【赤ちゃんのアトピー】乳児湿疹との違いは?原因と健やかな肌を保つスキンケア

赤ちゃんの肌が荒れているとき、それが乳児湿疹なのかアトピー性皮膚炎なのかで迷う親御さんは多いでしょう。

乳児湿疹の多くは生後数ヶ月で自然に落ち着きますが、アトピー性皮膚炎は慢性的に繰り返す経過が特徴です。

遺伝的な要因や皮膚バリアの弱さが絡む発症の仕組みを理解することが、日々のケアの第一歩となります。

本記事では、2つの疾患の見分け方から毎日の保湿ケア、悪化を防ぐ生活習慣まで、皮膚科専門医が丁寧に解説します。

目次

乳児湿疹とアトピー性皮膚炎、見た目が似ているのに何が違う?

乳児湿疹とアトピー性皮膚炎は、どちらも乳幼児の肌に現れる皮膚炎症ですが、発症の背景・経過・将来的な影響において大きな違いがあります。

発症時期と経過から見えてくる違い

「乳児湿疹」とは、乳幼児期に生じるさまざまな皮膚炎の総称です。新生児ざ瘡(にきびのような発疹)、脂漏性湿疹(頭や眉毛周辺のかさぶた状の発疹)、あせも、接触性皮膚炎などが含まれます。

生後2〜3週ごろから始まり、多くは生後3〜4ヶ月をピークに自然に改善していきます。

一方、アトピー性皮膚炎は「慢性的に繰り返す」ことが大きな特徴です。症状が落ち着いたかと思えばぶり返し、同じ部位に炎症が繰り返し起こります。

生後2〜3ヶ月ごろに発症することが多く、かゆみを伴う点でも一般的な乳児湿疹とは違いがあります。

皮膚の状態だけでは判断しにくい理由

乳児湿疹とアトピー性皮膚炎は、見た目だけで区別するのが難しいことがあります。どちらも顔や頭、首といった同じ部位に赤みや湿疹が現れるためです。特に生後3ヶ月未満の乳児では、アトピー性皮膚炎と乳児湿疹の明確な鑑別が困難で、経過観察が診断の要になります。

また、かゆみの強さが一つの手がかりになります。乳児湿疹では比較的かゆみが少ないのに対し、アトピー性皮膚炎では睡眠を妨げるほどの強いかゆみが生じることが特徴です。

赤ちゃんが頭や顔を激しくこすりつける仕草を繰り返す場合は、アトピー性皮膚炎の可能性を考える必要があります。

乳児湿疹とアトピー性皮膚炎の主な比較

比較項目乳児湿疹アトピー性皮膚炎
発症時期生後2〜3週ごろ生後2〜3ヶ月ごろ
経過多くは自然に改善慢性的に繰り返す
かゆみ比較的少ない強い(睡眠障害あり)
好発部位顔・頭・首顔・頭・首→手足の関節部へ
家族歴関連薄いアトピー素因と強く関連

正しく診断するために医師が確認すること

アトピー性皮膚炎の診断には、国際的に用いられている基準があります。英国のUK Working Party診断基準では、「3ヶ月以上続く痒みのある皮膚炎」「特徴的な部位への分布」「乾燥肌」「アトピー疾患の個人または家族歴」などの項目を組み合わせて評価します。

1回の受診だけで確定診断が難しい場合も多く、経時的な経過観察が欠かせません。「3ヶ月経っても同じ場所にくり返し湿疹が出る」「かゆがって眠れない夜がある」といった情報を受診時に伝えると、診断の助けになります。

赤ちゃんのアトピーを引き起こす主な3つの原因

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は、遺伝的な素因、皮膚バリアの低下、そして環境因子という3つの要素が複雑に絡み合って発症します。

どれか1つが原因というわけではなく、それぞれが互いに影響し合うことで症状が引き起こされます。

遺伝的素因とフィラグリン遺伝子の関係

アトピー性皮膚炎の発症には、遺伝的背景が深く関わっています。両親のどちらかがアトピー疾患を持つ場合、子どもの発症リスクは顕著に高まります。

特に注目されているのが「フィラグリン(FLG)」遺伝子です。フィラグリンは皮膚の最外層に位置する角層の構造を維持するうえで欠かせないタンパク質で、皮膚の保水や外からの刺激に対するバリア機能に直接関わっています。

FLG遺伝子に変異があると、皮膚バリアが弱くなり、アレルゲンが皮膚から侵入しやすくなります。研究では、FLG変異を持つ乳児は生後3ヶ月の時点ですでに湿疹のリスクが約2.9倍高いことが報告されており、遺伝的素因がいかに早期から影響するかが示されています。

皮膚バリアの低下が生む悪循環

皮膚バリアが低下すると、外界のアレルゲン(ダニ、花粉、食物由来の微粒子など)が皮膚から体内に入り込みやすくなります。これが「経皮感作」と呼ばれる現象です。

経皮感作が起きると免疫系が反応し、皮膚に炎症が生じます。炎症が起きた肌はさらにバリアが弱くなり、より多くのアレルゲンが侵入しやすくなる、という悪循環が形成されます。

この悪循環を断ち切るためには、炎症をしっかり抑えながら保湿でバリアを補うことが求められます。乳幼児期から保湿ケアを行うことがアトピーの発症や重症化を防ぐうえで大切だとされるのは、この理由からです。

環境因子やアレルゲンが症状を左右する

皮膚バリアが弱い赤ちゃんにとって、生活環境の中にあるさまざまな刺激がアトピーを悪化させる要因になります。ダニや花粉、ペットのフケなどの吸入アレルゲン、汗や衣類の摩擦による物理的刺激、季節の変わり目の気温・湿度の変化など、多くの要因が関係しています。

食物アレルギーとの関係も無視できません。特に卵・牛乳・小麦などへの感作は、重症のアトピー性皮膚炎を持つ乳児に多く見られます。

ただし、食物制限が必ずアトピーを改善するわけではないため、自己判断での除去食は避け、専門医の指導を受けることを推奨します。

主なアトピー悪化因子

  • ダニ・カビ・ペットのフケなどの吸入性アレルゲン
  • 卵・乳製品・小麦などの食物アレルゲン(特に重症例)
  • 汗や摩擦による物理的刺激
  • 乾燥した室内環境や気温の急激な変化
  • ストレスや疲労(親・乳児ともに)

赤ちゃんの肌を守るスキンケアの基本

赤ちゃんのアトピーケアの土台は「保湿」です。皮膚バリアを補う保湿剤を正しく選び、正しく使うことが、症状の改善と悪化予防の両面で大きな差を生みます。毎日のケアが積み重なって、肌の状態を安定させていきます。

保湿剤の種類と正しい選び方

市販の保湿剤には大きく分けてローション・クリーム・軟膏の3種類があります。

ローションは伸ばしやすく広い範囲に向いていますが、保湿力はやや低め。クリームは保湿力と使いやすさのバランスが取れており、日常的なケアに向いています。軟膏は最も保湿力が高く、乾燥が強い部位や冬場に活躍します。

赤ちゃんへの保湿剤は、香料・着色料・防腐剤などが少ない低刺激のものを選ぶのが基本です。「赤ちゃん用」と表示されているものでも成分を確認する習慣をつけましょう。迷ったときは皮膚科や小児科で推奨品を聞くのが確実です。

保湿剤を塗るタイミングと適切な量

保湿剤を塗る一番のタイミングは、入浴後5〜10分以内です。お風呂上がりは肌がやわらかくなっており、保湿成分が浸透しやすい状態にあります。この時間を逃すと皮膚の水分が急速に失われてしまうため、タオルで水分を押さえたらすぐに保湿剤を手に取る習慣をつけてください。

塗る量は「ちょっと多すぎかな」と感じるくらいが目安です。指で伸ばしたときに薄いベールのように膜が張るイメージで、全身にムラなく塗ります。赤ちゃんの全身に使う量は、1回あたりクリームで大豆2〜3粒分が一つの目安です。

保湿剤の種類と特徴

種類保湿力向いている場面
ローション低〜中広い範囲・夏場・サラッとした仕上がりを好む場合
クリーム日常の全身ケア・季節を問わず使いやすい
軟膏乾燥が強い部位・冬場・炎症後の保護

毎日の保湿ケアを無理なく続けるコツ

保湿ケアを毎日続けることが、アトピー管理においてとても大切です。

忙しい育児の中で継続するためには、「入浴→保湿→着替え」の流れをルーティン化するのが効果的です。保湿剤の容器をお風呂の脱衣所に常備しておくと、うっかり忘れを防げます。

皮膚科で処方された外用薬がある場合、塗る順番は「外用薬(ステロイドなど)→保湿剤」が一般的な推奨です。ただし担当医の指示を最優先にしてください。症状が落ち着いている時期も保湿は毎日続けることが再発予防につながります。

赤ちゃんのお風呂ケアと入浴方法

お風呂の入り方は、アトピーのケアに直接影響します。熱いお湯や長時間の入浴はかゆみを悪化させ、正しくないタオルの使い方は皮膚への刺激になります。

入浴から上がった後のケアまで、一連の流れを丁寧に見直してみましょう。

湯温・入浴時間・石けんの選び方

赤ちゃんのお風呂の湯温は38〜40℃のぬるめが推奨です。熱いお湯は皮脂を過剰に洗い流してしまい、皮膚バリアをさらに弱める原因になります。入浴時間は5〜10分を目安にしましょう。長くお湯につかるほど、肌の水分が奪われてしまいます。

石けんは低刺激・弱酸性・無香料のものが向いています。赤ちゃん向けと表示されていても、界面活性剤の種類や添加物はさまざまです。

「合成界面活性剤不使用」や「パラベンフリー」を選ぶと安心度が高まります。泡タイプを使うと摩擦を最小限にしやすく便利です。

正しい洗い方と上がり方の流れ

石けんをよく泡立て、手のひらでやさしく洗うことが基本です。タオルやスポンジでこすると皮膚に傷をつけてしまうため、使わないことをお勧めします。首のシワ、腋、股など汚れがたまりやすい部位は、指で丁寧に洗ってください。

すすぎは十分に行い、石けんが残らないように気をつけましょう。お風呂から上がったら、タオルで「押さえる」ように水分を拭き取ります。ゴシゴシこするのはNGです。

特に湿疹のある部位はやさしく押さえるだけにとどめてください。

入浴後のスキンケアの手順

入浴後はできるだけ早く、5〜10分以内に保湿剤を塗るのが鉄則です。皮膚が乾き始める前にケアを終わらせることで、水分の蒸発を防げます。炎症や赤みがある部位には、医師から処方された外用薬をまず塗り、その上に保湿剤を重ねるのが一般的な順番です。

全身に保湿剤を塗り終えたら、肌が少し落ち着いてから着替えさせましょう。着替えを急ぎすぎると保湿剤が衣類についてしまい、十分なケアができないことがあります。

お風呂ケアのNG例とOK例

場面NGな行動OKな行動
お湯の温度42℃以上の熱いお湯38〜40℃のぬるめ
入浴時間20分以上の長湯5〜10分を目安に
洗い方タオルでゴシゴシ泡を使って手で優しく
拭き方こすり拭き押さえ拭き
保湿タイミング着替えてから30分後上がってすぐ(5〜10分以内)

毎日の生活でできるアトピー悪化防止策

衣類の素材、室内の湿度、食事の内容など、日常生活のさまざまな場面にアトピーを悪化させるきっかけが潜んでいます。小さな見直しを積み重ねることが、赤ちゃんの肌の安定につながります。

衣類と洗濯のポイント

赤ちゃんの衣類は、やわらかい綿素材を選ぶことが基本です。ウールや化学繊維は摩擦や静電気が生じやすく、かゆみを引き起こす原因になります。縫い目が外側に出ているタイプは皮膚への刺激が少なく、アトピーの赤ちゃんにとって特に使いやすい設計です。

洗濯には蛍光増白剤・香料不使用の洗剤を選び、すすぎを念入りに行うことをお勧めします。柔軟剤は成分によっては刺激になることがあるため、使わないか、赤ちゃん用の低刺激タイプを選びましょう。

汗をかいた後は早めに着替えさせることも、皮膚への刺激を減らす有効な対策です。

室内環境を整えて肌への刺激を最小化する方法

室温は18〜22℃、湿度は50〜60%が赤ちゃんの肌に優しい環境の目安です。特に冬場は暖房で空気が乾燥しやすいため、加湿器を活用して湿度を保ちましょう。エアコンのフィルターを定期的に清掃することも、ダニやカビの繁殖を防ぐうえで大切です。

ダニ対策として、寝具の洗濯を週1回以上行い、掃除機がけを丁寧に行うことが有効です。アトピーのリスクが高い赤ちゃんには、防ダニカバーを布団に使う方法も検討してみてください。

室内環境チェックリスト

チェック項目目標値・対策
室温18〜22℃(冬の暖房のかけすぎに注意)
湿度50〜60%(加湿器で調整)
寝具の洗濯週1回以上、60℃以上のお湯か天日干し
掃除機がけ布団・畳・カーペットを週2回以上
エアコンフィルター月1回以上清掃

食事とアレルギーの関係をどう考えるか

「アトピーがあるから、特定の食べ物を避けた方がいいのでは」と考える親御さんは多いでしょう。確かに食物アレルギーとアトピーは関連しますが、医師の診断なしに自己判断で除去食を行うことは、栄養不足や経口免疫寛容の獲得を妨げるリスクがあります。

アレルギー検査が必要かどうかは、皮膚科・小児科・アレルギー科の専門医が判断します。

「特定の食品を食べると必ず悪化する」「食後に口の周りが赤くなる」など明確な症状がある場合は受診を検討しましょう。自己判断での制限は得策ではありません。

受診すべきサインと皮膚科での治療の進め方

自宅でのスキンケアを続けても症状が改善しない、あるいは急に悪化したと感じるときは、皮膚科への受診を迷わず行動に移すことが大切です。早期の適切な治療がアトピーの長期的なコントロールに直結します。

「自己ケアの限界」を示す3つのサイン

どれだけ丁寧に保湿しても赤みや湿疹が広がる場合、皮膚の炎症が保湿剤だけでは抑えられない状態にあります。

また、夜間のかゆみで赤ちゃんが何度も目を覚ます状態が続いているときも、治療が必要なサインです。睡眠の質の低下は赤ちゃんの発育にも影響するため、放置は禁物です。

湿疹がジュクジュクしている(浸出液が出ている)、黄色い痂皮(かさぶた)が増えているといった場合は、黄色ブドウ球菌などによる二次感染の可能性があります。感染を伴う湿疹には抗生剤を含む外用薬が必要になるため、早めの皮膚科受診を行いましょう。

外用薬の種類と使い方の基本

アトピー性皮膚炎の治療における外用薬の中心は、ステロイド外用薬です。炎症を鎮める働きがあり、適切に使えば短期間で症状を改善できます。

ステロイドには強さのランク(クラス1〜5)があり、赤ちゃんの場合は顔には弱いランク、体幹や手足には少し強めのものを使うなど、部位に応じた使い分けが行われます。

カルシニューリン阻害薬(タクロリムス外用薬)は、ステロイドが使いにくい部位や長期使用を避けたい場合の選択肢です。

ただし2歳未満の乳児への使用は制限があるため、担当医の判断に従います。処方薬は自己判断で量や回数を減らさず、指示通り使い続けることが治療成功のカギです。

ステロイド外用薬についてよくある疑問

「ステロイドは怖い」という印象を持つ親御さんは多いですが、外用薬のステロイドは内服薬と異なり、全身への影響は限定的です。

皮膚科医が指示する量・期間・強さで使用する限り、赤ちゃんへの安全性は確立されています。むしろ炎症を放置することのほうが、皮膚へのダメージが蓄積するリスクになります。

近年は「プロアクティブ療法」という考え方が広まっています。これは症状が落ち着いた後も、週2〜3回の頻度でステロイドを定期的に塗り続けることで、再燃を予防するアプローチです。症状が出てから塗る「リアクティブ療法」と組み合わせながら、担当医と相談して取り組むと効果的です。

皮膚科受診前に準備しておくこと

  • いつから・どの部位に湿疹が出ているかのメモ
  • 夜間のかゆみや睡眠への影響について具体的な記録
  • 現在使用している保湿剤や市販薬の名前(成分表も持参)
  • アレルギー疾患に関する家族歴(花粉症・喘息・アトピーなど)
  • 症状の写真(スマートフォンで撮影しておくと便利)

知っておきたいアトピーと睡眠の関係

夜間のかゆみによる睡眠障害は、赤ちゃんだけでなく親御さんにとっても深刻な問題です。

アトピー性皮膚炎が睡眠に与える影響を理解し、無理のない対策を取ることが、親子ともに健康な生活を維持するために欠かせません。

夜間のかゆみが招く睡眠障害

アトピー性皮膚炎の赤ちゃんは、夜間にかゆみが強くなる傾向があります。

就寝中は副腎皮質ホルモンの分泌が低下し、体温が上昇するため、かゆみを感じやすくなるからです。その結果、赤ちゃんは夜中に何度も目を覚まし、親御さんも一緒に眠れない状態が続くことがあります。

睡眠不足はアトピーの症状自体にも悪影響を及ぼします。免疫系のバランスが乱れ、炎症が悪化しやすくなるという悪循環につながります。赤ちゃんとともに親御さんが質の良い睡眠を取れるよう、かゆみを最小化するための取り組みが欠かせません。

アトピーが親子の睡眠に与える影響

影響を受ける人主な問題対策のポイント
赤ちゃん夜中に何度も目覚める・搔き壊し就寝前の保湿・室温・湿度管理
母親慢性的な睡眠不足・不安・抑うつ家族との分担・専門家への相談
父親・同居家族夜間の覚醒・日常生活への支障育児の協力体制を築く

親の負担を軽くするためにできること

アトピーの赤ちゃんを育てる親御さんは、ケアの継続による身体的・精神的な疲弊を感じやすい立場にあります。自分だけで抱え込まず、パートナーや家族と役割を分担することが長続きするケアへの道です。夜間のケアを当番制にする、昼間に休む時間を確保するなど、無理のない体制を整えましょう。

地域の保健師や皮膚科医、アレルギー専門医への相談も積極的に活用してください。「どうすれば楽になるか」を一人で考えるよりも、専門家の意見を取り入れることで、具体的な改善のヒントが見つかることがあります。

よくある質問

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎と乳児湿疹は、自分で見分けることができますか?

見た目だけで正確に見分けることは、家庭では難しいとお考えください。どちらも顔や頭などに赤みや湿疹が出る点では似ていますが、アトピー性皮膚炎には強いかゆみと慢性的な経過という特徴があります。

「3ヶ月以上、同じ部位に繰り返し湿疹が出る」「夜中にかゆがって眠れない日が続く」という状態であれば、アトピー性皮膚炎の可能性が高まります。確定診断は皮膚科医が経過を踏まえて行うものですので、心配な場合は早めに受診されることをお勧めします。

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は、成長とともに自然に治ることがありますか?

アトピー性皮膚炎は、成長に伴って症状が軽減・消失するケースも多くあります。特に乳幼児期に発症した場合、学童期以降に症状が落ち着くことは珍しくありません。ただし、すべての赤ちゃんが自然に治るわけではなく、成人まで続くケースや、他のアレルギー疾患(喘息・花粉症など)へと移行する「アレルギーの行進(アトピーマーチ)」が起きることもあります。

自然軽快を待つ間も、日々のスキンケアと適切な治療でコントロールすることが、将来の症状の軽さに影響します。放置は状態を悪化させるリスクがあるため、皮膚科での定期的なフォローをお勧めします。

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎のための保湿剤は、1日に何回塗るのが効果的ですか?

保湿剤は1日2回以上の使用が効果的とされています。特に入浴後5〜10分以内のタイミングは最も大切で、皮膚の水分が蒸発する前に素早く塗ることがポイントです。朝は着替えの前に全身に塗る習慣をつけると、1日の保湿リズムが整います。

乾燥が強い冬場や、汗で保湿剤が流れてしまう夏場は、1日3回程度に増やすことも検討してください。炎症が強い時期と落ち着いている時期では、外用薬の使用頻度は変わっても、保湿だけは毎日続けることが赤ちゃんの肌を守る基本となります。

ステロイド外用薬は赤ちゃんのアトピー性皮膚炎に使っても安全ですか?

皮膚科医が処方するステロイド外用薬は、赤ちゃんにも安全に使用できます。内服薬のステロイドとは異なり、外用薬は全身への影響が限定的で、適切な強さ・量・期間で使えば副作用のリスクは小さいことが多くの研究で示されています。

怖いのは、ステロイドを使わずに炎症を放置することです。慢性的な炎症が皮膚に繰り返し起きると、長期的なダメージにつながります。「塗りすぎ」への不安から自己判断で量を減らすより、担当医の指示を守って使うことが、赤ちゃんにとって最も安全な選択です。わからないことがあれば、遠慮なく主治医に相談してください。

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎がある場合、食事制限は必要ですか?

すべての赤ちゃんに食事制限が必要なわけではありません。医師の診断なしに自己判断で特定の食品を除去することは、栄養バランスの乱れや経口免疫寛容の妨げになるリスクがあります。特に母乳の場合、お母さんが食事を過度に制限することは推奨されていません。

「食べた直後に明らかに湿疹が悪化する」「口の周りが赤くなる・蕁麻疹が出る」といった明確な症状がある場合は、アレルギー検査のために受診してください。食物アレルギーが確認された場合は、専門医の指導のもとで適切な食事プランを立てることが、赤ちゃんの健康に沿った対応となります。

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この記事を書いた人

野田真史のアバター 野田真史 池袋駅前のだ皮膚科 院長

医学博士 / 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

東京大学医学部卒業、同大学院医学博士課程修了。米国ロックフェラー大学への臨床研究留学、ニューヨーク州医師免許取得を経て、東京大学医学部附属病院助教を務める。2018年、池袋駅前のだ皮膚科を開院。

ニキビやシミといった身近な悩みから難治性の皮膚疾患まで、常に知識を研鑽し、適切な診断・治療を行うことを信条としている。

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