口囲皮膚炎

「口の周りの赤いブツブツや皮むけが治らない」「ステロイドを塗ると一時的に良くなるが、やめると悪化する」など、口元の肌荒れを繰り返してお困りではありませんか。

口囲皮膚炎(こういひふえん)は、口のまわりに赤いブツブツ・皮むけ・ヒリヒリ感が繰り返し出る皮膚炎です。ステロイドの塗り薬の使い方によってかえって悪化・長引くことがあり、正しい治療が大切です。

ここでは口囲皮膚炎の原因や、ニキビ・ヘルペスとの違い、当院の治療について紹介します。

目次

口囲皮膚炎とは

口囲皮膚炎は、口のまわり(とくに口元から少し離れた部分)に、小さな赤いブツブツ・皮むけ・赤み・ヒリヒリ感が出る皮膚炎です。20〜40代の女性に多くみられます。唇のすぐ際には症状が出にくいのが特徴です。

主な症状

  • 口のまわりに小さな赤いブツブツや皮むけができる
  • 赤み・ヒリヒリ・つっぱり感・軽いかゆみ
  • 良くなったり悪くなったりを繰り返す
  • 唇のすぐ際は避けて、その周囲に出やすい

原因

はっきりとした原因は分かっていませんが、ステロイド外用薬の長期使用・誤用が誘因となることが多く知られています。ほかに、化粧品やスキンケアの刺激、フッ素入り歯磨き、マスクの摩擦や蒸れ、ストレスや体調なども関係するといわれます。

とくに「ステロイドを塗ると良くなり、やめると悪化する」を繰り返して、だんだんステロイドが手放せなくなるケースに注意が必要です。

ニキビ・ヘルペスとの見分け

口のまわりのブツブツは、ニキビや口唇ヘルペス、かぶれなどとも見た目が似ています。治療法が異なるため、皮膚科で見極めることが大切です。

当院の治療方法

口囲皮膚炎の治療では、まずステロイド外用薬やタクロリムス(プロトピック)、コレクチムなど、症状の悪化に関与する可能性のある外用薬を中止します。

悪化の原因となる外用薬の中止とリバウンドへの対応

口囲皮膚炎の治療では、原因となっているステロイド外用薬やタクロリムス(プロトピック)、コレクチムなどの外用薬を中止することが重要です。

ステロイド外用薬を中止すると、数日以内に赤みやほてり、むくみ、乾燥、じゅくじゅく感、皮膚の腫れなどの症状が一時的に強くなることがあります。こうした症状の悪化に備え、当院では皮膚の状態や外用薬の使用状況を確認しながら、必要に応じて中止方法を調整し、症状に応じた治療を行います。

塗り薬・飲み薬による治療

症状に応じて、メトロニダゾール、イベルメクチンクリーム、アゼライン酸などの外用薬を使用します。また、必要に応じてビブラマイシンなどの抗菌薬を内服します。難治性の場合には、イソトレチノインによる治療を検討することもあります。

赤みが残る場合の治療

炎症が落ち着いた後も赤みが残る場合には、Vビームによるレーザー治療を検討します。

スキンケアの見直し

治療中は刺激の少ないシンプルなスキンケアにし、こすらない・余計なものを塗らないことが大切です。保湿はワセリンなど低刺激のもので最小限にします。

口囲皮膚炎の症例

当院で口囲皮膚炎(酒さ様皮膚炎)を治療した症例を紹介します。
※症状や肌の状態には個人差があるため、すべての方で同じ経過をたどるわけではありません。

口のまわりの赤みが1年間消えなかった口囲皮膚炎の症例

当院を受診するまで1年間、口のまわりの赤みが消えずにお困りだった酒さ様皮膚炎(口囲皮膚炎)の患者様です。メトロニダゾールの塗り薬と、2週間間隔で2回のVビーム治療で、1か月後には写真のように赤みが改善しました。

メトロニダゾールとVビームで口囲皮膚炎を治療した症例
治療内容メトロニダゾールの塗り薬(ポツポツの改善)
Vビーム2によるレーザー治療(赤みの改善)
治療期間・回数約1か月
Vビーム2を2週間間隔で2回
費用メトロニダゾール(ロゼックスゲル):保険診療
Vビーム2 頬から下 22,000円(税込)×2回(自由診療)
リスク・副作用メトロニダゾール:赤み、かゆみ、乾燥肌など
Vビーム2:赤み、むくみ、内出血、水疱、色素沈着、色素脱失など
担当医師コメントなるべく早く治したいとのご希望で、ポツポツにはメトロニダゾールの塗り薬、赤みにはVビーム2のレーザー治療を最初から併用しました。

ステロイドやプロトピックで誘発される、口のまわりに出る酒さの症状(酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎)は、お子様から60代まで多くの患者様を治療しています。この状態でステロイドやプロトピック、コレクチムを塗ると悪化します。

プロトピックをやめて治療を変更し、7か月で落ち着いた症例

他院で脂漏性皮膚炎や酒さ様皮膚炎と診断され、数年間症状を繰り返してお悩みだった50代女性の患者様です。

他院では、塗り薬のタクロリムス(商品名:プロトピック)とオゼノキサシン(商品名:ゼビアックス)、飲み薬のドキシサイクリン(商品名:ビブラマイシン)を処方されていましたが、症状が治らなかったとのことでした。当院で治療内容を変更し、治療を開始してから7か月後には症状が気にならない程度になりました。

顔にできた酒さ様皮膚炎の症例
治療内容プロトピックの使用中止、塗り薬・飲み薬の変更、Vビーム2によるレーザー治療
当院の治療メニュー塗り薬
・タクロリムス(商品名:プロトピック)外用薬の使用中止
・メトロニダゾール(商品名:ロゼックス)の外用薬を処方
・イベルメクチン(商品名:イベルメクチンクリーム)へ処方変更
(※メトロニダゾールの効果が確認できなかったため)

飲み薬
・イソトレチノイン(商品名:イソトロイン)を20mg毎日服用で4か月
・イソトレチノイン(商品名:イソトロイン)を20mg隔日服用に変更して2か月
(※毎日の服用でポツポツの減少が確認できたため、投与量を減量)

施術
・「Vビーム2」によるレーザー治療を4回
治療期間・回数約7か月
費用※下記の施術は公的医療保険が適用されない自由診療(自費)です。
・イベルメクチンクリーム1本(30g)
   4,400円(税込)
・イソトレチノイン 20mg 1セット(30カプセル)
   16,500円×5セット=82,500円(税込)
・Vビーム2 頬から下
   22,000円×4回=88,000円(税込)
リスク・副作用イベルメクチンクリーム:赤み、かゆみ
イソトレチノイン:催奇形性、乾燥、頭痛、筋肉痛、骨痛
Vビーム2:むくみ、水疱、瘢痕、色素沈着、色素脱失
担当医師コメントこの患者様のように、酒さ様皮膚炎の標準治療であるドキシサイクリンの内服薬やメトロニダゾールの外用薬を使っても症状を繰り返すことがあります。当院ではイベルメクチンの塗り薬やイソトレチノインの内服処方でポツポツとした症状に、外用や内服で治らない肌の赤みにVビームでアプローチしました。

日常生活での注意・予防

  • 自己判断でステロイドを塗り続けないようにしましょう(市販のステロイド軟膏も注意)。
  • 治療中は化粧品・スキンケアを最小限のシンプルなものにしましょう。
  • ゴシゴシ洗わず、こすらず、低刺激の洗顔を心がけましょう。
  • マスクの蒸れ・摩擦を避け、清潔に保ちましょう。
  • 睡眠・休養をとり、体調を整えましょう。

よくあるご質問

市販のステロイド軟膏を塗ってもいいですか?

おすすめしません。口囲皮膚炎はステロイドの使用で一時的に良くなっても、やめると悪化(リバウンド)し、繰り返すうちに治りにくくなります。自己判断のステロイドは避け、皮膚科で相談してください。

どのくらいで治りますか?

数週間〜数か月かけて落ち着いていくことが多い病気です。ステロイド中止後のリバウンドを乗り越える時期もあるため、根気よく治療を続けることが大切です。

繰り返すのはなぜですか?

ステロイドの誤用、刺激の強いスキンケア、ストレスや体調などが重なって繰り返します。原因を見直し、肌を休めることが再発予防になります。

化粧はしてもいいですか?

症状が強い時期はできるだけ控え、落ち着いてきたら低刺激のものを少しずつ使いましょう。こすり落とさないことも大切です。診察時にご相談ください。

ニキビとどう違うのですか?

ニキビは毛穴の皮脂づまりやアクネ菌が主体で芯や膿を持ちます。口囲皮膚炎は口のまわりに赤みと皮むけを伴うブツブツが繰り返し出ます。治療が異なるため見極めが必要です。

口囲皮膚炎でお悩みの方へ

池袋駅前のだ皮膚科

口囲皮膚炎は、自己流のケアやステロイドの使い方で長引きやすい一方、原因を見直して正しく治療すれば落ち着いていく病気です。

池袋駅前のだ皮膚科では、皮膚科専門医がニキビやヘルペスなどと見極めたうえで、無理のない方法で治療を進めます。

口のまわりの赤み・ブツブツが繰り返す方は、お早めにご相談ください。

【池袋駅前のだ皮膚科院長|野田 真史 監修】

費用

保険診療(3割負担の場合)
初診料約900円
再診料約400円
処方料約200円

※都内在住で高校生までのお子様は、保険診療の場合は公費負担となり実費は0円です。

下記は公的医療保険が適用されない自由診療(自費)です。

Vビーム
全顔33,000円
頬22,000円
鼻11,000円
イベルメクチン
イベルメクチンクリーム(成分名:イベルメクチン) 30g4,400円(税込)
アゼライン酸
AZAクリア(成分名:アゼライン酸) 15g1,980円(税込)
ベーシックケアAZ クリーム 30g3,300円(税込)
イソトレチノイン
1錠20mg 1日おきの服用 30日分8,250円(税込)
1錠20mg 毎日服用30日分16,500円(税込)
2錠40mg 毎日服用30日分33,000円(税込)

※当院では一人ひとりの肌状態や症状にあわせて用法・用量を調整しており、イソトレチノインの値段は、一人ひとりの用法・用量によって異なります。

副作用・リスク

治療に伴い、以下の副作用が生じる可能性があります。

Vビーム 肌の赤み、むくみ、内出血、色素沈着、水疱、色素脱失など
ドキシサイクリン
(ビブラマイシン)
食欲不振、吐き気、下痢、発疹など
メトロニダゾール 赤み、かゆみ、乾燥肌など
イベルメクチン 赤み、かゆみ、湿疹、腫れなど
アゼライン酸 赤み、かゆみ、刺激感など
イソトレチノイン 胎児奇形、唇や肌の乾燥、肝機能障害、関節痛、筋肉痛、骨の痛み、脱毛、頭痛、うつ病など

治療を受けられない可能性のある方

以下に該当する方は、各治療を受けられない可能性があります。必ず事前にご相談ください。

  • 妊娠中の方、授乳中の方
  • 金の糸治療を受けた方
  • 薬の成分にアレルギーがある方

注意点

Vビーム

  • 施術当日に肌の赤みやむくみが生じることがあります。通常、赤みは数時間程度、むくみは2~5日ほどで落ち着きます。
  • 施術直後の内出血は、ほとんどの場合、1~2週間ほどで落ち着きます。
  • 施術当日の飲酒、運動はお控えください。
  • 当日から洗顔やメイク、入浴が可能です。ただし、赤みがひどい場合はメイク時に患部を避けてください。
  • 強い摩擦やマッサージは1週間ほどお控えください。
  • 施術後は肌が敏感になっています。日焼け止めや帽子などを活用し、紫外線対策をしましょう。

メトロニダゾール

  • 効果が出るまでの目安となる使用期間は約2週間です。すぐに効果を実感できないときでも、自己判断で使用を中止しないでください。
  • ピリピリとした刺激感を生じることがあります。症状に合わせて1日1回や隔日にするなど調整してください。

イベルメクチン

  • 効果が出るまでの目安となる期間は約2週間です。すぐに効果を実感できないときでも、自己判断で使用を中止しないでください。
  • ピリピリとした刺激感を生じることがあります。症状に合わせて1日1回や隔日にするなど調整してください。

アゼライン酸

  • 効果が出るまでの目安となる期間は約2週間です。すぐに効果を実感できないときでも、自己判断で使用を中止しないでください。
  • ピリピリとした刺激感を生じることがあります。症状に合わせて1日1回や隔日にするなど調整してください。

イソトレチノイン

下記に該当する方には処方できません。

  • 妊娠中、妊娠希望のある方、授乳中の方
    (※服用期間中と服用後1か月は妊娠できません。妊娠した場合はすぐに医師にご相談ください。)
  • 12歳未満の方
  • 強い肝機能障害のある方
  • ビタミンA過剰症の方
  • 過去にイソトレチノインでアレルギー症状を起こした方

未承認医薬品等について

院長紹介

池袋駅前のだ皮膚科院長 野田 真史
池袋駅前のだ皮膚科院長
野田 真史
池袋駅前のだ皮膚科院長 野田 真史


学歴・資格

東京大学医学部医学科卒業

皮膚科専門医(日本皮膚科学会認定)

医学博士(東京大学大学院医学系研究科)

ニューヨーク州医師免許

ECFMG certificate(アメリカ医師国家試験合格証)

Master in translational science(米国ロックフェラー大学)

米国ロックフェラー大学皮膚科 (Associate Attending Physician)


略歴

2007年
東京大学医学部医学科 卒業
2009年
東京大学医学部附属病院 初期研修修了
2009年 2014年
東京大学皮膚科に入局し、東京大学医学部附属病院、関東労災病院で皮膚科医として勤務
米国Northwestern大学、Thomas Jefferson大学で診療研修
2013年
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医取得
2014年
東京大学大学院医学系研究科卒業、医学博士
米国ロックフェラー大学
Instructor in Clinical Investigation
兼 Associate Attending Physician
ニューヨーク州医師免許を取得し、診療にあたる
湿疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、円形脱毛症の研究に従事し、Master in translational science(MSc)取得
2016年
東京大学医学部附属病院 皮膚科 助教
2018年
池袋駅前のだ皮膚科 開院
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