お子様の皮膚でも基本的には大人と同じような症状で皮膚科を受診します。多い病気では湿疹、アトピー性皮膚炎、あせも、にきび、いぼ、水イボ、とびひ、あざやほくろ、水虫、じんましんなどです。子どもでは大人と症状の出方や原因が違うことも有り、専門的な知識や経験が必要になります。当院スタッフは小児皮膚科の経験も豊富で、レーザー治療も含め子どもの皮膚症状を積極的に診ています。お子さんにあざや赤いぶつぶつができたとき、がさがさ・ジュクジュクしたときには原因がわからないですし、心配になることと思います。いつでも気軽にご相談ください。
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乳児湿疹
1歳になるまでの時期では特に皮膚が弱く、顔、首、手首や足首と言ったこすれやすい部分にガサガサや赤みがよくでます。軽い症状であればワセリンやヒルドイドといった保湿薬で保湿するだけでよくなりますし、赤みやゴワゴワが強ければ、アルメタ、キンダベート、ロコイドといった弱めのステロイドを短期間使って治療します。小さいうちに皮膚が荒れていると将来アトピー性皮膚炎のリスクが上がってしまうと言われていますので、保湿をしっかりして、荒れたときには短期間ステロイドの塗り薬を使ってしっかりと治療することが重要です。当院では塗り薬の使い方をしっかりお伝えしています。
毎日しっかり保湿をするだけでアトピー性皮膚炎の予防になりますし、皮膚を洗いすぎない、かきこわさない、といったスキンケアがアトピー性皮膚炎を悪化させないいちばん大事な秘訣になります。当院ではしっかりと指導しています。
皮膚の広い範囲が赤くなってしまったときにはステロイドの塗り薬を短期間しっかりとぬって治療することが重要です。こうなってしまうと保湿剤だけでは治りません。ステロイドは短期間(連続して2週間など)塗るだけではほとんど副作用はないですし、アトピー性皮膚炎の治療に欠かせない薬です。長くアトピー性皮膚炎の症状をくりかえしているお子さん(2歳以上)では、プロトピックというステロイドでない炎症を抑える薬も積極的に使っています。当院に来ていただければ詳しく説明しますので、治らないとお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
ほくろ、あざ
青あざ、赤あざ、茶あざと、いろいろな生まれつきや生まれてすぐに出現するあざやほくろがあります。代表的なものだと
- 青あざ:異所性蒙古斑、太田母斑
- 赤あざ:単純血管腫、いちご状血管腫(小児血管腫)
- 茶あざ:扁平母斑(カフェオレ斑)、先天性母斑
が挙げられます。自然に治るもの、レーザー治療が効くもの、手術でとるもの、と種類により治療が様々ですので、気づいたらお早めに相談ください。レーザー治療は皮膚が薄い赤ちゃんの時期の方が効きやすいので、乳児の段階から治療を開始することもよくあります。生まれつきや生まれてすぐのあざの場合はレーザーは多くが保険適応になります。
とびひ
とびひはお子さんであれば一度は経験することのある、夏に多い皮膚の病気です。湿疹やアトピー性皮膚炎、虫刺されを放っておくと掻き壊してしまい、そのキズから細菌が入ってしまいます。すると細菌が増えてじゅくじゅくしたり水ぶくれ、カサブタができて次々に隣に感染して増えていきます。もともとあせも、虫さされ、湿疹、アトピー性皮膚炎で肌が荒れている場合には特になりやすいです。
湿疹だと思っていてステロイドの塗り薬を塗っても治らない、と受診するとびひの患者さんが多いです。じゅくじゅくしたりカサブタが目立つときには細菌が表面で増えていますので、飲み薬や塗り薬の抗生剤を処方します。黄色ブドウ球菌が原因のことが多く、耐性菌で途中で抗生剤を変更する必要があることも多いので、細菌検査も最初の受診で行っています。
水イボ
夏に多い、白いポツポツが顔、体、腕、脚、陰部とどこにでもできる病気です。MCVというウイルスが原因で、通常大人にはうつらないように、半年から2年すれば自分の免疫ができて自然に消えていきます。そのため、治療しないで放っておくというのも一つの治療法ですが、接触するとうつるので、学校やプールから皮膚科でとってくださいと依頼を受けることもあります。
急に広がってきている場合にはピンセットで一つずつとっていくことができますので、ご相談ください。「ペンレス」という貼り麻酔をしてからとると、痛みを軽減できます。
湿疹やアトピー性皮膚炎があってその上に水イボが出来ている場合には表面のバリア機能が壊れていること、かくことでウイルスの粒子が広がること、の両方から急速に広がります。当院では湿疹やアトピー性皮膚炎の治療も一緒に行います。
イボ
子どもの手足に多く、幼稚園生や小学生でよく受診します。HPVもしくはヒトパピローマウイルスと呼ばれるウイルスが原因で、皮膚の一部が盛り上がったり、表面ががさがさして黒い点がでてきたりします。
ウオノメと紛らわしいことがありますが、子どもの場合にはウオノメはまずできませんので、ほとんどの場合がウイルス性のいぼです。週に1回から2週に1回程度、何度か液体窒素のスプレーで凍らせ、低温やけどの反応を起こしてウイルスのいる皮膚をはがす方法が最も一般的です。治りが悪い場合、お子さんが痛みに耐えられない場合は、塗り薬や貼り薬も使って治療をしていますので、一度ご相談ください。
おむつかぶれ
おしりがかぶれてしまうことはありますが、原因は一つではなく、診断は専門医でなければ難しいことがあります。便がゆるくなり刺激で赤くなっている場合、おしりを拭きすぎて摩擦で赤くなってしまっている場合、カンジダという皮膚表面にいるカビが増えて赤く皮がむけてしまっている場合、などが主な理由です。カンジダの診断には顕微鏡の検査が必要ですし、保護のワセリンや亜鉛華軟膏をぬれば治る場合、ステロイドの塗り薬が必要な場合などおむつかぶれの状態は様々です。一度ご相談ください。
かぶれ(接触皮膚炎)
よだれや便、食べ物の刺激で皮膚が赤くなっている状態から、市販の塗り薬や湿布に対するアレルギー反応で赤くなっている場合までかぶれの原因は様々です。食べ物や花粉に対するアレルギー検査で原因を調べることが必要なこともあります。また、原因を避けたり、ステロイドの塗り薬や抗ヒスタミン薬の飲み薬などでの治療をしっかりと行う必要がありますので、気軽にご相談ください。
ウイルス性発疹(麻疹、風疹など)
発熱と全身の赤い発疹が出現した場合にはウイルス感染が原因の発疹や、カゼに対して処方された薬による薬疹(やくしん)を疑う必要があります。予防接種により診ることは減りましたが、はしか(麻疹)やふうしん(風疹)のこともあります。全身に赤みが広がってきてひかない、熱と一緒に発疹が出てきた、という症状の場合は当院のような皮膚科専門医にご相談ください。
水ぼうそう(水痘)
体中に水疱、カサブタ、赤みが出現するのが特徴です。症状が出始めた頃はとびひと紛らわしいこともありますが、広がると顔や頭を含めて全身に症状が出現するのでわかります。熱は出ることも、はっきりしないこともあります。すべての発疹がカサブタになるまでの間は学校は出席停止となります。飲み薬が効きますので、水ぼうそうを疑ったら早めに受診してください。飲み薬を早く飲むほど症状は広がらずにすみます。
帯状疱疹
大人、特に50代以降に多い帯状疱疹ですが、体の片側だけに痛みを伴う水ぶくれや赤みができ、お子さんで受診される方もいらっしゃいます。水ぼうそうと同じウイルスが原因ですので、過去に水ぼうそうにかかったり水ぼうそうのワクチンを打った方では誰でも帯状疱疹にかかる可能性はあります。飲み薬の抗ウイルス薬が効き、早めに治療するほど治りはいいですので、疑ったらご相談ください。
手足口病
毎年のように夏に流行している手足口病ですが、手のひらや足の裏を中心して赤いポツポツや水疱ができ、多くは口の中にも症状がでます。発熱はあることもないこともあります。ウイルス性の病気ですが、このウイルスに対する治療薬はなく、様子をみて症状が治まるのを待ちます。ただ、ほかのウイルス感染症と診断が紛らわしい場合もありますので、診断をつける意味でご相談ください。便中には症状が治まってからも長い期間ウイルスが排出されますので、いつまで仕事や学校を休まなければならない、という明確な基準はありません。
リンゴ病(伝染性紅斑)
両ほほが赤くなるのでリンゴ病と呼ばれる、ウイルス性の病気です。軽いカゼの症状が出た後に、ホホが赤くなり、皮膚科を受診される方が多いです。治療はなく、様子をみて自然に症状がひくのを待てば大丈夫です。皮膚に症状が出た頃にはすでに感染力はなくなっていますので、学校を休む必要はありません。
ヘルペス
大人の唇や陰部によくできますが、お子さんにもできることがあります。唇にできることもあれば、アトピーのお子さんの場合には皮膚表面にヘルペスウイルスが感染してかさぶたが多発して熱が出ることも有ります。「カポジ水痘様発疹症」と呼ばれ、飲み薬の抗ウイルス薬による速やかな治療が必要です。
頭じらみ
幼稚園や学校でうつることが多く、特に夏に多くみられます。頭がかゆくなり、よく髪をみると白いポツポツがついていて、これが虫の卵です。長く治療しなかった場合には、数が多く、ぴょんぴょん跳ねる成虫が髪の中に見える場合もあります。数が多ければ見た目でも判断できますし、顕微鏡の検査をすれば虫の卵を確かめて正確に判断できます。スミスリンというシラミ退治の成分が入ったシャンプーを2週間ほど使うことで治療することができます。くしで卵を髪から取り除くことも有効です。