妊娠中や授乳中の花粉症薬の選び方!胎児への影響が少ない治療法を詳しく解説します

妊娠中や授乳中に花粉症の症状がつらくなっても、「薬を飲んで赤ちゃんに影響があったらどうしよう」と不安で受診をためらう方は少なくありません。しかし実際には、妊娠の時期や授乳の状況に合わせて選べる安全性の高い薬や治療法がいくつもあります。

この記事では、皮膚科・アレルギー領域の知見をもとに、妊娠中と授乳中それぞれで使える花粉症薬の種類、胎児や乳児へのリスクを減らす具体的な方法、薬に頼らないセルフケアまで、幅広く丁寧に解説していきます。正しい知識を持つことで、お母さん自身の体調管理と赤ちゃんの安全を両立させましょう。

目次

妊娠中の花粉症がつらい理由|ホルモン変化と鼻づまり

妊娠すると花粉症の症状が以前より重くなったと感じる方は多く、その背景には女性ホルモンの急激な変動が深く関わっています。とくに鼻づまりは妊娠期特有の「妊娠性鼻炎」と花粉症が重なることで悪化しやすく、睡眠の質や日常生活に大きな影響を及ぼすでしょう。

エストロゲン増加が鼻粘膜を腫れさせる

妊娠中はエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が通常の数十倍に増えます。エストロゲンには血管を拡張させる作用があり、鼻粘膜の血流が増加することで粘膜が腫れやすくなります。

花粉症がない方でも妊娠中に鼻がつまりやすくなる現象は「妊娠性鼻炎」と呼ばれ、妊婦の約20%が経験するとされています。もともと花粉症のある方は、アレルギー反応と妊娠性鼻炎のダブルパンチで症状が増幅されてしまうのです。

免疫バランスの変化がアレルギー反応を左右する

妊娠中の体は胎児を異物として攻撃しないよう、免疫のバランスを微妙に調整しています。具体的にはTh2(アレルギーに関与する免疫)が優位になりやすい傾向があり、花粉に対する過剰反応が起こりやすくなるといわれています。

一方で、妊娠後期にはコルチゾール(副腎皮質ホルモン)の分泌が増え、アレルギー症状がやや落ち着くケースもあります。症状の出方は妊娠の時期や個人差によってさまざまです。

妊娠中の花粉症と一般的な花粉症の違い

項目一般的な花粉症妊娠中の花粉症
鼻づまりの程度花粉飛散量に比例妊娠性鼻炎が加わり悪化しやすい
使える薬の範囲幅広い選択肢がある妊娠時期に応じた制限がある
症状の変動シーズン中ほぼ一定妊娠週数で変わりやすい
治療の判断自己判断でOTC薬を使用可必ず医師への相談が必要

放置すると母体にも赤ちゃんにも影響がある

「薬を使いたくないから我慢する」という判断は、一見すると赤ちゃんを守っているように思えるかもしれません。しかし、ひどい鼻づまりが続くと口呼吸になり、睡眠の質が低下して疲労が蓄積します。

強いくしゃみの繰り返しは腹圧の上昇につながり、切迫早産のリスクを指摘する専門家もいます。つらい症状を無理にこらえるより、安全性の確認された治療を適切に受けるほうが母子ともに好ましいといえるでしょう。

妊娠中でも使える花粉症の飲み薬と点鼻薬を具体的に紹介

妊娠中に使用できる花粉症薬は限られていますが、安全性に関する長年のデータが蓄積された薬剤がいくつかあります。主治医と相談しながら、時期と症状に応じて飲み薬や点鼻薬を上手に使い分けることが大切です。

第2世代抗ヒスタミン薬のなかでも安全性データが豊富な薬

花粉症の飲み薬として広く使われている第2世代抗ヒスタミン薬のうち、妊娠中でも比較的安全性が高いとされるのがロラタジン(商品名クラリチン)とセチリジン(商品名ジルテック)です。

いずれもアメリカFDA(食品医薬品局)の旧分類でカテゴリーBに位置づけられていた薬剤で、動物実験では胎児への悪影響が認められていません。ただし、どの薬であっても妊娠初期(器官形成期)の使用には慎重な判断が必要であり、自己判断での服用は避けてください。

局所作用で全身への影響が小さい点鼻ステロイド薬

点鼻ステロイド薬は鼻粘膜に直接作用するため、体内に吸収される量がごくわずかです。ブデソニド(商品名リノコート)は妊娠中の点鼻ステロイド薬のなかで安全性データがもっとも多く、産婦人科のガイドラインでも妊婦への使用が認められています。

使い方は1日1~2回、決まった時間に鼻腔に噴霧するだけなので、飲み薬に抵抗がある方にとっても取り入れやすい治療法でしょう。

妊娠初期に気をつけたい薬の使い方

妊娠4週から12週ごろは胎児の臓器がつくられる大切な時期であり、この期間の薬の使用はとくに慎重でなければなりません。必要性が高い場合は、安全性データの多い薬を医師の管理のもとで使用することになります。

妊娠前から花粉症薬を服用していた方は、妊娠が判明した時点で主治医に伝え、継続の可否を確認しましょう。急に服薬を中止すると症状が一気に悪化するケースもあるため、自己判断での中断もまた注意が必要です。

妊娠中に使用が検討される花粉症薬の一覧

分類代表的な成分名特徴
飲み薬ロラタジン眠気が少なく安全性データが豊富
飲み薬セチリジン即効性がありFDA旧カテゴリーB
点鼻薬ブデソニド局所作用で全身影響が極めて小さい
点眼薬クロモグリク酸Na肥満細胞からの放出を抑制する

授乳中のママが知っておきたい花粉症薬の安全な選び方

授乳中は薬の成分が母乳に移行するかどうかが気になるポイントです。実際には母乳への移行量がごくわずかで乳児に影響を及ぼさない薬も多く、正しい情報をもとに判断すれば授乳を続けながら治療を受けられます。

母乳への移行量が少ない抗ヒスタミン薬はどれか

ロラタジンやフェキソフェナジン(商品名アレグラ)は、母乳への移行量がきわめて少ないことがわかっています。とくにフェキソフェナジンは母乳中の濃度が血中濃度のごく一部にとどまるため、授乳中に広く処方される薬のひとつです。

一方、第1世代抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミンなど)は母乳への移行が比較的多く、乳児に眠気やぐずりを引き起こす場合があるため避けたほうがよいでしょう。

授乳のタイミングと服薬のタイミングを工夫する

薬を飲んでから血中濃度がピークに達するまでの時間を考慮し、授乳直後に服薬するという方法があります。そうすることで、次の授乳までに血中の薬物濃度が下がり、母乳への移行量をさらに抑えられます。

ただし薬によって血中濃度のピーク時間は異なるため、個別の指示は必ず処方医や薬剤師に確認してください。自分だけの判断でタイミングを調整するのではなく、専門家と相談したうえで進めましょう。

授乳中によく選ばれる花粉症薬の比較

成分名母乳移行量乳児への影響
フェキソフェナジン極めて少ないほぼ報告なし
ロラタジン少ないほぼ報告なし
セチリジン少ないまれに眠気の報告あり
クロルフェニラミン比較的多い眠気・ぐずりの可能性

「授乳をやめてから治療する」は本当に必要か

「薬を飲むなら授乳を中断すべき」というアドバイスを受けた経験のある方もいるかもしれません。しかし、安全性が確立されている薬を選べば、授乳を中断する必要がないケースがほとんどです。

母乳には赤ちゃんの免疫力を高める成分が豊富に含まれており、不必要に授乳を中断することのデメリットも考慮に入れるべきでしょう。主治医に「授乳を続けながら治療したい」という希望を明確に伝えることが、よりよい治療計画につながります。

胎児への影響を抑えるために医師がまず提案する花粉症の治療方針

胎児へのリスクをできるだけ減らしながら花粉症を治療するには、「薬の選び方」だけでなく「治療の進め方」にも配慮が必要です。多くの医師が妊婦の花粉症治療で採用する基本方針は「まず局所療法、それでも不十分なら飲み薬を追加する」という段階的なアプローチになります。

飲み薬より先に局所療法から始める理由

点鼻薬や点眼薬は鼻や目の粘膜に直接作用するため、全身の血中に吸収される薬の量がごくわずかで済みます。胎児が薬の影響を受けるのは主に母体の血液を通じてですから、血中移行量が少ない局所療法は妊娠中の第一選択になりやすいのです。

生理食塩水による鼻うがいも局所療法のひとつであり、薬剤を使わずに花粉を物理的に洗い流す効果が期待できます。

症状が強い場合は安全性の高い飲み薬を医師の管理下で追加する

局所療法だけでは日常生活に支障が出るほど症状が強い場合、安全性データの蓄積された飲み薬を併用することがあります。前述のロラタジンやセチリジンが候補になりますが、処方にあたっては妊娠週数や他の服薬状況なども総合的に判断されます。

大切なのは、医師が個々の状況を見て判断するという点です。インターネット上の情報だけで薬の安全性を判断することにはリスクが伴うため、かかりつけ医への相談をためらわないでください。

妊娠中に避けたほうがよい花粉症の治療法

ステロイドの飲み薬(プレドニゾロンなど)は、短期間・低用量であれば使われることもありますが、妊娠初期には口蓋裂のリスクがわずかに上昇するとの報告もあり、慎重な対応が求められます。

また、血管収縮剤を含む市販の点鼻スプレーは長期使用で薬剤性鼻炎を起こすうえ、全身の血管にも影響する恐れがあるため、妊娠中は避けるべきです。抗ロイコトリエン薬(モンテルカストなど)も妊娠中の安全性データが十分ではないとする見解があり、医師の判断を仰ぎましょう。

  • ステロイド内服薬(とくに妊娠初期は口蓋裂リスクの報告あり)
  • 血管収縮剤配合の市販点鼻スプレー(全身の血管への影響と薬剤性鼻炎のリスク)
  • 安全性データが不十分な抗ロイコトリエン薬
  • 医師の処方なしでの市販総合感冒薬(複数成分が混在し個別評価が難しい)

薬を使わずに花粉症をやわらげるセルフケア7選

妊娠中や授乳中はできるだけ薬の使用を減らしたいと思うのは自然なことです。日常の工夫で花粉への曝露(ばくろ)を減らし、症状を軽くすることは十分に可能であり、薬物療法と組み合わせることで治療効果をさらに高められます。

鼻うがい(鼻洗浄)で花粉を物理的に洗い流す

生理食塩水を使った鼻うがいは、鼻腔内に付着した花粉やアレルゲンを直接洗い流す方法です。薬を使わないため妊娠・授乳中でも安心して実践できます。

市販の鼻洗浄キットを使えば簡単に行えますが、水道水をそのまま使うと鼻粘膜への刺激が強いため、必ず生理食塩水(0.9%の食塩水)を用いてください。朝と帰宅後の1日2回が目安です。

外出時と帰宅時の花粉対策で体内への侵入を防ぐ

外出時にマスクと花粉対策メガネを装着するだけで、鼻から吸い込む花粉の量を約3分の1に減らせるとの研究データがあります。つばの広い帽子を合わせれば、髪に付着する花粉も軽減できるでしょう。

帰宅したらまず玄関で衣類を軽く払い、室内に花粉を持ち込まない習慣をつけましょう。すぐにシャワーを浴びて髪や肌についた花粉を落とすことも効果的です。

日常で取り入れやすい花粉症セルフケアの一覧

対策方法期待できる効果
鼻うがい生理食塩水で朝晩洗浄花粉・アレルゲンの物理除去
マスク着用立体型・フィルター付き吸入花粉量を大幅に低減
空気清浄機HEPAフィルター搭載品を寝室に設置室内浮遊花粉の除去
洗濯物の室内干し飛散時期は外干しを避ける衣類への花粉付着を防ぐ
入浴・シャワー帰宅後すぐに実施体に付着した花粉を除去

室内環境を整えて花粉の侵入を防ぐ

花粉の飛散量が多い日は窓を閉め切り、HEPAフィルター搭載の空気清浄機を稼働させましょう。寝室に空気清浄機を置くと、就寝中の鼻づまり改善に効果を実感する方が多いです。

カーテンやカーペットには花粉が溜まりやすいため、飛散シーズン中はこまめな掃除機がけを心がけてください。洗濯物は部屋干しにするか、乾燥機を活用するのがよいでしょう。

食事と睡眠でアレルギー体質を底上げする

腸内環境を整えることで免疫バランスが改善し、アレルギー反応が緩和される可能性を示す研究が近年増えています。ヨーグルトや納豆などの発酵食品、食物繊維の豊富な野菜を意識して摂り入れてみましょう。

また、睡眠不足は免疫機能を低下させ、花粉症の症状を悪化させる要因のひとつです。妊娠中は体の変化で眠りが浅くなりがちですが、就寝前にスマートフォンを控える、入浴で体を温めるなどの工夫で睡眠の質を高める努力が効果的になります。

産婦人科と耳鼻科やアレルギー科の連携が花粉症治療の鍵になる

妊娠中や授乳中の花粉症治療は、産婦人科と耳鼻科(あるいはアレルギー科)が連携することで安全性と治療効果を両立しやすくなります。どちらか一方の科だけに相談するよりも、双方の専門知識を活かした治療計画を立てることが望ましいでしょう。

産婦人科の医師に花粉症のつらさを伝えるコツ

妊婦健診の際に「花粉症がつらい」とひと言伝えるだけで、安全な薬の選択肢を提案してもらえることが少なくありません。遠慮して言い出せないままでいると、適切な治療開始のタイミングを逃してしまいます。

受診の際は、症状がいつから始まり、どの程度生活に支障があるのかを具体的に伝えましょう。「夜中に鼻づまりで何度も目が覚める」「くしゃみが1日に何十回も出る」など、日常生活への影響を数値や頻度で伝えると医師も判断しやすくなります。

耳鼻科やアレルギー科を受診するときに持参したい情報

耳鼻科やアレルギー科を受診する際は、妊娠週数や産婦人科で処方されている薬の情報を必ず持参してください。お薬手帳があれば簡単に共有できます。

とくに妊娠初期は使用できる薬の制限が多いため、正確な妊娠週数を伝えることが治療方針を左右します。母子手帳とお薬手帳の両方を持参するのが理想的です。

かかりつけ薬局を活用してダブルチェック体制をつくる

産婦人科と耳鼻科の両方から薬が出る場合、飲み合わせの確認が必要になります。かかりつけ薬局を一か所に決めておくと、薬剤師が処方内容を一元管理し、重複や相互作用をチェックしてくれます。

最近はオンラインで処方情報を共有できる電子お薬手帳も普及しています。複数の医療機関を受診する妊婦さんや授乳中の方には、とくに活用をおすすめしたいツールです。

  • 産婦人科の主治医に花粉症の症状と治療希望を早めに伝える
  • 耳鼻科やアレルギー科の受診時に妊娠週数とお薬手帳を持参する
  • かかりつけ薬局を一か所に定めて処方内容のダブルチェックを受ける
  • 電子お薬手帳の導入で複数科の処方を一元管理する

妊娠時期別で変わる花粉症薬のリスクと安心できる対処法

妊娠中の花粉症治療は、初期・中期・後期で注意点が異なります。胎児の発育段階に応じたリスクを知っておくことで、必要以上に不安を抱えずに適切な治療を受ける判断ができるようになるでしょう。

妊娠初期(4~12週)は薬の影響がもっとも慎重に扱われる時期

妊娠4週から12週は「器官形成期」と呼ばれ、赤ちゃんの脳や心臓、手足などの基本的な構造がつくられる大切な期間です。この時期に薬の影響で形態異常(奇形)が起こるリスクがもっとも高いとされるため、医師はとくに慎重な判断を行います。

症状がつらい場合でも、まずは鼻うがいやマスクなどの非薬物療法を優先し、それでも不十分な場合のみ安全性データの豊富な点鼻ステロイド薬などが検討されるのが一般的です。

妊娠時期別の花粉症治療方針の目安

妊娠時期リスクの傾向推奨される治療方針
初期(4~12週)形態異常のリスクに注意非薬物療法優先、必要時は局所療法
中期(13~27週)リスクはやや低下局所療法+必要に応じて飲み薬追加
後期(28週以降)胎児発育への影響に注意安全性の高い薬で症状管理を継続

妊娠中期(13~27週)は治療の選択肢がやや広がる

器官形成期を過ぎた妊娠中期は、薬による形態異常のリスクが低下する時期です。そのため、初期には使用を控えていた飲み薬を追加するかどうかの再評価が行われることがあります。

ただし「中期だから安全」と過信してはいけません。薬の種類によっては胎児の発育に影響を与えるものもあるため、あくまでも医師の判断のもとで選択することが大切です。

妊娠後期(28週以降)に注意したい薬の影響

妊娠後期には一部の薬剤が新生児に一時的な症状を引き起こす可能性があります。たとえば、分娩直前に抗ヒスタミン薬を使用すると、生まれた赤ちゃんに一時的な傾眠(けいみん=強い眠気)が見られるとの報告があります。

出産予定日が近づいたら、服薬の継続について改めて主治医と話し合いましょう。分娩時の影響を考慮して薬の種類や用量を調整する場合もあり、計画的な対応が望まれます。

よくある質問

妊娠中の花粉症薬で市販の飲み薬を自己判断で飲んでも大丈夫?

市販の花粉症薬のなかには、妊娠中の安全性が十分に確認されていない成分が含まれていることがあります。とくに複数の有効成分が配合された総合タイプの薬は、個々の成分の安全性を自分で判断するのが難しいため注意が必要です。

妊娠中に花粉症の治療を希望する場合は、まず産婦人科や耳鼻科を受診して、妊娠週数に合った安全性の高い薬を処方してもらいましょう。自己判断での市販薬の服用は避けるべきです。

授乳中に花粉症の点鼻ステロイド薬を使うと母乳に影響する?

点鼻ステロイド薬は鼻の粘膜に局所的に作用するため、全身の血液中に吸収される薬の量はごくわずかです。そのため、母乳中に移行する量も極めて少なく、授乳中の使用は一般的に安全と考えられています。

ブデソニドやフルチカゾンといった点鼻ステロイドは、授乳中のアレルギー治療にも広く用いられている薬剤です。心配な場合は処方時に授乳中である旨を医師に伝え、具体的な使い方の指導を受けると安心でしょう。

妊娠中に花粉症の舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)は受けられる?

舌下免疫療法は花粉症の根本的な治療として注目されていますが、妊娠中に新たに開始することは推奨されていません。治療開始時にはアレルギー反応が出る可能性があり、万が一の重篤な副作用(アナフィラキシーなど)への対応が難しいためです。

ただし、妊娠前から舌下免疫療法を継続している方が維持量に達していて安定している場合は、主治医と相談のうえ治療を続けられるケースもあります。妊娠の予定がある方は、できるだけ早い段階で治療を開始しておくのがよいでしょう。

授乳中の花粉症薬の服用が赤ちゃんの眠気やぐずりにつながることはある?

第2世代抗ヒスタミン薬であるフェキソフェナジンやロラタジンは母乳への移行量が極めて少なく、赤ちゃんに眠気やぐずりが生じたという報告はほとんどありません。授乳中でも安心して使える薬として広く処方されています。

一方、第1世代抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミンやジフェンヒドラミンなど)は母乳への移行が比較的多く、赤ちゃんが眠りがちになったりぐずったりする可能性が指摘されています。授乳中に抗ヒスタミン薬を使う場合は、第2世代の薬を選ぶよう医師に相談しましょう。

妊娠中の花粉症で漢方薬を使う選択肢はある?

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)は花粉症の症状緩和に用いられる代表的な漢方薬で、妊娠中にも処方されることがあります。漢方薬は一般的に副作用が少ないイメージがありますが、すべてが妊娠中に安全というわけではありません。

たとえば麻黄(まおう)を含む漢方薬は血圧上昇や子宮収縮を促す恐れがあり、妊娠中の使用に注意が必要です。漢方薬であっても自己判断で服用せず、漢方に詳しい医師に妊娠中である旨を伝えたうえで処方を受けましょう。

参考文献

NGO, Elin, et al. Antihistamine use during breastfeeding with focus on breast milk transfer and safety in humans: A systematic literature review. Basic & clinical pharmacology & toxicology, 2022, 130.1: 171-181.

MAZZOTTA, Paolo; LOEBSTEIN, Ronen; KOREN, Gideon. Treating allergic rhinitis in pregnancy: safety considerations. Drug Safety, 1999, 20.4: 361-375.

LAL, Devyani, et al. Management of rhinosinusitis during pregnancy: systematic review and expert panel recommendations. Rhinology, 2016, 54.2: 99.

GILBERT, Cameron, et al. Fetal safety of drugs used in the treatment of allergic rhinitis: a critical review. Drug safety, 2005, 28.8: 707-719.

HOANG, Minh P., et al. Prolonged breastfeeding and protective effects against the development of allergic rhinitis: a systematic review and meta-analysis. Rhinology, 2022, 60.2: 82-91.

ODEDRA, Katy Mara. Treatment of rhinitis in pregnancy. Nursing Standard (2014+), 2014, 29.8: 37.

CAPARROZ, Fábio Azevedo, et al. Rhinitis and pregnancy: literature review. Brazilian journal of otorhinolaryngology, 2016, 82.1: 105-111.

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

野田真史のアバター 野田真史 池袋駅前のだ皮膚科 院長

医学博士 / 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

東京大学医学部卒業、同大学院医学博士課程修了。米国ロックフェラー大学への臨床研究留学、ニューヨーク州医師免許取得を経て、東京大学医学部附属病院助教を務める。2018年、池袋駅前のだ皮膚科を開院。

ニキビやシミといった身近な悩みから難治性の皮膚疾患まで、常に知識を研鑽し、適切な診断・治療を行うことを信条としている。

目次