イソトレチノインの積算量とは?体重別の計算方法と服用期間の目安を解説

イソトレチノインを始めるにあたり、「何か月飲むのか」「どのくらいの量を飲むのか」が気になる方も多いのではないでしょうか。イソトレチノイン治療は、1日の服用量だけでなく、治療全体での服用総量(積算量)が再発予防の目安として用いられています。

この記事では、積算量の意味、体重別の計算方法、20mg/日服用時の治療期間目安、自己判断のリスクを解説します。

目次

積算量とは?

クリップボードを持つ白衣の女性と話す女性

治療期間中に服用した総量のこと

積算量は、治療開始から終了までに服用した薬の総量を、体重1kgあたりで表したものです。単位はmg/kgで表します。1日量(mg/kg/日)とは別の概念であり、同じ1日量でも治療期間によって積算量は変わります。

例:体重50kgの方が治療期間全体で合計6,000mg服用した場合→積算量120mg/kg

なぜ積算量が重視されるのか

長期寛解(症状が安定している状態)と再発率は、治療期間や1日量より、総投与量と関連します[1]。そのため海外では「治療全体で合計どのくらい服用したか」を意識して治療を組むのが一般的です。

積算量は治療期間の目安や再発予防の指標として用いられます。症状がおちついたと感じた後、積算量が不足したまま治療を中止してしまった場合、症状が再発しやすいと考えられています。

イソトレチノインの積算量について

タブレットを持つ白衣の女性と向かい合う女性

120~150mg/kgの意味

英国の添付文書(製品概要)では、積算量120〜150mg/kgを超えても大きな上乗せ効果は期待できないとされています[1]。

120mg/kgは体重1kgあたり合計120mg、150mg/kgは体重1kgあたり合計150mgを服用するという意味です。この範囲は、治療をどこまで続けるかを考えるときのひとつの目安になります。

標準的な1日量は0.5〜1.0mg/kg/日であり、寛解までの治療期間は通常16〜24週です[1]。

再発予防のひとつの判断材料

積算量は再発リスクを抑えるための、目安のひとつです。ニキビの重症度・肌質・ホルモンの影響で必要な積算量には個人差があり、積算量が「達成すれば再発しない」「多いほど効果が高まる」ものではありません。

当院ではニキビができない状態を確認してから、2か月程度内服を続けて治療終了とします。治療終了は積算量だけでなく、症状の落ち着き・副作用・採血結果を総合的に評価することが必要です。積算量の数字を満たしたかどうか自己判断で内服を中止せず、必ず医師に相談しましょう。

イソトレチノインの積算量の計算方法

木の机に置かれた電卓とノートと家の置物

基本の計算式

積算量(mg/kg)=1日量(mg)×服用日数÷体重(kg)

例:体重50kgの方が1日20mgを300日服用→20mg×300日÷50kg=120mg/kg

※途中で1日量が変わった場合は、期間ごとに足して合わせます。(詳細は下記参照)

1日の服用量から治療期間を逆算する方法

必要総量(mg)=目標積算量(mg/kg)×体重(kg)

必要日数=必要総量(mg)÷1日量(mg)

例1:体重50kg・目標120mg/kg・1日20mgの場合 →6,000mg÷20mg=300日(約10か月)

例2:体重60kg・目標120mg/kg・1日40mgの場合 →7,200mg÷40mg=180日(約6か月)

※ 同じ目標積算量でも、1日量が多ければ治療期間は短くなります。

途中で隔日内服や減量をした場合の考え方

隔日や減量の期間は「実際に飲んだ量」を足し合わせます。

隔日内服の場合は、30日のうち約15日分の服用としてカウントします。

例:20mg連日150日(3,000mg)+20mg隔日120日(実質60日分=1,200mg)

  → 合計4,200mg。体重50kgなら4,200÷50=84mg/kg

※隔日内服に切り替えると、同じ積算量到達まで治療期間が約2倍に延びます。

体重別|イソトレチノイン積算量の目安

電卓と手帳とペン

目標とする積算量(120mg/kgおよび150mg/kg)を体重別に計算した、目標総量の目安を一覧で紹介します。

体重40kg・50kg・60kg・70kgの目安

120および150mg/kgそれぞれの目標総量を、体重別に計算すると以下の通りです。

体重120mg/kgの目標総量150mg/kgの目標総量
40kg4,800mg6,000mg
50kg6,000mg7,500mg
60kg7,200mg9,000mg
70kg8,400mg10,500mg

表は計算上の目安であり、実際の処方量は重症度・副作用・採血結果により医師が判断します。当院では体重が多い方は1日40mg(2錠)から開始する場合もあります。また副作用や採血結果によっては、目標量到達より治療継続の可否を優先します。

20mgを服用する場合、積算量に達するまで何か月かかる?

カレンダーと赤い目覚まし時計

イソトレチノインを1日20mgで服用した場合、目標とする積算量に達するまでにどのくらいの期間がかかるのか、体重別に目安をご紹介します。

20mg/日で服用した場合の目安

20mg/日で毎日服用 → 1か月あたり約600mg(30日換算)

120および150mg/kgそれぞれに達するまでの期間を、体重別に計算すると以下の通りです。

体重120mg/kgに達するまで150mg/kgに達するまで
40kg約8か月約10か月
50kg約10か月約12.5か月
60kg約12か月約15か月
70kg約14か月約17.5か月

50kgで20mg/日の場合は120mg/kg到達まで約10か月かかり、60〜70kgで20mg/日の場合は120mg/kg到達まで12か月以上かかります。

当院の治療期間目安は4〜12か月ですが、体重が重い・副作用で減量した方では1年以上内服した方もいます。

用量で治療期間・副作用の症状が変わる

標準1日量は0.5〜1.0mg/kg/日(50kgで25〜50mg/日相当)です。1日20mgは50kgで0.4mg/kg/日となるため、海外標準よりやや低めの設定です。そのため20mg/日では治療期間が標準より長くなる傾向があります。

一方で低用量の場合、乾燥や口角炎などの副作用が抑えられる傾向があります。短期間で積算量に達するより、副作用をコントロールしながら継続することが大切です。

また、乾燥が強い方・乾燥肌・アトピー性皮膚炎の既往・症状が軽い方は、隔日内服から開始することもあります。

1日量を増やせない場合でも、治療期間を延ばすことで目標積算量に到達できるため、採血結果や肌の状態をみながら無理のない治療計画を立てましょう。

イソトレチノインの積算量が足りないとニキビは再発しやすい?

鏡を見ながら頬に指を当てる女性

イソトレチノイン治療では、積算量の不足が再発リスクと関係するとされています。

積算量不足は再発リスクの一因

長期寛解と再発率は、治療期間や1日量より総投与量(積算量)と関連しています。

治療後の再発率は10〜60%の幅で報告されており、治療終了時にニキビが残っている場合や、積算量が目標に達していない場合は再発しやすい傾向があります。

「肌がきれいになった」と自己判断で中止すると、積算量不足で再発リスクが高まるため、内服終了については必ず医師に相談しましょう。

ホルモン・生活習慣・スキンケアも関係する

再発要因は積算量だけでなく、ホルモンバランス、生活習慣、スキンケア、治療後の外用薬継続なども関係します。ストレス・睡眠不足・糖質中心の食事も再発要因となりえます。

治療終了後も、刺激の少ない洗顔・保湿ケア・日焼け止めなど基本的なスキンケアの継続が大切です。

治療終了後も経過観察を受けることが大切

治療終了後も、最長8週間まで改善が続く可能性があります。再治療検討は前回終了から少なくとも8週間後以降が基本です。

終了後の数か月は皮脂分泌が徐々に回復する時期のため、再発の有無を見極める期間にあたります。軽い再発であれば外用薬で対応できることが多いため、再発時は自己判断で内服を再開せず、早めに受診しましょう。

イソトレチノインの積算量は自己判断で増やしてもいい?

手鏡を持って頬に手を当てる女性

自己判断で増量するのは危険

「早く治したい」と自己判断で増量すると、乾燥などの副作用リスクが高まることがあります。

過去に内服終了後に早めに再発した場合など、目安の120~150mg/kgを超えて服用する場合があります。

ただし、その場合も医師に相談してから内服量や内服期間を決めます。特に個人輸入や通販で内服を開始した場合は、診察や採血を受けられず副作用を見逃すおそれがありますので注意しましょう。

医師が見るポイント

ニキビの改善度・体重・1日量・副作用・採血結果・妊娠リスクを総合評価して、用量と治療期間を判断します。副作用が強い場合は減量・隔日内服に切り替え、副作用の症状を抑えながら治療を継続します。

ニキビ治癒後も再発の可能性を防ぐため、2か月程度継続して服用します。積算量は、医師と治療計画を共有するための、あくまでも目安として活用するものです。

注意したい副作用とリスク

「RISK」と書かれたノートとペン

イソトレチノインの服用にあたっては、いくつかの副作用やリスクを理解しておく必要があります。

よくある副作用

皮脂分泌を抑える作用により、皮膚や粘膜の乾燥が起こりやすくなります。唇のひび割れ・口角炎・ドライアイ・鼻血・軽度の脱毛・関節痛・筋肉痛などがみられる方が多いです。

多くは軽度な症状であるため、ワセリンや保湿剤、点眼薬などで対応できますが、症状が強い場合は隔日内服や週2回の内服など減量を検討します。乾燥が強い場合は医師に相談し、内服量を調整するか判断してもらいましょう。

肝機能・脂質異常を確認するため採血が必要

まれな副作用として、肝機能(AST・ALT)の上昇、中性脂肪・コレステロール値の上昇があります。肝機能・脂質について治療前・1か月後・以降6か月ごとの確認を推奨しています。

当院では服用開始時、1か月後、増量時や半年ごとに血液検査を実施しています。健診などで採血して異常がない場合は、開始時の採血を省略することもあります。内服が長期にわたる場合は半年に1回程度の血液検査し、定期的に副作用がでていないかチェックします。

妊娠中・妊娠の可能性がある方は服用できない

胎児に重篤な先天異常を引き起こすリスクがあり、妊娠中の服用は禁忌です。

妊娠している可能性がある方、妊娠を希望している方、適切な避妊ができない方は服用できません。服用中および最後の服用から1か月間は避妊が必要です。また、服用中および最後の服用から1か月間は献血を避けてください。

よくある質問

「Q&A」と書かれた木製のブロック
イソトレチノインの積算量は必ず120〜150mg/kgまで必要ですか?

120〜150mg/kgは目安であり、すべてのかたに当てはめるものではありません。治療期間は個別の1日量によって変わり、副作用や採血結果によっては減量や中止を検討します。治療終了は積算量だけでなく、新しいニキビの有無や症状の落ち着きを含めて判断します。

一人ひとりの元の症状や副作用の出方によっても、内服の量や期間は変わるため、定期的に受診し、自身の症状にあった治療を続けましょう。

イソトレチノインの積算量に達する前にニキビがよくなったら中止できますか?

積算量不足で再発リスクが高まるため、症状が落ち着いても自己判断での中止は避け、内服終了については必ず医師に相談しましょう。

当院ではニキビができない状態を確認した後も2か月程度内服を継続してから、治療終了とすることが多いです。

イソトレチノインの積算量を早く満たすために40mgへ増やしてもいいですか?

自己判断での増量は避けましょう。120〜150mg/kgを超えて服用しても追加の治療効果は得にくく、乾燥などの副作用が強く出やすくなります。

増量可否は体重・症状・副作用・採血結果をもとに医師が判断するため、必ず医師に相談してください。

イソトレチノイン治療を検討中の方は池袋駅前のだ皮膚科へ

池袋駅前のだ皮膚科院長 野田 真史

積算量とは治療総量を体重1kgあたりで表したものであり、120〜150mg/kgは治療をどこまで続けるかを考えるときのひとつの目安になります。イソトレチノイン治療においての長期寛解と再発率は、この積算量と関連しているといわれています。

しかし実際の治療期間は体重・症状・副作用・採血結果で変動するものであり、これらをもとに医師が判断します。

池袋駅前のだ皮膚科では、定期的な血液検査や診察で副作用を確認しながら、服用量や投与間隔をきめ細かく調整しています。イソトレチノイン治療を始めたい方、当院治療中の方で増量や内服終了を検討したい方、お気軽にご相談ください。

イソトレチノイン治療の詳細はこちら

未承認医薬品等の表示

【参考文献】

[1] Roaccutane 20 mg soft capsules – Summary of Product Characteristics (SmPC)(英国 electronic medicines compendium)
https://www.medicines.org.uk/emc/product/100634/smpc

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この記事を書いた人

野田真史のアバター 野田真史 池袋駅前のだ皮膚科 院長

医学博士 / 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

東京大学医学部卒業、同大学院医学博士課程修了。米国ロックフェラー大学への臨床・研究留学、ニューヨーク州医師免許取得を経て、東京大学医学部附属病院助教を務める。2018年、池袋駅前のだ皮膚科を開院。

ニキビやシミといった身近な悩みから難治性の皮膚疾患まで、常に知識を研鑽し、適切な診断・治療を行うことを信条としている。

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