【イボの種類と見分け方】ウイルス性から加齢性まで!原因別の特徴と正しい皮膚科治療

【イボの種類と見分け方】ウイルス性から加齢性まで!原因別の特徴と正しい皮膚科治療

イボはすべて同じ病気ではなく、ウイルスによるものと、加齢や体質に関係するものでは治療の目的が違います。指先の硬い盛り上がりや顔の茶色いできものが気になるときは、色だけで決めず、場所や表面、変化の速さを合わせて確かめるのが出発点です。

見た目が似たほくろなどもあり、写真との一致だけで診断をつけるのは困難です。この記事では、イボの種類ごとの特徴と見分けの手がかり、治療の違い、皮膚科で確認したい変化を解説します。

目次

イボは原因によって種類が分かれる

イボという呼び名は、皮膚から盛り上がったできものに広く使われています。まず分けたいのは、ウイルスが関係する病変と、加齢などに伴って皮膚の細胞が増えた病変です。

ウイルス性は成人にもできる

ウイルス性のイボは子どもだけの病気ではなく、成人を含む幅広い年齢に生じます。手指や足の裏などにできる尋常性疣贅は、皮膚の表面が硬く盛り上がる、代表的なウイルス性のイボです。

原因はヒトパピローマウイルス(HPV)ですが、その名前から皮膚に現れる形を1つに決めるのは無理があります。同じウイルス性でも、できる場所によって平らに見えたり、表面が厚くなったりするためです。

病名に使う「疣贅」はイボを意味する言葉で、漢字の印象と病変の重症度は分けて受け取る必要があります。診察では呼び名よりも、実際の形や症状、その部位に生じる別の病気との区別が大切です。

加齢性は皮膚の表面の良性のできもの

老人性イボとも呼ばれる脂漏性角化症は、皮膚のいちばん外側にある表皮の細胞が増えた良性のできものです。年齢に加えて、遺伝的ななりやすさや紫外線を浴びてきた影響が関係すると考えられています。

「良性」はがんではないという意味で、盛り上がりの大小とは別の分類です。

主な区分関係する原因見分けの手がかり
ウイルス性のイボウイルスによる皮膚の変化手足のざらついた盛り上がりなど
脂漏性角化症加齢や遺伝的な素因など顔や胸、背中の貼り付いたような盛り上がり

両者には形が重なる部分もあるため、この区分は診察前に使うものです。本人が「加齢性だろう」と感じていても、初めて気づいた病変は、同じ場所にできるほかの病気も含めて確認します。

診断によって治療の目的が変わる

ウイルス性では病変をなくすために凍結療法などを検討しますが、良性と確認できた脂漏性角化症では、症状や見た目の困りごとがなければ処置を必要としない例もあります。凍結療法は、低温で病変の組織を壊す治療です。

同じ処置名でも、対象となる病気や治療の目的は異なります。治療に伴う痛みや傷痕などの負担と、取り除く理由を合わせて判断するため、まず何ができているのかを確かめます。

受診時には、取ってほしい理由を伝えましょう。見た目が気になる、歩くと痛む、衣服に引っかかって不快など、生活のどの場面で困っているかが説明の手がかりです。どこまで改善したいかが伝わると、診断後の相談も具体的になります。

手足や顔にできるウイルス性イボの特徴

手指の硬い隆起と、足の裏の平らな厚みは、どちらもウイルス性のイボとして現れます。体重や周囲の皮膚の厚さによって形が変わるため、盛り上がりの高さ以外にも確認が必要です。

手指ではざらつきと爪との位置関係を見る

手指の尋常性疣贅は、表面がざらざらした硬い盛り上がりとして気づく例があります。皮膚の色に近いものもあり、茶色や黒の病変だけを探していると、別の色のイボを見落とすおそれがあります。

爪の横だけでなく、爪の下にも病変が生じます。爪のきわの厚みとして見えるときは、爪との境目や爪自体の変化まで含めた確認が必要です。

また、爪の根元付近には、爪を作る「爪母」という部分があります。強い処置で傷つくと爪の形に影響しうるため、爪に接した盛り上がりを自分で深く切ったり削ったりせず、皮膚科で確認してください。

足の裏ではタコや魚の目と似て見える

足の裏のイボは、体重で押されて外側への盛り上がりが目立たず、硬く厚い皮膚として見える例があります。かかとや足指の付け根など、立つと床に接して荷重を受ける場所では、タコや魚の目との区別が問題になります。

魚の目は圧迫や摩擦の影響を受けて角質が厚くなり、中心に硬い芯を作る病変で、タコも刺激のかかる場所の皮膚が厚くなった状態です。ただし、こうした特徴があっても、見た目や痛みだけでウイルス性の病変と完全に分けるのは難しいです。

確認する点イボでみられる形判断の限界
皮膚の厚み平らな厚みや粗い表面タコも厚くなる
小さな点黒っぽい点が見える例点の有無だけでは確定できない
歩行時の痛み荷重で痛む例魚の目などでも痛みが出る

表面の黒い点は小さな血管に由来する所見としてみられるもので、自分判断で処置しないでください。確かめるために刃物で削ると出血し、もとの表面も分かりにくくなるため注意が必要です。

顔では平らな小さな粒として現れる例も

顔にできるウイルス性のイボには、平らで小さな盛り上がりが複数並ぶ扁平疣贅もあります。「扁平」は平たいという意味で、指先の硬いイボを想像していると別のものに感じられる形です。

一方、顔は加齢性の病変も生じやすい場所です。小さく平たい粒が増えたというだけでウイルス性と決めず、1個ずつの表面や色、周囲への分布を合わせて診察します。

普段の洗顔や化粧で気づいたなら、その時期や最初の場所を記録しておくと説明に役立ちます。触った感覚を確かめようと何度もこすったり、粒をつぶしたりすると、赤みや傷が加わって見た目が変わります。

加齢性のイボは色も形もさまざまです

顔や胸に茶色い盛り上がりがあっても、脂漏性角化症にはほかの色もあります。平たいものや厚みのあるものがあり、名前に「老人性」と付いていても、年齢だけで区別できる病変ではないのです。

顔や胸、背中にできる盛り上がり

脂漏性角化症は顔や体の上部に生じやすく、胸や背中の盛り上がりとして気づく例があります。皮膚の上に貼り付けたように境界が目立つ見え方は、診察の手がかりの1つです。

色は薄い肌色から濃い褐色まで幅があります。表面も滑らかなものから凹凸のあるものまでさまざまです。以前からある1個と、新しく気づいた1個の色が違っていても、その違いだけで別の病気と断定するのは早計でしょう。

ただし、手のひらや足の裏は通常の発生部位ではありません。その場所にできた厚みを、体にある茶色い盛り上がりと同じ加齢性の病変として扱わず、部位に応じた診断を受ける必要があります。

年齢と体質は手がかりにとどまる

年齢を重ねるほど脂漏性角化症がみられやすくなるものの、若い年代にできる例もあります。家族にも似たできものがあるという情報は、本人の病名を決める答えではなく、なりやすさを考えるためのものです。

「年を取ったから仕方がない」と気になる変化を我慢する必要もないでしょう。引っかかりや見た目の悩みは受診の理由になり、まず種類を確かめたうえで、取り除く必要があるかを相談できます。

数が多いだけで原因を決めない

脂漏性角化症は1個だけでなく、複数できる例もあります。胸や背中に似た盛り上がりがいくつかある状態を、数だけからウイルス性だと判断するのは早計です。

観察したいのは、全体の数と、それぞれの形のばらつきです。以前から似た形のものが並ぶ中で、1個だけ違う変化を示していないかにも目を向けましょう。違いに気づいたら、全体をまとめて説明するより、その1個の場所と変化を具体的に示すほうが診察に役立ちます。

また、自分では見えにくい背中では、できてから気づくまでに時間がたっている例もあります。「昨日初めて見つけた」と「昨日から急に大きくなった」は違うものなので、分かる範囲を分けて伝えてください。

場所と増え方をどう確かめる?

見分けのために記録するのは、場所・表面・数・時間による変化です。どれか1つを診断の決め手にするより、同じ病変について情報をそろえるほうが診察時の説明につながります。

正確な場所を言葉にする

「足にある」だけでなく、足の甲なのか、かかとなのか、爪の横なのかまで分かると、候補となる病気を整理しやすくなります。同じ足でも、靴が当たる面と体重のかかる面では、皮膚が受ける刺激が違うためです。

左右にあるなら、同じ位置にできているかも情報になります。離れた部位にあるできものは、見た目が似ていても同じ原因とは限りません。診察では気になる部位をそれぞれ伝え、1か所だけを見せて、全部の診断が済んだと考えないでください。

色と表面は加工せずに記録する

色や表面の記録は、削ったり薬剤を塗ったりする前の状態が役立ちます。盛り上がり全体が褐色なのか、小さな点だけが黒っぽいのかなど、診察時に伝えましょう。

見る項目伝え方の例避けたい判断
表面ざらつく、滑らか、皮が厚いざらつくから必ずイボ
色全体が褐色、一部だけ色が違う茶色だから加齢性
高さほぼ平ら、周囲より盛り上がる平らだからイボではない

写真を残すなら、加工を加えず、病変の位置が分かる写真と近くからの写真を組み合わせると説明しやすくなります。接写だけでは体のどこにあるのか分からず、撮影時の照明によって色の印象も変わるためです。

ただし、写真は変化を伝える補助資料であり、触った硬さや拡大した所見まで代わりに示せるわけではありません。

数の変化と1個の成長を分ける

「増えた」という言葉には、粒の数が増えた状態と、1個が大きくなった状態の両方が含まれます。どちらなのかを分けると、同じ部位に新しい病変が出たのか、もとの病変が変化したのかが伝わります。

記録の中心は、変化に気づいた時期と、その前後の姿。以前の写真があれば比較に使えますが、正確な日付を覚えていないときは、分かる範囲の時期を伝えるだけでも診察の材料になります。

ただし、出血や急な変化があるのに、比較写真をそろえるために受診を先延ばしにするのは避けてください。観察期間の長さを問わず相談でき、記録は分かる範囲で受診に持参すれば十分です。

ほくろや皮膚がんとの区別

茶色い盛り上がりだけでは、イボとほくろの確実な区別は困難です。見た目が加齢性の病変に似た皮膚がんもあるため、形が典型的でないときや変化があるときは、診察で確かめる意味があります。

ほくろも盛り上がるため色だけでは分けられない

ほくろには平らなものだけでなく、皮膚から盛り上がるものもあります。黒いものがほくろで、肌色のものがイボという分け方では、色に幅のある病変を取り違えてしまいます。

以前からあるという経過は参考になりますが、長くあることだけでは判断できません。もとの形を保っているかも確認が必要です。最近になって一部の色や輪郭が変わっていないかを、以前の姿と合わせて見ます。

盛り上がりの名称を自分で決めてから受診する必要はないので、予約や診察では「茶色いできものが気になる」という伝え方で十分です。ほくろかイボか迷っている点も伝えると、診断について説明を受けやすくなります。

良性のできものと似た皮膚がんもある

脂漏性角化症に似て見えるメラノーマが報告されています。メラノーマは悪性黒色腫とも呼ばれ、皮膚の色素を作る細胞などに由来する皮膚がんの1つです。

これは、脂漏性角化症がすべてがんになるという意味ではありません。初めから別の病気が似た姿をしている例があるため、見た目だけで判断しにくい病変は、拡大した観察や組織の検査で確かめます。

自分の皮膚と似た写真を見つけても安心しきれず、かえって心配が増えるかもしれません。写真探しだけでは区別がつかない部分が残るので、気になっている病変そのものを診てもらうことが重要です。

急な変化や自然な出血は早めに相談する

短い期間で見た目が変わる病変や、触っていないのに出血する病変は、自己処置をせず早めに皮膚科で確認してください。症状があるから悪性と決まるわけではなく、良性の病変に刺激が加わって変化する例もあります。

相談したい変化診察で伝える情報受診前の扱い
大きさや輪郭の変化いつから、どの部分が変わったかあれば以前の写真を用意
出血や表面の傷こすった後か、触らずに出たか削る処置を避ける
周囲と違う1個ほかの病変との差、最近の変化気になる場所を具体的に示す

痛みがない病変も、見た目と経過による評価が必要です。痛くないという理由だけで受診を見送るのは避けてください。相談時には「大丈夫か不安」という気持ちに加え、不安になった具体的な変化を伝えましょう。

皮膚科では見た目と経過を合わせて診断する

見た目が典型的なら、診察で判断できる病変もあります。区別が難しい場合には、拡大して観察する検査や、皮膚の一部を採って調べる検査を組み合わせます。

受診時は経過と自己処置の有無を伝える

初めて気づいた時期と、その後の変化は、診察で見えている状態を補う情報です。痛みが出る場面や引っかかる動作があれば、見た目の説明と分けて伝えると、生活への影響も共有できます。

  • 経過 … 最初に気づいた時期と、数や大きさの変化
  • 自己処置 … 市販薬の商品名、削った部分、処置後の見た目

すでに市販薬を使っていて使用前の写真がなくても、受診は可能です。商品名や使用した時期が分かれば、現在の見た目に処置の影響が加わっているかを考える材料になります。

拡大する検査と組織を採る検査の違い

ダーモスコピーは、専用の拡大器具を皮膚に当てるなどして、肉眼では分かりづらい色や構造を観察する検査です。患者さんが写真の模様を暗記して自己診断するためのものではなく、診察で病変を評価するために使われます。

それでも診断がはっきりしない病変では、生検という、皮膚の一部を採る検査が検討されます。採った組織を顕微鏡で調べる病理検査によって、細胞の並び方などを確認する方法です。

組織の検査を勧められたときは、まず、見た目だけでは何が区別しにくいのかを確認しましょう。検査の提案自体ががんの確定を意味するわけではなく、診断を確かにする目的があります。

そのうえで、結果が出るまで病変をどう扱えばよいかも聞いておくと、検査後の過ごし方が分かります。

種類が不明なまま取り除こうとしない

市販のイボ用の薬は、イボと呼ばれるすべてのできものに使えるわけではありません。色のある盛り上がりや顔の病変など、種類が分からない段階で薬を使うと、周囲の皮膚を傷め、診断前の形も変えてしまいます。

そのため、診断がつくまでは、切る・削るなどの自己処置を避けてください。見せたい病変をそのまま確認できる状態にしておくほうが、種類を確かめるうえで役立ちます。

よくある質問

茶色いイボはすべて加齢性ですか?

茶色という色だけで加齢性と判断するのは困難です。脂漏性角化症のほかにほくろなども似た色を示すため、場所や表面、以前からの変化を合わせて診察で確認します。

最近色や輪郭が変わったものや、触らなくても出血するものは、市販薬で取り除こうとせず皮膚科へ相談してください。以前の写真があれば、どこが変わったかを説明する助けになります。

成人にもウイルス性のイボはできますか?

成人にもウイルス性のイボはできます。子どもに多いという印象があっても、年齢だけで原因を加齢性に絞るのは適切ではなく、手指や足の裏などの場所と、病変そのものの形が判断材料になります。

イボは痛みがなければ様子を見てもよいですか?

痛みがないという理由だけでは、様子を見てよいか決められません。判断の前提になるのは、種類が確認できているかどうかです。良性の脂漏性角化症と確認済みで困りごとがない場合と、まだ診断がついていない盛り上がりでは、対応を分けて考えます。

種類が不明なら一度皮膚科で確かめ、観察でよいと説明された場合は、どんな変化で再受診するかも確認しましょう。ウイルス性では自然に消えるものから長く残るものまで幅があり、観察を続けるかどうかは症状や経過に応じた相談が必要です。

足の裏の黒い点を取ればイボかどうか分かりますか?

黒い点を取っても、イボかどうかの確認にはなりません。点は小さな血管に由来して見える例があり、魚の目の芯のように自分で掘り出す対象ではないためです。

刃物や針で触らず、黒い点がある状態のまま診察を受けてください。歩くと痛むなら、痛む位置や靴を履いたときの変化も伝えると、病変の見た目と生活上の症状を合わせて評価できます。

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この記事を書いた人

野田真史のアバター 野田真史 池袋駅前のだ皮膚科 院長

医学博士 / 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

東京大学医学部卒業、同大学院医学博士課程修了。米国ロックフェラー大学への臨床・研究留学、ニューヨーク州医師免許取得を経て、東京大学医学部附属病院助教を務める。2018年、池袋駅前のだ皮膚科を開院。

ニキビやシミといった身近な悩みから難治性の皮膚疾患まで、常に知識を研鑽し、適切な診断・治療を行うことを信条としている。

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