寒冷蕁麻疹の症状と原因は?冬場の冷えや寒暖差で起こるかゆみの防ぎ方

寒冷蕁麻疹の症状と原因は?冬場の冷えや寒暖差で起こるかゆみの防ぎ方

寒冷蕁麻疹は、冷えた肌が急に温まるときに、赤いふくらみと強いかゆみが出る蕁麻疹です。冬場の冷たい風や、暖かい室内との寒暖差が引き金になりやすく、決してめずらしい病気ではありません。

多くは数分で現れて1時間ほどで引きますが、冷たい水に全身でつかったときには、めまいや息苦しさといった重い反応につながることもあります。早めに気づいて備えることが、つらさを減らす近道です。

この記事では、寒冷蕁麻疹の症状と原因、病院での検査や治療、そして冬の冷えと寒暖差から肌を守る防ぎ方まで、順を追ってお伝えします。

目次

寒冷蕁麻疹は冷えた肌が温まるときに出る身近な蕁麻疹です

寒冷蕁麻疹は、冷たい刺激を受けた肌が温まるときに、赤いふくらみとかゆみが出る蕁麻疹です。冬に多いものの、年齢を問わず誰にでも起こりうる、めずらしくない皮膚の反応といえます。

蕁麻疹のタイプ主な引き金あらわれ方の特徴
寒冷蕁麻疹冷たい刺激と寒暖差冷えた肌が温まると出る
コリン性蕁麻疹汗や体温の上昇小さな膨疹が多発する
機械的な蕁麻疹こすれや圧迫かいた線に沿って出る
誘因のはっきりしない蕁麻疹特定しにくいきっかけなくくり返す

冷たい刺激のあとに温まると赤くふくらむ

寒冷蕁麻疹の特徴は、冷えそのものより、冷えた肌が温まり直すときに症状が強まる点にあります。冷たい風や水で下がった皮膚の温度が元に戻る瞬間に、かゆみと膨疹が顔を出します。

そのため、外から暖かい部屋に入った直後や、冷えた手をお湯であたためたときなどに気づく方が多いです。

たとえば冷たい水で皿を洗ったあとや、よく冷えた飲み物のグラスを握ったあとに、手のひらや指がむずむずしてくることがあります。心当たりのある方は、その場面をよく覚えておきましょう。

寒冷蕁麻疹は子どもにも起こるの?

子どもから高齢の方まで幅広く起こり、発症は10代から30代に多い傾向があり、女性にやや多く見られると報告されています。

子どもの場合は、外遊びやプールのあとに気づかれることもあります。本人がうまく言葉にできないこともあるため、まわりの大人が様子を見てあげると安心です。

大人になってから急にあらわれる方もいて、一度始まると数年つきあうケースも見られます。年代を問わず、気になる症状が続くようなら早めに相談するのがおすすめです。

刺激でくり返し出るタイプの蕁麻疹

寒冷蕁麻疹は、特定の刺激を受けると同じように症状が出る「刺激誘発型」の慢性蕁麻疹に当たります。冷たさという、はっきりした引き金があるのが他のタイプとの違いです。

引き金が分かっている分、避けたり備えたりしやすいという面もあります。まずは自分がどんな場面で出やすいかを知ることが、対策の出発点になるでしょう。

寒冷蕁麻疹の症状はかゆみと膨疹から始まります

寒冷蕁麻疹の症状は、冷えた部分が温まって数分のうちにかゆみと膨疹があらわれ、多くは1時間ほどで引いていきます。出る場所は手や顔など触れた所が中心ですが、ときに全身に及ぶこともあります。

数分で出て1時間ほどで消えるのが典型

典型的な経過では、冷たい刺激のあと数分でかゆみと赤いふくらみが出て、しばらくすると跡を残さず引いていきます。短時間で消えるため、見過ごしてしまう方も少なくありません。

くり返し同じ場面で出るようなら、それは体からのサインと受け止めて、記録しておくと受診のときに役立ちます。

いつ、どこで、どんな冷たさで出たのかをメモしておくと、自分の傾向がつかめます。スマートフォンの写真で膨疹の様子を残しておくのも、診察のときによい手がかりになるでしょう。

かゆみだけでなく赤みや腫れを伴うことも

症状はかゆみだけにとどまらず、赤みやヒリヒリ感、まぶたやくちびるの腫れを伴うこともあります。冷たい飲み物でのどがイガイガしたり、口の中がはれたりする場合もあるでしょう。

腫れが広がるときは、早めの受診を心がけてください。冷たいアイスや飲み物を口にしたときに、くちびるや舌に違和感が出ることもあります。のどの奥がはれる感じがあれば、無理をせず食べ方や飲み方を見直してください。

くちびるやのどがはれる危険なサイン

のどの奥や舌がはれて息苦しさを感じる場合は、急いで対応すべき危険なサインです。とくに冷たい水に全身でつかったあとは、血圧が下がってぐったりする反応につながることもあります。

こうした重い反応を一度でも経験した方は、次に備えて医師に相談しておくと安心です。

はげしい反応は頻繁に起こるものではありませんが、知っておくだけで落ち着いて動けます。あわてず安全な場所で休み、症状が強ければ早めに助けを呼んでください。

症状の広がりと注意の目安

出る範囲主な症状対応の目安
触れた部分だけかゆみ・赤み・膨疹落ち着いて様子をみる
広い範囲かゆみと腫れが重なる早めに受診する
全身(冷水など)めまい・息苦しさためらわず救急へ

冬場の冷えや寒暖差が寒冷蕁麻疹の原因になる理由

原因は、冷えた肌が再び温まるときの温度差です。冷たい風や冷水で下がった皮膚の温度が戻る瞬間に、肌の中の細胞がかゆみのもとを出すと考えられています。寒暖差の大きい冬に目立つのはこのためです。

肌が冷えてから温まる落差が引き金になる

寒さそのものより、冷えと温まりの落差が引き金になります。冷えた手を急にお湯で温めたり、寒い屋外から暖房の効いた部屋へ移ったりする場面が、まさにその落差です。落差をゆるやかにするだけでも、症状の出方は変わってきます。

引き金になりやすい場面

  • 冷たい風や冬の外気
  • 冷水や水仕事
  • エアコンや冷蔵庫の冷気
  • 冷たい飲み物や食べ物
  • プールや海での水泳
  • 汗をかいたあとの急な冷え

こうした場面が重なる日は、いつもより症状が出やすいと考えておくとよいでしょう。

肌の中の肥満細胞がヒスタミンを出す

皮膚には肥満細胞という免疫の細胞があり、冷えの刺激を受けるとヒスタミンなどの物質を放出します。この物質が血管を広げ、かゆみとふくらみを生み出します。

寒冷蕁麻疹は、冷えに反応して肌が過敏になっている状態で、肥満細胞が出すヒスタミンは、血管を広げるだけでなく、かゆみを伝える神経も刺激します。これが、赤みやふくらみに加えて、がまんしづらい強いかゆみを伴う理由です。

ほかの病気が隠れていることはないの?

多くは特別な病気が背景になく、冷えだけが引き金になります。ただしまれに、血液中の特殊なたんぱくや血液の病気が隠れていることもあります。

大人になってから急に始まった場合や、症状が重い場合には、血液検査でこうした原因を確かめることもあります。気になるときは自己判断せず、医師に相談してください。

とはいえ、過度に心配しすぎることはありません。多くの方では冷えだけが引き金で、血液検査をしても大きな異常は見つからないと分かっています。気になる点があれば、医師にたずねてみましょう。

入浴やプールで全身に出る寒冷蕁麻疹に注意

体の広い範囲が一度に冷えるときは、寒冷蕁麻疹がとくに重くなりやすく、注意が必要です。冷たい水に全身でつかると、かゆみだけでなく、めまいや息苦しさといった反応につながることもあります。

体の広い範囲が一気に冷えると重くなりやすい

手や顔だけが冷えるときと違い、全身が一度に冷えると、放出されるかゆみのもとの量も多くなります。その分、反応が強く出やすいわけです。

冷たい川やプール、海など、体ごと冷える場面では、いつも以上に慎重になりましょう。夏の海や川遊びであっても、水温が低ければ全身は同じように冷えます。季節を問わず、体ごと冷たい水につかる場面では用心してください。

冷たい水に入った直後のめまいや息苦しさ

冷水に入った直後に、めまいや動悸、息苦しさを感じたら、それは全身の強い反応のサインかもしれません。意識が遠くなるような場合は、ためらわず救急の対応を考えてください。

過去に水泳や入浴でこうした経験がある方は、その出来事を医師に必ず伝えておきましょう。

気をつけたい水まわりの場面

場面起こりやすいこと備えのポイント
冷たいプール・海全身の強い反応ひとりで入らない
冷水のシャワー急なかゆみと膨疹ぬるめから始める
汗のあとの冷え体表の急な冷却早めに体をふく

ひとりでの入浴や水泳は避けるべき?

重い反応の経験がある方は、ひとりきりでの冷水浴や水泳は避けたほうが安心です。そばに人がいれば、万一のときにも気づいてもらいやすくなります。

家族や周囲の人に、自分が寒冷蕁麻疹であることと、いざというときの対応を伝えておくと、より安全に過ごせるでしょう。周囲の理解があると、いざというときの行動が早くなります。

病院では氷を使った検査で寒冷蕁麻疹を見分けます

大がかりな検査が要ると思われがちですが、寒冷蕁麻疹の診断は、氷を肌にあてる簡単な誘発テストが基本です。必要に応じて、症状の出やすさを数値で測ったり、血液検査で隠れた原因を調べたりします。

検査やり方分かること
氷を使った誘発テスト氷のうを肌に数分あてる寒冷蕁麻疹かどうか
温度しきい値の検査機器で温度を変えて反応をみる症状の出やすさの程度
血液検査採血して調べる隠れた原因や合併する病気

氷を肌にあてる誘発テストで確かめる

基本になるのが、氷のうを腕の内側に数分あて、外したあとに膨疹が出るかをみる検査で、短時間で結果が分かり、体への負担も小さいです。自宅で氷を使って試す方もいますが、判断は医師にゆだねましょう。

氷を外したあとにその部分が赤くふくらめば、寒冷蕁麻疹を裏づける手がかりになります。検査そのものは数分で終わり、強い痛みもないので、こわがらずに受けて大丈夫です。

何度で出るかを測る検査でつらさを数値化

専用の機器を使うと、何度くらいの冷たさで症状が出るかを数値で確かめられます。この値が低い、つまりわずかな冷えで出る人ほど、日常で注意すべき場面が多くなります。

数値が分かると、治療で改善したかどうかも比べやすくなるため、つらさの目安として役立ちます。たとえば少し涼しいだけで出る方もいれば、かなり冷やさないと出ない方もいます。

血液検査で隠れた原因を調べることも

症状が重い場合や、急に始まった場合には、血液検査で背景の病気を調べることがあります。冷えで固まりやすい特殊なたんぱくが関係していないかを確かめるためです。

多くの方では特別な異常は見つかりませんが、念のため確認しておくと安心につながります。どんな検査をどこまで行うかは、症状の重さや始まった時期によって変わります。

寒冷蕁麻疹の治療は抗ヒスタミン薬が中心です

寒冷蕁麻疹の治療は、眠気の少ない第二世代の抗ヒスタミン薬で症状を抑えるのが中心です。効きが足りないときは量を調整し、それでもつらい場合には注射の治療を検討します。

第二世代の抗ヒスタミン薬から始める

まず用いるのは、日中の眠気が出にくい第二世代の抗ヒスタミン薬です。かゆみと膨疹をやわらげ、毎日の生活を送りやすくする土台になります。飲み始めてすぐに効きを感じる方もいれば、しばらく続けて様子をみる方もいます。

自己判断でやめず医師と相談しながら調整し、症状が出てから飲むのではなく、寒い時期のあいだは毎日続けて予防的に使う方法もあります。どのような飲み方が合うかは一人ひとり違うため、医師と一緒に決めていくと安心です。

効きが足りないときは量を増やす工夫

通常量で抑えきれないときは、医師の判断で薬の量を増やす方法がとられます。研究でも、量を増やすと冷えに対する反応が出にくくなることが示されています。増量は、必ず医師の指示のもとで行うのが安全です。

量を増やすときに心配なのが眠気ですが、第二世代の薬は日中に響きにくいのが利点です。それでも体に合わないと感じたら、種類を変えるなどの工夫も医師に相談できます。

つらい症状が続くときの注射という選択

薬を調整しても症状が抑えにくい場合には、抗IgE抗体という注射の治療を検討することがあります。どの治療が合うかは、症状の重さや生活の状況によって変わり、気になる方は、選択肢のひとつとして医師に相談してください。

注射の治療は、すべての方に必要なわけではありません。多くは飲み薬の調整で落ち着くため、まずは身近な治療からていねいに試していくのが基本の流れです。

治療の進め方

  • 第二世代の抗ヒスタミン薬で開始
  • 効果を見ながら医師の判断で増量
  • つらい場合は注射の治療を検討

いずれの段階でも、引き金を避ける日常の工夫を合わせて続けることが大切です。

冬の冷えと寒暖差から肌を守るかゆみの防ぎ方

外と室内を行き来するたびにかゆくなる冬は、つらいものです。寒冷蕁麻疹の防ぎ方の基本は、肌を冷やしすぎないことと、急な温度差をつくらない暮らしの工夫にあります。

重ね着と保湿で肌の冷えを防ぐ

手袋やマフラー、重ね着で肌が直接冷たい風にさらされないようにすると、引き金を減らせます。乾いた肌は刺激に弱いため、保湿で整えておくこともかゆみ対策になります。

肌に直接ふれる素材は、チクチクしにくい綿やシルクなどを選ぶと刺激になりにくいものです。首元や手首など、冷気の入りやすい場所をふさぐ意識を持つと、冷えをぐっと抑えられます。

急な温度差をつくらない暮らしの工夫

寒い屋外から暖房の効いた部屋へ移るときは、いったん玄関などで体を慣らすと落差がやわらぎます。冷たい飲み物を一気に飲まない、冷えた手をお湯で急に温めないといった工夫も役立ちます。

お風呂上がりに湯冷めしないよう、すぐに体をふいて着替えることも予防につながります。冬の暮らしでは、温度の落差をなだらかにする視点を持つだけで、つらい場面をかなり減らせるでしょう。

毎日の暮らしでできる工夫

場面できる工夫ねらい
外出時手袋・マフラー・重ね着肌を冷やさない
帰宅時玄関で体を少し慣らす急な温度差を減らす
飲食時冷たい物を控えめに口やのどを守る

受診を考えるのはどんなとき?

市販の薬で抑えきれない、症状が広がる、めまいや息苦しさを伴うといったときは、受診を考えるタイミングです。とくに全身の反応を経験した場合は、早めに専門の医師へ相談してください。

受診のときは、いつから、どんな場面で、どのくらい続くのかを伝えるとスムーズです。スマートフォンに残した症状の写真があれば、医師も状態をつかみやすくなります。

よくある質問

寒冷蕁麻疹は自然に治ることはありますか?

時間とともにやわらぐ方もいますが、数年単位で続いたり、良くなったり悪くなったりをくり返したりすることもあります。長くつきあう方も少なくありません。

自然によくなるのを待つだけでなく、つらいときは早めに相談するのがおすすめです。

治療でかゆみをうまく抑えつつ、冷えを避ける工夫を続けるうちに、症状が気にならなくなる方もいます。あせらず、自分のペースで付き合っていけば大丈夫です。

寒冷蕁麻疹は何科を受診すればよいですか?

皮膚科やアレルギー科が相談先の中心になります。冷たい刺激で出るかゆみや膨疹の様子を伝えると、氷を使った検査などで確かめてもらえます。

全身の反応やめまいを伴ったことがある場合は、その経験も忘れずに伝えてください。

寒冷蕁麻疹でもお風呂やプールに入って大丈夫ですか?

ぬるめのお湯にゆっくり慣らすなど工夫すれば、入浴できる方は多くいます。一方で、冷たいプールや海に全身でつかると、急に重い反応が出ることがあります。

とくに冷水での水泳はひとりを避け、水温や体調に気をつけて無理をしないことが大切です。

お風呂は、熱すぎないお湯で体を少しずつ温めると負担になりにくいといえます。心配なときは、入る前にかかりつけの医師に相談しておくと、より安心して楽しめるでしょう。

寒冷蕁麻疹は市販の薬で抑えられますか?

市販の抗ヒスタミン薬で軽いかゆみがやわらぐこともありますが、量や種類の調整には医師の判断が役立ちます。

くり返すときや効きが弱いときは、自己判断を続けず受診してください。

寒冷蕁麻疹は冬だけでなく夏にも起こりますか?

夏でも起こります。冷房の効いた部屋、冷たい飲み物、プールや海など、季節を問わず冷える場面が引き金になります。

暑い時期ほど油断しがちなので、汗をかいたあとの急な冷えにも気をつけたいところです。

季節そのものよりも、肌が冷えてから温まる場面があるかどうかが大切になります。一年を通して、急な冷えと、そのあとの温まりの落差に気をつけて過ごしてみてください。

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この記事を書いた人

野田真史のアバター 野田真史 池袋駅前のだ皮膚科 院長

医学博士 / 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

東京大学医学部卒業、同大学院医学博士課程修了。米国ロックフェラー大学への臨床研究留学、ニューヨーク州医師免許取得を経て、東京大学医学部附属病院助教を務める。2018年、池袋駅前のだ皮膚科を開院。

ニキビやシミといった身近な悩みから難治性の皮膚疾患まで、常に知識を研鑽し、適切な診断・治療を行うことを信条としている。

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