ニキビの治療では、塗り薬と飲み薬を症状に合わせて使い分けます。どの薬がよく効くかは一人ひとり異なるため、効果を見ながら組み合わせを選んでいきます。
このページでは、当院で処方しているニキビの薬の種類と特徴、使い分けの目安をまとめています。薬ごとの使い方や副作用、薬価の目安は、それぞれの薬のページで紹介しています。
ニキビの塗り薬の種類(保険診療)
保険診療で使うニキビの塗り薬は、「レチノイド」「過酸化ベンゾイル」「抗菌薬」の大きく3種類です。
組み合わせて使うと効果が高くなり、2つの成分を合わせた配合薬もあります。
レチノイド(ディフェリンゲル)

ディフェリンゲル(成分名:アダパレン)は、ビタミンAに似た成分の塗り薬です。毛穴の異常な角化を抑えて詰まりを改善し、白ニキビ・黒ニキビの改善やニキビの予防が期待できます。
1日1回、就寝前の洗顔後に塗ります。使い始めの赤みやがさがさなどの刺激感は、1〜2週間ほどでおさまることがほとんどです。
妊娠中の方、妊娠している可能性がある方は使用できません。
過酸化ベンゾイル(ベピオ)

ベピオ(成分名:過酸化ベンゾイル)は、アクネ菌への抗菌作用とピーリング作用をあわせ持つ塗り薬で、ゲルとローションがあります。赤ニキビに向いているほか、白ニキビ・黒ニキビの発生や進行も防ぎます。
薬剤耐性菌の報告がないため、症状が落ち着いたあとの維持療法にも使えます。漂白作用があるので、髪や衣類に付かないように注意します。
抗菌薬(ダラシン・アクアチム・ゼビアックス)

ニキビの原因菌が増えるのを抑える塗り薬で、炎症を起こした赤ニキビや膿を持った黄ニキビに使います。ダラシンとアクアチムは1日2回、ゼビアックスは1日1回塗ります。
長く使い続けると薬が効かない耐性菌が生じることがあるため、必要な期間だけ使います。ニキビでは、4週間使っても改善しない場合は中止します。
配合薬(デュアック・エピデュオ)

デュアック配合ゲルはクリンダマイシン(ダラシンの成分)と過酸化ベンゾイル、エピデュオゲルはアダパレン(ディフェリンゲルの成分)と過酸化ベンゾイルを合わせた塗り薬です。どちらも1日1回の塗布で2つの成分を使えます。
そのぶん塗り始めに赤みやひりひりなどの刺激感が出やすいため、肌の状態を見ながら使います。エピデュオゲルは、妊娠中の方、妊娠している可能性がある方は使用できません。
ニキビの塗り薬(自費)
保険のディフェリンゲルと同じレチノイドの仲間で、日本では保険が使えない塗り薬として、トライファロテンとタザロテンを自費で処方しています。
どちらもディフェリンゲルより効果は高いものの、そのぶん肌が荒れやすいのが特徴です。
ニキビの飲み薬の種類
ニキビの数が多いときや赤く炎症を起こしているとき、塗り薬だけでは効果が不十分なときは、飲み薬を組み合わせます。
抗菌薬(ルリッド・ビブラマイシン・ミノマイシン)
抗炎症作用で赤ニキビの炎症を抑える飲み薬です。4〜8週間続けると効果を実感しやすく、続けて使うのは最長12週間程度です。
スピロノラクトン(自費)
男性ホルモンを抑える作用があり、皮脂の分泌を抑えてニキビの症状を改善します。ホルモンバランスの乱れによるニキビに向いており、塗り薬や抗生剤の飲み薬で治りが悪い場合に使います。
ニキビの治療には保険が使えないため、自費で処方しています。
イソトレチノイン(自費)
塗り薬や飲み薬の効果が不十分な場合や、ぼこぼこした赤みの強い「嚢胞性ざそう」には、イソトレチノインを処方しています。
皮脂の分泌や角化異常といったニキビの原因に働きかける薬で、最低でも4か月は内服を続けます。
症状に合わせた薬の使い分けの目安
どの薬を使うかは、ニキビの種類や重さ、肌の状態を見て医師が判断します。日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」で推奨されている薬と、当院で処方している薬をもとにした組み合わせの目安は、次のとおりです。
| ニキビの状態 | 主に使う薬 |
|---|---|
| 白ニキビ・黒ニキビ | ディフェリンゲル、ベピオ、エピデュオゲル、デュアック配合ゲル |
| 赤ニキビ・黄ニキビ | 上の塗り薬に加えて抗菌薬の塗り薬(ダラシン・アクアチム・ゼビアックス)。炎症が強いときは抗菌薬の飲み薬も |
| 炎症が治まったあと(再発の予防) | ディフェリンゲル、ベピオ、エピデュオゲル |
| 塗り薬・飲み薬で治りにくい重いニキビ | イソトレチノイン(自費)、スピロノラクトン(自費) |
妊娠中の方、妊娠している可能性がある方は、ディフェリンゲルとエピデュオゲルは使用できません。ほかの薬が使えるかどうかは医師が判断しますので、診察のときにお伝えください。
塗り薬を重ねて塗るときの順番
ニキビの塗り薬や保湿の化粧品を重ねるときは、塗る範囲が広いものから先に塗るのが基本です。
- 洗顔
- 化粧水や乳液で保湿
- 顔全体や、白ニキビ・黒ニキビの部分に塗る薬(ディフェリンゲル・ベピオなど)
- 炎症のあるニキビだけに塗る抗菌薬(ダラシンなど)
ベピオとゼビアックスを混ぜると変色することがあるため、夜にベピオ、朝にゼビアックスと分けるなど、重ね塗りを避けます。
病状によって処方する薬や塗る部分は変わるため、使い方は医師の指示に従ってください。
未承認医薬品等の表示
トライファロテンについて
- 未承認医薬品等
- トライファロテンは、医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医薬品です。
- 入手経路等
- 当院医師の判断のもと、個人輸入しています。
個人輸入された医薬品等の使用リスクに関する情報はこちらのページをご確認ください。 - 国内の承認医薬品等の有無
- 国内で同一成分の承認医薬品はありません(同じレチノイドの塗り薬として、アダパレン〈ディフェリンゲル〉が国内で承認されています)。
- 諸外国における安全性等に係る情報
- トライファロテンを成分とする製品(AKLIEF)が米国FDAで承認されています。主な副作用として、塗った部位の刺激感、かゆみ、日焼けが報告されています。
タザロテンについて
- 未承認医薬品等
- タザロテンは、医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医薬品です。
- 入手経路等
- 当院医師の判断のもと、インドのグレンマーク社で製造された製品を個人輸入しています。
個人輸入された医薬品等の使用リスクに関する情報はこちらのページをご確認ください。 - 国内の承認医薬品等の有無
- 国内で同一成分の承認医薬品はありません(同じレチノイドの塗り薬として、アダパレン〈ディフェリンゲル〉が国内で承認されています)。
- 諸外国における安全性等に係る情報
- タザロテンを成分とする製品(TAZORACなど)が米国FDAで承認されています。主な副作用として、塗った部位の皮むけ、乾燥、赤み、かゆみ、ひりひり感が報告されています。妊娠中は使用できません。
イソトレチノインについて
スピロノラクトンについて
- 未承認医薬品等(異なる目的での使用)
- 医薬品医療機器等法上、スピロノラクトンは「高血圧症、浮腫など」の効能・効果で承認されていますが、ニキビ治療を目的とした使用については国内で承認されていません。
- 入手経路等
- 国内の医薬品卸業者より薬を仕入れています。
- 国内の承認医薬品の有無
- スピロノラクトンは国内で承認されていますが、承認されている効能・効果および用法・用量と当院における使用目的・方法は異なります。
- 諸外国における安全性等に係わる情報
- 副作用として報告されているもの:乳房痛、生理不順、不正出血など
院長紹介

野田 真史

学歴・資格
東京大学医学部医学科卒業
皮膚科専門医(日本皮膚科学会認定)
医学博士(東京大学大学院医学系研究科)
ニューヨーク州医師免許
ECFMG certificate(アメリカ医師国家試験合格証)
Master in translational science(米国ロックフェラー大学)
略歴
米国Northwestern大学、Thomas Jefferson大学で診療研修
米国ロックフェラー大学
Instructor in Clinical Investigation
兼 Associate Attending Physician
ニューヨーク州医師免許を取得し、診療にあたる
湿疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、円形脱毛症の研究に従事し、Master in translational science(MSc)取得





