イソトレチノインは、皮脂の分泌を抑えて毛穴詰まりを改善に導く、難治性ニキビのための内服薬です。
米国では重症ニキビの治療薬などとして40年以上の歴史があります。
しかし、内服を始めても「イソトレチノインが効かないのではないか」と不安に感じる方は少なくなく、SNSや口コミなどでも効果や副作用について誤解されているケースが多く見受けられます。
もし「効かない」と感じている場合、そこには明確な理由が隠れているかもしれません。
今回は、イソトレチノインの一般的な効果をはじめ、効果が出ないと感じる時の原因やその対処法について詳しく解説します。
目次
イソトレチノインの効果とは

イソトレチノインは、中等度〜重度のニキビや、一般的な保険診療では改善が難しいニキビ・酒さなどを対象としたビタミンA誘導体の経口薬です。
主な働きとして、以下のような作用が挙げられます。
- 皮脂腺を縮小させ、皮脂分泌を大きく減らす
- 毛穴の角化異常を整え、白ニキビや黒ニキビ(コメド)をできにくくする
- 基底皮脂細胞の増殖と皮脂の生成を抑える
- 体内の皮脂細胞の分化を阻害する [1]
- アクネ菌に対する炎症反応を抑える
これらの働きによって、新しい炎症性ニキビの発生を抑制します。
イソトレチノインが「効かない」と感じる時と原因

治療中に効果を実感できない、あるいは悪化したように感じる場合、主に3つのパターンとその原因が考えられます。
「ニキビが悪化している」と感じる時
原因1:初期の好転反応
元々のニキビの炎症が強い方、皮脂量が多い方、肌が敏感な方の場合、治療開始の初期に「好転反応」が強く現れる可能性があります。とくに毛穴に皮脂が多く詰まっていると、それが一気に排出される過程で、一時的に赤みや腫れ、ニキビが増えることがあります。
効果を実感するまでの一般的な目安は1〜4カ月であり、早い方でも改善傾向が見られるまでに1カ月ほどかかります。
ニキビが減らないと感じる時は、それが初期悪化の範囲内かどうかを含め、治療期間や用量、スキンケアの方法などを医師にご相談ください。
イソトレチノインの好転反応については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
原因2:間違ったスキンケア
ゴシゴシと力強い洗顔、肌に合わないピーリング成分入りの洗顔料や美容液、摩擦の強いクレンジングを使っていませんか。
これらは肌の乾燥・刺激を強め、好転反応を悪化させている可能性があります。
イソトレチノインは皮脂腺の活動を抑え、皮脂の分泌量を大幅に減少させるため、肌が乾燥しやすくなります。乾燥症状が現れてから対処するのではなく、内服開始と同時にセラミド配合の保湿剤などを使用し、優しい洗顔へ切り替えることで、副作用による症状の悪化を防げます。[2]
「皮脂が思ったほど減らない、変わらない」と感じる時
原因3:体重、症状に対して薬の量が足りない
イソトレチノインによる治療では、体重1kgあたり120〜150mgを目安とした「累積投与量(治療期間中に飲む薬の総量)」が推奨されています。
この推奨量に対して1日の服用量や総投与量が少なすぎると、皮脂を抑える作用が穏やかになり、「効きにくい」「薬をやめるとすぐに戻ってしまう」と感じやすくなります。
ある報告では、推奨される総投与量を内服して治療を終えた患者の再発率が25.53%であったのに対し、不十分な投与量で終えてしまった患者の再発率は81.03%にのぼったとされています。[3]
皮膚の乾燥や唇のひび割れなどの副作用が辛い場合は、1日の服用量を減らし、長期間かけて累積投与量(120〜150mg/kg)を目指すことも可能です。しかし可能であれば、20週間以内に推奨される総投与量をしっかりと飲み切ることが最適と考えられています。[4]
原因4:そもそもイソトレチノインの適応ではない
イソトレチノインは尋常性ざ瘡(一般的なニキビ)の治療薬です。
そのため、薬疹やマラセチア毛包炎など、見た目がニキビに似ていても原因が異なる発疹に対しては、ほとんど効果が期待できません。[5]
「副作用がつらい、やめたい」と感じる時
原因5:副作用への懸念、自己判断による内服量の調整・中断
イソトレチノインの副作用として、肌や粘膜の乾燥(唇の荒れ、鼻血、ドライアイなど)、関節痛、筋肉痛、脱毛、頭痛などが現れる可能性があります。こうした症状への不安から、ご自身の判断で内服量を減らしたり、途中でやめてしまったりする方がいらっしゃいます。
しかし、自己判断で減量・中断をしてしまうと期待した効果が得られず、結果的にニキビが再発しやすくなります。つらい症状がある場合は決して自己中断せず、必ず主治医に相談して対策を立てましょう。
イソトレチノインは本当に効かない薬なの?

SNSなどの情報で「効かないのでは」と不安に思われることがあるかもしれませんが、実際には医学的に十分な実績を持つ治療薬です。
ここでは、その背景と、人によって効果に差が出やすい理由について解説します。
世界でも実績のあるニキビ治療薬
イソトレチノインは、1982年5月に重症の難治性結節性ざ瘡の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)に承認されました。
2005年12月から2011年2月までの間だけでも120万人を超える患者の治療記録があり、重症ニキビ治療における薬理学的な大きな進歩であると証明されています。
適切な治療を行えば、難治性のニキビを寛解へと導くことができる治療法です。[6]
「効く人」「効きにくい人」が分かれる理由
イソトレチノインは、食事に含まれる脂肪分(食物脂肪)と一緒に摂ることで、消化管での吸収が促進される性質を持っています。そのため、脂肪分を適度に含む食事の後に内服した場合が最も吸収率が安定し、血中濃度も高くなりやすいため、効果を感じやすいとされています。[7]
一方で、空腹時に内服したり、量や脂質が極端に少ない食事の後に内服したり、毎日飲む時間がバラバラだったりすると、血中濃度が安定しにくく効果を感じにくいと考えられています。
イソトレチノインが効かないときの正しい対処法

治療中に思うような効果が得られないと感じた場合や、副作用がつらい時の正しい対応方法について解説します。
自己判断でやめない
「ニキビが治ったから」「結局変わらなかったから」「乾燥に耐えられないから」といった理由で自己判断で治療を中断してしまうと、十分な効果が得られず再発リスクが高まります。
医師の指示通りの量を、決められた期間しっかりと飲み切ることが何より大切です。治療期間の目安は、中等症で最低4~6カ月間、重症例では20mg/日を8カ月以上継続することもあります。
ただし、精神的に深刻な気分の落ち込みがある場合や、重篤な副作用が見られた場合は直ちに服用を中止し、すぐに医師の診察を受けてください。[8]
医師に相談する(用量・服用期間を見直す)
副作用や血液検査の結果に応じた用量調整・中止の判断は、医師が行います。
ニキビの重症度や発症部位、ホルモン因子、ふだんのスキンケア、薬の飲み方(食後に服用しているかどうか)なども治療方針に関わります。
イソトレチノイン治療が自分に合っているかどうかを再評価するためにも、かならず医師の診察を受けましょう。
基本的に内服治療は20mg(体格によっては40〜60mg)から開始します。
- 最低4カ月間は継続する
- ニキビができなくなってからも2カ月間は継続する
- 内服量と体重にもよるが、おおむね6〜12カ月を1クールとする
多くの方は、6カ月前後の継続で確かな効果を実感されています。
イソトレチノインを始める際のクリニック選びのポイント

治療を継続し、しっかりと効果を引き出すためには、受診する医療機関を慎重に選ぶ必要があります。重視したい2つのポイントをご紹介します。
医師の経験
単に薬を処方するだけでなく、適応となるニキビかどうかの見極め、用量と期間の適切な調整、血液検査を含めた全身管理を総合的に行える、経験豊富な皮膚科医が診察しているかが重要です。
医師のニキビ治療歴や症例数などを参考にしましょう。
丁寧な経過フォロー
副作用の出現を確認するため、治療前、治療開始1カ月後、その後も一定期間ごとの脂質および肝機能の血液検査(モニタリング)が推奨されています。[9]
月1回程度の定期的な診察があるか、必要に応じた血液検査を実施しているか、乾燥や初期悪化に対する具体的な対策を説明してくれるかなど、内服中の経過をしっかり診てくれるクリニックを選びましょう。
副作用・リスク

よくある副作用
- 皮膚と粘膜の乾燥(唇・顔・体・鼻・眼)
- 口唇炎、口角炎、鼻血、ドライアイ
- 初期悪化(好転反応としての一時的なニキビ増悪)
- 関節痛、筋肉痛、頭痛、脱毛
検査が必要なリスク
- 肝機能異常
- 脂質異常
重大なリスク
- 催奇形性
- まれな精神症状、消化管・骨・重症皮膚障害など
禁忌
- 妊娠中、妊娠希望のある方、授乳中の方(服用期間中、服用後1カ月は妊娠できません)
- 12歳未満の方
- テトラサイクリン系、ビタミンA製剤との併用(禁忌ではないが推奨しません)
- 強い肝機能障害のある方
- 過去にイソトレチノインでアレルギー症状を起こした方
池袋駅前のだ皮膚科のイソトレチノイン治療の特徴

当院には日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医が多く在籍しており、難治性ニキビや酒さに対するイソトレチノイン治療の豊富な症例実績があります。内服に伴う副作用リスクに配慮し、定期的なフォロー体制を整えています。
・丁寧な診察と治療説明
ガイドラインに沿って適応を正しく見極めます。そのうえで、内服時の注意点や副作用、再発リスクまでを含めた治療内容を説明・提案します。
・血液検査による定期的な管理
服用開始時、1カ月後、投与量を増やしたタイミングで血液検査を実施します。数値に異常が見られた場合は医師の判断で処方を中止するなど、体調の変化を確認しながら治療を進める方針です。
・レーザーや外用治療との組み合わせ
ご希望に応じて、他の治療法と組み合わせたアプローチにも対応しています。ニキビ跡の赤み改善が期待できるVビーム2なども導入しており、イソトレチノイン内服中であっても並行してレーザー治療を行うことが可能です。
治療効果には個人差があるものの、多くの方が約6カ月の内服を継続することで改善を実感されています。
料金
イソトレチノインの治療は、公的医療保険が適用されない自由診療です。
| 治療内容 | 料金(税込) |
| イソトレチノイン(イソトロイン、20mg/日)30日分 | 16,500円 |
| イソトレチノイン(イソトロイン、40mg/日)30日分 | 33,000円 |
よくある質問

Q.イソトレチノインの完治率は?
A.十分な期間・量を服用した場合、2年間の追跡で8割前後の方は再治療が不要だった研究があります。
一方で、2〜3割の方は再発し、再治療が必要になる場合があります。再発した場合でも、程度によっては外用薬で抑えられることがあります。
Q.イソトレチノインは何カ月で効果が出る?
A.早い方であれば、1〜2カ月後から新しいニキビが減ってきたと感じ始める傾向にあります。
一般的には4〜6カ月前後の内服を続けることで、肌の変化を実感される方が多いです。
Q.イソトレチノインで顔が真っ赤になるのはなぜ?
A.治療の初期段階に、皮膚の代謝が急激に活発になり、ニキビが一時的に増えたり赤みが強くなったりするためです。イソトレチノインを内服している一部の患者様に起こります。
また、薬の作用で肌や粘膜が乾燥してバリア機能が低下し、少しの刺激でも赤くなりやすい状態に傾きます。紫外線にも反応しやすくなるため、日焼け止めなどを用いた日々の対策が大切です。
痛みを伴うほどの強いヒリヒリ感や、赤みが長く続く場合は、我慢せずに医師へご相談ください。
難治性ニキビのイソトレチノイン治療なら池袋駅前のだ皮膚科へ

イソトレチノインは皮脂の分泌を抑え、毛穴の詰まりや炎症の改善を促す内服薬です。一般的な治療では変化がみられなかった重症のニキビや酒さに対して、効果が期待できます。
一方で、初期の好転反応や強い乾燥といった副作用を伴う側面も持っています。適切な量やタイミングで内服できていないと、変化を感じるまでに時間がかかったり、再発しやすくなったりすることがあります。そのため、自己判断を避け、必ず医師の指示に従って服用を継続することが何より大切です。
池袋駅前のだ皮膚科では豊富な治療経験に基づき、内服期間中の血液検査をはじめとしたフォロー体制を整えています。治りにくいニキビや酒さでお悩みの方、長引く肌トラブルを抱えている方は、ぜひ一度当院までご相談ください。
<イソトレチノインについて>
・未承認医薬品等(異なる目的での使用)
イソトレチノインは、医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。
・入手経路等
インドのCipla社から個人輸入しています。
個人輸入された医薬品等の使用リスクに関する情報はこちらのページ、
イソトレチノインの個人輸入についての厚生労働省の注意喚起はこちらのページをご確認ください。
・国内の承認医薬品の有無
国内で同程度の効能・効果で承認されている国内承認医薬品薬剤はありません。
・諸外国における安全性などに係る情報
米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。胎児の催奇形性、鬱、精神病などの精神疾患の副作用も報告されています。
・医薬品副作用被害救済制度について
万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
参考文献
[1]https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4371670/
[2]https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3970835/
[3]https://docs.bvsalud.org/biblioref/2018/05/883822/2011_188-ing.pdf
[4]https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3970835/
[5]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK459207/
[6]https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3970835/
[7]https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0190962213006580
[8]https://www.bad.org.uk/pils/isotretinoin
[9]https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1468-3083.2006.01671.x


