酒さに悩んでいて「アゼライン酸でのケアが気になる」「どのような効果があるか知りたい」という方も多いのではないでしょうか。アゼライン酸は、30年以上前から海外ではニキビの治療薬として知られています。
過剰な皮脂分泌の抑制や、抗炎症作用などをもち、刺激や副作用が少ないことが特徴です。今回は、アゼライン酸の酒さへの効果や特徴、使用する際の注意点や副作用などをご紹介します。
目次
酒さへの効果
アゼライン酸は、軽度から中等度の酒さの治療薬として米国食品医薬品局(FDA)に15%ゲルとして承認されています1)。抗酸化作用があり、紅斑(こうはん)や炎症性病変を軽減する治療効果が確認されています1)。
また皮脂の分泌抑制、抗菌作用、抗炎症作用などがあり、酒さやニキビの治療に広く使われています2)。ただし日本では未承認薬医薬品のため、主に化粧品として販売されています。
アゼライン酸の特徴
アゼライン酸は小麦やライ麦などの穀類に含まれている飽和ジカルボン酸という成分で、以下のような特徴があります。
過剰な皮脂分泌を抑える
アゼライン酸は過剰な皮脂の分泌を抑える効果がある成分です。皮脂の過剰分泌による角化異常も抑えられるため、肌を整える働きもあります。皮脂が多い方、毛穴が気になる方にもおすすめの成分です。
抗菌・抗炎症作用がある
ニキビの原因であるアクネ菌の増殖やニキビや酒さなどで起こる炎症を抑える作用があります。
メラニンを作られにくくする
アゼライン酸はメラニンの生成を抑えるため、肝斑や肌のくすみが気になる方にもおすすめの成分です。肝斑への効果は、20%のアゼライン酸が肝斑治療の代表的な治療薬であるハイドロキノン4%と同じ程度か、ハイドロキノンよりも優れていると言われています。
安全性が高く、妊娠中の方でも使える
世界各国ではニキビや酒さの治療薬として約30年使用されており、催奇形性がないため妊娠中の方でも使用ができます。
欧米やアジアなどでは、アゼライン酸20%、または15%配合した外用薬が医薬品として承認されています3)。20%配合クリームは主にニキビ治療として、15%配合ゲルは主に酒さ治療に使用されています3)。
アゼライン酸15%ゲルによる副作用は、ほとんどが軽度または一時的で、通常は治療の中止を必要としないといわれています4)。
当院のアゼライン酸による治療の詳細は、「アゼライン酸なら池袋駅前のだ皮膚科へ|ニキビ・ニキビ跡、赤ら顔、肝斑、肌のくすみなど」からご覧ください。
アゼライン酸で酒さを改善できる理由は?
酒さを改善できる理由は、過剰な皮脂の分泌や炎症を抑える働きにより酒さの症状である赤ら顔やポツポツを抑えることができるからです。
アゼライン酸外用により、とくに丘疹膿疱型(きゅうしんのうほうがた)酒さ*が改善されたという報告があります3)。紅斑もある程度までは改善しますが、毛細血管拡張による持続性紅斑には効果はないとされています3)。
アゼライン酸外用は副作用がほとんどないか一時的なため、継続的に使用することで酒さの改善が期待できます。またメトロニダゾールやイベルメクチンクリームとはメカニズムが違うため、併用でより効果が上がると考えられます。
*丘疹膿疱型(きゅうしんのうほうがた)酒さ:酒さは、主に顔面の皮膚と眼に発症する慢性の炎症性皮膚疾患。丘疹膿疱型は、顔面中央部に赤いブツブツや膿が生じる5)。
アゼライン酸を使う際の注意点
- 塗布直後にかゆみ、赤み、ピリピリ感などが報告されています3)。
- 酒さの患者さまは、さまざまな外用薬、化粧品に対して刺激を感じやすいです3)。
- 皮膚が乾燥していると刺激を感じやすいため、十分に保湿したうえで塗布しましょう3)。
- 他の薬との併用は基本的に問題ありませんが、医師に相談の上で使用してください3)。
- 日本国内では市販されていません。
- 個人輸入は禁止されています。自己判断で使用することは避けてください6)。
アゼライン酸配合のスキンケア用品ベーシックケアAZについて
当院では、酒さやニキビでお悩みの方に向けて「ベーシックケアAZクリアローション」「ベーシックケアAZ」を独自に開発、販売しています。
ベーシックケアAZクリアローション
アゼライン酸とナイアシンアミドを配合し、ニキビのできにくい肌に導きます。またアミノ酸を15種類配合することで、より高い保湿効果が期待できます。
ベーシックケアAZ
天然保湿因子のセラミドのほか、ナイアシンアミドとアゼライン酸を配合してニキビの発生しにくい肌状態に導きます。化粧水と乳液をライン使いすることによって、より効果が高まるように配合していることが特徴です。
ベーシックケアAZの商品詳細は、「ベーシックケアAZ 商品一覧」からご覧ください。
症例
AZAクリアとベーシックケアAZを酒さに併用した症例
治療内容 | 酒さの症状にお悩みだった20代女性の患者様です。 他院にて1年半治療を続けても酒さの赤みやボツボツとした症状が治らなかったとお悩みでした。他院ではプロトピックの外用薬を処方されていましたが、当院では「ロゼックスゲル(成分名:メトロニダゾール)」と「イベルメクチンクリーム」を処方しました。 しかし薬が肌に合わずに症状が悪化したため、処方薬を中止しました。 その後Vビームの施術を1回、「AZAクリア」と「ベーシックケアAZ」を毎日塗布して対応しました。受診時には画像左のように肌の赤みやボツボツが目立っていました。 しかし治療をして1か月半後の画像右では、赤みやボツボツとした症状が目立ちにくくなりました。 |
治療期間・回数 | 約1か月半・毎日の外用 |
費用 | 以下の治療は、公的医療保険が適用されない自由診療(自費診療)です。 ・Vビーム2 顔全体 33,000円(税込) ・AZAクリア 1本15g 1,980円(税込) ・ベーシックケアAZ 1本60g 4,400円(税込) 合計費用:39,380円(税込) |
リスク・副作用 | Vビーム2:赤み、むくみ、水疱、色素沈着、色素脱失 AZAクリア:赤み、かゆみ ベーシックケアAZ:赤み、かゆみ |
担当医師コメント | 酒さの代表的な治療成分は「メトロニダゾール」、「イベルメクチン」、「アゼライン酸」です。 今回のように他の治療方法が肌に合わなくても、アゼライン酸で期待した効果を実感することもあります。 |
ベーシックケアAZを酒さに使用した症例
※この症例報告は、わか皮ふ科クリニックの石田和加先生より提供されたものです。
治療内容 | 酒さの症状にお悩みだった40代女性の患者様です。 他院で処方されたステロイドを数年間外用していたため、まずはステロイドを中止して、保険適用内の「ロゼックスゲル(成分名:メトロニダゾール)」を処方しました。 ロゼックスゲルの添付文書上は、12週を超えての使用が推奨されていないことから12週間で治療を終了しました。 その後は患者様のご希望により、「ベーシックケアAZ」を毎日塗布して対応しました。ベーシックケアAZの使用前には、画像左のように肌の赤みやボツボツが目立っていました。しかしベーシックケアAZを使用して3か月半後の画像右では、赤みやボツボツとした症状が目立ちにくくなりました。 |
治療期間・回数 | 約3か月半・毎日のベーシックケアAZ外用 |
費用 | <保険診療> ・ロゼックスゲル0.75%(成分名:メトロニダゾール) 15g 1462.5円(3割負担の場合438.75円 <自由診療(自費診療)>以下の治療は、公的医療保険が適用されない自由診療(自費診療)です。 ・ベーシックケアAZ 1本60g 4,400円(税込) |
リスク・副作用 | ロゼックスゲル:赤み、かゆみ、乾燥肌、痛みなど ベーシックケアAZ:赤み、かゆみ |
担当医師コメント | 治療薬よりアゼライン酸の濃度が低めでも、スキンケアとして長期間塗布することで酒さの炎症がおさまることもあります。 ただし一度おさまったとしても酒さの症状は再燃することがあるため注意しましょう。日常的なスキンケアとして「ベーシックケアAZ」を使用すると、健康的な肌状態を目指しやすくなります。 |
ベーシックケアAZを頬の赤みに使用した症例
※この症例報告は、目黒げんクリニックの加藤真梨子先生より提供されたものです。
治療内容 | 頬の赤みに対して、ベーシックケアAZ(乳液タイプ)を約3か月使用して赤みが改善。 2枚目の写真はVISIAという画像解析装置での結果で、赤みが減少しているのがわかります。 |
治療期間・回数 | 約3か月の外用 |
費用 | ベーシックケアAZ 4,400円 |
リスク・副作用 | 痒み、赤み、かぶれ |
担当医師コメント | 治療過程でたるみ治療でボルニューマを1回とトラネキサム酸の外用も行っていますが、赤みへの効果はアゼライン酸やナイアシンアミド含有のベーシックケアAZの効果がメインと考えます。スキンケアのみでも赤みが改善する場合があります |
費用
以下の治療は、自由診療(自費)です。
AZAクリア | |
AZAクリア 1本 15g | 1,980円(税込) |
ベーシックケアAZ | |
ベーシックケアAZ 乳液 60g | 4,400円(税込) |
ベーシックケアAZ クリアローション 125ml | 4,400円(税込) |
酒さにお悩みの方は、池袋駅前のだ皮膚科へ
アゼライン酸は過剰な皮脂分泌の抑制や、抗炎症作用などをもち、酒さやニキビなどに効果的とされています。
当院ではアゼライン酸配合のスキンケア用品「ベーシックケアAZ」を販売しています。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
アゼライン酸外用のリスク・注意点
副作用
塗布直後の赤み、かゆみ、刺激感など
注意点
- 皮膚が乾燥していると刺激を感じやすいため、十分に保湿した上で塗布してください3)。
- 酒さの患者さまは、さまざまな外用薬、化粧品に対して刺激を感じやすいことがわかっています3)。
- 医師と相談の上、用法用量を守って使用しましょう。
【参考】
(1)Anuj Sharma MD,et al.Rosacea management: A comprehensive review.Journal of Cosmetic Dermatology.2022.21(5).1895-1904
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jocd.14816
(2)Natalia Sauer,et al.The multiple uses of azelaic acid in dermatology: mechanism of action, preparations, and potential therapeutic applications.2023.40(6).716-724.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38282869/
(3)角田 加奈子.酒皶の治療:アゼライン酸外用薬.The 酒皶 reloaded.酒皶・赤ら顔の治療-私はこうしている.Visual Dermatology.秀潤社.2023.22(5).447-449.
(4)Harald Gollnick,et al.Azelaic acid 15% gel in the treatment of rosacea.Expert Opinion on Pharmacotherapy.2008.9(15).2699-706
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18803456/
(5)M. Schaller,et al.Recommendations for rosacea diagnosis, classification and management: update from the global ROSacea COnsensus 2019 panel.British Journal of Dermatology.2020.182(5).1269-1276.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/bjd.18420
(6)厚生労働省 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html