【アトピーとサプリ】栄養不足を補うアプローチ!乳酸菌やビタミンの役割

【アトピーとサプリ】栄養不足を補うアプローチ!乳酸菌やビタミンの役割

アトピー性皮膚炎の症状がなかなか改善しないとき、「もしかして栄養が足りていないのでは?」と感じたことはないでしょうか。アトピーの方はビタミンDや亜鉛などの栄養素が不足しやすい傾向があり、食事だけでは十分に補えないケースも少なくありません。

乳酸菌やビタミン類、ミネラルを含むサプリメントは、あくまで治療の「補助」として位置づけるものですが、腸内環境などを介した働きが研究段階で報告されていますが、効果が確立されているわけではなく、あくまで食事で不足しがちな栄養を補うものです。

この記事では、アトピーと栄養の関係を整理しながら、乳酸菌・ビタミンD・ビタミンB群・亜鉛・オメガ3脂肪酸など、注目されている栄養素とサプリの選び方を解説します。

目次

アトピー性皮膚炎と栄養不足がつながる理由

アトピー性皮膚炎の方では、血中のビタミンDや亜鉛の値が低いことが複数の研究で報告されています。慢性的な皮膚の炎症は体内の栄養素を余分に消耗するため、食事内容に気を配っていても不足が生じやすいです。

炎症の繰り返しでビタミン・ミネラルが消耗する

アトピー性皮膚炎では、免疫細胞が過剰に活性化することで炎症が繰り返し起こります。この炎症反応に対抗するために、体は抗酸化ビタミンやミネラルを大量に使います。

たとえば亜鉛は免疫調整や皮膚の修復に消費され、ビタミンEは活性酸素を中和するために動員されるのです。そのため、健康な方と同じ量の栄養素を摂っていても、アトピー性皮膚炎の方の体内では相対的に不足しやすい状況が生まれます。

偏食や食物アレルギーが栄養バランスを崩しやすい

アトピー性皮膚炎を持つ方の中には、特定の食品にアレルギーがあり、卵・乳製品・魚介類などを避けている場合があります。こうした除去食は症状管理のためにやむを得ないものの、結果として摂取できる栄養素の幅が狭くなりがちです。

魚を控えている方はオメガ3脂肪酸やビタミンDが不足しやすく、乳製品を避けている方はカルシウムやビタミンB2が足りなくなるケースがみられます。子どもの場合は成長に必要な栄養まで不足する恐れがあるため、医師と連携し食事計画を立てることが大切です。

サプリメントは治療の代わりではなく補助として使う

サプリメントは医薬品とは異なり、アトピー性皮膚炎を直接治す効果が保証されたものではありません。あくまでも、食事で不足しやすい栄養素を補うための手段として位置づけてください。

ステロイド外用薬や保湿剤などの標準的な治療を続けたうえで、医師の助言のもとにサプリメントを取り入れるのが安全な方法です。自己判断で治療を中断してサプリだけに切り替えることは、症状悪化のリスクを高めるため避けましょう。

アトピーと栄養素の関係

栄養素期待される働き不足しやすい背景
ビタミンD皮膚バリアの強化・免疫調整日光不足、魚介類の除去食
亜鉛皮膚の修復・炎症の抑制炎症による消耗増大
ビタミンE抗酸化・細胞保護活性酸素との中和に消費
オメガ3脂肪酸炎症性物質の産生を抑える魚食の減少
乳酸菌腸内環境を整え免疫を調整偏食・抗菌薬の使用歴

乳酸菌サプリがアトピー肌に働きかける仕組み

乳酸菌は腸内環境を整えることで免疫バランスに影響を与え、アトピー性皮膚炎の症状緩和につながる可能性が研究で示されている栄養成分です。とくに予防効果については、複数のメタアナリシスで有意な結果が出ています。

腸と肌をつなぐ「腸-皮膚軸」

近年の研究で、腸内細菌のバランスが崩れると皮膚の免疫応答にも乱れが生じることがわかってきました。腸管の粘膜バリアが弱まると、本来は体内に入らない物質が血流に乗って全身に広がり、皮膚の炎症を助長する場合があります。

アトピー性皮膚炎の方では健常者と比べて腸内細菌の多様性が低いという報告もあり、腸と皮膚を結ぶ「腸-皮膚軸」は今後の研究が期待される分野です。乳酸菌サプリの摂取は、この腸内環境を底上げする一つの方法として検討されています。

ラクトバチルス属やビフィズス菌

すべての乳酸菌がアトピーに対して同じ効果を持つわけではありません。研究で有望な結果が報告されているのは、ラクトバチルス・ラムノサスやラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・サリバリウスなど特定の菌株です。

ある系統的レビューでは、妊娠中から産後6か月まで乳酸菌を摂取した場合に、乳児のアトピー発症リスクが約30%低下したと報告されています。

ただし菌株によって効果の大きさは異なり、単一の菌株よりも複数菌株を組み合わせたほうが効果的だとする研究もあるため、一概にどの製品がよいとは言い切れません。

成人のアトピーにも乳酸菌は有用なのか?

乳酸菌サプリの研究は小児を対象としたものが多い一方、成人を対象にしたメタアナリシスも発表されています。成人のアトピー患者に乳酸菌を投与したところ、SCORADスコア(皮膚症状の評価指標)の改善が確認されたという報告があります。

ただし、症状スコアの改善が必ずしも生活の質の向上に直結しなかったという結果も出ており、「飲めば必ず治る」と過度に期待するのは禁物です。乳酸菌サプリは他の治療と併用して初めて効果を発揮しやすいものと考えてください。

乳酸菌サプリを選ぶときの3つのポイント

乳酸菌サプリを選ぶ際は、まず「菌株名が明記されているか」を確認しましょう。菌株が特定できない製品は、臨床研究との照合が難しくなります。

次に、生きた菌が腸に届く工夫がなされているかどうかも判断材料になります。胃酸に弱い菌株は腸に届く前に死滅する場合があるためです。最後に、信頼できる第三者機関による品質試験を通過しているかをチェックすると安心でしょう。

  • 菌株名(ラクトバチルス・ラムノサスGGなど)が明記されているか
  • 腸まで届く製剤設計(耐酸性カプセルなど)が採用されているか
  • GMP認証など品質管理体制が確認できるか

ビタミンD不足とアトピーの悪化

「ビタミンDは骨を丈夫にする栄養素」というイメージが強いかもしれませんが、実は皮膚のバリア機能や免疫調整にも深くかかわっています。ビタミンD値が低いアトピー患者ほど症状が重い傾向があると、複数の観察研究が指摘しています。

皮膚バリアの維持に関わるビタミンD

ビタミンDは、皮膚の表皮細胞が正常に分化してバリアを形成する過程を支えています。バリア機能が弱まると、外部からのアレルゲンや細菌が侵入しやすくなり、炎症が起こりやすいです。

さらにビタミンDは、カテリシジンと呼ばれる抗菌ペプチドの産生を促すことが知られています。アトピー性皮膚炎の方は黄色ブドウ球菌などの感染リスクが高いため、抗菌ペプチドの産生を維持することは皮膚の防御力を保つうえで大切です。

臨床試験で報告されたビタミンD補充の効果

モンゴルの小児を対象にしたランダム化比較試験では、冬季に1日1000IUのビタミンDを1か月間補充したグループで、アトピー症状の有意な改善が報告されました。

重度のアトピー性皮膚炎を持つ小児に12週間ビタミンDを補充した別の試験でも、EASIスコア(症状の面積と重症度の指標)が改善しています。

ただし、すべての試験で明確な効果が示されたわけではなく、もともとビタミンDが十分な方への追加投与は効果が限定的という見方もあります。補充の効果は、血中ビタミンD値が低い方ほど大きいと考えられています。

食品ビタミンD含有量の目安特徴
紅鮭(1切れ約80g)約26μg魚類の中でもとくに豊富
干ししいたけ(4個)約5μg日光に当てると含有量が増加
卵黄(1個分)約1.8μg日常的に取り入れやすい

日常の食事と日光浴だけでは足りない場合

ビタミンDは食事から摂取できるほか、紫外線を浴びることで皮膚が自ら合成する栄養素でもあります。しかし、日焼け止めの使用や屋内中心の生活、冬季の日照時間短縮などにより、十分な量を確保できない方が少なくありません。

食物アレルギーで魚や卵を避けている場合はなおさらでしょう。医師に血中25(OH)D濃度を測定してもらい、不足が確認された場合にサプリメントでの補充を検討するのが合理的な進め方です。

ビタミンB群・ビタミンEがアトピーの肌荒れを抑える

肌の赤みやかさつきが長引くとき、ビタミンB群やビタミンEの不足が背景にある場合があります。どちらも皮膚の代謝と炎症抑制にかかわる栄養素であり、アトピー性皮膚炎の方にとって意識したい成分です。

ビオチンやB6が皮膚のターンオーバーを支える

ビタミンB群のなかでもビオチン(B7)は、皮膚や毛髪の健康維持に深くかかわっています。ビオチンが不足すると、皮膚が乾燥しやすくなったり、湿疹様の症状が出たりすることが報告されています。

ビタミンB6もまた、皮膚細胞の新陳代謝に関与するため、不足するとターンオーバーの乱れにつながりかねません。アトピー性皮膚炎の方が食事制限をしている場合、レバー・魚・卵などB群の主要な供給源を十分に摂れていない可能性があります。

ビタミンEの抗酸化作用が炎症のダメージを軽くする

ビタミンEは脂溶性の抗酸化ビタミンで、細胞膜を活性酸素から守る働きがあります。アトピー性皮膚炎では炎症部位で活性酸素が多く発生するため、ビタミンEの需要が高まると考えられます。

脂溶性ビタミンの摂りすぎに注意する

ビタミンDとビタミンEは脂溶性のため、過剰に摂取すると体内に蓄積して副作用を引き起こすリスクがあります。ビタミンDの過剰摂取は高カルシウム血症を招くことがあり、ビタミンEの過剰摂取は出血傾向を高める恐れがあるため注意が必要です。

サプリメントで補う場合は、製品に記載された1日あたりの摂取目安量を守り、自己判断で増量しないようにしましょう。持病がある方や薬を服用中の方は、必ず医師や薬剤師に相談してから始めてください。

亜鉛とオメガ3脂肪酸がアトピーの炎症をやわらげる

亜鉛とオメガ3脂肪酸は、アトピーの炎症を内側から抑えるうえで注目度の高い栄養素です。どちらも体内で合成できないか合成量が限られるため、食事やサプリメントから意識して補給する必要があります。

亜鉛不足はかゆみと皮膚の修復力低下を招く

亜鉛は300種類以上の酵素反応に関与し、皮膚の創傷治癒や免疫機能の維持に欠かせないミネラルです。アトピー性皮膚炎の方では、血清や毛髪中の亜鉛濃度が健常者より低いことがメタアナリシスで示されています。

亜鉛が不足すると、皮膚のバリア機能が低下してかゆみが強くなったり、掻き壊した部分の修復が遅れたりする場合があります。小児を対象にした研究では、亜鉛不足の患者さんに8週間の補充を行ったところ、かゆみの指標が改善したと報告されています。

EPA・DHAが炎症性サイトカインを抑える

オメガ3脂肪酸に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は、抗炎症作用を持つ脂質の原料です。体内でオメガ6脂肪酸(アラキドン酸など)から産生される炎症性物質を抑制し、炎症の連鎖を穏やかにする効果が期待されています。

すべての研究で一貫した効果が示されているわけではないものの、魚油由来のオメガ3サプリメントをアトピーの小児に投与した臨床試験では、かゆみの軽減が報告された例もあります。現時点では補助的な手段として位置づけましょう。

ミネラル・脂肪酸サプリを併用するときの目安

亜鉛サプリメントは空腹時に飲むと胃に負担がかかりやすいため、食後に摂取するのが一般的な飲み方です。また、鉄やカルシウムと同時に大量に摂ると吸収が妨げられることがあるため、時間をずらすとよいでしょう。

オメガ3脂肪酸サプリは魚油特有のにおいが気になる方もいますが、冷蔵保存や食事中の服用で軽減できます。いずれのサプリも効果が出るまでには数週間から数か月かかることが多いため、短期間でやめずに継続することが大切です。

栄養素1日あたりの目安量摂取時の注意点
亜鉛成人男性11mg・女性8mg空腹時を避け食後に摂取
EPA+DHA合計500〜1000mg程度魚油の酸化に注意し冷蔵保存

アトピーのサプリ選びとスキンケアの両立

サプリメントだけに頼るのではなく、毎日のスキンケアや生活習慣の見直しと組み合わせてこそ、アトピー性皮膚炎の症状管理は前に進みます。栄養の補充と外側からのケアを両輪で続ける意識が大切です。

保湿ケアとの組み合わせで相乗効果を狙う

アトピー性皮膚炎の治療で土台となるのは、保湿剤による皮膚バリアの補強です。サプリメントで内側から栄養を補いつつ、入浴後すぐに保湿剤を塗って水分の蒸散を防ぐことで、肌の状態を安定させやすくなります。

ビタミンDやビオチンのサプリを摂りながら、セラミド配合の保湿剤を併用するという組み合わせは、内外両面から皮膚バリアを支えるアプローチといえます。ただし、保湿剤の選び方についてはかかりつけの皮膚科医に相談するのが安心でしょう。

かかりつけ医に相談すべきタイミング

サプリメントを始める前に、まず血液検査で不足している栄養素を特定してもらうことをおすすめします。やみくもにサプリを飲むよりも、実際に不足している成分を集中的に補うほうが効率的だからです。

また、処方薬との飲み合わせも確認してもらう必要があります。たとえば亜鉛はテトラサイクリン系抗菌薬の吸収を阻害する場合がありますし、魚油サプリは抗凝固薬と併用すると出血リスクが上がるおそれがあります。

効果を実感するまでの目安期間と続け方

栄養サプリメントの効果は即効性のあるものではなく、数週間から2〜3か月の継続が必要とされるケースが多いです。乳酸菌サプリの場合、腸内環境の変化が皮膚に反映されるまでに少なくとも4〜8週間かかることがあるとされています。

途中で効果を感じにくくても、定期的に医師の診察を受けながら、一定期間は続けてみてください。改善がみられない場合は、菌株の変更やサプリの種類の見直しを医師と相談し、自分に合った方法を探していくことが大切です。

サプリの種類効果を感じるまでの目安
乳酸菌・プロバイオティクス4〜8週間
ビタミンD4〜12週間
亜鉛8週間前後
オメガ3脂肪酸8〜12週間
  • サプリメントの用量は製品の表示を守り、自己判断で増やさない
  • 新しいサプリを始めたら皮膚の変化を日記やメモで記録しておく
  • 数か月続けても変化がない場合は主治医と方針を見直す

よくある質問

アトピー性皮膚炎に乳酸菌サプリは効果がありますか?

乳酸菌サプリメントは、腸内環境を整えることでアトピー性皮膚炎の症状緩和に寄与する可能性があります。とくに妊娠期から乳児期にかけての摂取が予防効果を示した研究が複数報告されています。

ただし、すべての方に同じ効果があるとは限らず、菌株の種類や摂取期間によって結果は異なります。現在の治療と併用し、かかりつけ医と相談しながら取り入れることをおすすめします。

アトピーの方がビタミンDサプリを飲むときの適切な摂取量はどのくらいですか?

ビタミンDの摂取量は年齢や血中濃度によって異なりますが、臨床試験では1日あたり1000〜1600IUの補充が多く検討されています。

日本人の食事摂取基準では成人の目安量が8.5μg(340IU)とされており、サプリで上乗せする場合は耐容上限量(100μg=4000IU)を超えないよう注意してください。

アトピー性皮膚炎と亜鉛不足にはどのような関係がありますか?

アトピー性皮膚炎の方は血清や毛髪中の亜鉛値が健常者より低い傾向があり、亜鉛不足が皮膚バリアの低下やかゆみの増悪と関連する可能性が指摘されています。メタアナリシスでも、アトピー患者群における亜鉛レベルの低下が確認されました。

亜鉛が不足している患者に限って補充を行った研究では、症状スコアやかゆみの改善が報告されています。一方で、亜鉛値が正常な方への補充効果は明確に示されていないため、まずは検査で不足の有無を確認することが重要です。

アトピー向けのサプリメントは子どもにも安全に使えますか?

乳酸菌やビタミンDなど一部のサプリメントは、小児を対象にした臨床試験で安全性が確認されたうえで有用性が報告されています。しかし、子どもは体格や代謝が大人と異なるため、成人用の製品をそのまま与えるのは適切ではありません。

子ども向けに用量設計された製品を選び、必ず小児科医や皮膚科医の指導のもとで開始してください。とくにビタミンDなどの脂溶性ビタミンは過剰摂取のリスクがあるため、用量管理には細心の注意が必要です。

オメガ3脂肪酸サプリはアトピーのかゆみ軽減に役立ちますか?

オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)は体内で抗炎症性の物質に変換され、かゆみの原因となる炎症反応を穏やかにする働きがあります。魚油サプリを使ったいくつかの臨床試験では、アトピーの症状スコアやかゆみの軽減が報告されました。

ただし、研究全体としてはまだ結果にばらつきがあり、確定的な結論には至っていません。補助的な手段の一つとして取り入れ、保湿ケアや処方薬と併用しながら経過を観察するのが現実的な使い方です。

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この記事を書いた人

野田真史のアバター 野田真史 池袋駅前のだ皮膚科 院長

医学博士 / 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

東京大学医学部卒業、同大学院医学博士課程修了。米国ロックフェラー大学への臨床研究留学、ニューヨーク州医師免許取得を経て、東京大学医学部附属病院助教を務める。2018年、池袋駅前のだ皮膚科を開院。

ニキビやシミといった身近な悩みから難治性の皮膚疾患まで、常に知識を研鑽し、適切な診断・治療を行うことを信条としている。

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