「水虫」は医学的には「白癬」と呼ばれます。白癬菌というカビ(真菌)の一種が原因です。水虫というと足水虫(足白癬)と爪水虫(爪白癬)にわけられ、
- 足:足の裏や足指の間の皮むけ
- 爪:厚く、もろくなった爪
が代表的な症状です。通常は足や足指の皮むけから始まり、治療しないと爪にうつり、爪が白くにごり、厚く、もろくボロボロした感じになります。爪にうつるとぬり薬だけでは治療が難しくなりますので、足にしか症状がないうちに治すことが大事です。早めにクリニックを受診してください。皮膚や爪を少しだけこすりとり、顕微鏡で調べることで診断できます。
目次(クリックで開閉)
足水虫(足白癬)の治療
足水虫は多くの場合、ぬり薬の治療だけでよくなります。2~3週間ほど水虫のぬり薬(水虫を始めとしたカビ、つまり真菌を退治するので抗真菌剤と呼びます)をぬると足のがさがさは消えるのですが、その後すぐに薬をぬらなくなると、再発します。再発を防ぐために、長めに、2~3ヶ月ほどはぬってください。
このぬり薬(抗真菌剤)にはラミシール、ルリコン、ニゾラール、アスタット、ペキロンなど、いくつか種類がありますが、どれもよく効きます。副作用もまれにかぶれる方がいるくらいですので、安心して使ってください。万一かぶれてしまった場合には、かぶれをステロイドの塗り薬で治療してからほかの水虫のぬり薬に変えます。
爪水虫(爪白癬)の治療
最近発売になったクレナフィンとルコナックという爪水虫の塗り薬が保険適応で使えます。6ヶ月間クレナフィンやルコナックを塗ることで爪水虫が治り、再発もなかったというケースが報告されています。このように完全に治るケースは、1年間続けて20-30%程度で、半分弱の方にある程度の効果がでます。いずれにしても爪水虫には6~12ヶ月ほどの長い間治療が必要になります。すでに水虫で変形してしまった爪は元に戻らず、伸びてきた新しい爪がきれいになっていることで治療効果をみるためです。
また、2種類ののみ薬もあります。ラミシールというのみ薬は毎日1錠を6ヶ月以上続けます。イトリゾールというのみ薬は1週間薬を続け、3週間は休む、という1ヶ月の周期を3回、つまり3ヶ月行います(「パルス療法」と呼ばれます)。肝臓に負担がかかることがまれにありますので、採血を定期的に行いながら治療する必要があります。爪に症状があるとき以外には通常飲み薬を使いませんが、足の裏がごわごわになり治りにくい足水虫の場合にも飲み薬を使うことがあります。
足爪以外の水虫
足水虫を放っておくと体や頭皮にうつることがあります。体のものは体部白癬、頭のものは頭部白癬と呼びます。
体部白癬
湿疹と同じように赤くがさがさになりますが、一つ一つの発疹が円形で、境界がはっきりしているのが特徴です。顕微鏡の検査をすると水虫菌が見えるので、診断がつきます。足の水虫と同じように、ぬり薬(抗真菌剤)で治療します。
ネコからうつることもありますので、ネコを飼っていて家族中で赤くガサガサした丸い発疹が出てきた場合にはご相談ください。
頭部白癬
頭ががさがさして、ときに脱毛することもあります。ぬり薬が効きにくいですので、のみ薬で治療します。柔道など格闘技をやっている場合は直接相手からうつってしまうこともあります。