イボは顔や手足に多い小型のできものの総称です。イボにはウイルス性のものと加齢によってできるものがあります。自分で治すために市販薬を使うなどの間違った治療をすると、再発を繰り返したり傷あとが残ってしまったりするかもしれません。
ウイルス性イボは種類により治療方法が異なります。気になるイボを見つけたときには皮膚科を受診して専門的な治療を受けましょう。
目次(クリックで開閉)
ウイルス性イボとは?
専門用語では「疣贅(ゆうぜい)」と呼ばれているウイルスが原因でできるイボのことです。ウイルス性のため皮膚が接触してうつります。足のイボを触ってしまったら指にも症状があらわれるなど、自分の中でも感染が広がります。イボを触った手で他の部位を触ると感染する確率が高くなるために避けましょう。
どこでも感染する可能性のあるありふれた病気です。子どもから大人まで感染する可能性があり、とくに手や足の指、手のひらや足の裏に症状がよく見られます。できはじめは少しだけ盛り上がっていて、時間とともに盛り上がりが大きくなり広がっていきます。
ウイルス性イボの種類
ウイルス性イボは、形状やできた部分によりそれぞれ種類が異なります。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
ウイルス性イボの中でも、身近によくみられるタイプのイボです。盛り上がった形をしており、主に手足に症状があらわれます。子どもから大人まで幅広い年齢でよくみられます。
扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)
手や腕、顔によくあらわれるイボです。サイズは小さく1~2mmの盛り上がった複数の丸いポツポツがあらわれます。他のイボとは違って、短時間で数が増えやすいため注意しましょう。
糸状疣贅(しじょうゆうぜい)
顔によくあらわれるイボです。サイズは小さく2~3mmのことがほとんどです。まるで糸が飛び出たような見た目をしていることから名付けられました。症状によっては、細長く伸びた突起状になり小型の角のように見えることもあります。
ミルメシア
足の裏によくできるウオノメのような見た目のイボです。5mm~1cmの大きさで、中央に凹みが見られます。小さいときは違和感があり、大きくなるにつれて皮膚が分厚くなり盛り上がっていくことがほとんどです。皮膚の奥にまで症状が進行すると、強い痛みを感じるかもしれません。
ウイルス性イボの症状は?
手足を中心にぼつぼつとした形で皮膚が盛り上がってきます。通常は、かゆみや痛みといった自覚症状はありません。足の指や足の裏にできて、盛り上がりが強い場合には、うおのめと同じように押すと痛みを感じることもあります。
ウイルス性イボはどうやって診断する?
ウイルス性イボの診断は、まずは症状をよく見て特徴を確認することが大切です。
参考までに、ウイルス性イボの一般的な見分け方について紹介します。
中央が黒く見える
ウイルス感染によりイボの表面に血管が増えると、その部分が赤黒く見えます。ミルメシアは、うおのめとの違いが見分けにくいタイプのイボですが、中央に黒い出血点が見えればイボだと判断します。
ガサガサして盛り上がっている
手足にガサガサとした盛り上がりがあれば、ウイルス性イボの可能性が高くなります。
短時間で数が増える
扁平疣贅の場合は、他のイボとは異なり短時間で増えることが大きな特徴です。
上記で紹介したような見分け方はあくまで一例です。ウイルス性イボは種類によって治療法が異なるため、気になるイボを見つけたときは当院までご相談ください。
ウイルス性イボの治療は?
ここでは当院で受けられるウイルス性イボの治療について紹介します。
冷凍凝固療法
液体窒素を使った治療方法です。超低温の液体窒素を患部に塗布して細胞を壊死させます。
皮膚の薄い部分(手のひらなど)は1回の施術で治療が終了することもあります。しかし皮膚の厚い部分(足の裏や指など)は1~2週間おきの治療を数か月繰り返さなければなりません。またイボのサイズが大きいほど、イボが取れるまでに時間がかかります。
保険適用で治療する場合は、5日以上の間隔を空けて月に4回までという制限があります。
保険適用で治療を受けたい方は、早めに当院までご相談ください。
ラジオ波メス
高周波のラジオ波をメス先から照射できる機械を使ってイボを切除する方法です。局所麻酔を注入してから施術をするため、麻酔時以外の痛みはありません。液体窒素では治りが悪い部分(爪のわきや足の裏など)によく使う方法です。また頻回な通院が難しく、液体窒素で対応できないときにも用います。
イボを切除しても、周囲の皮膚にウイルスが感染している可能性はあります。そのためラジオ波メスでイボだけを切除した場合も、冷凍凝固の治療のときと同様、再発リスクをゼロにはできません。
部位やサイズで異なりますが、イボを切除した後は傷がふさがるまで2~4週間ほどかかります。足のイボの場合、切除直後は痛みや違和感があるかもしれませんが徐々に和らいでいきます。
Vビーム
赤みに反応する色素レーザーで、一般的には「いちご状血管腫」、「単純性血管腫」、「毛細血管拡張症」の治療に使用されています。Vビームは血液中のヘモグロビンに反応して血管を破壊する働きがある機械です。ウイルス性イボでは患部に余計な血管が増えているため、Vビームを患部に照射することでウイルス性イボの除去に役立ちます。
少ない回数でイボを取りたい時には、強いレーザーを照射してイボの細胞に大きなダメージを与えて除去します。傷跡を目立たせたくないときには、弱いレーザーを照射して少しずつイボの細胞にダメージを与えるため複数回の治療が必要です。
スピール膏(サリチル酸の貼り薬)
サリチル酸という有効成分を含んだ貼付剤です。液体窒素では治療が難しいような分厚くなったイボ(足の裏など)に使います。有効成分の働きにより角質がやわらかくなり、皮膚がはがれ落ちてイボが小さくなります。治療期間は約2か月のため、根気のよい治療が必要です。保険診療で処方できます。
モノクロロ酢酸
強い酸であるモノクロロ酢酸を患部に塗り、皮膚細胞を壊死させてイボを除去する方法です。冷凍凝固療法と同様に複数回の治療が必要です。
当院で薬剤を塗布してから、効果があらわれるまでしばらく放置します。帰宅後に痛みを感じたタイミングで患部についた薬剤を洗い流してください。通常は処置した当日に洗い流しますが、薬剤の効果を高めたいときには翌日まで洗い流さないように指示することもあります。
長時間放置するほど薬剤の効果は高まりますが、放置時間が長すぎるとイボの部分がえぐれて傷のようになることもあります。洗い流すタイミングなどについては、必ず医師の指示を守ってください。
その他
多発するイボには、塗り薬の「ベセルナクリーム」、飲み薬の「チガソンカプセル」や「ヨクイニン」が効く場合もあります。
ウイルス性イボを放置していると、感染によりイボの数が増えて治療が難しくなります。ウイルス性イボのような症状に気がついたときには、早めに当院までご相談ください。
当院ではウイルス性イボについて、さまざまな治療法を用意しています。他のクリニックでイボが治らなかった方もお気軽にご相談ください。
症例
指のウイルス性イボをラジオ波メスで除去した症例
治療内容
他院で冷凍凝固法の治療を受けてもイボが治らないと当院を受診された患者様です。頻回な通院は難しいとのことで、局所麻酔後にラジオ波メスによる切除をしました。画像上のように目立っていたイボが、術後2か月の画像下では傷跡も含めて症状が目立たなくなっています。再発も確認できなかったため、治療を終了しました。
治療期間・回数 | 約2か月・1回 |
費用(ラジオ波メスによる切除) | 11,000円(税込) |
リスク・副作用 | 赤み、色素沈着 脱色素、瘢痕など |
担当医師コメント
同様の処置は予約無しで受診当日に受けられます。ほとんどの場合、傷は術後から2~4週間程度でふさがります。
爪のわきのウイルス性イボをラジオ波メスで除去した症例
治療内容
他院で液体窒素による冷凍凝固療法を1年以上受けていたが治らないと当院を受診された患者様です。他院では外科的切除ができないと判断されていたため、冷凍凝固療法の治療を継続して受けていたそうです。施術前は画像左のように爪の周りにウイルス性イボが確認できました。当院ではラジオ波メスで治療をし、施術して2か月後には画像右のように施術による傷跡や再発は確認されず治療を終了しました。
治療期間・回数 | 約2か月・1回 |
費用(ラジオ波メスによる切除) | 11,000円(税込) |
リスク・副作用 | 赤み、色素沈着 脱色素、瘢痕など |
担当医師コメント
爪の周りにできたウイルス性イボの場合、小さなものでも爪の横までイボが入り込んでいて治療が難しい場合もあります。ウイルス性イボの標準治療は液体窒素による冷凍凝固療法ですが、数回の治療で効果を実感できない場合には治療を継続せずに他の方法を選ぶとよいでしょう。
かかとのウイルス性イボをVビームで除去した症例
治療内容
他院で液体窒素による冷凍凝固療法を何度も受けたけれど症状が改善しないと当院を受診された患者様です。画像左のように右足のかかとにウイルス性イボが確認できました。当院ではVビームで月に1回合計5回の治療をし、施術後には画像右のように施術による傷跡や再発は確認されず治療終了をしました。
(患部には生まれつきの赤アザもあるため別途治療中です)
治療期間・回数 | 約5か月・5回 |
費用(Vビームによる ウイルス性イボの除去) | 1回11,000円を5回 合計55,000円(税込) |
リスク・副作用 | 赤み、色素沈着 脱色素、瘢痕など |
担当医師コメント
ウイルス性イボにVビームを当てると、レーザーによる皮膚の熱変性でイボがとれると考えられています。「液体窒素による冷凍凝固療法」や「手術によるイボの除去(当院の場合はラジオ波メスによる除去)」と比べると日本では珍しい方法ですが、海外では10年前から使われている治療方法です。
副作用・注意事項など
禁忌事項
以下の方は治療が受けられません。
- 冷凍凝固療法
- 定期的な受診が難しい方
- ラジオ波メス
- ペースメーカーを装着している方
- 金属アレルギーの既往歴がある方
- Vビーム
- 妊娠中、妊娠の予定がある方
- 日焼けをしている方、日焼けをする予定のある方
- 皮膚に強い炎症や湿疹がおきている方
- スピール膏
- 過去に同じ成分で過敏症になった方
- オキサロール
- 過去に同じ成分で過敏症になった方
- モノクロロ酢酸
- 定期的な受診が難しい方
副作用
- 冷凍凝固療法
- 痛み、水疱、色素沈着、瘢痕、再発など
- ラジオ波メス
- 赤み、色素沈着、脱色素、瘢痕など
- Vビーム
- 血腫、水疱、傷跡、潰瘍形成、炎症後色素沈着、再発など
- スピール膏
- 赤み、湿疹、過敏症状など
- オキサロール
- 赤み、かゆみ、刺激感、血中カルシウム増加など
- モノクロロ酢酸
- 痛み、水疱、潰瘍など
注意事項
Vビームについて
-
未承認医薬品等(異なる目的での使用)
Vビームは医薬品医療機器等法上において、「単純性血管腫、苺状血管腫、毛細血管拡張症」の使用目的で承認されていますが、当院で行うウイルス性イボの使用については国内で承認されていません。
-
入手経度等
当院医師の判断の元、シネロン・キャンデラ社より個人輸入しています。
個人輸入された医薬品等の使用によるリスクに関する情報はこちらをご覧ください。 -
国内の承認機器の有無
同一の成分や性能を有する他の国内承認機器等はありません。
-
諸外国における安全性などに係る情報
諸外国において、治療に伴う重大な副作用の報告はありません。
モノクロロ酢酸について
-
未承認医薬品等
モノクロロ酢酸は医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医薬品です。
-
入手経度等
当院医師の判断の元、国内販売代理店経由で購入しています。
-
国内の承認機器の有無
同一の成分や性能を有する他の国内承認機器等はありません。
-
諸外国における安全性などに係る情報
諸外国において、治療に伴う重大な副作用の報告はありません。
料金
保険診療 | |
---|---|
初診料 | 約900円 |
再診料 | 約400円 |
処方料 | 約200円 |
冷凍凝固療法 | 約700円 |
できものの手術 | 約7,000円~14,000円 |
※3割負担の場合の料金です。
※都内在住で高校生までの子どもは公費負担となり実費は0円です。
自費診療 | |
---|---|
Vビーム | 1か所につき 11,000円 |
いぼ除去 | 2mm以下 2つ 11,000円 3mm以上 1つ 11,000円 |
※複数のイボがあるときには、大きさを合算して料金を計算します。