【脂漏性湿疹とは】頭皮や顔の赤み・フケの原因はカビ?皮膚科での治療法

【脂漏性湿疹とは】頭皮や顔の赤み・フケの原因はカビ?皮膚科での治療法

脂漏性湿疹は頭皮や顔に赤み・フケ・かゆみをもたらす慢性の炎症性皮膚疾患で、成人の1〜3%が悩んでいるとされています。原因には常在菌マラセチア(カビの一種)の過剰増殖が深く関与しており、皮脂の質・免疫の変調・皮膚バリアの低下が複合的に絡んでいます。

皮膚科ではケトコナゾールなどの抗真菌薬を中心とした外用療法で症状の改善が期待でき、日常のスキンケアや生活習慣との組み合わせで再発の頻度を抑えることが可能です。

この記事では、症状から診断・治療・再発予防まで、皮膚科医の視点でわかりやすく解説します。

目次

脂漏性湿疹とはどんな病気?慢性的な炎症と再発を繰り返す皮膚疾患

脂漏性湿疹は皮脂腺が密集する部位に繰り返し炎症が生じる慢性皮膚疾患です。適切な治療で症状は落ち着きますが、完治よりも「うまくコントロールすること」が目標になる病気と考えると取り組みやすくなります。

皮脂分泌が多い場所に赤みとフケが集中する

皮脂腺は頭皮・顔の中央部(眉毛・鼻まわり・鼻唇溝)・耳の後ろ・前胸部・背部上方などに集中しています。脂漏性湿疹はこうした「脂漏部位」に好発し、赤みを帯びた不明瞭な境界の紅斑と、黄色みがかったフケのような鱗屑(りんせつ)が特徴的な外観を形成します。

かゆみを伴うことが多く、症状が強い時期と落ち着く時期を交互に繰り返す点がこの病気の典型的な経過です。かきむしることで皮膚に傷がつき、細菌感染を合併するリスクも高まります。

有病率は成人の1〜3% 気づかれにくい慢性疾患

世界的な有病率は免疫正常の成人で1〜5%程度と報告されており、20〜50代の男性にやや多い傾向があります。男性ホルモン(アンドロゲン)が皮脂腺の分泌を促進するため、男性で重症化しやすい側面があります。

HIVなど免疫機能が低下した状態では有病率が大幅に上昇し、症状が広範に及ぶことが知られています。またパーキンソン病や顔面麻痺がある患者では頭部・顔面の脂漏性湿疹が悪化しやすく、その背景には神経調節と皮脂腺の関係が指摘されています。

成人型と乳児型の脂漏性湿疹の比較

特徴成人型乳児型(クレードル・キャップ)
発症年齢20〜50代(青年期にピーク)生後2〜10週
経過慢性・再発を繰り返す多くは生後12ヵ月以内に自然消退
好発部位頭皮・顔中央部・胸背部頭頂部・顔・首のくびれ・脇

乳児に特有の「クレードル・キャップ(乳痂)」とは

乳児の脂漏性湿疹は生後2〜10週ごろに発症し、頭頂部に厚い油性の黄色い痂皮(かひ)が形成される「クレードル・キャップ(乳痂)」として知られています。生後3ヵ月前後にピークを迎え、多くは生後12ヵ月以内に自然消退します。

成人型のように慢性化することはほとんどなく、予後は良好です。一方、顔だけでなく首のくびれ・脇・おむつ部位にも病変が広がることがあり、アトピー性皮膚炎との鑑別が難しいケースも少なくないため、皮膚科での確認が安心です。

頭皮や顔に現れる赤み・フケ・かゆみ|部位別の症状

脂漏性湿疹の症状は発症する場所によって見た目が少しずつ異なります。自分の症状がどの部位に出ているかを把握しておくと、受診時の説明や日常ケアに役立ちます。

頭皮の症状―黄白色のフケとかゆみが繰り返す

頭皮の脂漏性湿疹では鱗屑(いわゆるフケ)が多量に生じるのが特徴です。鱗屑の色は白っぽいものから黄色みがかったものまであり、油脂に富んでいるため衣服に落ちると目立ちます。かゆみを伴い、かきむしることで二次感染(細菌感染)を起こすリスクも高まります。

重症例では頭皮全体に赤みと厚い痂皮が広がり、ヘアラインを越えて額やこめかみにも症状が及ぶことがあります。洗髪後に一時的に楽になっても、しばらくするとまた症状が戻る、という経過を繰り返すのが典型的なパターンです。

顔の症状―眉毛・鼻の横・耳の後ろが代表的な発症場所

顔面では眉毛・眉間・鼻唇溝(ほおとの境目のしわ)が好発部位です。皮膚が薄い顔では赤みが目立ちやすく、鱗屑を伴う紅斑が左右対称に現れます。眼瞼縁(まぶたの縁)に症状が及ぶ眼瞼炎を合併することもあります。

また耳の後ろや外耳道内にも症状が出やすく、じくじくとした感覚やかゆみが続く場合があります。顔の赤みは化粧によって一時的に隠せても、炎症そのものは進行し続けることがあるため注意が必要です。

胸・背中・脇など顔以外の部位にも広がることがある

前胸部・上背部・脇の下・鼠径部(そけいぶ)は、体の中でも皮脂腺が集まる部位です。こうした部位にも赤みと鱗屑が広がるケースがあり、特に体型が大柄で汗をかきやすい人は症状が悪化しやすい傾向があります。

顔と体に同時に症状が出ている場合は全体的な皮脂コントロールが必要になり、外用薬の範囲や種類についても皮膚科で相談しながら決めていくことが大切です。

部位別の主な症状まとめ

部位主な症状注意点
頭皮黄白色の鱗屑(フケ)・かゆみ・赤みかきむしりによる二次感染に注意
顔(眉毛・鼻まわり)赤みを帯びた鱗屑・左右対称の紅斑眼瞼炎の合併に注意
耳・外耳道かゆみを伴う鱗屑・じくじく感外耳道炎との鑑別が必要な場合あり

カビ(マラセチア)が原因?脂漏性湿疹を生む皮脂・免疫・常在菌の三角関係

マラセチアは健康な人の皮膚にも75〜98%という高率で検出される常在菌ですが、脂漏性湿疹の患者では特定の条件下でこの菌が炎症を引き起こします。

「カビが原因」と言われる一方で、免疫の反応性や皮脂の質も重要な要素です。

マラセチアが「問題菌」になるのはどんな条件のときか

マラセチアは脂肪を分解するリパーゼという酵素を持ち、皮脂中のトリグリセリドを刺激性の高い遊離脂肪酸に変換します。この遊離脂肪酸が皮膚のバリアを傷つけ、炎症性サイトカイン(IL-1β・IL-8・IL-17など)の産生を誘発するのです。

ただし菌の量だけが問題ではなく、菌に対する個体の免疫反応の強さが炎症の程度を左右することが多くの研究で示されています。

同じ量のマラセチアがいても炎症が起きる人と起きない人がいる理由は、こうした個人差による免疫応答の違いにあります。

皮脂の過剰分泌と皮膚バリア機能の低下が発症の下地を作る

皮脂腺の活動は男性ホルモン(アンドロゲン)によって促進されるため、思春期・青年期・50〜60代の男性で症状が強くなりやすいです。皮脂が豊富な環境はマラセチアの増殖を後押しし、炎症のサイクルを始動させる引き金になります。

脂漏性湿疹の皮膚ではセラミド(皮膚バリアの構成成分)の組成が変化していることが確認されており、バリアが弱まると外部からの刺激や菌の侵入に対してより敏感になります。

皮脂分泌とバリア機能は互いに影響し合い、悪循環を形成することがあります。

脂漏性湿疹の主な発症リスク因子

カテゴリー主な要因
菌・微生物マラセチアの過剰増殖・菌種(M. restricta、M. globosaなど)
皮脂・バリア皮脂過剰分泌・セラミド異常・バリア機能低下
免疫免疫機能低下(HIV・加齢)・過剰な免疫応答
神経・疾患パーキンソン病・顔面麻痺・脳梗塞後遺症
環境・生活精神的ストレス・睡眠不足・季節変化(乾燥・寒暖差)

ストレス・季節の変わり目・神経疾患との関係

精神的ストレスは免疫機能に影響を与え、症状の悪化を招く引き金になることが多く報告されています。また湿度が低く乾燥する冬や、寒暖差が大きい季節の変わり目に悪化するケースが少なくありません。

パーキンソン病や脳梗塞後の顔面麻痺がある患者では、皮脂腺の活動性が高まることで重症な脂漏性湿疹を合併しやすいことも知られています。

こうした神経疾患との関連は、自律神経・ホルモン調節の観点から研究が進んでいます。

乾癬やアトピー性皮膚炎と混同しやすい!脂漏性湿疹の鑑別診断ポイント

脂漏性湿疹は他の炎症性皮膚疾患と症状が重なりやすく、自己判断のまま放置するケースが少なくありません。正確な診断を受けることが、適切な治療への第一歩です。

頭皮の乾癬との違い―鱗屑の質感と分布に注目

頭皮乾癬の鱗屑は銀白色で厚く、かきとると点状の出血(アウスピッツ現象)が見られます。一方、脂漏性湿疹の鱗屑は黄白色でやや油性、境界はやや不明瞭です。

乾癬では頭皮に加えて肘・膝・臍(へそ)周囲など摩擦を受けやすい部位にも病変が出現しやすく、爪の変形(点状陥凹など)を伴うこともあります。脂漏性湿疹はこうした四肢への広がりが通常みられないため、分布の確認が鑑別の手がかりになります。

アトピー性皮膚炎・接触性皮膚炎との見分け方

アトピー性皮膚炎は幼児期から発症することが多く、乾燥した皮膚・激しいかゆみ・家族歴・IgE値の高値などを伴います。脂漏性湿疹の油性の鱗屑とは質感が明確に異なります。

接触性皮膚炎は特定の物質に触れた後に出現することが多く、皮疹の分布が接触部位に一致します。香水・ヘアカラー・シャンプーの成分が原因になることもあるため、発症前後に使用したスキンケア製品を受診時に医師へ伝えることが重要です。

「脂漏性乾癬」という中間型も存在する

頭皮から顔にかけて乾癬と脂漏性湿疹の両方の特徴が混在するケースは「脂漏性乾癬(sebopsoriasis)」と呼ばれ、臨床的な鑑別が難しいとされています。

この中間型では乾癬の治療薬と抗真菌薬を組み合わせた対応が必要になることもあります。自己判断での市販品使用は症状を複雑化させる可能性があるため、症状が長引く場合は皮膚科専門医への相談が確実な選択肢です。

主要疾患との鑑別ポイント比較

疾患名鱗屑の特徴その他の特徴
脂漏性湿疹黄白色・油性・境界やや不明瞭脂漏部位に限局、かゆみあり
頭皮乾癬銀白色・厚い・はがれやすい四肢にも病変・爪変形・点状出血
アトピー性皮膚炎乾燥性・皮膚炎IgE高値・家族歴・乾燥皮膚が目立つ

皮膚科で脂漏性湿疹と診断される流れ~受診時に確認すること

皮膚科での診断は視診と問診が中心です。特別な検査が必要になるケースは限られていますが、背景にある疾患を確認することは治療方針を決めるうえで欠かせない手順です。

視診と問診が診断の柱―何を確認されるのか

皮膚科医は皮疹の形態・色・分布を直接観察し、脂漏性湿疹に特徴的なパターンを確認します。問診では「いつ頃から症状があるか」「悪化する季節や状況」「使用中のスキンケア製品や薬」「家族歴」なども確認されます。

顔面の病変にはダーモスコピー(皮膚鏡)を用いて細部を拡大観察することもあり、乾癬などとの鑑別に役立ちます。頭皮病変の評価にはトリコスコピーという毛・頭皮専用の拡大観察法が活用されることもあります。

HIVや亜鉛欠乏など注意したい背景疾患の確認

若年者で急に重症化した場合や体の広範な部位に及ぶ場合には、HIV感染症など免疫抑制状態の背景疾患を除外することが医学的に重要です。HIVに関連した脂漏性湿疹は治療抵抗性が高く、経過も重篤になりやすい傾向があります。

亜鉛欠乏症や栄養状態の問題が脂漏性湿疹を引き起こすことも知られており、乳児や高齢者では特に注意が必要です。こうした場合は血液検査によって原因を特定し、基礎疾患の治療を並行して行います。

受診時に医師へ伝えておきたい情報

  • 症状が始まった時期と、それ以降の変化の経緯
  • かゆみの強さと、影響が出ている部位の範囲
  • 現在使用しているシャンプー・スキンケア製品・市販薬の種類
  • 既往歴(アトピー性皮膚炎・乾癬・HIVなど)および服用中の薬
  • 症状が悪化しやすい季節・状況・食生活の変化

トリコスコピーや皮膚生検が役立つケースとは

トリコスコピーは頭皮の血管パターンや鱗屑の性状を詳しく確認できる非侵襲的な検査で、頭皮乾癬との鑑別に有用です。脂漏性湿疹では樹枝状の血管と黄白色の鱗屑が観察される特徴があります。

皮膚生検(局所麻酔下で皮膚を小さく採取して組織を調べる検査)は、臨床所見だけでは診断が難しい場合に行われることがあります。日常的な脂漏性湿疹の診断に通常は必要なく、他の疾患の鑑別が必要と判断されたときに用いられます。

皮膚科での治療法 抗真菌薬・ステロイド・カルシニューリン阻害薬の使い分け

脂漏性湿疹の治療は「マラセチアを減らす」「炎症を鎮める」「皮脂産生を調整する」という3つのアプローチを組み合わせるのが基本です。症状の部位・重症度・年齢によって適切な薬剤が選択されます。

頭皮の治療―ケトコナゾールシャンプーとシクロピロクスの使い方

頭皮の脂漏性湿疹には、ケトコナゾール2%シャンプーやシクロピロクスシャンプーが抗真菌薬として使われます。泡立てて頭皮に数分おいてからしっかりすすぐ方法が基本で、週1〜2回の使用から始めます。

症状が落ち着いた後も、再発予防として月に1〜2回の継続使用を推奨されることがあります。かゆみや赤みが強い急性期には、ステロイドローションを短期間併用して炎症を素早く抑えることもあります。

顔・体幹への治療―低刺激な薬剤選択が長く続けるためのコツ

顔の脂漏性湿疹には、ケトコナゾールクリームや低〜中程度の効力のステロイドが使われます。顔はデリケートな部位であり、ステロイドの長期連用によって皮膚の萎縮・毛細血管拡張などの副作用が生じるリスクがあるため、使用期間には注意が必要です。

ステロイドを長期間使いたくない場合やまぶた周囲など吸収が高い部位には、タクロリムスやピメクロリムスといったカルシニューリン阻害薬(非ステロイド性の抗炎症薬)が選択肢となります。副作用のプロファイルが異なるため、医師の説明のもとで適切に使い分けることが大切です。

難治例・重症例に用いるさらなる選択肢

外用薬だけでは十分な改善が得られない難治性・重症例には、内服の抗真菌薬(イトラコナゾールなど)が検討されることがあります。内服薬は肝臓への影響などに注意が必要なため、必ず医師の管理下で使用します。

皮脂分泌を抑えるイソトレチノインの低用量投与が重篤な頭皮の脂漏性湿疹に有用との報告もあります。また近年ではPDE4阻害薬など免疫調節薬の有効性が研究されており、既存の治療に効果が乏しい患者への新たな道として注目されています。

部位別の主な外用治療薬の種類

部位主な外用治療薬の種類
頭皮抗真菌シャンプー(ケトコナゾール・シクロピロクス)、ステロイドローション(短期使用)
抗真菌クリーム(ケトコナゾール)、低効力ステロイド、カルシニューリン阻害薬(タクロリムス・ピメクロリムス)
体幹・その他抗真菌クリーム・ローション、中程度のステロイド外用薬

脂漏性湿疹の再発を防ぐ日常ケア 洗い方から生活習慣の見直しまで

脂漏性湿疹は「完治」よりも「上手なコントロール」が現実的な目標です。薬物治療と並行した日常ケアの積み重ねが、再発の間隔を延ばし症状を軽く保つための鍵になります。

頭皮と顔の正しい洗い方

頭皮は1日1回、38〜40℃程度のぬるめのお湯でやさしく洗うことが基本です。爪を立てず、指の腹で頭皮をほぐすように洗い、シャンプーが残らないよう十分にすすぎます。

洗浄力が強すぎるシャンプーは皮脂を必要以上に取り除き、かえってマラセチアの増殖を促すことがあるため、低刺激タイプを選ぶと安心です。

顔は朝晩2回、皮脂が多い部分を中心に泡立てた洗顔料でやさしく洗います。ゴシゴシこすることは皮膚バリアを傷つけるため、摩擦を最小限に抑えることが大切です。

脂漏性湿疹を悪化させやすいNG行動

  • アルコール・香料・強い防腐剤が含まれる化粧水や洗顔料の使用
  • 爪を立てて頭皮をゴシゴシ洗う(傷や細菌感染の原因になる)
  • かゆいからといって皮疹部位を強くかきむしる
  • 洗髪後に頭皮を濡れたまま長時間放置する(マラセチアの増殖を促す)
  • 強い日差しへの長時間の露出(炎症を悪化させることがある)

保湿と低刺激ケアで皮膚バリアを守る

洗顔後はすぐに保湿剤(乳液・クリーム)を塗布して皮膚の乾燥を防ぎます。セラミド配合の保湿剤はバリア機能の修復をサポートするものとして注目されています。

アルコール・香料・防腐剤などの刺激成分が含まれる化粧品は症状を悪化させる可能性があるため、成分表示を確認する習慣をつけましょう。

ステロイドを塗っている期間であっても保湿は怠らず、薬と保湿剤を組み合わせてバリア機能を整えることが再発予防につながります。皮膚科医から「いつ・どの順番で塗るか」について指示を受けておくと実践しやすくなります。

睡眠・食生活・ストレスコントロールが皮膚に与える影響

睡眠不足は免疫機能を低下させ、脂漏性湿疹の悪化を招きます。毎日7〜8時間の良質な睡眠を確保することが肌環境の安定につながります。

食生活では糖質・脂質の過剰摂取が皮脂分泌を増やす可能性があるため、野菜・魚・発酵食品を中心としたバランスのよい食事を心がけると好ましいといえます。

ストレスは症状の引き金になりやすいため、定期的な運動や趣味など自分なりのリフレッシュ方法を意識的に取り入れることも、皮膚の状態を長期的に安定させるうえで役立ちます。

よくある質問

脂漏性湿疹を放置し続けると、症状はどうなりますか?

脂漏性湿疹は自然に落ち着くこともありますが、成人の場合は慢性的な経過をたどることが多く、放置すると症状が悪化・拡大するリスクがあります。かゆみでかきむしることで皮膚に傷がつき、細菌感染(毛嚢炎など)を合併するケースも見られます。

また赤みやフケが続くことで精神的なストレスや社会生活への影響も生じかねません。症状が気になるときは、早めに皮膚科を受診されることをお勧めします。

脂漏性湿疹の治療はどのくらいの期間続ければよいですか?

急性期の炎症を抑えるには、抗真菌薬やステロイドなどを使って2〜4週間で症状が改善するケースが多いです。ただし脂漏性湿疹は体質的に再発しやすい病気であるため、症状が落ち着いた後も維持療法として抗真菌シャンプーを週1〜2回使い続けることが推奨される場合があります。

治療の期間は症状の部位や重症度によって個人差が大きいため、皮膚科医と相談しながら調整していくことが大切です。自己判断で薬を中止すると再燃を繰り返しやすくなります。

脂漏性湿疹は家族にうつりますか?

脂漏性湿疹は他の人に感染する病気ではありません。原因となるマラセチアは健康な人の皮膚にも存在する常在菌であり、触れたからといって感染が広がることはありません。

ただし同じ家族でも皮脂の分泌量・免疫の状態・生活習慣が似ていると、複数の家族が発症することはあります。これは感染ではなく、体質的・環境的な要因が共通しているためです。感染の心配をせずに、日常のケアや治療に集中していただいて構いません。

脂漏性湿疹と乾癬は見た目だけで区別できますか?

両者は症状が似ているため、見た目だけの判断は難しい場合があります。乾癬の鱗屑は銀白色で厚くはがれやすく、かきとると点状の出血が生じるのに対し、脂漏性湿疹の鱗屑は黄白色で油性のことが多いです。

また乾癬では肘・膝・臀部などにも病変が広がりやすく、爪の変形(点状陥凹など)を伴うことがある点も区別の手がかりになります。自己判断が難しいときは皮膚科を受診し、専門医による診察を受けることが確実です。

脂漏性湿疹には市販のシャンプーや薬は効きますか?

軽度の脂漏性湿疹であれば、ミコナゾールや亜鉛ピリチオン・セレン硫化物などの抗菌・抗真菌成分が含まれた市販シャンプーで症状が改善するケースもあります。

ただし市販薬・市販シャンプーが効果を発揮するのは症状が軽い場合に限られ、炎症が強い・症状が広がっている・顔に赤みが出ているといったケースでは、処方薬を使わないと十分な効果が得られないことが多いです。症状が改善しない場合や悪化する場合は、皮膚科を受診されることをお勧めします。

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この記事を書いた人

野田真史のアバター 野田真史 池袋駅前のだ皮膚科 院長

医学博士 / 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

東京大学医学部卒業、同大学院医学博士課程修了。米国ロックフェラー大学への臨床研究留学、ニューヨーク州医師免許取得を経て、東京大学医学部附属病院助教を務める。2018年、池袋駅前のだ皮膚科を開院。

ニキビやシミといった身近な悩みから難治性の皮膚疾患まで、常に知識を研鑽し、適切な診断・治療を行うことを信条としている。

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