「出産後に抜け毛が一気に増えた」「強いストレスのあと、髪が抜けるようになった」「シャンプーや枕につく毛が急に多くなった」など、抜け毛の増加でお悩みではありませんか。
出産やストレス、急なダイエットなどをきっかけに、一時的に抜け毛が増える状態を「休止期脱毛(きゅうしきだつもう)」といいます。多くは時間とともに自然に回復しますが、長引く場合や進行する場合は治療が必要なこともあります。
ここでは、休止期脱毛のしくみや原因、自分でできるケア、受診の目安、当院の対応について、皮膚科専門医がくわしく解説します。
休止期脱毛(産後・ストレス脱毛)とは
髪の毛には、伸びる「成長期」、抜ける準備をする「退行期」、抜け落ちて休む「休止期」という周期(ヘアサイクル)があります。健康な状態では、髪全体のうち成長期が約9割を占め、休止期にあるのは1割程度です。そのため、毎日ある程度の毛が抜けても、新しい毛が育って本数が保たれています。
ところが、出産やストレスなどの大きな変化があると、多くの毛が一斉に休止期に入り、数か月後にまとめて抜けてしまうことがあります。これが休止期脱毛です。きっかけから2〜3か月後に抜け毛が増え、その後は新しい毛が生えて自然に回復していくのが一般的な経過です。
1日に抜ける毛の本数の目安
健康な人でも、1日に50〜100本程度の髪は自然に抜けています。季節によっても変動します。抜け毛の本数そのものより、「以前より明らかに増えた」「地肌が目立つようになった」といった変化が、目安になります。
主な原因(きっかけ)
産後の抜け毛
妊娠中は女性ホルモンの影響で、本来抜けるはずの髪が抜けにくくなり、髪が多く保たれます。出産後にホルモンが急に元へ戻ると、抜けずに残っていた髪が一斉に抜けます。産後2〜3か月ごろから抜け毛が増え、半年〜1年ほどで自然に回復することがほとんどです。
授乳や育児による睡眠不足・栄養不足が重なると、回復が遅れることもあります。
ストレス・体への負担による抜け毛
強い精神的ストレス、急なダイエット、発熱をともなう病気、手術、栄養の偏り、睡眠不足などがきっかけになります。
これらの負担から2〜3か月遅れて抜け毛が増えるため、原因に気づきにくいこともあります。原因となった負担が落ち着けば、回復に向かうことが多いです。
産後の抜け毛が少ない人・ひどい人の違い
産後の抜け毛には個人差があり、「ほとんど気にならなかった」という人もいれば、「ごっそり抜けて地肌が見えた」という人もいます。抜け毛の程度には、次のような要因が関係すると考えられています。
- もともとの髪の量・体質
- 出産後のホルモン変化の程度
- 授乳・育児による睡眠不足や栄養不足の有無
- 鉄やたんぱく質など、髪に必要な栄養が足りているか
- ストレスや心身の負担の大きさ
抜け毛がひどいと感じても、休止期脱毛であれば多くは一時的で、栄養や休息を整えることで回復に向かいます。
一方で、鉄欠乏(貧血)や甲状腺の病気が重なると、抜け毛が長引いたり、ひどくなったりすることがあります。「ひどすぎる」「なかなか止まらない」と感じる場合は、一度ご相談ください。
自分でできるケア
休止期脱毛の回復を助けるために、髪の材料となる栄養をしっかりとり、心身の負担を減らすことが大切です。
- バランスのよい食事を心がけ、たんぱく質・鉄・亜鉛などを不足させない。
- 十分な睡眠と休息をとり、心身の負担を減らす。
- 頭皮を清潔に保ち、やさしく洗う。きつく結ぶ髪型は避ける。
- 抜け毛を気にしすぎないことも大切です。多くは一時的で、自然に回復します。
抜け毛が増える時期の髪型・シャンプーの工夫
抜け毛が増える時期は、頭皮にやさしい低刺激のシャンプーを使い、爪を立てずにやさしく洗いましょう。抜けるのが気になってシャンプーを控えると、かえって頭皮環境が悪くなります。皮脂や汚れはためず、清潔に保つことが大切です。
また、新しく生えてきた短い毛が目立つ時期は、分け目を変える、髪をまとめる、ヘアバンドやヘアアレンジでカバーするなど、見た目の工夫で気持ちの負担を減らすこともできます。
受診の目安
休止期脱毛の多くは自然に回復しますが、次のような場合は、ほかの原因が隠れていることもあるため、皮膚科にご相談ください。
- 半年〜1年たっても抜け毛が落ち着かない、薄さが進む
- 分け目や全体が目立って薄くなってきた
- 円形に抜ける、地肌の赤み・かゆみ・フケをともなう
- 強い倦怠感・体重の変化など、ほかの体調の変化をともなう
女性の薄毛(FAGA)や、貧血・甲状腺の病気などが背景にあることもあります。進行する薄毛については女性型脱毛(FAGA)のページもあわせてご覧ください。
当院の対応
休止期脱毛の多くは、生活の見直しと時間の経過で自然に回復します。当院では、抜け毛の状態や経過をうかがったうえで、必要に応じて次のような対応を行います。
原因の確認
抜け毛が長引く・進行する場合は、女性の薄毛(FAGA)や、貧血・甲状腺の病気などが隠れていることがあります。必要に応じて血液検査などを行い、ほかの原因がないかを確認します。
必要に応じた治療
抜け毛が長引く・進行する場合は、髪の成長を助ける内服・外用による治療もご提案します。授乳中などお薬の使用に配慮が必要な場合は、状況に合わせてご相談に応じます。
よくあるご質問
- 産後の抜け毛はいつ治まりますか?
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産後2〜3か月ごろから増え、多くは半年〜1年ほどで自然に落ち着き、新しい毛が生えてきます。個人差はありますが、一時的なことがほとんどです。
- 抜け毛が長引いています。受診したほうがよいですか?
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半年〜1年たっても落ち着かない、薄さが進む場合は、女性の薄毛(FAGA)や貧血・甲状腺の病気などが隠れていることもあります。一度ご相談ください。
- どうして出産から数か月たってから抜けるのですか?
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髪が「休止期」に入ってから実際に抜け落ちるまでに数か月かかるためです。きっかけ(出産・ストレスなど)から2〜3か月遅れて抜け毛が増えるのが特徴です。
- 授乳中でも相談できますか?
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はい、ご相談ください。授乳中はお薬の使用に配慮が必要なため、まずは状態を確認し、生活面のアドバイスや、状況に合わせた対応をご提案します。
- 産後の抜け毛がない人もいますか?
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はい。抜け毛の程度には個人差があり、ほとんど気にならない方もいます。もともとの髪の量や体質、ホルモン変化の程度、栄養・睡眠の状態などが関係すると考えられています。
- シャンプーはどう選べばいいですか?
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頭皮にやさしい低刺激のシャンプーを選び、爪を立てずやさしく洗いましょう。抜け毛が気になってもシャンプーは控えず、頭皮を清潔に保つことが大切です。
産後やストレスによる抜け毛は、多くが一時的なものです。長引く・進行する場合は、原因を見極めて治療できますので、抜け毛でご心配な方は池袋駅前のだ皮膚科までお気軽にご相談ください。
院長紹介

野田 真史

学歴・資格
東京大学医学部医学科卒業
皮膚科専門医(日本皮膚科学会認定)
医学博士(東京大学大学院医学系研究科)
ニューヨーク州医師免許
ECFMG certificate(アメリカ医師国家試験合格証)
Master in translational science(米国ロックフェラー大学)
略歴
米国Northwestern大学、Thomas Jefferson大学で診療研修
米国ロックフェラー大学
Instructor in Clinical Investigation
兼 Associate Attending Physician
ニューヨーク州医師免許を取得し、診療にあたる
湿疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、円形脱毛症の研究に従事し、Master in translational science(MSc)取得





