イソトレチノイン治療後の再発リスクを徹底解説!再発を防止する方法や注意点について

「ニキビがなかなか治らず、イソトレチノインを使ってみたい」「ニキビが再発することがあると聞くから不安」と使用を迷っている方もいるのではないでしょうか。

イソトレチノインは難治性のニキビに効くお薬で、米国では重症ニキビの治療薬などとして40年以上使用されています。

この記事では、ニキビが再発するリスクや再発を防止する方法などについて解説します。イソトレチノインのニキビの再発リスクが気になる方は、ぜひ参考にしてください。

イソトレチノインは再発する?

内服終了後、イソトレチノインの効果は長期間持続することが多いものの、再発するケースもあります。

イソトレチノインは非常に効果的なニキビ治療薬で、特に重症なニキビに対して高い改善効果が期待できます。治療効果を高め、より長期的なニキビの抑制を目指す上で重要なのが、治療期間中に服用するイソトレチノインの総量(積算量)です。

適切な積算量を達成すると、ニキビの再発リスクを低減できると言われています。2008年にアメリカで405名を対象とした研究では、再発率は23.2%と報告されていますが、これは個々の肌質やニキビの重症度、治療における積算量などが影響していると考えられます。

イソトレチノイン治療後の肌は、皮脂腺の活動が抑制され、肌のターンオーバーが正常化された状態です。そのため、再発しても治療前より軽症で、外用薬で対応できることが多くなっています。服用時には医師の指示を守ることが大切です。

ニキビが再発する原因

ここでは、イソトレチノイン治療でニキビが再発する原因を解説します。

薬物療法が十分でなかった

ニキビ治療では、医師の指示通りに必要な期間と量、お薬を使うことが非常に重要です。

自己判断で「良くなった」と感じて服用や塗布を中断すると、ニキビの原因となっている皮脂の過剰分泌や角化の異常といった根本的な原因が十分に治まっておらず、治療が不十分となり、再発のリスクが高まります。

必ず医師が指示した期間と用法用量を守り、治療を終えましょう。

生活習慣の乱れ

治療でニキビが改善しても、生活習慣が乱れていると再発しやすくなります。特に食生活は重要です。

栄養バランスの偏りは体内代謝を乱し、糖質や炭水化物、脂質の多い食事、例えば加工食品の摂りすぎはニキビを悪化させる可能性があります。また、乳製品の過剰摂取も一部の人には影響するとも言われています。

また、睡眠時間にも注意しましょう。睡眠不足は免疫力低下や新陳代謝の遅れを招き、肌のターンオーバーを乱す原因になります。さらに、ストレスはホルモンバランスを崩し、ニキビの引き金となることがあります。規則正しい生活を心がけることが、再発予防につながるのです。

再発を防止する方法

ここでは、再発を防ぐための方法を紹介します。

治療期間:医師の指示があるまで継続する

治療効果を最大限に引き出し、再発を防ぐために、イソトレチノインを飲む場合には、医師の指示通りに確実に服用してください。

「治った」と自己判断して中断すると、十分な効果が得られずニキビの再発リスクが高まります。治療期間の目安は重症度により異なりますが、重症の場合は1日20mgの服用量で8カ月以上が1つの基準とされます。中等症以下では、平均的には6カ月程度の服用(最低でも4カ月は服用し、ニキビができない状態になってから更に2カ月続ける)で1クール終了となることが多いです。

ただし、反応が悪い場合などには2クール目の治療をすることもあります。2クール目を検討するのは、外用薬などでは症状を抑えきれない場合で、休薬期間に明確な基準はありません。いずれにしても、必ず医師の指示に従うことが重要です。

服用量:イソトレチノイン内服の積算量が120mg/kgを超えるまで服用する

イソトレチノイン治療における再発防止の考え方として、「積算量」があります。これは、治療期間全体で体重1kgあたり合計120mg以上のイソトレチノインを飲んでいると、再発のリスクが低下するというものです。

たとえば、体重50kgの方が1日20mgを服用する場合で計算してみましょう。まず、1日あたりの体重1kgに対する服用量は「20mg ÷ 50kg = 0.4mg/kg」となります。目標の積算量120mg/kgに達するために必要な日数は「120mg/kg ÷ 0.4mg/kg = 300日」と計算できます。つまり、このケースでは約10カ月間の継続服用が、再発しにくい状態を目指す上での一つの目安となるのです。

イソトレチノインの服用量は、個々の状態に合わせて医師が判断しますが、この積算量を意識することが大切です。

イソトレチノインの効果

イソトレチノインは、他の治療では改善が難しい重症のニキビ(難治性ニキビ)に用いられる強力な内服薬です。また、軽症から中等症でも、再発を繰り返すしつこいニキビに対しても高い効果が期待できます。

過剰な皮脂腺を減らす

その主な作用は、ニキビの根本原因の一つである皮脂腺を縮小させ、過剰な皮脂の分泌を強力に抑制することです。これにより毛穴の詰まりが改善され、ニキビができにくい肌状態へと導きます。

毛穴の詰まりを防ぐ

ニキビは、毛穴の出口が角質によって塞がれ、毛穴の中に皮脂が溜まりやすくなることで起こります。イソトレチノインには、皮膚の角化(ケラチン化)を正常化する働きがあり、これにより古い角質がスムーズに剥がれ落ち、毛穴の詰まりを防ぎます。

イソトレチノインについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

症例

下の写真は保険適用のニキビ治療で3年間治らず当院を受診した重症のニキビ患者様です。

治療内容ニキビ治療。半年のイソトレチノイン内服、並行してVビーム2によるレーザー治療
治療期間・回数半年間、Vビーム2によるレーザー治療を7回
費用・イソトレチノイン20mg/日で30日分16,500円を6カ月
合計金額99,000円(税込)

・Vビーム頬から下 22,000円を7回
合計金額154,000円(税込)
リスク・副作用イソトレチノイン:胎児奇形、皮膚や粘膜の乾燥、頭痛、筋肉痛、骨痛、うつ病など
Vビーム2:赤み、むくみ、内出血、水疱、色素沈着、色素脱失など
院長コメント写真のようなボコッとした大型のニキビは保険適用内の治療が難しいことが多々あり、その際はイソトレチノインで速やかに治療することでニキビ跡の赤みや凹みが悪化することを防げます。
ニキビ跡になると治療がさらに難しくなるので、なるべくニキビを早く治してニキビ跡が出ないように予防することがニキビ跡対策になります。

イソトレチノインを難治性ニキビに使用した症例(20代男性)

治療内容ニキビ治療。イソトレチノイン内服とVビーム2のレーザー治療
治療期間・回数7カ月間、レーザー治療を5回
費用・イソトレチノイン20mg/日を7カ月分で16,500円
合計金額 115,500円(税込)
・Vビーム全顔 33,000円を5回
合計金額165,000円(税込)
リスク・副作用イソトレチノイン:胎児奇形、皮膚や粘膜の乾燥、頭痛、うつ病など
Vビーム2:赤み、むくみ、内出血、水疱、色素沈着、色素脱失など
院長コメント当院で7カ月イソトレチノイン内服を続けたことでニキビは消えています。
この患者様は赤みも同時に治療を希望されVビーム2 のレーザー治療を5回、イソトレチノインと併用したので赤みも目立たなくなっています。

重症酒さに対してイソトレチノイン治療を行った症例

治療内容重症酒さに対するイソトレチノイン内服とVビーム2によるレーザー治療
治療期間・回数2カ月間、イソトレチノイン20mg/日、隔日で8カ月間
Vビームを6回
費用・イソトレチノイン20mg/日を1カ月分で16,500円
合計金額99,000円(税込)
・Vビーム頬から下 22,000円を6回、
合計金額132,000円(税込)
リスク・副作用イソトレチノイン:胎児奇形、皮膚や粘膜の乾燥、頭痛、うつ病など
Vビーム2:赤み、むくみ、内出血、水疱、色素沈着、色素脱失など
院長コメントイソトレチノイン治療を行った酒さ患者様の経過写真。
3年前からボツボツと赤ら顔がひどくなり保険診療の塗り薬や飲み薬、メトロニダゾールが効かずに当院を受診し、当院での治療から1年後には写真のように改善しました。
酒さのポツポツは消えて内服終了後も再発していません。同時にVビーム2のレーザー治療を6回行うことで、酒さによる赤ら顔も目立ちにくくなっています。

酒さによるぼつぼつ毛穴に悩む方の症例(20代女性)

鼻の黒ずみでお悩みだった20代女性の患者様。酒さによるぼつぼつも気になっていたのでイソトレチノインで治療を開始したところ、1カ月後には酒さのぼつぼつは消え、毛穴の黒ずみもほぼ消失しました

他にも肌質がツルッとして改善したりと鼻の黒ずみ以外にも全般的な効果が早い段階で出ました。

内服開始後1週間では逆に赤いぼつぼつが増えてしまい心配でしたが一過性で、1カ月続けてもらったところいい結果が出ました。

治療内容イソトレチノイン20mg/日を1カ月
スキンケアはベーシックケアAZクリアローション
治療期間・回数1カ月のイソトレチノイン内服
費用イソトレチノイン20mg/日を1カ月で16,500円(税込)
リスク・副作用胎児奇形、皮膚や粘膜の乾燥、頭痛、うつ病など
院長コメントイソトレチノインには注意点もありますので毛穴の黒ずみ単独であればCLRローション併用のダーマペンがおすすめです。
・ニキビや酒さのぼつぼつができる場合
・他の毛穴治療が過去効かなかった場合にはイソトレチノインで毛穴治療を行うとより確実な黒ずみケアが実現できます。
CLRローションとイソトレチノインは併用可能で、同時に行うとさらに強力ば毛穴の黒ずみケアが可能になります。

イソトレチノインを毛穴に使用した症例(20代女性)

※写真は同じ人物です。症状がわかりやすいように拡大写真を複数掲載しています。

治療内容長年鼻の毛穴、特に黒ずみでお悩みだった患者様です。
イソトレチノインとCLRローション併用のダーマペンという2つの治療を組み合わせ1年5カ月後には毛穴の黒ずみがほぼ消失してツルッと肌質もきれいになりました。
治療期間・回数約1年5カ月・3回ダーマペン4(CLRローション併用)を期間中に合計3回施術しました。
イソトレチノイン20mg/日を6カ月、その後20mg隔日を4カ月処方しました。
費用・ダーマペン4(CLRローション併用)22,000円×3回
合計金額66,000円(税込)
・イソトレチノイン内服薬 20mg 30日分16,500円 6カ月
合計金額99,000円(税込)
・イソトレチノイン内服薬 20mg隔日 30日分8,250円 4カ月
合計金額33,000円(税込)

合計費用132,000円(税込)
リスク・副作用ダーマペン:むくみ、痛み、内出血、色素沈着
イソトレチノイン:催奇形性、乾燥、頭痛、筋肉痛、骨痛
院長コメント2つの毛穴治療を組み合わせることで効果的に毛穴の黒ずみと開きを抑えることができました。さらに毛穴の開きを改善させるならキュアジェットなどの治療がありますが、ここまでよくなれば毛穴治療は一度完了になります。
ここでお示しした二人の患者様に使ったイソトレチノイン内服薬には、さまざまな注意点があるため、毛穴のお悩みに対して気軽に使う治療方法ではありません。
ただしこの患者様のようにさまざまな治療方法を試したけれど効果が実感できなかったときには、他の毛穴治療と併用することで黒ずみ除去の効果を高められます。

イソトレチノインを毛穴に使用した症例(40代女性)

※写真は同じ人物です。症状がわかりやすいように拡大写真を複数掲載しています。

治療内容取れない鼻の黒ずみについて、長年お悩みだった患者様です。
即効性のある治療を希望されたため、「ダーマペン4(CLRローション併用)」と「イソトレチノイン内服薬」を組み合わせて治療しました。
治療開始から5カ月後には、毛穴の黒ずみが目立ちにくくなりました。
治療期間・回数約5カ月・4回ダーマペン4(CLRローション併用)を月に1回、合計4回施術しました。
イソトレチノイン内服薬20mg/日を5カ月処方しました。
費用以下の施術は公的医療保険が適用されない自由診療です。
「イソトロイン(成分名:イソトレチノイン)」20mg/日30日分16,500円 5か月分
合計金額82,500円(税込)
「ダーマペン4(CLRローション併用)」22,000円 4回
合計金額88,000円(税込)

合計費用170,500円(税込)
リスク・副作用「イソトレチノイン」唇や肌の乾燥、肝機能障害、関節痛、筋肉痛、骨の痛み、脱毛、頭痛、うつ病など
「ダーマペン」むくみ、痛み、内出血、色素沈着
院長コメント黒ずみ除去の効果を高めるために、ダーマペン4とイソトレチノインという2種類の治療を組み合わせて対応した症例です。
ダーマペンは細い針のついた器械を使って肌に小さな穴を開けることにより、自然治癒力を促進してさまざまな肌トラブルにアプローチする施術です。期待した効果が出るまで個人差はありますが、ダーマペン4は月に1回の頻度で5回を目安にしています。

この患者様に使ったイソトレチノイン内服薬には、さまざまな注意点があるため、毛穴のお悩みに対して気軽に使う治療方法ではありません。

ただしこの患者様のようにさまざまな治療方法を試したけれど効果が実感できなかったときには、他の毛穴治療と併用することで黒ずみ除去の効果を高められます。

また個人差はありますが、黒ずみ除去をしても、施術後に毛穴の開きの症状だけが残ってしまう方もいます。

その場合には、当院で受けられる「キュアジェット」、「トライフィルプロ」や「ジュベルックの手打ち施術」で対応すると、毛穴の開きの改善が期待できます。

ジュベルックとはポリ乳酸(PDLLA)を主成分とした薬剤です。患部にジュベルックを注入することで、コラーゲンの生成を促進して毛穴の開きといった肌悩みに効果が期待できます。期待した効果が出るまで個人差はありますが、目安となる施術間隔は1カ月おきの3回です。

期待した効果を維持したい場合は、さらに半年~1年に1回を目安に施術を受けるとよいでしょう。キュアジェットやトライフィルプロといった器械を使ってジュベルックを投与すると、より効果が上がる場合があります。

脂腺増殖症でお悩みだった方の症例

写真はひたいの3ミリほどの黄色いできもの、脂腺増殖症を当院でイソトレチノイン内服を開始してから6カ月後の症例。完全に消失して平坦になっているのがわかります。

写真では1箇所だけを拡大して見せていますが、ほかの多発していた脂腺増殖症も消えました。

治療内容イソトレチノイン20mg/日を6カ月
治療期間・回数6カ月のイソトレチノイン内服
費用イソトレチノイン 20mg/日 30日分16,500円 6カ月分 
合計金額99,000円(税込)
リスク・副作用催奇形性、乾燥、肝機能異常、脂質異常、筋肉痛、関節痛、脱毛
院長コメントこの患者様では過去にオペで除去もしたのですが、脂腺増殖症が20個以上顔に多発していて定期的に増えていく状態でしたので、説明の上イソトレチノインを選択しました。
ただし、高周波メスで除去した場合と違って内服が終わったら再発する可能性もあるので、ここはまだ経過をみる必要があります。

費用

イソトレチノイン(アクネトレント、20mg/日)は、30日分で16,500円(税込)です。

よくある質問

Q. イソトレチノインで皮脂腺は元に戻りますか?

治療終了後、イソトレチノインの効果で小さくなっていた皮脂腺は、時間をかけて少しずつ元のサイズに戻る傾向があります。

しかし、皮脂腺の大きさが完全に戻ったとしても、ニキビができにくい状態が続くことが多いです。これは、イソトレチノイン治療によって皮膚の細胞が正常化し(ターンオーバーの正常化)、皮脂が分泌されても毛穴が詰まりにくくなる効果が持続するためと考えられています。

治療前と同じ状態に戻るわけではありません。

Q. イソトレチノインをずっと飲み続けることはできますか?

イソトレチノインは、基本的に長期間飲み続ける薬ではありません。通常は、症状や体重に応じた1日の服用量と目標の総服用量(積算量)に基づき、治療期間が設定されます。重症の場合、1年近く服用することもありますが、規定量を守ることが原則です。

ただし例外的に、閉経後の女性や男性で、血液検査などで問題がなく医師が必要と判断した場合、長期に内服する場合もあります。必要や希望に応じて2クール目の治療をすることもあります。

Q. イソトレチノインをやめた後はどうなりますか?

医師の指示通りに治療を完了し服用をやめた場合、多くは肌のターンオーバーが正常化し、ニキビができにくい肌質へと改善が期待できます。しかし、その効果の持続期間には個人差が非常に大きいです。

治療終了後、年単位でニキビができない方もいれば、数カ月でいくらかニキビが出やすい状態に戻る方もいます。ただし、多くの場合、治療前の状態よりは改善した状態を維持できると言われています。

副作用・リスク

イソトレチノインの副作用やリスクは、以下のとおりです。

  • 催奇形性
  • 皮膚や粘膜の乾燥
  • 肝機能障害
  • 脱毛
  • 関節痛
  • 頭痛
  • うつ病

上記以外にもいつもと違う症状がある場合には、医師に相談してください。

イソトレチノインの服用でお悩みの方は、池袋駅前のだ皮膚科へ

イソトレチノインは、ニキビの根本原因の一つである皮脂腺を縮小させる作用があるため、ニキビができにくい肌状態へと導き、治療前より良い状態になります。当院では専門医が診察して、個々の状態に合わせた最適な服用量を設定します。

難治性ニキビでお悩みの方は、お気軽に当院までご相談ください。

池袋駅前のだ皮膚科院長|野田 真史監修

参考文献

Relapse of acne following isotretinoin treatment: A retrospective study of 405 patients

<イソトレチノインについて>
・未承認医薬品等
イソトレチノインは、医薬品医療機器等法上において国内で承認されていません。

・入手経路等
インドのCipla社から個人輸入しています。

・国内の承認機器の有無
国内で同程度の効能・効果で承認されている国内承認医薬品薬剤はありません。

・諸外国における安全性等に係る情報
米国のFDA(食品医薬品局)など諸外国で承認されています。
胎児の催奇形性、鬱、精神病などの精神疾患の副作用も報告されています。

・医薬品副作用被害救済制度について
万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

参考文献

Pub Med|Face to Face with Oral Isotretinoin

PubMed|Systematic review of low-dose isotretinoin for treatment of acne vulgaris: Focus on indication, dosage, regimen, efficacy, safety, satisfaction, and follow up, based on clinical studies