酒さ様皮膚炎

酒さ様皮膚炎は、酒さに似た赤みやポツポツができる疾患です。主な原因は、ステロイドを長期に使用している方に起こる副作用です。

ここでは「酒さ様皮膚炎」についての特徴や原因、当院の診断方法や治療方法などの情報をご紹介します。

酒さ様皮膚炎とは

ここでは酒さ様皮膚炎についての定義や特徴、代表的な症状、症状が起こる部位についてそれぞれ紹介します。

定義と特徴

酒さ用皮膚炎は、主に顔にステロイド外用剤を長期にわたって使用することで起こる副作用の症状です。免疫抑制剤のタクロリムス(商品名:プロトピック)を外用薬で使って発症する場合や、油脂性の化粧品をきっかけにして症状が出ることもあります。

すべての方に必ず起こる副作用ではなく、体質が関係していると考えられています。1 )

症状

酒さ様皮膚炎では酒さに似た症状が起こります。代表的な症状としては、赤みやほてり、かゆみ、毛細血管拡張症、ニキビのようなポツポツ、膿がたまったブツブツです。うろこ状の皮膚がはがれ落ちることもあります。

酒さ様皮膚炎

発症部位

酒さ様皮膚炎と酒さは、どちらも赤みやポツポツとした症状が特徴的です。しかし酒さ様皮膚炎と酒さでは、症状の出る部分が違います。酒さ様皮膚炎の症状が出る主な場所は鼻下やアゴなどの口周りです。「口囲皮膚炎」と呼ばれることもあります。

しかし酒さでは顔の中心に近い部分の鼻や頬の内側、眉間などに症状が出ます。

酒さ様皮膚炎の原因

酒さ様皮膚炎の原因は、ステロイド外用薬を長期にわたって使用することで起こる副作用です。漫然とステロイドを使い続けると、皮膚の細胞増殖が抑制されて皮膚が薄くなり、皮膚の下にある血管が拡張して浮き出ているように見えてしまうのです。

ステロイドは脂溶性のため、皮脂腺が多い顔は吸収率が高くなるため副作用も出やすくなります。

医師の指示に従わないなどステロイドを不適切に使用すると、さらに副作用が起こりやすくなるため注意しましょう。ステロイドと同様に、「タクロリムス外用薬(商品名:プロトピック)」も長く塗り続けることで酒さ様皮膚炎の症状が出ると言われているため注意が必要です。

酒さ様皮膚炎の診断

ここでは当院で行っている酒さ様皮膚炎の診断方法について紹介します。

問診

「症状はいつから出ているのか」、「どこに症状が見られるのか」、「症状に変化はあるのか」、「ステロイドやタクロリムスの外用薬の使用歴」など症状や体調について細かく聞き取ります。

病気を特定するための大切な手がかりのため、気になることがあればご相談ください。

視診

患部の症状や出ている部位を実際に目で確認します。症状が出ている範囲や、赤みやポツポツなどの特徴的な症状が出ているかをチェックします。

検査

必要時には拡大鏡(ダーモスコピー)を使った検査で、毛細血管拡張症の症状が出ているかを確認します。また他の病気と区別するために、顕微鏡検査をすることもあります。

酒さ様皮膚炎の治療法

ここでは当院で対応している酒さ様皮膚炎の治療方法について紹介します。治療薬は基本的に酒さの治療と同じです。

原因薬物の中止

ステロイド外用剤を長期に使用しているときには、まずは使用を中止します。使用を中止した後には、「リバウンド現象」と呼ばれる一時的な症状の増悪が起こります。「リバウンド現象」の代表的な症状と経過について目安を紹介します。

原因薬物を中止してから3日を目安に赤みやほてり、むくみ、乾燥、ジュクジュク感、皮膚がはがれるなどの症状が起こります。これらは14日ほどをピークとして、緩やかにおさまります。6週間を過ぎると、ほとんどの場合で症状がおさまります。

リバウンド現象が強く出ているときには、「ステロイドの使用量や使用回数を少しずつ減らす」、「アレルギー反応を抑えるために内服薬を処方する」などの方法で対応することもあります。

飲み薬

ドキシサイクリン(商品名:ビブラマイシン)

抗炎症作用があるテトラサイクリン系の抗菌薬であるドキシサイクリンを処方します。毛穴の炎症を抑えて、ポツポツを減らす効果が期待できます。

1日1回100mg錠または1日2回50mg錠を食後に服用してください。

※炎症を抑えるためには、短期間の服用では効果を実感しにくくなります。最低でも2週間、長いときには3か月ほどの連続服用が必要です。

塗り薬

メトロニダゾール(商品名:ロゼックス)

皮膚の炎症が目立っているときには、塗り薬としてメトロニダゾールを処方します。メトロニダゾールには、活性酸素を抑える働きや、免疫反応を抑制する働きがあり、慢性的な皮膚の炎症に役立ちます。

1日1~2回、患部を洗浄してから、適量を塗布してください。

※効果が出るまでの目安となる使用期間は約2週間です。すぐに効果を実感できないときでも、自己判断で使用を中止しないでください。

イベルメクチン(商品名:イベルメクチンクリーム)

ステロイドやタクロリムスの外用薬を長く使っていると、皮膚の表面にいるニキビダニが増殖して、酒さ様皮膚炎の原因になることがあります。イベルメクチンクリームはニキビダニの増殖を抑えて、炎症に関係のある物質を作られにくくして炎症を抑える働きも期待できます。

1日1回、患部を洗浄してからスキンケア後に適量を塗布してください。

※効果が出るまでの目安となる使用期間は約2週間です。すぐに効果を実感できないときでも、自己判断で使用を中止しないでください。
※イベルメクチンは公的医療保険が適用されない自由診療(自費)です。

酒さ様皮膚炎の症例

顔にできた酒さ様皮膚炎の症例

顔にできた酒さ様皮膚炎の症例
治療内容他院にて脂漏性皮膚炎や酒さ様皮膚炎と診断されており、数年間症状を繰り返してきたとお悩みだった50代女性の患者様です。他院の治療では、外用薬として「タクロリムス(商品名:プロトピック)」と「オゼノキサシン(商品名:ゼビアックス)」を処方されていました。また内服薬として「ドキシサイクリン(商品名:ビブラマイシン)」も処方されていましたが、使用しても症状が治らなかったとのことで、当院では以下のような治療でアプローチしました。治療を開始してから7か月後には症状が気にならない程度になりました。
当院の治療メニュー塗り薬
・タクロリムス(商品名:プロトピック)外用薬の使用中止
・メトロニダゾール(商品名:ロゼックス)の外用薬を処方
・イベルメクチン(商品名:イベルメクチンクリーム)へ処方変更
(※メトロニダゾールの効果が確認できなかったため)

飲み薬
・イソトレチノイン(商品名:イソトロイン)を20mg毎日服用で4か月
・イソトレチノイン(商品名:イソトロイン)を20mg隔日服用に変更して6か月
(※毎日の服用でポツポツの減少が確認できたため、投与量を減量)

施術
・「Vビーム2」によるレーザー治療を8回
治療期間・回数約7か月
費用※下記の施術は公的医療保険が適用されない自由診療(自費)です。
・イベルメクチンクリーム1本(30g)
   4,400円(税込)
・イソトレチノイン 20mg 1セット(30カプセル)
   16,500円×5セット=82,500円(税込)
・Vビーム2 頬から下
   22,000円×8回=176,000円(税込)
合計:262,900円(税込)
リスク・副作用イベルメクチンクリーム:赤み、かゆみ
イソトレチノイン:催奇形性、乾燥、頭痛、筋肉痛、骨痛
Vビーム2:むくみ、水疱、瘢痕、色素沈着、色素脱失
担当医師コメントこの患者様のように、酒さ様皮膚炎の標準治療であるドキシサイクリンの内服薬やメトロニダゾールの外用薬を使っても症状を繰り返すことがあります。当院ではイベルメクチンの塗り薬やイソトレチノインの内服処方でポツポツとした症状に、外用や内服で治らない肌の赤みにVビームでアプローチしました。

酒さ様皮膚炎が気になる方は、池袋駅前のだ皮膚科へ

酒さ様皮膚炎とは、酒さに似た赤みやポツポツができる疾患です。ステロイドやタクロリムスの長期投与が原因で起こると言われており、治療の基本は原因薬物の中止です。

原因薬物を中止しても症状が残っているときには、飲み薬のドキシサイクリンや塗り薬のメトロニダゾールなどで対応します。それでも改善しない場合は保険外診療の治療薬やレーザーを使用します。

ステロイドを使用中の方で患部に気になる赤みやポツポツが目立ってきたときには、お気軽に当院までご相談ください。

費用

保険診療

※3割負担の場合の料金です。
※都内在住で高校生までのお子様は公費負担となり実費は0円です。

初診料約900円
再診料約400円
処方料約200円

自由診療(自費診療)

※下記は公的医療保険が適用されないため自由診療(自費)です。

イベルメクチン(商品名:イベルメクチンクリーム)30g4,400円(税込)

副作用・注意事項等

禁忌

ドキシサイクリン(商品名:ビブラマイシン)

  • 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方

メトロニダゾール(ロゼックス)

  • 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方
  • 脳や脊髄に器質的疾患のある方(脳・脊髄腫瘍の患者を除く)
  • 妊娠3か月以内の方

イベルメクチン(商品名:イベルメクチンクリーム)

  • 妊娠中の方、授乳中の方
    ※禁忌ではありませんが、当院では推奨しておりません。

副作用

ドキシサイクリン
(ビブラマイシン)
食欲不振、吐き気、下痢、発疹など
メトロニダゾール
(ロゼックス)
赤み、かゆみ、乾燥肌など
イベルメクチン
(イベルメクチンクリーム)
赤み、かゆみ、湿疹、腫れなど

注意事項

ドキシサイクリン(ビブラマイシン)

  • 炎症を抑える目的で使用するため、短期間の内服では効果が出ません。効果を実感するためには最低でも2週間は内服してください。長い場合は3か月ほど連続して内服することで、効果を高められます。
  • ビブラマイシンと併用して服用することで効果が減弱・増強する薬が確認されています。同時に内服するとピルの効果が減弱することがあります。現在服用中の薬がある方は、医師までご相談ください。

メトロニダゾール(ロゼックス)

  • 効果が出るまでの目安となる使用期間は約2週間です。すぐに効果を実感できないときでも、自己判断で使用を中止しないでください。
  • 塗布後は肌が乾燥しやすくなります。事前に肌を丁寧に保湿してからメトロニダゾールを塗ってください。
  • 刺激感の少ない製品ですが、人によってはピリピリとした刺激感があらわれるかもしれません。刺激感が気になるときには、症状にあわせて1日1回や1日おきなど使用する頻度を減らしてください。それでも症状が悪化するときには医師にご相談ください。

イベルメクチン(イベルメクチンクリーム)

  • 効果が出るまでの目安となる期間は、早い人でも2週間です。すぐに効果を実感できないときでも、自己判断で使用を中止しないでください。
  • 刺激感の少ない製品ですが、人によっては使用中にピリピリとした刺激感があらわれるかもしれません。刺激感が気になるときには、症状にあわせて1日1回や1日おきなど使用する頻度を減らしてください。それでも症状が悪化するときには医師にご相談ください。

未承認医薬品等について

参考文献

https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/121/9/121_1855/_article/-char/ja

院長紹介

池袋駅前のだ皮膚科院長 野田 真史
池袋駅前のだ皮膚科院長
野田 真史
池袋駅前のだ皮膚科院長 野田 真史


学歴・資格

東京大学医学部医学科卒業

皮膚科専門医(日本皮膚科学会認定)

医学博士(東京大学大学院医学系研究科)

ニューヨーク州医師免許

ECFMG certificate(アメリカ医師国家試験合格証)

Master in translational science(米国ロックフェラー大学)

米国ロックフェラー大学皮膚科 (Associate Attending Physician)


略歴

2007年
東京大学医学部医学科 卒業
2009年
東京大学医学部附属病院 初期研修修了
2009年 2014年
東京大学皮膚科に入局し、東京大学医学部附属病院、関東労災病院で皮膚科医として勤務
米国Northwestern大学、Thomas Jefferson大学で診療研修
2013年
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医取得
2014年
東京大学大学院医学系研究科卒業、医学博士
米国ロックフェラー大学
Instructor in Clinical Investigation
兼 Associate Attending Physician
ニューヨーク州医師免許を取得し、診療にあたる
湿疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、円形脱毛症の研究に従事し、Master in translational science(MSc)取得
2016年
東京大学医学部附属病院 皮膚科 助教
2018年
池袋駅前のだ皮膚科 開院