イソトレチノインの代表的な薬には、アキュテイン、ロアキュタン、イソトロイン、アクネトレント、アキュファインなどの種類があります。ここではそれぞれの薬の違いについて紹介します。
(※当院ではイソトロインのみ採用しています。)
先発品と後発品の違い
イソトレチノインを主成分にした薬には、大きく分けて先発医薬品と後発医薬品(ジェネリック医薬品)があります。
先発品:アキュテイン
後発品(ジェネリック医薬品):ロアキュタン、イソトロイン、アクネトレント、アキュファイン
先発医薬品とは、新薬として開発された薬です。ジェネリック医薬品とは、先発医薬品と同じ有効成分を含んだ薬のことで、先発医薬品と同じ効果や効能があり、安全性についても確認されている薬です。ジェネリック医薬品は開発に必要な期間や費用が抑えられるため、薬の価格も安くなります。
有効成分は同じで、製薬企業によって商品名が違う
イソトレチノインは成分名で、商品名はアキュテイン、ロアキュタン、イソトロイン、アクネトレント、アキュファインです。どの商品もイソトレチノインを主成分にした薬のため、効果や効能などは同じです。商品名は以下のように、製薬企業によって異なります。
「イソトレチノインの代表的な商品名と違い」
商品名 | 先発品 or 後発品 | 製薬企業(国籍) |
アキュテイン | 先発品 | ロシュ(スイス) |
ロアキュタン | 後発品 | ロシュ(スイス) |
イソトロイン | 後発品 | シプラ(インド) |
アクネトレント | 後発品 | レコルダティ(トルコ) |
アキュファイン | 後発品 | ヒーリングファーマ(インド) |
薬の選び方
イソトレチノインを使うためには、医師の診察が必要です。イソトレチノインには複数の製品があり、どの製品を採用薬に選んでいるのかについては、各クリニックによって異なります。そのため患者様が直接イソトレチノインの薬の種類を選ぶという場面はあまりないかもしれません。
当院では患者様が治療を続けやすいように、費用の負担が少ないジェネリック医薬品のイソトロインを採用しています。先発品のアキュテインと同じイソトレチノインが有効成分の薬です。イソトロインについて気になることがあれば、いつでもご相談ください。
イソトレチノインの働きや効果
イソトレチノインは、ビタミンA誘導体の飲み薬です。治りにくいニキビがあるときに服用することで、ニキビの原因である皮脂の過剰分泌や角化の異常を抑えて既存のニキビを減らし、新しいニキビも作られにくくします。
過剰な皮脂分泌を減らす
ニキビの原因には、皮脂の過剰な分泌が関係しています。イソトレチノインは、皮脂腺を退縮させる働きにより、過剰な皮脂分泌を減らす効果が期待できます。
毛穴の詰まりにアプローチする
ニキビの原因には、毛穴が固くなって塞がりやすくなる角化異常が関係しています。角化異常があると、それだけ皮脂が毛穴に詰まりやすくなってしまうのです。イソトレチノインは皮膚細胞にアプローチして角化異常を正常に整える働きが期待できます。
重度のニキビや繰り返しできるニキビに
非常に治りにくいと言われているタイプのニキビに「嚢胞性ざそう」という種類があります。海外ではこのような重症のニキビについて、イソトレチノインによる治療が推奨されています。また当院では重症のニキビだけではなく、軽症~中等症であっても、他の治療で効果が実感できないような繰り返しできるニキビにイソトレチノインを処方することもあります。
イソトレチノインの使用方法と注意点1)
ここではイソトレチノインの使用方法と主な注意点について紹介します。
服用方法と投与量
通常用量として、1日1回20mgを服用します。服用タイミングに決まりはありませんが、食後に服用することで吸収率がよくなるため、食後に服用しましょう。
20mgで効果が実感できないときには、1日40mgに増量します。また体重の多い男性の場合も1日40mgから開始することもあります。もしイソトレチノインによる唇や肌の乾燥などの副作用が強く出てしまったときには、20mgを1日おきに服用する飲み方に変更する場合があります。
妊娠可能な女性における避妊の必要性
イソトレチノインの副作用には、胎児奇形が報告されています。そのため女性の場合はイソトレチノイン内服中と内服後1か月は妊娠を避けてください。
定期的な血液検査の重要性
イソトレチノインの副作用には、肝機能異常や高脂血症が確認されています。まれな副作用ですが、当院では副作用を早期に発見するために、内服開始時と治療から1か月後に採血をしています。健康診断などで普段から血液検査を受けている方で採血異常がないときには、初回の採血をスキップすることもあります。また服用量を増量したときなど医師が必要と判断したときには検査が必要です。
※もし採血異常が確認できたときには、再検査や用量の減量、服用を中止するなど診察結果により対応いたします。
イソトレチノインの治療期間
イソトレチノインの一般的な治療期間や効果を実感する期間、再発についてなどを紹介します。
イソトレチノインの治療期間と投与量
最低でも4か月は内服を続けて、ニキビが作られない状態になってから、さらに2か月服用してから治療を終了します。服用期間の目安は4~12か月です。
イソトレチノインによるニキビ治療に保険が適用されている国では、一定の基準に従って投与量を設定して処方されています。その基準は「重症ニキビの場合は、イソトレチノインを1kgにつき120~150mg服用する」ことです。イソトレチノインをこの基準に従って投与量を設定すると、服用後のニキビの再発が抑えられると言われています。
上記の基準に従って投与量を設定すると、たとえば体重が50kgの方で毎日20mgを内服したときには、10か月の服用期間が必要になります。
改善までの期間と長期的な効果
効果を実感するまでの期間には個人差があります。早い人では1か月、遅い人でも1年治療を続けることで症状の改善が期待できます。一般的には服用を4か月続けることで、症状の改善を実感しやすくなります。
ニキビが作られなくなってからも、2か月服用を継続することで、治療終了後にも長期的な再発予防の効果が期待できます。ただし治療終了後の効果の持続期間には個人差があります。
再発の可能性
イソトレチノインは再発予防の効果が期待できる治療です。人によっては治療が終了してから1年が過ぎてもほとんどニキビができない肌質になる方もいます。しかし治療が終了してから数か月で再発する方もいます。ただしイソトレチノインで治療をする前の状態に戻ることはまれで、治療後はほとんどの方で治療前よりも症状が軽くなります。
副作用とリスク
イソトレチノインの代表的な副作用には、肌の乾燥や乾燥による皮膚炎が知られています。
ここでは乾燥や皮膚炎についての対処法を紹介します。
皮膚の乾燥、皮膚炎など
肌の乾燥が気になるときには、唇にはワセリンを、肌にはローションやクリームなどの保湿剤を塗布してください。鼻や目なども含めて体全体が乾燥しやすくなるため、各種保湿剤はこまめに使用するようにしましょう。
※乾燥や皮膚炎以外の副作用については、「イソトレチノイン(イソトロイン)の副作用と対処法」の項目を参考に対処してください。
※当院ではニキビ・酒さ専用の保湿剤を販売しています。詳しくは「ベーシックケアAZ」の公式サイトをご覧ください。
治りにくいニキビ・ニキビ跡のご相談は池袋駅前のだ皮膚科へ
繰り返しできるニキビや重症のニキビは、塗り薬を試してみても治りにくいと感じることがあります。当院ではこのような治りにくいニキビに、イソトレチノインの飲み薬で治療をしています。ニキビの症状にお悩みの方は、ぜひ当院までご相談ください。
価格
イソトレチノインの治療は、公的医療保険が適用されない自由診療です。
イソトレチノイン(イソトロイン、20mg/日) | イソトレチノイン(イソトロイン、20mg/日) 30日分 16,500円(税込) |
副作用・注意事項等
禁忌
・妊娠中、妊娠希望のある方、授乳中の方
(※服用期間中と服用後1か月は妊娠できません。妊娠した場合はすぐに医師にご相談ください。)
・12歳未満の方
・強い肝機能障害のある方
・ビタミンA過剰症の方
・過去にイソトレチノインでアレルギー症状を起こした方
副作用
唇や肌の乾燥、肝機能障害、関節痛、筋肉痛、骨の痛み、脱毛、頭痛、うつ病など
注意事項等
・次のような方はイソトレチノインの服用に注意が必要です。
うつ病などの精神疾患で治療中の方、コレステロール・中性脂肪の高い方、テトラサイクリン系の薬剤を使用中の方
・以下の副作用が出たときには、服用を中止して医師までご相談ください。
うつ病、悪心・嘔吐、肝機能低下、視覚障害、聴覚障害、長時間の頭痛
・イソトレチノインの服用中には以下のような副作用が出るかもしれません。
口腔や口唇・皮膚の乾燥、頭痛、疲労、筋肉・関節・骨の硬直や圧痛、鼻出血、脱毛、かゆみなど
これらの気になる副作用が出たときには、「イソトレチノイン(イソトロイン)の副作用と対処法」の項目を参考に対処してください。症状が改善しないときは医師までご相談ください。
<イソトレチノインについて>
・未承認医薬品等
イソトレチノインは、医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。
・入手経路等
インドのCipla社から個人輸入しています。
個人輸入された医薬品等の使用リスクに関する情報はこちらのページ(https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/index.html)をご確認ください。
イソトレチノインの個人輸入についての厚生労働省の注意喚起はこちらのページ(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1b.html)をご確認ください。
・国内の承認機器の有無
国内で同程度の効能・効果で承認されている国内承認医薬品薬剤はありません。
・諸外国における安全性等に係る情報
米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。
胎児の催奇形性、鬱、精神病などの精神疾患の副作用も報告されています。
〈参考文献〉
1)https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1b.html