乾癬の生活指導

乾癬(かんせん)は、治療と並んで、日々のセルフケアや生活習慣がとても大切な病気です。生活の中の悪化要因を減らすことで、症状が落ち着きやすくなり、治療の効果も上がりやすくなります。

「乾癬を治したい」「食べ物で気をつけることは?」「シャンプーは何がいい?」といったお悩みは多くの方が抱えています。ここでは、乾癬の方に心がけていただきたい食事・スキンケア・入浴・頭皮ケア・生活習慣のポイントを、皮膚科の視点から解説します。無理なくできることから取り入れてみてください。

目次

乾癬とセルフケアの考え方

乾癬は体質に基づく慢性の病気で、良くなったり悪くなったりをくり返します。「完全に治す」というより、症状をしっかり抑えて、目立たない状態(寛解)を長く保つことが目標になります。

そのためには、治療で症状を抑えることに加えて、悪化のきっかけ(誘因)をできるだけ減らすことが大切です。「治療」と「生活の工夫」は車の両輪で、塗り薬や光線療法を続けながら、生活面でも悪化要因を減らすことで、安定した状態を保ちやすくなります。あせらず、無理なく続けられることから始めましょう。

乾癬と食事

乾癬は、食事だけで治る病気ではありません。「これを食べれば治る」という特定の食べ物もありません。ただし、食生活の乱れや肥満は乾癬の悪化に関わるため、バランスのよい食事を心がけることは、症状の安定に役立ちます。

控えめにしたい食べ物

動物性脂肪の多い食事(脂身の多い肉・揚げ物など)、糖質やカロリーのとりすぎ、アルコール、加工食品のとりすぎは、肥満や炎症につながり、乾癬を悪化させることがあります。とくにアルコールは乾癬を悪化させやすいため、控えめにしましょう。

とり入れたい食べ物

青魚に多く含まれるオメガ3系の脂(EPA・DHA)は、炎症をやわらげる方向にはたらくとされ、乾癬の方にすすめられることがあります。野菜・果物・食物繊維をしっかりとり、栄養バランスを整えることも大切です。極端な制限ではなく、「バランスよく・腹八分目」を意識しましょう。

サプリメントについて

ビタミンDやオメガ3などのサプリメントが話題になることもありますが、サプリだけで乾癬がコントロールできるわけではありません。治療の代わりにはならないため、あくまで補助と考え、基本は食事から栄養をとりましょう。

スキンケア・保湿

保湿をしっかり行う

乾燥は乾癬を悪化させます。入浴後はできるだけ早く(5分以内が目安)、保湿剤をたっぷり塗り、皮膚のうるおいを保ちましょう。1日数回、こまめに塗るのが理想です。

皮膚をこすらない・刺激しない

乾癬には、強くこすれた部分や傷ついた部分に新しい皮疹ができやすい性質(ケブネル現象)があります。ナイロンタオルでゴシゴシ洗う、かきむしる、衣類がこすれるといった刺激は、悪化のもとになるため避けましょう。下着や衣類は、肌ざわりのやさしい素材を選ぶと安心です。

入浴・温泉のポイント

入浴は、皮膚を清潔に保ち血行をよくするため、乾癬の方にもよい習慣です。温泉に入っても問題ありません。ただし、入り方には少し注意しましょう。

  • 熱すぎるお湯や長湯は乾燥を招くため、ぬるめのお湯にする
  • 石けんはよく泡立て、手でやさしく洗う(ゴシゴシこすらない)
  • 入浴後はすぐに保湿剤を塗る
  • かさぶた(鱗屑)を無理にはがさない

頭皮の乾癬とシャンプー

乾癬は頭皮にもできやすく、フケのような厚いかさぶたやかゆみをともなうことがあります。頭皮は塗り薬が塗りにくく、髪で見えにくいため、治りにくい部分です。

シャンプーは、爪を立てずに指の腹でやさしく洗い、すすぎ残しがないよう十分にすすぎましょう。刺激の強いものは避け、低刺激のシャンプーを選ぶと負担が減ります。

かさぶたを無理にはがすと刺激になり悪化するため、塗り薬でやわらかくしながらケアします。

頭皮の乾癬には、ローションや液状など、頭皮に塗りやすいタイプの薬を使います。市販のシャンプーだけで改善しない場合は、治療をご相談ください。

生活習慣のポイント

お酒・たばこを控える

飲酒や喫煙は乾癬を悪化させる要因です。特に喫煙は、症状の悪化だけでなく治療の効きにくさにも関わるため、できるだけ控えましょう。

ストレスをためない・睡眠をとる

ストレスや睡眠不足は、乾癬の悪化につながります。十分な睡眠をとり、趣味や運動など自分なりのリラックス方法を持つことが役立ちます。

適正体重を保つ

肥満は乾癬を悪化させ、治療の効果にも影響します。適度な運動とバランスのよい食事で、適正な体重を保つことが大切です。

日光・紫外線について

多くの皮膚の病気と違い、乾癬は適度な日光(紫外線)を浴びると症状がやわらぐことがあります。乾癬の治療に光線療法(紫外線治療)が使われるのも、このためです。

ただし、浴びすぎて日焼け(やけど)をしてしまうと、その刺激で逆に乾癬が悪化することがあります(ケブネル現象)。日光浴をする場合も、ほどほどを心がけ、赤くなるほど焼かないようにしましょう。紫外線による治療をご希望の場合は、医療機関での光線療法が安全です。

悪化を避ける工夫

かぜや扁桃炎などの感染症は、滴状乾癬の引き金になることがあります。体調管理に気をつけ、感染症はしっかり治しましょう。

また、一部の薬剤(一部の降圧薬や抗マラリア薬など)が乾癬を悪化させることがあります。ほかの病気で薬を処方される際は、乾癬があることを医師に伝えてください。

治療を続けるために

乾癬は、症状が落ち着いても自己判断で治療を中断すると再発しやすくなります。塗り薬や通院を、医師の指示に沿って続けることが、安定への近道です。生活の工夫だけで乾癬をコントロールするのは難しいため、必ず治療と組み合わせて行いましょう。

よくあるご質問

乾癬は完治しますか?

体質に基づく慢性の病気のため「完全に治す」というより、症状を抑えて目立たない状態(寛解)を長く保つことが目標です。治療と生活の工夫を続けることで、症状がほとんど気にならない状態を保つことも十分可能です。

乾癬に食べてはいけないものはありますか?

厳しく禁止する食べ物はありませんが、動物性脂肪や糖質のとりすぎ、アルコールは悪化につながることがあるため控えめにしましょう。青魚(オメガ3)や野菜をとり、バランスのよい食事を心がけるとよいでしょう。

乾癬におすすめのシャンプーはありますか?

低刺激のシャンプーを、指の腹でやさしく洗い、しっかりすすぐのが基本です。市販のシャンプーで改善しない頭皮の乾癬は、頭皮に塗りやすい薬での治療をご相談ください。

温泉やお風呂に入っても大丈夫ですか?

問題ありません。ただし熱すぎるお湯や長湯、ゴシゴシ洗いは避け、ぬるめのお湯でやさしく洗い、入浴後はすぐ保湿しましょう。

日光浴は乾癬によいのですか?

適度な日光は乾癬の症状をやわらげることがあります。ただし日焼け(やけど)をするほど浴びると逆に悪化するため、ほどほどにしましょう。治療として紫外線を使う場合は、医療機関の光線療法が安全です。

サプリメントで乾癬は改善しますか?

サプリだけで乾癬をコントロールすることはできません。あくまで補助と考え、基本は治療とバランスのよい食事を中心にしましょう。

日々のセルフケアと治療を組み合わせることで、乾癬は安定した状態を保ちやすくなります。乾癬の生活面・食事・頭皮ケアでお悩みの方も、池袋駅前のだ皮膚科までお気軽にご相談ください。

【池袋駅前のだ皮膚科|野田真史 監修】

院長紹介

池袋駅前のだ皮膚科院長 野田 真史
池袋駅前のだ皮膚科院長
野田 真史
池袋駅前のだ皮膚科院長 野田 真史


学歴・資格

東京大学医学部医学科卒業

皮膚科専門医(日本皮膚科学会認定)

医学博士(東京大学大学院医学系研究科)

ニューヨーク州医師免許

ECFMG certificate(アメリカ医師国家試験合格証)

Master in translational science(米国ロックフェラー大学)

米国ロックフェラー大学皮膚科 (Associate Attending Physician)


略歴

2007年
東京大学医学部医学科 卒業
2009年
東京大学医学部附属病院 初期研修修了
2009年 2014年
東京大学皮膚科に入局し、東京大学医学部附属病院、関東労災病院で皮膚科医として勤務
米国Northwestern大学、Thomas Jefferson大学で診療研修
2013年
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医取得
2014年
東京大学大学院医学系研究科卒業、医学博士
米国ロックフェラー大学
Instructor in Clinical Investigation
兼 Associate Attending Physician
ニューヨーク州医師免許を取得し、診療にあたる
湿疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、円形脱毛症の研究に従事し、Master in translational science(MSc)取得
2016年
東京大学医学部附属病院 皮膚科 助教
2018年
池袋駅前のだ皮膚科 開院
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