケアAZについて
ベーシックケアAZは、当院が酒さやニキビに悩む方のために独自に開発した専用スキンケア製品です。注目成分のアゼライン酸を主軸に、肌のコンディションを整えるナイアシンアミド、うるおいを守るセラミドといった成分も配合しています。
海外でニキビや酒さの治療薬に使われているアゼライン酸の濃度は15~20%です。しかしベーシックケアAZシリーズには、治療薬よりも濃度を抑えてアゼライン酸が配合されています。毎日のスキンケアに適した濃度で調整されているため、肌にやさしく日常的にお使いいただけます。
現在、ラインナップは、乳液、クリアローション(化粧水)、スカルプシャンプーの3種類です。ご購入は、当院に直接ご来院いただく方法のほか、診察やカウンセリング不要でご利用いただけるオンラインショップが便利です。
また、東京大学病院、帝京大学病院などの医療機関や、全国のクリニック、エステサロン、薬局といった100以上の提携機関でも販売されており、多くの方にご利用いただいています。
ベーシックケアAZの詳細はこちらからご覧ください。
症例
AZAクリアとベーシックケアAZを酒さに併用した症例
治療内容 | 酒さの症状にお悩みだった20代女性の患者様です。 他院にて1年半治療を続けても酒さの赤みやボツボツとした症状が治らなかったとお悩みでした。他院ではプロトピックの外用薬を処方されていましたが、当院では「ロゼックスゲル(成分名:メトロニダゾール)」と「イベルメクチンクリーム」を処方しました。 しかし薬が肌に合わずに症状が悪化したため、処方薬を中止しました。 その後Vビームの施術を1回、「AZAクリア」と「ベーシックケアAZ」を毎日塗布して対応しました。受診時には画像左のように肌の赤みやボツボツが目立っていました。 しかし治療をして1カ月半後の画像右では、赤みやボツボツとした症状が目立ちにくくなりました。 |
治療期間・回数 | 約1カ月半・毎日の外用 |
費用 | 以下の治療は、公的医療保険が適用されない自由診療(自費診療)です。 ・Vビーム2 顔全体 33,000円(税込) ・AZAクリア 1本15g 1,980円(税込) ・ベーシックケアAZ 1本60g 4,400円(税込) 合計費用:39,380円(税込) |
リスク・副作用 | Vビーム2:赤み、むくみ、水疱、色素沈着、色素脱失 AZAクリア:赤み、かゆみ ベーシックケアAZ:赤み、かゆみ |
担当医師コメント | 酒さの代表的な治療成分は「メトロニダゾール」、「イベルメクチン」、「アゼライン酸」です。 今回のように他の治療方法が肌に合わなくても、アゼライン酸で期待した効果を実感することもあります。 |
ベーシックケアAZを酒さに使用した症例
※この症例報告は、わか皮ふ科クリニックの石田和加先生より提供されたものです。
治療内容 | 酒さの症状にお悩みだった40代女性の患者様です。 他院で処方されたステロイドを数年間外用していたため、まずはステロイドを中止して、保険適用内の「ロゼックスゲル(成分名:メトロニダゾール)」を処方しました。 ロゼックスゲルの添付文書上は、12週を超えての使用が推奨されていないことから12週間で治療を終了しました。 その後は患者様のご希望により、「ベーシックケアAZ」を毎日塗布して対応しました。ベーシックケアAZの使用前には、画像左のように肌の赤みやボツボツが目立っていました。しかしベーシックケアAZを使用して3カ月半後の画像右では、赤みやボツボツとした症状が目立ちにくくなりました。 |
治療期間・回数 | 約3カ月半・毎日のベーシックケアAZ外用 |
費用 | <保険診療> ・ロゼックスゲル0.75%(成分名:メトロニダゾール) 15g 1462.5円(3割負担の場合438.75円 <自由診療(自費診療)> 以下の治療は、公的医療保険が適用されない自由診療(自費診療)です。 ・ベーシックケアAZ 1本60g 4,400円(税込) |
リスク・副作用 | ロゼックスゲル:赤み、かゆみ、乾燥肌、痛みなど ベーシックケアAZ:赤み、かゆみ |
担当医師コメント | 治療薬よりアゼライン酸の濃度が低めでも、スキンケアとして長期間塗布することで酒さの炎症がおさまることもあります。 ただし一度おさまったとしても酒さの症状は再燃することがあるため注意しましょう。日常的なスキンケアとして「ベーシックケアAZ」を使用すると、健康的な肌状態を目指しやすくなります。 |
ベーシックケアAZをニキビに使用した症例
※この症例報告は、遠山クリニックの遠山昭子先生より提供されたものです。
治療内容 | ニキビの症状でお悩みだった12才の患者様です。最初は症状が強かったため、ベーシックケアAZとエピデュオゲルを併用して治療を行いました。1カ月の治療で改善したため、その後はベーシックケアAZのみの使用に切り替え、2カ月後にはさらにいい状態を維持できています。 |
治療期間・回数 | 約2カ月間のベーシックケアAZの外用。 最初の1カ月間はエピデュオゲルの外用を併用 |
費用 | ベーシックケアAZ 1本60g 4,400円(税込) |
リスク・副作用 | ベーシックケアAZ:赤み、かゆみ |
担当医師コメント | 症状が強いときは治療薬とベーシックケアAZの併用が推奨です。エピデュオゲルは効果は高いものの乾燥しやすいのが弱点で、ベーシックケアAZの保湿効果で乾燥を防げます。 ニキビの症状改善後のメンテナンスには、ベーシックケアAZ単独でニキビが出にくい状態を保つことができます。 |
ベーシックケアAZを頬の赤みに使用した症例
※この症例報告は、目黒げんクリニックの加藤真梨子先生より提供されたものです。
治療内容 | 頬の赤みに対して、ベーシックケアAZ(乳液タイプ)を約3カ月使用して赤みが改善。 2枚目の写真はVISIAという画像解析装置での結果で、赤みが減少しているのがわかります。 |
治療期間・回数 | 約3カ月の外用 |
費用 | ベーシックケアAZ 4,400円 |
リスク・副作用 | 痒み、赤み、かぶれ |
担当医師コメント | 治療過程でたるみ治療でボルニューマを1回とトラネキサム酸の外用も行っていますが、赤みへの効果はアゼライン酸やナイアシンアミド含有のベーシックケアAZの効果がメインと考えます。スキンケアのみでも赤みが改善する場合があります |
費用
製品名 | 価格(税込) |
ベーシックケアAZ 乳液 60g | 4,400円 |
ベーシックケアAZ クリアローション 125ml | 4,400円 |
ベーシックケアAZ シャンプー 150ml | 4,400円 |
治療の流れ
当院では、以下のような流れで治療しています。
- 診察・カウンセリング
- 施術
- アフターケア
ご自身のお肌のお悩みや施術のご希望は、診察時に医師にお伝えください。専門医が診察し、状態やご希望に沿った最適な治療方法を提案いたします。
よくある質問
Q. アゼライン酸は赤ら顔に効果がありますか?
アゼライン酸は、特に「酒さ」や「ニキビ」が原因で起こる赤ら顔に対して効果が期待できる成分です。アゼライン酸には、毛穴の詰まりに関わる毛漏斗(もうろうと)の角化異常を整える作用、過剰な皮脂の分泌を抑える作用、アクネ菌などに対する抗菌作用、そして赤みや炎症を鎮める抗炎症作用など、幅広い作用があります。
これらの働きにより、酒さやニキビに伴う赤みの改善に役立つと考えられています。ただし、赤ら顔の原因はさまざまですので、全ての方に同じ効果を発揮するわけではありません。
Q. 赤ら顔はどうやって治しますか?
赤ら顔の治療法は、原因によってさまざまですが、まず原因を特定することが大切です。乾燥や一時的な刺激による軽度な場合には、保湿ケアを徹底したり、抗炎症成分などが配合されたスキンケア用品を使うセルフケアで改善することもあります。
しかし、セルフケアをしても改善されない場合や、症状が長引く・悪化する場合は、皮膚科を受診しましょう。たとえば、酒さが原因の場合は、皮膚科で内服薬(抗生剤など)や外用薬(メトロニダゾールなど)、レーザー治療といった専門的な治療が行われます。自己判断せず、専門医に相談することが重要です。
Q. 赤ら顔に効く成分は?
赤ら顔の原因によって有効な成分は異なりますが、スキンケアで注目されている代表的なものにはアゼライン酸があります。アゼライン酸は抗炎症作用、皮脂分泌抑制作用などを持ち、特に酒さやニキビに伴う赤みに効果が期待されています。
また、抗炎症作用を持つトラネキサム酸も効果を期待できる成分です。トラネキサム酸は、プラスミンという炎症に関わる物質の働きを抑え、肌荒れや赤みを軽減するとされています。これらの成分配合の化粧品を選ぶのも選択肢ですが、原因に合ったケアのため専門医への相談もご検討ください。
アゼライン酸で赤ら顔をケアしたいなら、池袋駅前のだ皮膚科へ
アゼライン酸は、酒さやニキビに効果を期待できる、抗炎症作用を持つ成分です。当院ではオリジナルの酒さ・ニキビ専用化粧品を販売し、スキンケアをサポートしています。
酒さやニキビのケアでお悩みの方は、お気軽に池袋駅前のだ皮膚科までご相談ください。
参考文献