イソトレチノインの乾燥はいつからいつまで?原因・部位別の対策・受診目安を解説

「イソトレチノインが気になるけれど、肌の乾燥が心配…」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。イソトレチノインは重度のニキビ治療に使われる薬で、乾燥は代表的な副作用のひとつです。乾燥の程度には個人差があり、適切な対策を知っておくことが大切です。

この記事では、イソトレチノインによる乾燥の原因や出やすい時期、部位ごとの対策、受診の目安について詳しく解説します。

目次

乾燥はよくある副作用のひとつ

頬に手を添える女性の口元

イソトレチノインの副作用のなかでも、乾燥はもっとも多くみられる症状です。特に口唇炎(唇の乾燥)は、服用している方の約90%にみられるとされています。[1]

一方で、皮脂分泌を抑える作用により脂っぽさが軽減したと感じる方もいます。乾燥の出方や感じ方には個人差がありますので、唇や皮膚の乾燥が強い場合は、保湿や服用する量について医師に相談することが大切です。

イソトレチノインで乾燥する理由

頬に指先で触れる女性の横顔

イソトレチノインで乾燥が起こるのは、皮脂腺や皮膚の構造に直接作用するためです。

皮脂の分泌が減る

イソトレチノインは皮脂腺の大きさを縮小させ、皮脂の分泌量を大幅に抑制する作用があります。皮脂が減ることで肌表面が乾燥しやすくなり、落屑(皮むけ)が起こることもあります。[1]

また、表皮の細胞同士の結びつきにも影響するため、皮膚が刺激を受けやすくなったり、水分が逃げやすくなったりする可能性も指摘されています。

薬の量や体質によって出方が変わる

皮膚や粘膜の副作用は用量の影響を受けやすく、投与量が多いほど乾燥が出やすい傾向があります。1mg/kg/日では、ほぼ全員に何らかの副作用がみられる一方、0.1mg/kg/日では多くの方で副作用がみられないとされています。[1]

同じ投与量でも体質やもともとの肌質によって出方は異なるため、服用開始時から保湿を意識しておくことが大切です。

イソトレチノインの乾燥はいつから出る?

カレンダーと家の置物

乾燥はイソトレチノイン治療を始めてから比較的早い時期にみられることが多い症状です。

服用開始後1か月以内に出ることが多い

ある研究では、口唇炎、顔の乾燥、顔面紅斑などの副作用は治療開始後4週間以内にみられやすいと報告されています。皮膚乾燥症が70%、レチノイド皮膚炎が20%、口唇炎が15.5%にみられたというデータもあります。[2]

乾燥は治療開始後1週目からみられることがあり、4週目ごろに目立ちやすくなります。ただし出現時期は投与量や体質によって異なります。

乾燥が出てもすぐに自己判断で中止しない

乾燥はイソトレチノインの皮脂抑制作用に伴って起こりやすい副作用です。つらい乾燥があっても、自己判断で中止すると治療計画に影響する可能性があります。中止ではなく、隔日や週2回など服用間隔の調整を先に検討するため、まずは医師に相談してください。

イソトレチノインの乾燥はいつまで続く?

鏡の前で頬に指を当てる女性

イソトレチノインの服用中は乾燥が気になりやすいですが、治療終了後は徐々に落ち着いていくことがほとんどです。

服用中は続きやすい

イソトレチノインによる乾燥は、服用を続けている間は出やすい状態が続きます。とくに唇の乾燥は多くの方にみられるため、治療中はリップケアや保湿を欠かさないことが大切です。

一般的な治療期間は16〜24週間(約4〜6か月)とされており、この期間は唇や皮膚の保湿を続ける必要があります。

ただし治療期間は投与量、重症度、副作用の出方によって変わります。

治療終了後は徐々に改善する

イソトレチノインによる乾燥などの皮膚粘膜症状は、多くの場合、内服終了後に徐々に改善するとされています。[3]

症状が長引く場合や日常生活に支障がある場合は、皮膚科で相談してください。

乾燥が強い場合は減量・隔日投与などを検討

乾燥が強い場合は、まず保湿やリップケア、洗顔・スキンケアの見直しをおこないます。それでも症状がつらいときは、投与間隔を調整することで多くの場合は乾燥が改善します。

低用量でも一定の治療効果が報告されていますが、投与スケジュールによっては治療期間が長くなったり、再発率に差が出る可能性があります。効果・副作用・再発リスクのバランスを見ながら医師が投与量を調整しますので、自己判断で服用をやめず、乾燥の程度や服用量を医師に伝えてください。

乾燥しやすい部位と症状

両手で頬を押さえて困った表情の女性

イソトレチノインの乾燥は唇だけでなく、顔や体、目や鼻の粘膜にも出ることがあります。

唇の乾燥・ひび割れ

もっとも多い副作用で、軽い乾燥から口唇炎や痛みを伴う赤み・ひび割れなど程度はさまざまです。

顔や体の乾燥

皮脂腺が多い顔・胸・背中では乾燥や落屑(皮むけ)が出やすくなります。顔だけでなく、首や肩などの体にも乾燥を感じることがあります。

目や鼻の粘膜

目の乾燥(ドライアイ)が出ると、コンタクトレンズが合いにくくなることがあります。医師に相談のうえ、点眼薬で対処する方法を検討しましょう。

鼻粘膜の乾燥は、鼻血の原因になることがあります。保湿性の点鼻スプレーや、少量のワセリンを鼻孔の入口付近に塗る方法が有効です。鼻血は治療開始後1か月ごろからみられることがあります。

乾燥による赤み・かゆみ・痛み

服用中は乾燥や皮むけに伴い、赤み・かゆみ・ひりつき・痛みが出ることがあります。

皮脂分泌の低下や表皮の構造への影響により、皮膚が刺激を受けやすい状態になっていると考えられています。

イソトレチノイン服用中の乾燥対策

鏡の前で頬に指を当ててほほえむ女性

乾燥の症状を和らげながら治療を続けるために、日頃からのケアが大切です。

保湿剤をこまめに塗る

顔には低刺激・無香料の保湿クリームをこまめに使用してください。セラミドやナイアシンアミド(ビタミンB3)配合のクリームが乾燥や刺激を軽減したとする研究があります。[4]

唇にはワセリンやリップクリームをこまめに塗りましょう。屋外ではSPF30以上のリップクリームも選択肢になります。

当院ではニキビ・酒さが気になる肌向けの保湿剤「ベーシックケアAZ」を取り扱っています。

ベーシックケアAZについて、さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

洗顔はこすらず、洗いすぎない

やさしい洗浄料を使い、こすらずに洗いましょう。スクラブ入りの洗顔料や、硫黄・グリコール酸を含むものなど刺激の強い製品は避けてください。

洗顔後は肌が湿っているうちに保湿剤を塗るのがポイントです。

熱すぎるお湯・長湯を避ける

入浴時の湯温は40℃以下、入浴時間は10分程度を目安にしてください。

入浴後はすぐに保湿剤を塗りましょう。

紫外線対策

イソトレチノイン服用中は肌が紫外線に敏感になり、日焼けしやすくなることがあります。肌が敏感な場合は、酸化チタンや酸化亜鉛を含むミネラル系の日焼け止めも選択肢です。

日焼け止めは少なくとも2時間ごとに塗り直し、汗をかいた後や泳いだ後にも塗り直してください。日陰に入る、長袖や帽子を使う、UVカット機能のあるサングラスをかけるなど、日焼け止め以外の対策も併用しましょう。

イソトレチノインの乾燥が強いときにやってはいけないこと

「NG」の文字

乾燥がつらいと感じたときに、かえって症状を悪化させてしまう行動があります。

以下の3つはとくに気をつけてください。

服用をすぐにやめない

乾燥がつらい場合でも、自己判断で服用を中止しないでください。乾燥が強く保湿でも改善しない場合、隔日や週2回と内服頻度を落とすことで多くの場合に乾燥の程度をコントロールできます。

減量や休薬が必要かどうかは、乾燥の程度・ニキビの改善状況・検査結果などを踏まえて医師が判断します。自己判断で中止すると治療計画に影響する可能性があるため、まずは担当医に相談してください。

皮むけを無理に剥がさない

皮むけが気になっても、無理に剥がさないでください。皮膚を引っ張って剥がすと、傷ができて感染や炎症につながる可能性があります。

皮むけは自然に剥がれるのを待ち、こすったり引っ張ったりしないことが大切です。気になる場合は、低刺激の保湿剤で皮膚をやわらげましょう。

攻めのスキンケアを追加しない

イソトレチノイン服用中は肌が乾燥しやすく敏感になりやすいため、刺激の強いスキンケアを追加しないでください。

避けたい成分や製品としては、ビタミンAサプリメント、肌に塗るレチノール、過酸化ベンゾイル、硫黄、ビタミンC、AHA/BHAなどの角質ケア成分、スクラブ、香料入りの化粧品などが挙げられます。

また、過去6か月以内にイソトレチノインを使用していた場合、中〜深層ピーリングの施術が難しいことがあります。自己判断で受けず、医師に確認してください。

乾燥がつらいときの受診目安

受付カウンターでほほえむ白衣の女性

以下のような症状がある場合は、次の予約を待たずに早めに担当医に相談してください。

  • 乾燥によるひび割れから出血がある
  • 強い赤み・かゆみ・痛みが続いて日常生活に支障がある
  • 鼻血が頻繁に出る
  • 目のかすみ、夜間の見えにくさ、視力の変化、目の痛みや炎症がある
  • 皮膚のただれやじゅくじゅく、感染を疑う症状がある
  • 保湿をしても改善しない乾燥が続く

イソトレチノイン治療中の注意点

「注意点」と書かれたノートとペン

乾燥対策とあわせて、イソトレチノイン治療中に知っておきたい注意点があります。

妊娠中・妊娠の可能性がある方は服用できない

イソトレチノインは胎児に重篤な先天異常を引き起こすリスクがあり、妊娠中の服用は禁忌です。

妊娠している可能性がある方、妊娠を希望している方、適切な避妊ができない方は服用できません。服用中および最後の服用から1か月間は避妊が必要です。また、服用中および最後の服用から1か月間は献血を避けてください。

併用できない薬

テトラサイクリン系抗生物質(ドキシサイクリン、ミノサイクリンなど)との併用は、頭蓋内圧亢進症を起こすリスクがあるため避ける必要があります。服用中の方は必ず医師または薬剤師に伝えてください。

イソトレチノインはビタミンAに近い薬剤であり、ビタミンA製剤やビタミンAを含むサプリメントとの併用は副作用が強く出る可能性があるため、服用中は避けてください。処方薬だけでなく、市販薬・サプリメント・漢方なども含めて、服用中のものは医師に伝えましょう。新しく薬やサプリメントを始める場合も事前に確認してください。

採血などで副作用を確認しながら進める

治療中は肝機能障害や脂質異常などを確認するため、定期的に血液検査をおこないます。

検査項目には肝機能、脂質、中性脂肪などが含まれます。妊娠する可能性がある方では、妊娠検査も重要です。

よくある質問

「Q&A」と書かれた木製のブロック
乾燥がひどくてイソトレチノインをやめたいのですが…

乾燥がつらい場合でも、自己判断での中止は避けてください。症状が強い場合は、保湿ケアの見直しに加え、減量や休薬、投与間隔の調整を検討します。

日常生活に支障があるほど乾燥する場合は、早めに担当医へ相談しましょう。

イソトレチノイン服用中にレチノール化粧品は使えますか?

乾燥が強くなければ使用可能ですが、服用中は肌が乾燥しやすく刺激を受けやすい状態です。レチノール化粧品を重ねると乾燥やひりつきが強くなる可能性があります。

AHA・BHA、スクラブなど刺激になりやすい成分も、自己判断で追加しないようにしましょう。

イソトレチノインの乾燥はいつまで続きますか?

乾燥は服用中に続きやすい副作用です。唇の乾燥は治療中に持続しやすく、目の乾燥が続く方もいます。

治療終了後は徐々に改善するとされていますが、続く期間には個人差があります。服用終了後も症状が長引く場合は、医師に相談してください。

イソトレチノインの乾燥が気になる方は池袋駅前のだ皮膚科へ

池袋駅前のだ皮膚科の入口の表示(院長 野田 真史・日本皮膚科学会認定皮膚科専門医)

イソトレチノインによる乾燥は、服用中に続きやすい副作用です。唇や皮膚、目、鼻などに乾燥症状が出ることがあり、治療中は保湿剤やリップケア、やさしい洗顔、紫外線対策を続けることが大切です。

多くの場合、乾燥は治療終了後に徐々に改善するとされていますが、乾燥の強さや続く期間には個人差があります。ひび割れによる出血、強い痛み、目のかすみ、頻回の鼻血などがある場合は、早めに医師へ相談してください。

池袋駅前のだ皮膚科では、定期的な血液検査や診察で副作用を確認しながら、服用量や投与間隔をきめ細かく調整しています。乾燥がつらいときも我慢せず、お気軽にご相談ください。

イソトレチノイン治療の詳細はこちら

未承認医薬品等の表示

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この記事を書いた人

野田真史のアバター 野田真史 池袋駅前のだ皮膚科 院長

医学博士 / 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

東京大学医学部卒業、同大学院医学博士課程修了。米国ロックフェラー大学への臨床・研究留学、ニューヨーク州医師免許取得を経て、東京大学医学部附属病院助教を務める。2018年、池袋駅前のだ皮膚科を開院。

ニキビやシミといった身近な悩みから難治性の皮膚疾患まで、常に知識を研鑽し、適切な診断・治療を行うことを信条としている。

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