背中や胸のブツブツ…マラセチア毛包炎はうつる?予防や治療方法を皮膚科医が徹底解説

背中や胸に繰り返しできるブツブツを見て「マラセチア毛包炎は人にうつるのでは?」と不安に思う方は少なくありません。実際は感染症ではなく、再発しやすい皮膚トラブルのひとつです。予防や適切な治療によって、症状の改善が期待できます。

ここでは皮膚科専門医がマラセチア毛包炎について科学的に解説し、予防や治療方法をわかりやすく紹介します。

マラセチア毛包炎はうつる?

まず、マラセチア毛包炎は他人にうつる病気ではありません。マラセチア属の真菌は皮膚の常在菌であり、人の皮膚に自然に存在しています。

菌が湿度や汗、皮脂などにより過剰に増殖すると、ブツブツなどの症状が現れます。日常生活で人から人へ感染はせず、体質や環境によって繰り返しやすい皮膚トラブルです。

マラセチア毛包炎とは?

ここでは、マラセチア毛包炎の主な原因とニキビとの違いを見ていきましょう。

主な原因

マラセチア毛包炎は、皮膚常在菌であるマラセチア属の真菌が原因で発症します。皮脂や湿度などの影響で菌が毛包内に異常に増殖し、炎症を起こします。

胸・背中・肩・上腕など、皮脂分泌が盛んな部位にできやすく、かゆみを伴う赤い丘疹や膿疱が均一に多発するのが特徴的です。[1]

皮脂や汗の多い季節、高温多湿の環境、通気性の悪い服装などが悪化の要因です。低栄養、ステロイド外用薬の長期使用、糖尿病などが関係しているともいわれています。

ニキビとの違い

ニキビ(尋常性ざ瘡)も、顔や体にブツブツができる皮膚疾患です。ニキビの場合はアクネ菌や毛穴詰まりが原因で、大小さまざまな形の皮疹が混在してみられます。

マラセチア毛包炎は、ポツポツの大きさや見た目が均一で、コメドや毛穴詰まりはほとんど見られません。かゆみが目立つ点も異なります。[2]

見た目が似ていても治療法が異なるため、皮膚科での正確な診断が重要となります。ニキビとマラセチア毛包炎の違いについて詳しく知りたい方は「ニキビとマラセチア毛包炎の見分け方は?治療法についても紹介」を参考にご覧ください。

マラセチア毛包炎の予防方法

マラセチア毛包炎は、皮脂や汗、蒸れなどの影響で再発しやすいため、生活習慣の見直しが必要です。運動後は早めにシャワーを浴びて肌を清潔に保ち、通気性のよい衣類を選ぶなど、皮脂や汗が素肌についたままにならないよう心がけましょう。

また、オイル成分の多い化粧品は、毛穴の詰まりを助長する可能性があるため、注意して使用してください。さらに睡眠不足やストレスは皮脂分泌を乱す要因となるため、規則正しい生活を心がけることが予防につながります。

皮膚科で行なっているマラセチア毛包炎の治療法

ここでは皮膚科で行っているマラセチア毛包炎の治療法を紹介します。

抗真菌薬|外用・内服

基本的な治療法は、原因となる真菌(マラセチア菌)を抑える抗真菌薬を直接肌に塗ることです。患部に直接作用するため、真菌の増殖が抑えられ、炎症やかゆみの改善が期待できます。

「日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019」にも掲載されているとおり、発疹が広範囲に広がっている場合や再発を繰り返す場合には、内服抗真菌薬(イトラコナゾールなど)を用いる場合があります。

一方、症状が軽く背中や胸など一部に限られる場合は、外用薬を数週間続けることで改善が期待できるとされています。[3]

皮膚科を受診すべきタイミング

マラセチア毛包炎は、市販のニキビ薬や自己流のケアでは改善が難しいと考えられています。とくにかゆみが強い場合や赤いブツブツが広がっている場合は、早めに受診しましょう。

皮膚科ではマラセチア毛包炎かどうかの診断を確定し、症状に合わせた治療薬を処方するため、再発を予防しながら効果的な改善をめざすことが可能です。

池袋駅前のだ皮膚科のマラセチア毛包炎治療の特徴

池袋駅前のだ皮膚科では医師が患部を診察し、特徴的な外見や症状から、必要時は顕微鏡検査をして診断します。

症状に応じて外用薬にはケトコナゾール(ニゾラール)、内服薬にはイトラコナゾール(イトリゾール)などを処方します。症状が重い場合や繰り返す場合には、一人ひとりの症状に合わせた施術を組み合わせることも可能です。

マラセチア毛包炎の治療について、さらに詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

マラセチア毛包炎治療の費用

マラセチア毛包炎の治療は、基本的に保険診療で受けられます。

保険診療(3割負担)の場合の費用目安は以下の通りです。

※都内在住の高校生までのお子さんは公費負担のため、実質無料となります。

初診料約900円
再診料約400円
処方料約200円
内服薬のイトラコナゾール(イトリゾール)1日50mg・30日間 約1,200円

ケトコナゾール外用(ニゾラールクリーム)は、白癬や皮膚カンジダ症・癜風・脂漏性皮膚炎などの効能効果で保険診療の承認がされていますが、マラセチア毛包炎は明記されていないため、診療費も含め保険適用外(自費)の扱いとなります。

マラセチア毛包炎に関するよくある質問

マラセチア毛包炎は、市販薬でも治せますか?

A. マラセチア毛包炎は原因が真菌(マラセチア菌)であるため、一般的なニキビ用市販薬では効果が乏しいと考えられています。

抗真菌作用のある市販シャンプーなどで、一時的に改善することはあると思われます。ただし、再発しやすく効果は限定的になる可能性が高いです。改善をめざすためには、皮膚科での診断と抗真菌薬の処方が必要です。

マラセチア毛包炎が治るまでの期間を教えてください

A. 個人差はありますが、塗り薬の場合は1〜2か月が治療期間の目安です。「日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019」によれば、マラセチア毛包炎に対しケトコナゾール外用を使用したところ、平均27日で症状の改善が見られたと報告されています。[3] 

症状の広がりや再発の有無によって治療期間は異なり、数週間から数か月にわたる経過観察が必要なこともあります。繰り返す場合には、内服抗真菌薬(イトラコナゾール)を用いることがあります。

皮膚が不衛生な場合は再発しやすくなるため、薬を使用しながら肌を清潔に保つことも大切です。常在菌であるため、薬を長く使用しても菌を完全に殺すことはできません。汗をかいたらすぐにふき取るなど、日々の予防と対策をしっかりと行ないましょう。

副作用・注意点

外用薬(抗真菌薬)ニゾラール クリーム

まれに発赤や赤み、刺激感、発疹などがあらわれる場合があります。症状が悪化する場合は、使用を中止してください。

ニゾラールクリームの含有成分にアレルギー反応を起こしたことのある人は、使用できません。

内服薬抗真菌薬イトリゾール

服用後に胃部不快感、発疹やかゆみ、じん麻疹、便秘、下痢、だるさ、不整脈などを起こす場合があります。薬を使用中に気になる症状があらわれたときは、お気軽にご相談ください。

併用して服用できない薬がありますので、他疾患を治療中の人は医師にお申し出ください。

イトリゾールの含有成分にアレルギー反応を起こしたことのある人、肝臓や腎臓に障害のある人でコルヒチン(痛風発作の薬)を投与中の人、重篤な肝疾患に罹ったことのある人、妊婦または妊娠している可能性のある女性は内服できません。

マラセチア毛包炎でお悩みの方は池袋駅前のだ皮膚科へご相談ください

マラセチア毛包炎は、うつる病気ではなく皮膚に存在する真菌が増えることで起こる病気です。しかし市販薬での改善が難しく、再発を繰り返すことも少なくありません。かゆみが強く症状が広がっている場合は、早めに皮膚科を受診して適切な治療を受けることが大切です。

池袋駅前のだ皮膚科は、JR池袋駅東口徒歩1分のアクセス良好な立地で、忙しい方でも通いやすいよう平日夜間や土日も診療を行なっています。

マラセチア毛包炎でお悩みの方は、当院へお気軽にご相談ください。

【池袋駅前のだ皮膚科|野田真史 監修】


【参考文献】

[1] Paichitrojjana A, Chalermchai T. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2022;15:2647–2654.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36531566

[2] Henning M, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2023;37(7):1268–1275.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36912427

[3] 日本皮膚科学会:日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019.
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/shinkin_GL2019.pdf