アゼライン酸の毛穴への効果や特徴、使用の注意点について紹介

アゼライン酸は海外では主にニキビの治療薬として知られ、抗炎症作用や抗酸化作用など、さまざまな効果があります。自然界に存在する成分のため、妊娠中や授乳中にも使用できることが特徴です。

今回は、アゼライン酸の毛穴への効果や特徴、使用上の注意点、他の成分との比較、当院で販売している「ベーシックケアAZ」などをご紹介します。

アゼライン酸の毛穴への効果

加齢やストレス・ホルモンバランスの変化など、なんらかの原因によって肌のターンオーバーが乱れると、古い角質が毛穴に蓄積されやすくなり毛穴の詰まりにつながります。毛穴の詰まりは、肌のザラつきやくすみ・ニキビなど、さまざまな肌トラブルを招きます。

アゼライン酸は角質の過剰増殖を抑え、角質が溜まることを防ぎ、毛穴の詰まりを予防します1)。またニキビの原因とされるアクネ菌などを効果的に抑制し、毛穴の健康を保ちます2)3)

アゼライン酸は皮膚への刺激が低く、長期間の使用が可能です。アクネ菌などに対し長期間にわたり抗菌作用を発揮することで、ニキビの予防につながります。ニキビのある皮膚に20%AZAクリームを1日2回、8~12週間塗布すると、毛包内および毛包間の角質増殖が大幅に減少または正常化したという報告もあります1)

アゼライン酸の特徴

抗炎症作用

ニキビの原因とされるアクネ菌の増殖を抑制し、アクネ菌による肌の炎症を抑えます。また皮膚の炎症を抑制し、ニキビの症状を軽減します。

抗菌作用

アクネ菌など、ニキビの原因菌に対する抗菌作用があります。また毛穴の詰まりを引き起こす要因を減少させてニキビの発生を抑え、肌を健やかに保ちます。

角化の正常化

肌のターンオーバーを正常化して毛穴の詰まりを改善し、ニキビを予防します。表皮の角化が正常になることで角質の蓄積を防ぎ、肌表面が滑らかになり肌質改善につながります。

抗酸化作用

活性酸素は炎症を悪化させる原因のひとつとされています。アゼライン酸は活性酸素の増殖を抑え、炎症の悪化を防ぎます。ニキビの赤みやニキビ跡、酒さや赤ら顔などにも効果が期待できます4)

色素沈着の抑制

色素沈着の原因となるメラノサイトに作用します。またメラニンの生成を抑制するため、シミやくすみを改善に導きます。ニキビに関する炎症後色素沈着について、12週間にわたり20%アゼライン酸クリームを1日2回投与したところ、症状の改善がみられたという報告もあります5)

アゼライン酸がおすすめな方

アゼライン酸は、主に以下のようなお悩みがある方におすすめです。

  • ニキビにお悩みの方
  • 毛穴トラブルにお悩みの方
  • 妊娠中や授乳中の方
  • 肌のくすみが気になる方
  • 赤ら顔が気になる方

使用時の注意点

アゼライン酸は天然に存在する成分のため、全身性の副作用が起きる可能性は低いといわれています。また妊娠中や授乳中のニキビ・酒さ・色素沈着(肝斑含む)治療でも使用できることが特徴です。

ただし、濃度が高いと肌への軽度の刺激感がみられる場合があります。刺激感が気になる方は、症状にあわせて1日1回や1日おきなど使用する頻度を減らしてください。使用頻度を減らしても症状が悪化するときには、医師までご相談ください。6)

他の成分との比較

成分名作用特徴副作用注意点
過酸化ベンゾイル・角化剥離作用、抗菌作用
・ピーリング作用によって毛穴の詰まりを改善
・炎症がある赤ニキビにも効果が期待できる
・他の成分に比較して速効性がある
皮膚の乾燥、赤み、かゆみ、ヒリヒリ感など紫外線により、皮膚への刺激が強くなることがある
アダパレンビタミンA誘導体の一種で、皮膚の角化を調整し、毛穴の詰まりを改善する・主に初期ニキビに効果が期待できる
・ニキビ跡の色素沈着にも効果を期待できる
皮膚の乾燥、赤み、かゆみ、不快感など紫外線により、皮膚への刺激が強くなることがある
ナイアシンアミド・ナイアシンアミドはビタミンB群の一種で「ニコチン酸アミド」または「ビタミンB3」とも呼ばれる
・生体内では酸化還元反応をサポートする補酵素として働き、粘膜や皮膚を正常に保ち、末梢の血流をよくする作用がある
皮脂抑制、肌のバリア機能の修復作用、シワ改善などの効果が期待できるかゆみ、赤み、かぶれ(荒れにくい成分だが、高濃度で肌に合わない場合)
アゼライン酸・抗菌作用、抗炎症作用、抗酸化作用、抗角質作用など、さまざまな作用がある
・アゼライン酸は天然に存在する成分で、妊娠中や授乳中も使用可能
・色素沈着を改善する作用があり、ニキビや酒さ、ニキビ跡の色素沈着、肝斑の治療にも使用する
・過酸化ベンゾイルやアダパレンと違い、乾燥や赤みの副作用が少ない
高濃度ではヒリヒリとした刺激感が出ることはあるが、赤みやかゆみが強くなければ使用継続可能

アゼライン酸は天然に存在する成分のため、妊娠中や授乳中も使用可能です。また過酸化ベンゾイルやアダパレンと違い、乾燥や赤みの副作用が少ないといわれています。

当院の詳しいアゼライン酸の治療法は「アゼライン酸なら池袋駅前のだ皮膚科へ|ニキビ・ニキビ跡、赤ら顔、肝斑、肌のくすみなど」をご覧ください。

アゼライン酸での治療を行う場合

当院では、オリジナルのスキンケア製品である「ベーシックケアAZ」を販売しています。ベーシックケアAZはアゼライン酸、ナイアシンアミド、セラミドを配合し、敏感肌、乾燥肌、脂性肌、混合肌など、肌タイプを問わず使用可能です。

また海外でニキビや酒さの治療薬に使われているアゼライン酸の濃度(15~20%)よりも濃度を抑えてアゼライン酸配合することで、スキンケアとして顔全体に毎日使いやすい製品にしています。

ベーシックケアAZは院内、およびオンラインでご購入いただけます。オンラインのご購入は、「ベーシックケアAZの専用サイト」をご利用ください。

(オンラインの場合は送料として別途 550円が必要です。)

症例

AZAクリアとベーシックケアAZを酒さに併用した症例

治療内容 酒さの症状にお悩みだった20代女性の患者様です。
他院にて1年半治療を続けても酒さの赤みやボツボツとした症状が治らなかったとお悩みでした。他院ではプロトピックの外用薬を処方されていましたが、当院では「ロゼックスゲル(成分名:メトロニダゾール)」と「イベルメクチンクリーム」を処方しました。
しかし薬が肌に合わずに症状が悪化したため、処方薬を中止しました。
その後Vビームの施術を1回、「AZAクリア」と「ベーシックケアAZ」を毎日塗布して対応しました。受診時には画像左のように肌の赤みやボツボツが目立っていました。
しかし治療をして1カ月半後の画像右では、赤みやボツボツとした症状が目立ちにくくなりました。
治療期間・回数 約1カ月半・毎日の外用
費用 以下の治療は、公的医療保険が適用されない自由診療(自費診療)です。
・Vビーム2  顔全体  33,000円(税込)
・AZAクリア 1本15g  1,980円(税込)
・ベーシックケアAZ 1本60g 4,400円(税込)
合計費用:39,380円(税込)
リスク・副作用 Vビーム2:赤み、むくみ、水疱、色素沈着、色素脱失
AZAクリア:赤み、かゆみ
ベーシックケアAZ:赤み、かゆみ
担当医師コメント 酒さの代表的な治療成分は「メトロニダゾール」、「イベルメクチン」、「アゼライン酸」です。
今回のように他の治療方法が肌に合わなくても、アゼライン酸で期待した効果を実感することもあります。

ベーシックケアAZを酒さに使用した症例

※この症例報告は、わか皮ふ科クリニックの石田和加先生より提供されたものです。

治療内容酒さの症状にお悩みだった40代女性の患者様です。
他院で処方されたステロイドを数年間外用していたため、まずはステロイドを中止して、保険適用内の「ロゼックスゲル(成分名:メトロニダゾール)」を処方しました。
ロゼックスゲルの添付文書上は、12週を超えての使用が推奨されていないことから12週間で治療を終了しました。
その後は患者様のご希望により、「ベーシックケアAZ」を毎日塗布して対応しました。ベーシックケアAZの使用前には、画像左のように肌の赤みやボツボツが目立っていました。しかしベーシックケアAZを使用して3カ月半後の画像右では、赤みやボツボツとした症状が目立ちにくくなりました。
治療期間・回数約3カ月半・毎日のベーシックケアAZ外用
費用<保険診療>
・ロゼックスゲル0.75%(成分名:メトロニダゾール) 15g 1462.5円(3割負担の場合438.75円
<自由診療(自費診療)> 以下の治療は、公的医療保険が適用されない自由診療(自費診療)です。
・ベーシックケアAZ 1本60g 4,400円(税込)
リスク・副作用ロゼックスゲル:赤み、かゆみ、乾燥肌、痛みなど
ベーシックケアAZ:赤み、かゆみ
担当医師コメント治療薬よりアゼライン酸の濃度が低めでも、スキンケアとして長期間塗布することで酒さの炎症がおさまることもあります。
ただし一度おさまったとしても酒さの症状は再燃することがあるため注意しましょう。日常的なスキンケアとして「ベーシックケアAZ」を使用すると、健康的な肌状態を目指しやすくなります。

ベーシックケアAZをニキビに使用した症例

※この症例報告は、遠山クリニックの遠山昭子先生より提供されたものです。

治療内容ニキビの症状でお悩みだった12才の患者様です。最初は症状が強かったため、ベーシックケアAZとエピデュオゲルを併用して治療を行いました。1カ月の治療で改善したため、その後はベーシックケアAZのみの使用に切り替え、2カ月後にはさらにいい状態を維持できています。
治療期間・回数約2カ月間のベーシックケアAZの外用。
最初の1カ月間はエピデュオゲルの外用を併用
費用ベーシックケアAZ 1本60g 4,400円(税込)
リスク・副作用ベーシックケアAZ:赤み、かゆみ
担当医師コメント症状が強いときは治療薬とベーシックケアAZの併用が推奨です。エピデュオゲルは効果は高いものの乾燥しやすいのが弱点で、ベーシックケアAZの保湿効果で乾燥を防げます。
ニキビの症状改善後のメンテナンスには、ベーシックケアAZ単独でニキビが出にくい状態を保つことができます。

ベーシックケアAZを頬の赤みに使用した症例

※この症例報告は、目黒げんクリニックの加藤真梨子先生より提供されたものです。

治療内容頬の赤みに対して、ベーシックケアAZ(乳液タイプ)を約3カ月使用して赤みが改善。
2枚目の写真はVISIAという画像解析装置での結果で、赤みが減少しているのがわかります。
治療期間・回数約3カ月の外用
費用ベーシックケアAZ 4,400円
リスク・副作用痒み、赤み、かぶれ
担当医師コメント治療過程でたるみ治療でボルニューマを1回とトラネキサム酸の外用も行っていますが、赤みへの効果はアゼライン酸やナイアシンアミド含有のベーシックケアAZの効果がメインと考えます。スキンケアのみでも赤みが改善する場合があります

料金

AZAクリア 1本 15g 1,980円(税込)
ベーシックケアAZ
ベーシックケアAZ(乳液タイプ) 60g/本4,400円(税込)
ベーシックケアAZ クリアローション(化粧水タイプ)125ml4,400円(税込)

よくある質問

Q. アゼライン酸による毛穴治療は、どのくらいの期間が必要ですか?

A. 効果が出るまでの目安は最低2週間必要です。アゼライン酸は天然に存在するため、長期使用でも副作用が少ないことが特徴です。

Q. 他の治療との併用は可能ですか?

A. ニキビや酒さの治療薬とベーシックケア製品を使用する場合は、ベーシックケアAZで保湿してから外用薬を使用してください。その他、他の治療をしている方は事前にご相談ください。

毛穴でお悩みの方は、池袋駅前のだ皮膚科へ

アゼライン酸には抗炎症作用、抗角質作用、抗酸化作用などがあり、ニキビや酒さ、色素沈着を抑えるなど幅広い肌トラブルに効果が期待できます。

毛穴にお悩みの方は、当院へお気軽にご相談ください。

池袋駅前のだ皮膚科院長|野田 真史監修

副作用・禁忌について

禁忌

「AZAクリア」「ベーシックケアAZ」「ベーシックケアAZクリアローション」

・過去に同製品でかぶれた方

副作用

「AZAクリア」「ベーシックケアAZ」「ベーシックケアAZクリアローション」

赤み、かゆみ、刺激感など

参考

(1)Azelaic Acid: Mechanisms of Action and Clinical Applications
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39464747

(2)A comparison of the effectiveness of azelaic and pyruvic acid peels in the treatment of female adult acne: a randomized controlled trial
https://www.nature.com/articles/s41598-020-69530-w

(3)Azelaic acid-based lyotropic liquid crystals gel for acne vulgaris: Formulation optimization, antimicrobial activity and dermatopharmacokinetic study
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S037851732401113X?via%3Dihub

(4)Azelaic Acid: Mechanisms of Action and Clinical Applications
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39464747

(5)A comparative study of 20% azelaic acid cream versus 5% tranexamic acid solution for the treatment of postinflammatory hyperpigmentation in patients with acne vulgaris: A single-blinded randomized clinical trial
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37213446

(6)[Acne therapy with topical benzoyl peroxide, antibiotics and azelaic acid]
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16638058